2006年07月31日

まつさんの文化伝道師2006 7月号

今年ベストワンのアルバム!!第530回

 今回は月末恒例、「まつさんの文化伝道師」をお届けします。

【まつさんの文化伝道師 2006年7月号】

■まつさんのヘビーローテーション

★「耳鳴り」 チャットモンチー
 今年マイベストワン必至の推薦盤。単なるガールバンドでない多彩(=「多才」)さは、シングルではなくアルバムを通しての楽曲を聴けば自ずと理解できる。歌詞における内省性がヘビーなサウンドに反映されている点が、何とも末恐ろしい才能を感じさせる。


■CDアルバムこの5枚

★「ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER」 くるり
 ベストの中のベストな選曲で、過去のアルバムの購買意欲を欠くくらいのボリュームがある。それでいて初回盤に収録された未発表曲にファン心をくすぐらせ、ジャケット写真に「京都」への愛も感じさせる(「東京」でデビューしたことへの反動と捉えることが出来ないか?)のがいい。

★「Splurge」 PUFFY
 大したプロモーションも成されぬまま発売された、デビュー10周年を飾る久々のアルバム。ジョン・スペンサーの参加など、全米人気によって築いた新たな音楽関係が今後の大いなる展望を示唆しているといって過言ではない。

★「EVERY SINGLE DAY」 BONNIE PINK
 くるり同様、こちらも過去10年の音楽活動の総括的ベストアルバムで、最近ファンになった人達にとって過去のアルバムが必要ないくらいの充実ぶり。オリコン初登場2位という快挙(彼女にとって最高位)により、DVD付の初回盤は発売早々に売り切れた。

★「ジ・イレイザー」 トム・ヨーク
 レディオヘッドのフロントマンのソロアルバムだが、レディオヘッドのアルバムと遜色ない仕上がりになった所以は、もともとレディオヘッド向けに作った楽曲だったからという裏話。それでも電子音の少ない初期作品から程遠い作風ながら、個人的には好感が持てる。

★「cure jazz」 UA×菊地成孔
 曲者同士のコラボレーションが曲者のアルバムを作るのではなく、奇をてらうことなく意外とスタンダードな仕上がりになっているのがいい。このアルバムを聞けば、UAのヴォーカル力が個性的なだけでなく、本当に巧いことが再確認できる。


■CDシングルこの5枚

★「紅蓮の月」 柴田淳
 ビクターに移籍してからもメディア露出度が低いものの、タイアップの質は各段に向上している。本作は昼ドラ「美しい罠」の主題歌となっているだけでなく、カップリング曲「後ろ姿」の完成度も高く、ファンとしてこれからの展開が期待できる。

★「Magic Music」 木村カエラ
 天使に扮したカエラさんの姿がジャケットに選ばれているが、よく見ると彼女は便座の上にしゃがんでいる。天使の羽を「飛躍」と読むか、便座に座る天使を「反逆」と読むかで、彼女のこれからが占える気がする。

★「to U」 Bank Band
 再生紙を利用したジャケットにはこんなことが書かれている。「汚れたり、よれたりしても製品に問題ありません。触ってあげてください」と。この言葉に楽曲のメッセージとBank Bandの活動が集約されているように思える。オフコースのカバーとしてカップリングされている「生まれ来る子供たちのために」は必聴。ミスチル(桜井和寿)とリリイ・シュシュ(Salyu)のデュエットは奇跡的。

★「箒星」 Mr.Children
昨年の「四次元 Four Dimentions」から1年ぶりのシングルだが、上記「to U」や「ap bank fes06」など活動は精力的。桜井和寿の入院以来、マイペースな活動によって楽曲の温かみが増したと思うのは僕だけではあるまい。

★「Juice」 くるりとリップスライム
ひと夏限りの限定ユニットとして、レコード会社の垣根を越えたコラボレーションが実現。同日発売となったリップスライムとくるりの「ラヴぃ」の方がセールスは上だが、楽曲的にはこちらの完成度が高い。くるりのコーラスが入るサビは鳥肌が立つほど素晴らしい。


■書籍この1冊

 今月は傑作ぞろいにて、各3冊ずつ+1冊をご紹介。

(漫画)
★「虹ヶ原 ホログラフ」 浅野いにお
「素晴らしい世界」や「ひかりのまち」など、まつさん近年お薦めの漫画家、浅野いにお初の長編。子供たちの残酷な日常を描きつつも、そこには「希望」と「温かい」視点があり、「生きてゆくことの強さ」を静かに示唆している傑作。

