角田光代さんの『月夜の散歩』を紹介します。

角田光代さんは、1967年神奈川県生まれ。
早稲田大学第一文学部卒業。
1988年「お子様ランチ・ロックソース」で第11回コバルト・ノベル大賞(彩河杏)、
1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、
1996年「まどろむ夜のUFO」で第18回野間文芸新人賞、
1998年「ぼくはきみのおにいさん」で第13回坪田譲治文学賞、
1999年「キッドナップ・ツアー」で第46回産経児童出版文化賞フジテレビ賞、第22回路傍の石文学賞、
2005年「対岸の彼女」で直木賞、
2006年「ロック母」で川端康成文学賞など、
2011年「ツリーハウス」で第22回伊藤整文学賞、
2012年「かなたの子」で第40回泉鏡花文学賞、
2014年「私のなかの彼女」で第2回河合隼雄物語賞、
多数の受賞歴があります。
また、映画化、ドラマ化作品も沢山あります。



さて本書、
「まひるの散歩」、「よなかの散歩」に続く、
日々の生活の中での思いを綴ったエッセイ集です。

著者自身、「重苦しかったり、何か考えることを強いたりする文章は書くまい」と決めて、
オレンジページの連載を始めたとのことで、
肩の力の入らない、
気軽で、それでいて、角田さんならではの視点があり、
読んで楽しい本です。


では、そんな本書からいくつかピックアップして紹介します。


角田さんは「激辛好き」だそうで、辛い調味料を紹介しています。
京都 舞妓はんひぃ~ひぃ~ : 激辛ながら風味豊か。
山形 味なんばん : 青唐辛子を醤油に浸けたもの。
金沢 とり野菜みそ : 鍋のもとによい。

辛好きの方はお試しあれ。


角田さんは料理が好きだそうで、
料理関係の話は多く書かれてます。

伊勢うどん
  ふわふわした麺に、甘辛いたれがかかっている。
  麺はつるりと腹におさまり、食べたそばから腹が減る。
  伊勢うどんはたれを味わうものらしい。

武蔵野うどん
  黒みのあるぶっとい麺を、つゆにつけて食べる。
  噛みごたえがあるから、食べているうちどんどん満腹になる。

五島うどん
  ぐらぐら煮え立つ鍋から直接取って、汁につけて食べる地獄炊き、という食べ方が多いようだ。
  稲庭うどんによく似た、つるつるとのどごしのいいうどんで、
  あごだしの澄んだ汁が非常においしい。

福岡のうどん
  角田さんがもっともっと愛するうどん。
  ごぼう天にやわらかいうどん。
  何より澄んだ汁がおいしい。


角田さんの、恐らく性格がそうなんだろうと思いますが、
潔く、さっぱりした文章が良いです。

バレンタインデーの話も秀逸。

バレンタインデー近くになると胸踊るのである。
もう告白も義理にも縁のない私は、
三分の二は私が食べるという前提で、
チョコレートを選ぶ。
もちろん、選んでいるときは、そんなことは意識しない。
あくまで、人に喜んでもらえるものとして、
見かけがうつくしい、とか、
この味はあの人は好きそうだ、などと考えてはいる。
だれかのために買う、
というこの建前がなく、
自分で食べることを意識していれば、
多少の罪悪感が混じって高揚が薄れる。
そのことを本能でかぎとって、
私は無意識的に、
自分が食べるなんてことは考えないようにしているのである。


いかがでしょうか。
角田光代さんの本書が面白いのは、
きっと本人の性格による面もあると思います。

あっそうそう。
愛猫(トト)の写真が沢山あって、これも楽しさを増幅してます。


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