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トニー滝谷

トニー滝谷 プレミアム・エディション


小説を読むという行為の映像化


小説に限らないが、活字を読む時、大抵の人は頭に映像を思い浮かべるだろう。
その映像は、その文の言い回しや表現方法に大きく作用されて、つまり、それもまたその文を書いた人間、特に小説だと小説家の作家性になるのだろう、と、思う。

この作品は、村上春樹という作家の文体、作家性をそのまま映画化したもの、と言っていいと思う。
ナレーションの長さや口調は、そのまま村上春樹の世界だし、登場人物たちの台詞、例えば、トニー滝谷(イッセー尾形)が妻(宮沢りえ)の買い物を注意するシーンなどは、その(いい意味での)回りくどさが、まさに小説のまま、といった感じだった。

僕もいくつか村上春樹の小説は読んでいるが、その世界観を、色合いまでも、見事に表現してたのに驚かされた。
これほどまで作家に拘った作品は珍しいのではなかろうか。これもまた一つの「映画化の形」なのだろう、と思うと、なかなか興味深かった。


蛇足。
長髪のイッセー尾形。
大学紛争のコントでも始まるのかと・・・


matu_hmatu_h  at 10:58
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1. トニー滝谷  [ Cat Tail * cinema ]   2006年06月08日 13:40
トニー滝谷 プレミアム・エディション 原作:村上春樹『トニー滝谷:レキシントンの幽霊 所収』 監督:市川準 出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘 他 ナレーション:西島秀俊 音楽:坂本龍一 公式HP 2004年*日本*75分 レビュー Amazon.co.j...
コメント
1. Posted by モン基地の母   2006年06月08日 13:40
こんにちは。
コメント&TB有難うございました。

ほんと、仰るように世界観や色合いまで(これほど見事に)映像化した作品って凄いですよね。
*原作読んでないクセに(笑)
原作(人気作家・小説になればなるほど)映画化されると、やれイメージが違う云々という事になることが多いんですけど。
映画化の一つの方法として監督の手法とか、こういう表現の仕方も面白ろかったしアリかな。何て私も思いました。

*長髪のイッセー尾形さん・・正直、ちょっと引きました(笑)
2. Posted by 松   2006年06月08日 23:00
>モン基地の母さん
TB&コメント、ありがとうがざいます!

この勢いで「TVピープル」辺りも映画化して欲しい気がしました。(笑

小説の場合、漫画が原作の時と違って、読み手それぞれがイメージする映像ってのがあると思うのですが、村上春樹の文体って、良くも悪くもそれが均一化されやすいタイプだと思うんです。
だから、こうやってほとんどのハルキストが納得できるような作り方をしたのって、正解なのかもしれませんね。
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