★「DEATH NOTE 12巻(完)」 大場つぐみ・小畑健
 作品の人気が上がるとともに連載を長引かせる傾向にある出版界(漫画雑誌界)において、予定通り完結させた心意気は大いに買える。ただ、あのラストならもう少し続けてもよいのでは、と思った読者も少なくあるまい。

★「うつうつひでお日記」 吾妻ひでお
「失踪日記」で多くの賞を獲得した吾妻ひでおの最新作は、「失踪日記」執筆中のエピソードをエッセイ風にスケッチした続編的作品。「失踪日記」と比べるとお世辞にも傑作とは言えないが、何もないことを何もないと描く潔さと確信犯的な放棄は、かつての吾妻漫画のデタラメさに通じるものがある。

(小説)
★「灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパーク此廖\佚聴疥
 シリーズ最新作には、石田衣良が朝日新聞の企画で高校の授業に参加した時のアイディアが活かされた作品も収録。相変わらずひどい話が多いのだが、ラストは総じて感傷的にさせる心地よさが何よりもこのシリーズの魅力。面白くない訳がない。

★「日本沈没 第二部」 小松左京・谷甲州
 現在公開中の映画を見てから読むと混乱するので、映画ファンには薦められないが、原作を読んだ読者にとってはとてつもなく面白い「日本沈没」の続編。沈没後の「日本」ではなく「日本人」をフィクションとして描くことで、現在の世界情勢における「何か」を感じられるに違いない。ある種、良い「続編」のお手本のような作品。

★「うらなり」 小林信彦
 今年は夏目漱石の「坊ちゃん」が発表されて100年。宮藤官九郎脚本の傑作昼ドラ「吾輩は主婦」が「吾輩は猫である」の変化球であったのに対して、こちらも驚くべき趣向で書かれた「坊ちゃん」の「続編」とも「もうひとつの」とも捉えることが出来る異色作。これもまたある種、奇想天外な「続編」のお手本のような作品。

(ノンフィクション)
★「セックスと嘘とアダルトビデオ 村西とおるの七転八起人生」 丸茂ジュン
映画ファンにはお馴染みの映画題をもじったタイトルからも判るように、アダルトビデオの一時代を築いた村西とおるの波乱万丈一代記を「愛」を持って書かれたノンフィクション。黒木香と村西の関係がなんとなくフェリーニの「道」(1954)を想起させるのが面白い。


■注目の1品

収録時間の割りに値段が高いのが玉に瑕★「たかじんのそこまで言って委員会 SPECIAL EDITION 
「東京で放送されることになったら番組を辞める」と断言しているやしきたかじんの人気番組のDVD化作品だが、ネットでの限定販売だった本作が爆発的なセールスによって遂に一般発売された。日曜昼の放送にもかかわらず、関西では週間視聴率トップ10に入る人気ぶり。とにかくこの番組にはタブーがない。その分、聞いていて腹立たしいこともあるのだが、関西人ならこの番組を見ないとかなり損をする。本作は、放送を見ている人達には少し物足りないかも知れないが、番組の雰囲気を知るにはもってこいである。


と言うわけで今月も独断と偏見でお送りしました。来月もどうぞよろしく。



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この記事へのコメント
 ども、たましょくです♪

 木村カエラの「Magic Music」は、
たましょくもかなりヘビーローテーションで聴い
てます。サビもいいですが「未だ終わらない」の
フレーズがお気に入り♪それと最近、久々にアル
バムを購入したのが「少年カミカゼ」とゆーバンド。
かなりご機嫌なナンバーばかりが揃ってます。

 「DEATH NOTE」…やはり、あんな月は
見たくなかったってーのがありますが、リュークの
死神としての存在感は、ググッと魅力が引き出され
ていたかと。

 パソコン早く直るといいですね♪たましょくも、
今月末(8月)か来月の頭には、再開予定です。
Posted by たましょく at 2006年08月01日 21:52
「たかじんのそこまで言って委員会」は毎週見ています。
2度ほど公開も観に行ったことあるほど大好きです。
発売日にネットだけの販売とは知らずに何軒も店頭で探しました。
たかじんのコンサートも好きなんですがねぇ〜。
Posted by Babi Kaoru at 2006年08月05日 05:03