ガラパゴス English からの脱出!

自ら英語を学びつつ発見したことを材料に、興味のある方の学びを支援することを目指すブログ

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2017年10月

ペーパーバックで直読直解

ペーパーバックを利用して、教科書や参考書のような「人工的な英語」ではなく、

「自然な英語」に触れることが重要です。

今回は、リスニングの時に「頭の中で起こっていること」の問題点を解説したいと思います。

ダイアログ形式であれ、モノローグ形式であれ、リスニングというのは、

何も見ないで、100% 想像力を働かせて「映像を思い浮かべる」ことです。


自分がリスニング問題を解く時の頭の中の働きは、次のどれに当てはまるでしょうか。

(1)「英語音声」「映像」=「理解」
(2)「英語音声」「英文」「映像」=「理解」
(3)「英語音声」「英文」→「日本語訳」「映像」=「理解」


(1)が最も自然なリスニングのはずですが、多くの日本人は(3)でしょう。

英文を日本語に訳さなくても理解できる人なら、(2)が可能です。

「映像」というのは「理解」とイコールの関係にあります。

「映像」を見れば理解できることであれば、当然見た瞬間に「理解」になるからです。

問題は「英語音声」から「映像」を作り出せるかどうかです。

これが難しい理由は、「英語音声」と「映像」を結びつける練習をする機会が少ないからです。

この練習をするために最適なのは、海外ドラマや洋画を見ることです。

そうすることで、「英語音声」と「映像」のセットが頭の中に蓄積されていき、

(1)が自然なリスニングであるということが実感できるでしょう。


「英語音声の内容」が「単純な場合」はともかく、

「抽象的な概念」の場合は(3)になってしまうという反論があるでしょう。

では、「日本語音声」で「抽象的な概念」を聞いた場合はどうでしょうか。

母国語とはいえ、よく理解できない場合も多いでしょう。

このレベルになると、言語の種類の問題ではなく、「抽象的な概念」を「理解する能力」の問題です。

「抽象的な概念」の理解度は、言語の種類に関係なく、

「具体的な事例」をどれだけ思い浮かべられるかにかかっています。


つまり、「英語音声」と「具体的な事例」のセットを頭の中に多く蓄積した人の方が、

理解度は高くなります。

ということは、海外ドラマや洋画を利用することで、「抽象的な概念」も、

徐々に理解できるようになる
はずです。

ペーパーバックを利用して(2)の直読直解の力を養成しながら、

海外ドラマや洋画を利用して(1)の直聴直解の力をつけましょう。


ペーパーバックに挑戦


教材英語を卒業してペーパーバックに挑戦したい人は多いでしょう。

しかしながら、最難関大学受験レベルの英語力(受験英語力)を持っていても、

語彙力が足りなくて挫折してしまう人が多いことでしょう。

理由は明白です。

大学としては、難解な論文を読める受験生が欲しいから難しい英文を出題します。

実学に重点を置いた専門学校的な大学は別ですが、研究に重点を置いた大学の場合、

論文を読みこなせるだけの力を要求するのは当然でしょう。

したがって、大学受験用の参考書や問題集は、過度に文法解説に重点を置くことになります。

実は英語の教科書も文法偏重です。

教科書の題材の原文と比較してみると、原文の方がやさしい場合が多々あります。

原文では平易な文構造なのに、教科書の題材にするときに、

ターゲットとなる文法事項を無理やりに組み込んでいることが原因です。

「仮定法」を扱ったレッスンであれば、難しい仮定法の表現を、

無理やり一つの文章に大量に組み込んでいるのです。

実は、もう一つ問題があります。

原書の要約のような文章になっているので、途中を省略しすぎて、

文脈から意味を判断することが難しくなっている
ことです。

つまり、原書よりも二重に負荷をかけた文章になっているのです。

このことは、大学院で教材分析をしたときに発見しました。

なぜこのようなことになっているか、原因はわかりませんが、

このような作為的な英文を読んでも、英語力がアップする保証はありません。

むしろ、有害であるかもしれません。

できるだけ早く、ペーパーバックを利用して自然な英語に触れてみてください。

ペーパーバックが読めない主な理由は、「文法力」ではなく、「語彙力」でしょう。

そこで提案したいのは、積極的に翻訳本を利用することです。

翻訳のプロが訳したものですから、文法的にも語彙的にも、十分に配慮してあります。

英文の意味を日本語で確認しながら、読めばよいでしょう。

純粋に「原書を読む」作業を通して、「文法力」も「語彙力」もついてきます。

最初はオーディオブックを利用してもよいでしょう。

発音が分からない単語がたくさんあると、楽しめない可能性があるのと、

自分のペースでゆっくり読むと、日本語の語順で読む癖がついてしまうからです。

