理事長 年頭所感
年頭のご挨拶
明けましておめでとうございます。
平成23年1月元旦は、朝酌川も厚く雪に埋もれ、昭和38年以来の大雪と言われる中で迎えました。寒さに震えながら、年頭のご挨拶を申しあげます。
福祉は、この30年来冬の時代が続いています。
介護には株式会社の参入が認められ、平成17年には、利用者からホテルコスト(部屋代・電気水道代など)をとって良いことが決められました。例えば、介護負担は高齢者一律に1割負担(1月入所で食費込み月額約8万円)と決められていますが、現実にグループホームやショートステイ、高齢者賃貸住宅などを利用しようとすれば別途に月額5万円〜10万円のホテルコストの追加負担を求められます。
朝酌地区でも家庭の介護力は低下し、施設利用の需要は多くなりました。
昨年、朝酌に介護施設を建設したいので医療面で協力頂きたいとの要請もうけました。全国展開をしている大手の介護事業所からの要請でした。この地域に立派な入所施設が出来れば、地域の方には喜ばれる方も多いのではと感じはしましたが、土地と建物は借り上げ方式のようで、多額のホテルコストを利用者から徴収することは明白でしたから、「お金が無い人が利用できないような施設をつくること」への協力は出来ないと断りましたが、いずれ、こうした波の中に、「わかくさ」ももまれて行く運命にあると思えます。
「わかくさグループ」では「地域を中心にして考える」を事業理念に、地域で必要とされる医療や福祉を提供して参りました。地域福祉については、「わかくさの家」を無料で利用者に提供して来ましたが、独居高齢者のターミナルケアの場をどうするかは未解決です。
2011年福祉は厳しい状況です。地域の中核病院はグループ化を図り、パスという流れのなかで患者さんを関連病院へ送り込んでいます。そうでない病院でも、独自に高齢者賃貸住宅や介護施設を併設し、取り込みを図っています。便利な時代になったとも言えますが、住み慣れた自宅や地域の中での暮らしを大切にしたいと願う高齢者の尊厳はどう守られたらよいのででしょうか。
職員の皆さんには3つのことを御願いします。1つは先ず、「目の前の利用者の声を大切にすること」が全てであること。これをほったらかしにして、別に福祉の理論があるわけではありません。2つは、「初心を忘れないこと」。自分が何故この道を志したのか、その思いが無ければ仕事は続けることができません。3つは、「厳しい時代こそ、前を向いて歩むこと」。苦しい時の経験こそが、将来の力になります。
私は、職員や目の前の利用者を含めた一体について、わかくさグループの先頭にあって、前向きに対応して参る所存でございます。
最後になりましたが、利用者ならびに職員の皆様が、ご家族の皆様と共に、ご健康とご多幸であられることを心から祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
平成23年1月1日 医療法人 若草
理事長 石原睦夫