新左翼とロスジェネ (集英社新書 488C)

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新左翼とロスジェネ (集英社新書 488C)

運動は決して終わらない
安田落城や連合赤軍の一連の事件で新左翼運動は「終わった」という強固な通念に闘いを挑む意欲作です。少なくとも私にはそう読めました。新左翼学生運動の略史としても読めますが、著者の関心は歴史的な事実の確認よりも、第二次世界大戦後の学生運動が問い続けてきた問題の所在を探ることに向けられています。追記:「自分探し」に引っかかる人が結構多いようなのですが、これは「つかみ」であって本筋ではありません。むしろ「自己否定」が、単なる主体の「抹殺」(文字通り、あるいは比喩的な意味で)につながるような形でしか理解されないとされる70年代後半以降の社会・思想状況の中に、そうでない要素を探すことが著者の狙いでしょう。じゃなきゃ反日武装戦線、三里塚、寄せ場、京都の学生運動からニューアカまでが一列に並ぶわけがありません。アイデンティティ・ポリティクス、癒し、私の居場所はどこにあるの(という本がありましたが)…といった形以外にも「自己」あるいは「主体」をめぐって立つ「問い」があるのです。その系譜は今は限りなく薄い線になってしまっていますが、確かに存在します。