以上のことに注意しながら、ぜひペーパーバックに挑戦してみてください。

英語の学習は苦しんでやるものではなく、楽しいからやるものに変わるはずです。


ジョブズのスピーチ 解説(10)

They said: “Of course.”
My biological mother found out ( later ) that my mother had never graduated from college
and that my father had never graduated from high school. 



find out that ~(~ということを知る、発見する)
found out that A and that B(Aということ、Bということを知った
later (後に)

※スピーチ原稿では、My biological mother(S) later (M) found out (V) that(O)

のように、SMVOになっている。こちらの方がフォーマルだろう。

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jobs


She refused to sign the final adoption papers.
She only relented a few months later
when my parents promised that I would go to college.
This was the start in my liffe.

refuse to ~(~することを拒否する)
final adoption paper(養子縁組の最終書類)
relent(態度を和らげる、折れる)
only は「時を表す副詞句を強調」して、「ようやく」
promise that ~(~ということを約束する)

「態度をやわらげた」というのは、ジョブズを大学に進学させることを条件に、
親の学歴を不問にしたことを意味する。


And 17 years later I did go to college. 

・do(本当に、実際に)【強調の助動詞】
  一般動詞の原形の前で、do,does, did のいづれかの形で用いる。

ここでは、過去形の did が用いられているので、

 went to college  を強調した形となっている。



But I naively chose a college that was almost as expensive as Stanford

・naively(世間知らずなことに)
・almost as ~ as A( A とほとんど同じくらい~)

・that【関係代名詞】a college(先行詞)を修飾している

全体として、「世間知らずなことに、スタンフォードと同じくらい学費が高い大学を選んでしまった」となる。



and all of my 
working-class parents’ savings / were being spent on my college tuition.

・working-class(労働者階級)
  主に肉体労働者や賃金労働者を指す
・savings(貯金)
・tuition(授業料)

・be being+過去分詞【受動態の進行形】(~され続けている、~されているところ)
・spend +お金+on ~(~にお金を使う)  spend-spent-spent
       

ここでは、直訳すると、「労働者階級の私の両親の貯金全てが/私の大学の授業料に使われ続けていた」となる。


After six months, I couldn’t see the value in it
「高い学費を払って大学で6か月過ごしても、それだけの価値を見いだせなかった」
it = Reed college (ジョブズが入学した大学)
see(~を理解する)



had no idea what I wanted to do with my life 
「自分が人生で何をしたいのか全く分からなかった」


what ~ do  with B(どのようにBを扱うか)
have no idea of  ~(~という考えは全くない)
 ※ここでは、疑問詞 what や how の前なので、同格の of は通例省略される。

しかし、文法的に厳密に考えるよりも、
I have no idea = I don't know ( at all ) とパラフレーズしたほうが実用的だろう。



さらに細かく見ていくためには、次の例文と比較するとよいだろう。

cf.  I want to do something else with my life.
    「自分の人生で何かほかのことをしたい」
 
    do 
A with B(Bを使ってAをする)


つまり、what I wanted to do (  t   ) with my life  では、
「A の部分が疑問詞 what になって前に出てきた」と考えるとよいだろう。


