小澤竹俊さんの『自分を否定しない習慣』を紹介します。
小澤竹俊さんは、1963年東京生まれ。
1987年 東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
1991年 山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。
救命救急センター、農村医療に従事した後、
1994年より横浜こう生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。
4000人以上の患者さんを看取って来られた方で、
生きる、ことの問いを追求されてきたと思います。
気付きをいただけるので、
是非読んでみて下さい。
少し紹介します。
■自分自身を肯定するために必要な4つのポイント
自分を支えてくれている、本当に大切な存在に気づくこと。
自分自身や自分の人生、自分がやってきたことを肯定すること。
自分が自分を通して学んできたことを、次の世代に伝えたいと思うこと。
そうしたことができて初めて、人は本当の意味で幸せを手に入れ、
穏やかにこの世を去っていくことができるのです。
そのために必要な4つのポイントは。
1. 弱い自分を認め、自分を支えてくれている存在に気づくこと
2. 自分を分かってくれる存在に気づくこと
3. 変えられるものと変えられないものを見極め、変えられないものを無理に変えようとしないこと
4. 変えられるものを変えようと、1日1日を頑張って生きること
#3 について、
どうしても変えられないものは静かに受け入れよう。
ということです。
これは、補足することはなにもないですね。
あまりにも当たり前のことです。
しかし、頭では分かっていても実行が難しい。
#4について、
これが、まさに、人生なのですが、
アメリカの神学者、ラインホルド・ニーバーが考えたニーバーの祈り。
神よ、変えることのできないものを静穩に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。
変えられないものを変えられないものであると認識することは難しいし、
変えられる筈のものを変えることは難しいし、
変える努力を始めることも難しいのです。
でも、
正しく認識すれば走り始められる筈。
■信頼関係を築くために必要なこと
例えば 患者さんがスタッフに、
「昨日、トイレに間に合わず、恥ずかしい思いをしました」
と言ったとします。
その時、
「年を取ればみんなそうなりますよ」
などと答えるのはもちろん 問題ですが、
「少しくらい漏れたとしても、尿漏れパットがあるので気にしなくて大丈夫ですよ」
などと答えるのも、実は好ましくありません。
ここで大事なのはあくまでも、
患者さんの言葉をそのまま受け止めることです。
ですから、
「昨日、トイレに間に合わず、恥ずかしい思いをしました」
と言われたら、
「昨日、恥ずかしい思いをされたのですね」
と患者さんの言葉のうち、
重要なキーワードを反復します。
その後、患者さんが口を開くまで、
こちらからは話しかけずに注目し、
「今までは、トイレに間に合わないことなんてなかったのです」
と言われたら、
「今までは、間に合わないことはなかったのですね」
と反復します。
相手の言葉をそのまま受け止め、
反復と沈黙を繰り返す。
非常に難しいことではありますが、
そうすることで患者さんは、
私たちのことを、
「自分の気持ちをわかってくれている」
と感じ、少しずつ気持ちを話してくださるようになります。
そしてこれは、
自分自身の気持ちに対しても同じだと言えるでしょう。
自分が感じたこと、思ったこと、言いたいことを、できるだけ 否定せず、
「そうか、私はこう感じたんだな」
「私はこう思ったんだな」
「私はこれが言いたいんだな」
そのまま受け止めるのです。
自分自身が感じたことを尊重することで、
自分自身を肯定することにつながっていくのです。
実に深いです。
自己否定が過ぎてしまう人に接するときには心がけましょう。
そして、
自己否定してしまってしんどい時には、是非自分に問い掛けてみて下さい。
■幸せとは
自分を分かってくれる誰かと生きること
深過ぎます。
人は、そのために生きているのだと思います。
さらに言うと、
そのために生きていることに気付くために生きているように思います。
■ディグニティセラピー
ディグニティセラピーは9つの質問を参考にしながら、
患者さん自身に人生を振り返ってもらいながら、
自分自身や自分の人生について考える きっかけにしてもらいます。
その9つの質問は、
1. これまでの人生について少し教えてください。
特にあなたが最も覚えている、
あるいは最も大切だと考えているのは、
人生のどの時期でしょうか。
最も生き生きしていたと感じるのはいつのことですか。
2. あなたのことで、
大切な人に詳しく知ってほしいことや、
特に覚えておいて欲しいことがありますか。
3. これまでの人生であなたが果たしてきた役割(家族の中での役割、仕事での役割、社会的な役割など)の中で、
あなたにとっても最も大切な役割は、
どの役割ですか。
どうしてそれがあなたにとってそれほど大切なものなのですか。
その役割ではどのような役割を果たすことができたと思いますか。
4. これまでやり遂げたことで、
あなたにとって、
最も重要なことは何ですか。
最も誇りに思うのはどのようなことでしょうか。
5. あなたから、
大切な人に伝えておかなければと感じていることや、
もう一度時間を取って伝えたいことが、
何か特別にありますか。
6. あなたの、大切な人に対する希望や夢にはどんなことがありますか。
7. あなたが人生から学んだことで、
誰かに受け渡したいと思うことはありますか。
大切な人へ受け渡したいアドバイスや指針にはどのようなものがありますか。
8. 大切な人が将来に備える上で役立つように、
伝えておきたい言葉や、
指示などはありますか。
9. この手紙は(大切な人の手元に)ずっと残るものですが、
他にも入れておきたいものはありますか。
エンドオブライフケア協会による資料の翻訳だということですが、
とても深みのある質問の数々です。
人生訓とよべる本になるかもしれません。
是非読んでみて下さい。
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