【ライターコラムfrom横浜FM】頼れる得点源が復調…伊藤翔、勝負どころの終盤戦で「結果を出したい」
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 伊藤翔の今季初ゴールは、首位・鹿島アントラーズとの大一番で生まれた。開始から間もない3分、天野純の左CKを頭で合わせ、幸先良くゴールネットを揺らす。「純とは前日の練習からタイミングが合っていた。試合でもいいボールが来た」。力強いヘディングシュートでチームに貴重な先制点をもたらした。

 チームは3−2で勝利し、首位相手に価値ある勝ち点3を手にした。自身も初得点を記録して会心のゲームになったかと思いきや、試合後は「個人的には問題しかなかった。感覚も体力も、何試合かやらないと本調子にはならない」と課題や反省ばかりが口をついて出た。

 先発出場は5月27日の明治安田生命J1リーグ第13節・清水エスパルス戦以来、約5カ月ぶりだった。その間は度重なる負傷で離脱と合流を繰り返し、何度もコンディション作りが振り出しに戻る苦しい時間を過ごす。それを思い出し「今年はずっとケガをしていて、こんなに離脱していたシーズンは初めて。試合に出られない悩みではなく、サッカーができないフラストレーションが溜まった」と苦い表情を浮かべた。

 ようやく決めた今季初ゴールに安堵したものの、自身のパフォーマンスには満足しなかった。それでも続く第31節・ジュビロ磐田戦でも、自身が蹴ったPKのこぼれ球をきっちり詰めて2試合連続ゴールを記録。得点以外にも体を張ったプレーでチームを助け、徐々にコンディションが上がっていることを感じさせた。

 その磐田戦から次節のセレッソ大阪戦までは3週間の猶予があり、横浜F・マリノスは6日から高知県でミニキャンプを実施することに。その中で伊藤は全体練習後に居残りでシュートを打ち込む。すると「体が動くようになるとトレーニングができるし、キレも出てくる。それが試合にもつながる循環が生まれる」と、ようやく笑みがこぼれた。

 マリノスに加入してからの計3年間で93試合に出場し、19得点を挙げている。常にライバルをリードする存在で、1トップの軸として時間を過ごしてきた。だが負傷に苦しめられた今季はここまで12試合2得点と不本意なシーズンを送っている。2試合連続ゴールだけで満足できないのは当然だ。

 チームはリーグ戦残り3試合で目標に掲げている『ACL出場権獲得』を目指し、さらに準決勝に進出している天皇杯では4年ぶりのタイトルを狙う。それに向けて経験豊富なストライカーの復調は心強い限りである。

 迎える最終盤を目前に控えて伊藤は「シーズン終盤に盛り上がれるような状況を作れているのはチームとしての成果。その時間をサポーターに届けられるのは喜ばしいこと」と前置きした上で「だからこそ一番大事な最後にチームとしても個人としても結果を出したい」と言葉に力を込めた。苦しんだストライカーの本当の見せ場は、これからやってくる。

文=藤井雅彦
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