This is a pen. は素晴らしい英語習得法


ョブズのスピーチ解説で出てきた ’ve got を例にして、

日本人がどのようにして「生の英語とは違う英語」を習得していくかを検討します。

この表現は、会話表現としては頻度が高いにも関わらず、

教わった記憶があまりない
はずです。

「ガラパゴス English 」の特徴の一つでしょう。



よく、
This is a pen. という文が、学校英語のダメな例として挙げられ、

「見れば分かるだろ」と揶揄される
ことがあります。

しかしながら、この指摘は、不適切であると考えられます。


なぜなら、「すでに理解している物事」「まだ理解していない物事」

関連性を発見することが、物事の理解には重要であるとすれば、

「見ても分からないもの」「英語」で説明されても、混乱するだけだからです。

「見れば分かる」ことを「英語でどう表現するか」を知ることが第一歩なのです。

学校英語のダメな部分を指摘するとしたら、

「 I 've got a pen.  を、どうしてきちんと教えないのか」の方でしょう。


I have a pen.(フォーマル/アメリカ英語)
   疑問文:Do you have a pen?
I have got a pen.(フォーマル/イギリス英語)
   疑問文:Have you got a pen?
I 've got a pen.(カジュアル・アメリカ英語・イギリス英語)
   疑問文:You've got a pen?

おそらく、「have got はイギリス英語で、アメリカ英語と同時に教えると混乱する」

という理由があるのでしょうが、それならば、とりあえず平叙文の

I 've got a pen. だけ教えれば済むことでしょう。

実際にペンを見せながらI have a pen.  You can also say, I've got a pen. でよいでしょう。

そうすれば、将来的ぶつかる生の英語の壁を薄くできるでしょう。


ジョブズのスピーチでは、We've got an unexpected baby boy. 

という文が登場しましたが、スタンフォード大学に提出された原稿では、

We have an unexpected baby boy. になっています。

つまり、ジョブズ自身も、フォーマルな書き言葉としてなら have を選ぶが、

電話での実際のセリフでは、おそらく 've got が使われていたと感じて、

スピーチでも 've got を使ったのでしょう。


さらに、注意点を挙げておきます。

have を've got(あるいは have got の短縮形)で置き換えることができない例です。

have a dinner.
I've got a dinner.(×)

I have a chat.
I've got a chat.(×)

両方とも、動作動詞としてのhave です。've got には、動作動詞としての用法がありません。

つまり、I have a pen. のように、状態動詞としての have だけ、've got にできるのです。


「アメリカ英語」と「イギリス英語」


英語を学ぶとき、「アメリカ英語」と「イギリス英語」を意識したことがあるでしょうか。 
(内容を一部書き直しました)

