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ブレッド&ローズ

タイトルの意味は、「人間にはパンが必要だが、薔薇も必要だ」という事。
ケン・ローチはイギリスの労働問題について描き続けている監督として有名です。この映画も、僕が今まで観た彼の映画のすべての土台になっている「低賃金で働く者たちの日常」が主題なわけですが・・・。

主人公のマヤが姉のローサを頼り、メキシコからアメリカへ不法入国するシーンから映画は始まります。ローサが用意した職が合わず、ローサに頼み、ローサと同じビル清掃員として働き出すマヤ。そこで出会った労働組合活動家のサムの話に共感し、彼女は活動に傾倒していくのですが・・・
実はこの時点で、マヤの甘さが不愉快でした。彼女がアメリカに渡る為の金を用意したのも、苦労して働く場所を探したのも、そして、それを嫌がったのでビル清掃員として働けるようにしたのも、すべてローサなのです。彼女は自分で何もしていないにも関わらず、不満ばかりもらし、やりたいようにやる。
物語の後半、ローサの裏切りをマヤが罵る場面で、彼女の甘さは具体的に描かれます。本当に裏切ったのはどっちなのか?そして、パンを食べ、薔薇を飾るという事の本当の意味は?

この映画は、僕のようにこの安定した毎日を当たり前のように過ごす人間に対する警鐘だと思いました。今の生活のありがたさを感じなさい、と。
何か、言いようのない痛みがある映画でした。


matu_hmatu_h  at 10:43
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コメント
1. Posted by Sachie   2004年07月01日 10:28
持っていたイメージとちょっと違う感じで見終りました。
XX運動をするには正義感が強く、カリスマ性のある人について活動をして行く。大変であればある程燃えて充実感を感じる。それは悪い事でもなんでも無いが、視野が狭まり、その他は悪である、と勘違いしやすくモロイものがあるようです。
そのモロいが故に、罪を犯し、国外へ追放される。
人はパンのみで生きているのではない!んですよね。
2. Posted by 松   2004年07月01日 12:08
何が正義で、何が悪なのか、というのは、非常にわかりにくいんですよね。人間は、片方の面から物事を見たがる生き物ですから、余計にSachieさんがおっしゃるように、勘違いしやすく、それが脆さになるのだと僕も思います。
パンのみで生きていく事はできない、と言う主張は、完全なる正義ですが、パンのみで生きていこうとしている人を誰も否定する事はできない、という、この映画のもう一つのテーマを僕は強く感じ、痛みを感じました。

しかし、この映画が伝えるのは痛みだけではないんですよね。マヤが国外へ追放される時、姉のローサがバスに手を振るシーン。家族とは何事をも受け入れ、許す事ができる、というメッセージを感じ、なんだか最後に救われた気がしました。

しかし。
この映画にコメントいただけるとは思ってなかったので、正直びっくりしました。(笑)嬉しかったです。ありがとうございます。
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