2005年03月16日

あずみ2 Death or Love

2a5cd92f.jpg第33回

★★★☆(劇場)

 報われない、非情、絶望。

「あずみ」は、これらが物語の骨格となっている。決して不幸の道を辿ろうとしているのではない。よかれと思って行動したことが、結果、報われないのだ。

 あずみは旅の途中で数々の集落を訪れる。人々はあずみの人柄(外見)に惚れて歓迎する。しかし争いが起こり、最後には怨まれてしまい、集落を出て行かざるを得なくなる。このパターンが繰り返され、人々をどんどん不幸にしてゆきながら、あずみは絶望し、再び旅に出る。

 彼女は「使命」という名の「洗脳」を受け、「使命」という名の「宿命」を背負い、信念をもって行動する。

 それは劇中の台詞で何度も出ているように「悪者を殺すことで戦いをなくす」ことで、それによって「世直し」ができると信じている。そのために人を斬って斬って斬りまくる。が、本人に殺人マシーンの自覚はない。彼女の「世直し」が同時に「斬る」=「殺し」であって、結果、戦いを生み出していることに気付いていないのだ。

 若さゆえ、「戦い」を叩き込まれた生い立ちゆえ、斬ることでしか解決できない性。

 実は、原作にあるこれらのプロットが、映画ではほとんど生かされていない。前作「あずみ」ではそれが顕著で、北村龍平監督はアクションシーンをいかに斬新に見せるかにこだわっていた。その点では成功といえるが、やはりストーリーテリングは相変わらず弱かった。

 この続編は「平成ガメラシリーズ」で腕を上げた金子修介がメガホンを取り、全く違うアプローチの作品となった。北村作品のような「はったり」はない。特に目を見張るような演出もないし、原作の哀愁感も感じられない。にもかかわらず、平均点以上の無難な出来に仕上げている。

 それは彼がアイドル大好き監督であることが大きいように思う。上戸彩扮するあずみは、アクションシーンでしごかれた前作よりも魅力的。何気ないしぐさのカットを挿入することで、キャラ立ちさせる演出をしようとしているのがよく判る。そこに大林宣彦監督の撮影監督としてアイドル達を輝かせてきた阪本善尚のエッセンスが化学反応を起こし、前作にはなかった「女の子を魅力的に撮る」ことに成功しているのだと思う。

 だから上戸彩の眼光や表情はいいものの、アクションシーンに愛をあまり感じなかったのはそのせいかもしれない。金子監督はアクションよりも女の子が撮りたい(本当なら怪獣が撮りたいのだろうけれども)のだ。それは脇役でもいえることで、北村監督が撮った岡本綾よりも、金子監督の撮った栗山千明の方がキャラ立ちしている。

 だた、上戸彩の殺陣は確実に良くなっている。映画館で見終わったら、試しに前作と見比べてみるといい。「2」のほうが立ち振る舞い等が堂々としているのがよく判る。

 アクションは前作ほどの派手さはないものの、それなりに迫力もある。主要キャストがあっけなく死んでしまうのもいい。前作と同じキャストが出演し、「あずみ」つながりでTBS(製作)の安住アナも出演。エロティックな武装(変です、注目)をした高島礼子以下、今回も多くの大物俳優が出演して作品のクオリティ向上に貢献している(前作にも出演している遠藤憲一と坂口拓が、全く違う役でキャスティングされているのは妙)。

 ただ、クライマックスでの天海(神山繁)と真田昌幸(平幹二朗)のやり取りだけはグダグダで、一気に作品のスピード感を失速させている。これはいけない。

 前作でこんな台詞があった。

「強さは力じゃない、速さだ」

 映画もそうなんです。

 伝説のプロデューサー、山本又一朗は必ず「3」を製作すると宣言している。やってもらいましょう!今度は500人くらい斬るそうです。

「続編は資金力じゃない、速さだ」

 又さん、早く作って下さいね。


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この映画、10点満点なら貴方は何点と評価しますか?ご覧になった方は是非ご協力ください(^^) ※自分が観に出かけて・・・・・・ ← 後 悔  /  満 足→                    0点□□□□□□□□□□10点 ※友達が見るか迷っていたら・・・
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やっぱりあずみはつよかった ★★★
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この記事へのコメント
gantakurin@「シネまだん」です。
TBありがとうございました。
あずみがカワイく撮れてましたね。
ツッコミ入れられませんでしたもん。
Posted by gantakurin at 2005年03月22日 21:18
ウエッティは可愛かったし、あずみの哀しい雰囲気もイケてると思いました。
ただ、その他の、これでもかっていうぐらいくどい悪役(?)チームとの温度差が面白くなかったです。
日曜日の朝8時ぐらいにテレ朝で見るヒーローものの、成功もどきみたい。
Posted by chishi at 2005年03月24日 22:28
TBありがとうございます。
ちょっと辛口になってしまいました。
真田父があまりにも色ボケしていたもので…
3は北村一輝が親玉になるんでしょうか?
安住アナはもうでんでもいいような…
Posted by 健太郎 at 2005年03月27日 23:42
TBありがとうございました。

上戸彩はたしかによくなっていますね。
キャラは面白かったですけど、もったいないキャラもいましたね。
高島礼子はどうかなって感じです。(笑
Posted by naomi-0604 at 2005年10月07日 11:20
TB、コメントありがとうございました。
ご指摘のとおり、少し及び腰で書いてしまいました。

それはともかく、まつさんがこの記事を書かれた日付を見て、少し感慨にふけりました。ふふふ、ちょっと大袈裟かしら。
まつさんがこの記事を書いた3月は、わたし、インターネットデビューをしたばかりで、まだ、周りを見渡す余裕もなかった。
それを思うと、わたしも随分、進歩したなぁって。
だって、タグも知らなかったんですから。

あ、作品と全然、関係ないことを書いてしまって、ゴメンなさい。
まつさんの記事を読んで、なぜ、女優たちが輝いて見えたのか、判ったような気がしました。わたしも、まつさんのような記事を書いてみたいです。
Posted by mina at 2005年10月25日 00:43
はじめまして。
以前TBさせて頂いたときにも思ったのですが
minaさんのコメントに導かれて再読してみると
やはり着眼点のするどさに驚かされます。
頭文字Dの記事のときにも同じように感じました。
今後も素晴らしい記事で楽しませてください。
ではでは。
Posted by Yin Yan at 2005年10月30日 05:54
YinYanさま

コメントありがとうございます。
褒められて伸びる性格なので感謝いたします。あえて普通でない着眼点を持つような文章を書く天邪鬼者ですが、これからも御通読、ご来店よろしくお願いいたします。
Posted by まつさん at 2005年11月04日 02:56