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英米


日本で出版されている英語教材は、特に「イギリス英語」と書いてない場合、

たいてい「アメリカ英語」です。ですから、意識して選択していなければ、

「アメリカ英語」を学んでいることになります。

しかしながら、最近は、多くのテキスト(教科書や文法書)を見ると、

何の断りもなく、イギリス英語とアメリカ英語が混在していることが多いのは問題だと感じます。


他にも「オーストラリア英語」など、英語といっても、たくさん種類があって、

発音も異なります。世界で活躍するために、「様々な英語に慣れる必要があること」と、

「様々な英語を混在したまま使うこと」は異なります。

自分が話すときは「アメリカ英語」とか「イギリス英語」とか、

決めておいた方がよい
と感じています。

英語の違いについては、知識として知っておけば十分と考え、

上の動画をきっかけに、代表的なものだけでも学んでおくとよいと思います。


世界で活躍したい人は、まず、様々な種類の英語の「リスニング」に慣れてください。

「発音」だけではなくて、「表現も異なる」場合が多いので注意しましょう。

あくまでも、「発信語彙」としてではなく、「受容語彙」として習得するとよいでしょう。

「自分の英語」がある程度出来上がっていないうちに様々な英語を学ぶと、

混乱が生じる(様々な方言を混ぜて話すことになる)と思いますので、

あくまでも、受信語彙(リスニングやリーディングに必要な語彙)として学びましょう。

アカデミックなものを利用して、「英語で学ぶ」を実践


前回、例として挙げた動画は会話表現に慣れるのに 使えますが、

もっとアカデミックなものを利用して、語彙力」だけでなく

「リスニング力」「読解力」を同時に向上させることができる動画もあります。

上級者向きだと思いますが、「英語を学ぶ」というより、「英語で学ぶ」を実践できます。

ココをクリック

アカデミック動画






「単語集の暗記」は最も効率の悪い学習法


今回は、「英単語集」の利用についてです。 

単語をあまり知らない人は、「単語集」を使ってはいけません。

英語が苦手な人は、単語が分からないから、

まず「英単語集」を暗記しなくてはならないと考えてしまいます。

しかしながら、文章の中で、場面とともに単語に出会っていく方が定着率は高いはずです。

わざわざ、定着率が低い方法で勉強する必要はありません。

でも、「単語の意味も発音も分からないから、文章が読めない」というのが本音でしょう。

ここに落とし穴があります。

母国語で経験した「読み聞かせ」という方法が、外国語学習にも効果的です。

例えば、下記のようなサイトはいくらでもあります。

ココをクリック

名作

基本的に、辞書で「意味」や「発音」を調べる必要がありません。

自分のレベルに合わせて、様々な動画を利用するとよいでしょう。

3:06 の動画ですが、ある程度英語ができる人でも、字幕なしで、

0:42 に出てくる "impassable" "impossible" を最初から聞き取れただろうか。

このように、聞き間違いやすい単語を分かりやすく教えてくれるという利点もあります。



ここで、「英単語集」の話に戻りましょう。

英単語集は下記の2通りの使い方が良いでしょう。
 
1)頻度の高い単語の備忘録として使う
(2)頻度の低い単語を覚えるのに使う


まず、(1)ですが、何度か出会った単語もしばらく出会っていないうちに、

忘れてしまうかもしれません。

「せっかく出会った単語を忘れないようにするために使う」

というのが、良いでしょう。「知らない単語を覚えるために使う」のではありません。

(2)についてですが、英語をたくさん読んだり聞いたりしていれば、

「頻度の高い順に脳内に蓄積されていく」はずです。

「出る順」に並んでいる英単語集もありますが、あまり意味がないでしょう。

頻度が高いものは出会う回数が多いはずなので、自然に覚えてしまいます。

むしろ、単語集は、「頻度の低い単語」、つまり英文をたくさん読んでも

めったに出会わない単語を知るために使う
のが良いでしょう。

「頻度の低い単語」は、大量に英文を読んでも、めったに出会わないために覚えるのが困難です。

ですから、英検1級やTOEFLなどで高得点を取得しなければならない人が、

単語集を使うのは、ある程度合理的であると考えられます。

逆に、英検準1級レベルまでなら、学習効率が悪いでしょうから、単語集は不要でしょう。

「英文法問題集」の問題点


前回の、
語が苦手な人英語の "fluency" を身につけていない人は、

「英文法の問題集」や「英単語集」で勉強してはいけません。

という記事のつづきです。

多くの場合、文法の問題集は以下のような形式になっているでしょう。

(1)穴埋め
(2)並べ替え
(3)書き換え
(4)和文英訳


確かに、上記の(1)~(4)の問題演習をすれば、

同じような問題を解く力はつくでしょう。

しかしながら、実際に英語を話したり、書いたりする時、

「穴埋め」や「並べ替え」で話したり書いたりするわけではありません。


また、(3)の「書き換え」も問題があります。例えば、以下の例です。

   He seems to be sick. (彼は病気のようです)
= It seems that he is sick.


