2005年04月01日

ひとまず走れ!

0d8dab22.jpg第49回

★★☆(劇場)

 走る、逃げる、けど、いただく。

 本当に「降ってきた」大金をめぐって高校生、高利貸し、殺し屋、泥棒、刑事が追いつ追われつ、事実隠匿、逆転サヨナラの攻防戦を繰り広げるのだが・・・。

 最近日本で公開される韓国映画を見て思うのは、面白い映画が少なくなったということだ。

 理由は簡単、その公開基準が作品の完成度ではなく、出演俳優の人気度になっているからだ。

 かつては面白いから、と言う理由で公開されていた。例えば「シュリ」だとか「リベラ・メ」などは大作だけれどスター頼りではなかったし、「ペパーミント・キャンディ」や「チング〜友へ」なども作品の質が評価されていた。チョン・ジヒョンが「イルマーレ」に出ていたのも、「JSA」にイ・ビョンホンやイ・ヨンエが出ていたのも結果としてそうだっただけで、決してスターを前面に押し出した宣伝を展開していた訳ではなかった。

 しかし「冬のソナタ」での韓流ブーム以降、未公開だった過去作品まで次々と公開され、映画会社側がスターを作り出そうと、テレビドラマと連携した興行をしているのが目立つ。その多くは日本のアイドル映画まがいの作品で、劇場ではファンの女性達がキャッキャッ言いながら見ている姿をよく目にする。

 これは過去に香港映画に火がついた頃を思い出してしまう。

 本数が増えると、どうしても何でもありになってしまい、粗悪な作品も当然出てくる。そうすると、悪い作品が目立って悪評が広まり、「韓国映画はつまらない」と言われてしまう、いや、すでに言われつつある。飽和状態になるといずれ飽きられてしまうのは明白。ブーム以前から韓国びいきだった僕としては大変危惧するところなのだ。

 さて、この「ひとまず走れ!」もそんなアイドル映画的要素満載の作品で、意味もなくかっこつけるクォン・サンウとソン・スンホンのクローズアップにスローモーションたっぷり。女性ファンにはたまらないことでしょう。

 しかしそのせいでストーリーは停滞。四つ巴の現金争奪戦になるはずが、高校生による豪遊シーンが延々と続き、見ているほうはオレオレ詐欺で大金を掴んだ高校生達のニュースを思い出して、あまりいい気分にはならないのが難。

 しかし前半の展開を我慢さえすれば、ラスト30分はすこぶる面白い。「ひとまず走れ!」のタイトル通り、街中を走りまくるシーンは手に汗握ること間違いなし。特にチンピラ刑事を演じたイ・ボムスのターミネーターぶりは拍手喝采の大活躍。

 気になるのは、この映画でもそうなのだが、韓国の映画やドラマの登場人物たちは羽振りがいいこと。いい家に住み、高級外車を乗り回し、いい服を着て、いいものを食べる。美男美女がカップルになり、大恋愛を繰り広げる。これはまるで、かつて日本で量産されたトレンディドラマではないか。韓国に行くとわかるが、そんな生活をしている人は少ないし、特に地方へ行くとそれは顕著だ。

 派手な生活は映画的な豪華さがあるものの、リアリティに欠けがち。キレイ事が多くて人間同士の軋轢が恋愛ごとに終始してしまうきらいがある。つまり豪華さは現代劇において人間性を描く障害になっているのだ。

「殺人の記憶」や「子猫をお願い」、「悪い男」など近年の韓国映画の傑作が下町や地方ロケを行ったものに多いのは、豪華さに頼らないからではないか。そういう意味では、作品のレベルが高いように見えて、まだまだ日本の後追い感覚が否めない。この映画でも、終始トレンディドラマ的なお気楽感が漂っているのだ。

 しかし皮肉にも、劇中大金を持って海外逃亡を図ろうとしたソン・スンホンが、実生活での徴兵逃れが発覚し、現在兵役中という事実が、韓国社会の本当の厳しさを知る材料となっている。


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この記事へのコメント
TB・コメントありがとうございましたっ!!
するどいご意見に感心です。
たしかに、随分前の映画ですし、ブームに乗せて公開しちゃった?!
・・・みたいな感じはありますが。
イ・ボムスの熱演が見れたので良かったです。
Posted by たまご刑事 at 2005年04月03日 16:51
TBありがとうございました。
ご指摘されている、「羽振りのいい生活」には同感です。
登場人物の良い生活を見ていると、一昔前に日本で流行ったトレンディドラマの類を思い出します。
トレンディドラマ……昔から嫌いでした(笑)
Posted by ぢぃ at 2005年05月05日 04:57