イコールで結ばれていますが、実際には意味が異なります。

He seems to be sick. は、「話者の判断」ですが、

It seems that he is kind. の方は、「伝聞」であるからです。

言葉は、「形を変えると意味が必ず変わる」のです。

(4)の「和文英訳」は、森沢氏の勧める「瞬間英作文トレーニング」と同じです。

「文全体を作る練習」ができるので、(1)や(2)よりも実践的です。

問題点は、「文脈情報がない」ことです。

英語がある程度できる人なら自分で補えるのですが、初級の学習者には無理です。

実は、「和文英訳」は上級者でも難しい技術です。

それが、翻訳家という仕事が成り立つ理由でもあります。

このように、多くの場合、文脈情報なしで問題演習しても、

どのような文脈(場面)で、どのような使い方をするのか、

といった「言葉のやりとりで最も重要な情報」が欠けた状態で練習するのは

効果的ではありません。


基本から英語を学ぶのでしたら、「自分が理解できる英文」を、できるだけ

たくさん「読んだり」、「聞いたり」してください。

慣れてきたら、まねして「話したり」、「書いたり」してみてください。

さらに、「教材」だけでは自然な英語が学べませんので、

同時並行で、海外ドラマやニュースなど、
「生の英語」も活用してください。


「生の英語」の場合は、語彙的に難しいでしょうから、

「字幕」や「日本語訳」を利用しても構いません。「音声」も利用して、

「分かる部分を探す」ぐらいの学習法がベストです。


とにかく、ある程度の量をこなさないと、文法学習のレディネス(準備)が完成しません。

文法的な理解は後回しにして、「場面とともに英語表現をストック」しましょう。

英語表現のストックが少ない状態で、文法学習を進めると、

(1)"fluency" (流暢さ)が犠牲になります。


(2)文法的に理解できない表現を覚えるのが困難になります。

「英単語集の暗記については、次回に説明します。

英語が苦手な人は、「まず文法と単語」は間違い


「英語を基本から勉強したい」と思った時、多くの日本人は、

下記の①②を選択するのではないだろうか。


英文法の問題集』をやる

単語集』で英単語を暗記する


残念ながら、多くの人はこれで失敗したことでしょう。

上記①②をやるべきなのは、下記の(1)~(4)に該当する人だからです。

(1)ある程度、英語が話せるようになった人
(2)
ある程度、英語が書けるようになった人
(3)
ある程度、英語が聞けるようになった人
(4)
ある程度、英語が読めるようになった人

(1)の人は、間違いなくブロークンで話しています。

もちろん、日常的な会話は文法通りではなく、ブロークンな方が自然です。

しかしながら、ジョブズのスピーチでも分かるように、

スピーチなどの公式の場面では、文法どおりの正確な英語が普通です。

英語を話せるようになった人が英文法を勉強し直すと、

いかに自分がいい加減な英語を話していたかに気づくことでしょう。

(2)の人は、自分がいかにいい加減な英語を書いていたかに気づくことでしょう。

(3)の人は、自分がリスニングで意味が取れなかった部分は、

文法力不足が原因であったことに気づくでしょう。

(4)の人は、自分の今までの読み方は、誤読が多かったことに気づくでしょう。

つまり、「英文法の問題集」や「英単語集」で勉強すべきなのは、

いわゆる、ある程度英語ができる人たちです。

上記(1)~(4)に該当するような人

つまり、英語の "fluency" (流暢さ)を身につけた人は、英文法を学んで、

"accuracy" (正確さ)の向上を目指すべきです。


逆に、語が苦手な人英語の "fluency" を身につけていない人は、

「英文法の問題集」や「英単語集」で勉強してはいけません。


この理由は、長くなりそうなので、後の記事で解説したいと思います。

ジョブズのスピーチ 解説(9)

前回は、~, so everything was all set for me to be adopted at birth

by a lawyer and his wife

「私が生まれた時、ある弁護士夫妻の養子になるように、
あらゆることが計画通りに進むように準備されていた。」

というところまで、解説しました。

それに続く部分は次のような構造の副詞節になっていて、

前の「~準備されていた」を修飾します。

except that 

( when I
popped out ) they decided ( at the last minute ) that

they really wanted a girl. 

「私が生まれた時、彼らが土壇場になって、

本当は女の子が欲しいという判断を下したことを除いて」


以下の語句を確認しておきましょう。

except that ~(~ということを除いて)
pop out (ポンと飛び出す)

decide that ~(~という決断を下す)
at the last munute(土壇場になって)

( )内が修飾語句で、decide that のつながりを把握できるかどうかが、

この部分を理解できるかどうかの境目になります。



そろそろ、挿入される節や句に慣れてきたでしょうか。

日本人向けに分かりやすく書き直したテキストは、

単純に書き換えられているので、それらをいくら勉強しても、

挿入を含む文を、読んだり聞いたりすることができるようになりません


So my parents ( , who were on a waiting list , ) 

got a call ( in the middle of the night ) asking:

「私の両親(養父母のこと)は、順番待ちのリストに載っていて、

真夜中に、~と尋ねる電話を受けた」という意味になります。


以下の語句を確認しましょう。

be on a waiting list(順番待ちのリストに載っている)

in the middle of the night(真夜中に)


文法的にも確認してみましょう。

,who
 は「関係代名詞の非制限用法」として習ったことがあるでしょう。

これも、コンマがあることから分かるように、挿入です。

文法が苦手な人は、,who は、「直前の 語句(my parents )を受け、

主語としての働きを持つ語」
だと理解してください。

もうひとつ、got a call と asking の間に挿入がありますが、

got a call asking: (~と尋ねる電話をもらった)

のように、つながっていることを見抜くことが大切です。



おまけとして、次のことを確認しておきましょう。

in the middle of the night は、ざっくりとした言い方ですが、

at midnight (午前0時に)は、明確に時間指定していますので、

真夜中ではありません。

日本語訳が伝える英語の意味は、いつでも不完全であることを意識しましょう。



ジョブズのスピーチの解説を続けます。

~ asking: “We’ve got an unexpected baby boy; do you want him?” 

've got = have 

この 've got の部分を、学校で教わることはあまりないでしょう。

この 've got は have got の短縮形として、会話で頻繁に使用されますが、

なぜか、説明されることが少ないようです
ので、

今後の学習法Tips で解説したいと思います。

unexpected (予期していない、不意の、望まれない)

an unecpected event(予期せぬ出来事)
an unexpected visitor(不意の来客)

のように多くの単語と結びつきますので、ニュアンスをつかみやすいでしょう。

さらに、語源を利用して、ex(外)+ pect(見る)のように分解して理解すると、

expect という単語は、「何かがやってくるのを期待しながら外を見つめている」

ということで、「期待する」「予期する」のような意味になることが分かります。

また、expect が「過去分詞」になって、「受け身の意味」を持ち、

さらに、否定の意味を持つ un が追加されることで、unexpected 全体で、

上記のような意味になることが分かるでしょう。

ジョブズのスピーチでは、an unexpected baby boy と表現されることで、

男の赤ちゃんの誕生が、予期せぬ出来事であったことがわかります。

まだ学生であったジョブズの生みの親にとって、「望まれて生まれたわけではない」だけでなく、

育ての親になるはずであった弁護士夫婦にとっても「女の子でなかったために、望まれなかった」

という二重の苦難から、ジョブズの人生はスタートするのです。

ダイアログ(対話)で重要なのは、「レスポンス」



「瞬間英作文」トレーニングは、完全な文章を瞬時に作成する力がつくので、

「モノローグ(片言)の力」を鍛えることができますが、

「ダイアログ(対話)の力」をつけることができません

ダイアログ(対話)で重要なのは、「レスポンス」です

難しい質問に対しては、母国語でも考える時間が必要なので、

ゆっくり答えることができますが、日常的な会話では、

考えながら話すというより、定型表現で済ますことがほとんどでしょうから、

定型表現に慣れておく必要があります。

次の動画にあるような「ダイアログ」を何度も聞いて、慣れるところから

スタートしてみましょう。

慣れてきたら、質問文が流れた後、ポーズボタンを押して、

自分の答えを言ってみましょう。

ココをクリック

レスポンス


「英語の歌を利用しての音まね」


 発声法を学ぶことは重要ですが、

単なる「音まね」だけでなく、「英語の歌を利用しての音まね」も効果があります。

カラオケの要領で、字幕を見ながら「音まね」してみるとよいでしょう。

ココをクリック

セリーヌ


もう一つおまけです。

9歳の女の子がセリーヌ・ディオンの歌を歌いますが、

歌う前のインタビューでの、受け答えの「レスポンスの良さ」に注意してみてください。

おそらく、多くの日本人英語学習者は、9歳児にも敵わないでしょう。

ココをクリック

セリーヌ2


『君の名は』映画予告編

以前、『スティーブ・ジョブズ』など、洋画の映画予告編が数分間で

気楽にできるリスニング学習であることを紹介しましたが、





洋画だけでなく、日本の映画も「英語字幕」や「英語吹替」がありますので、

両方を見比べてみるとよいでしょう。

kimino

日本語版は、ココをクリック

英語版は、ココをクリック

探し方は、タイトルの後に、" eng sub " を追加して探すと、「英語字幕版」が、

" eng dub " を追加して探すと、「英語吹替版」が見つかります。

タイトルも、英語やローマ字にするとよい場合があります。


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プロフィール
『ガラパゴス English』(=日本人向けに、意図的に語彙や文法をコントロールした英語)をマスターしても、本物の英語の領域には辿り着けないと考えています。教科書や受験用の参考書は、代表的な『ガラパゴス English』の解説書です。このブログでは、「TED」や「YouTube」などの動画や「洋書」を素材として、言語習得を促進できるような枠組みを考えていきます。大学院では英語学や言語習得の研究をしていましたが、専門用語を用いないで解説していきたいと思います。
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