2008年02月25日

第80回アカデミー賞授賞式

第605回

ビバ!コーエン
 脚本組合のストでゴールデングローブ賞同様に開催が危ぶまれたアカデミー賞授賞式がL.Aコダックシアターで無事終了。昨年は諸事情によりお休みしましたが、毎年恒例の受賞結果とその模様を(個人的記録の意味も含め)いち早く詳しくご紹介。

【詳しさでは多分日本一早い?第80回アカデミー賞レポート】

■オープニング

 会場に向うバンが様々な映画キャラと遭遇するCGアニメで幕開け。
司会はジョン・スチュワート。初っ端から脚本組合ストをネタに笑いを取り、今年は何とも血なまぐさいノミネートが多いと作品と俳優陣を紹介、さらには大統領予備選もネタにジョン・スチュワートらしい(政治ネタ)トークで会場を沸かす。

■衣装デザイン賞:「エリザベス:ゴールデン・エイジ」アレクザンドラ・バーン
 ジェニファー・ガーナーがプレゼンター。アレクザンドラ・バーンにとって初の受賞。

 開催80回を記念し「オスカーアイコン」としてバーブラ・ストライザンドを紹介。

 ジョージ・クルーニーがプレゼンターで80年のアカデミー賞名場面を振り返る。

■長編アニメ賞:「レミーのおいしいレストラン」ブラッド・バード
 スティーブ・カレルとアン・ハザウェイがプレゼンター。受賞したブラッド・バード監督がスクールカウンセラーとの思い出が糧になったと語る。

■メイク・アップ賞:「エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜」ディディエ・ラヴァーン ジャン・アーチボルド
 キャサリン・ハイグルがプレゼンター。「エディット・ピアフ〜愛の賛歌」にとって驚きのオスカー1つ目。昨年の「もしも昨日が選べたら」に続き、日本人として辻一弘が今年も「マッド・ファット・ワイフ」で大御所リック・ベイカーと連名でノミネートされていたが惜しくも逃した。

 エイミー・アダムスが「魔法にかけられて」より歌曲賞ノミネート曲「Happy Working Song」を熱唱。

「オスカーアイコン」でマイケル・ダグラスとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ夫妻が登場。

■視覚効果賞:「ライラの冒険 黄金の羅針盤」マイケル・フィンク ビル・ウェスタンフォーファー ベン・モリス トレバー・ウッド
 ドゥウェイン・ジョンソンことザ・ロックがプレゼンター。「トランスフォーマー」と「パイレーツ・オブ・カリビアン」という大ヒット作を尻目に、作品の不評と惨めな興行成績を吹き飛ばす快挙。

■美術賞:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」ダンテ・フェレッティ(美術監督)フランチェスカ・ロ・シアヴォ(装飾)
 身重のケイト・ブランシェットがプレゼンター。アートディレクションとセットデコレーションと明確に分けて賞を与えている。

 助演男優賞80年の歴史を映像で紹介。

■助演男優賞:ハビエル・バルデム「ノーカントリー」
 昨年助演女優受賞のジェニファー・ハドソンがプレゼンター。予想通りの受賞、スピーチ後半は母国スペインに向けて母国語で語る。が、最後のチャンスかも知れないハル・ホルブルックのノミネートを忘れてはならない。

 映画の中の潜望鏡、または望遠鏡映像の特集、映画の中の悪夢映像の特集あり。

 ケリー・ラッセルがプレゼンターで「August Rush」より歌曲賞ノミネート曲「Raise it up」を紹介、若きジャミア・シーモーヌナッシュが熱唱。

■短編実写賞:「ザ・モザート・オブ・ピックポケッツ」フィリップ・ポレ=ヴィアール
 オーウェン・ウィルソンがプレゼンター。本作もフランス作品とあって外国作品、外国人(アメリカ人以外)の受賞が続く。

■短編アニメ賞:「Peter & Wolf」スージー・テンプルトン ヒュー・ウェルクマン
「ビー・ムービー」の主人公が映画の中の蜂映像を紹介しつつ、3DCGプレゼンター。

 助演女優賞80年の歴史を映像で紹介。

■助演女優賞:ティルダ・スウィントン「フィクサー」
 昨年助演男優賞のアラン・アーキンがプレゼンター。感激のあまり「Happy Birthday Men」とオスカー像に語りかけたのが印象深い。

 シドニー・ポワチエが「オスカーアイコン」として登場。

 ケイト・ブランシェットに続いて身重のジェシカ・アルバがプレゼンターとして先だって2月9日に発表された科学技術賞を紹介。日本からはデジタルドメイン社に勤める坂口亮が今回見事受賞している。

■脚色賞:「ノーカントリー」ジョエル&イーサン・コーエン兄弟
 ジェームズ・マカヴォイとジョシュ・ブローリンがプレゼンターで、過去の映画名セリフを連発。脚本組合スト後で脚本家ではなく監督が受賞する結果に、二人は多くを語らず。ともあれポール・トーマス・アンダーソンやサラ・ポーリーなどノミネート陣は本職外の人選だったのも事実。

 アカデミー協会会長のシド・ガニスが挨拶、協会と授賞式の仕組みを映像で紹介。

 マイリー・サイラスがプレゼンターとして「魔法にかけられて」から2曲目の歌曲賞ノミネート曲「Thats How She Knows」を紹介、クリスティン・チェノウスが熱唱。

 ここで妊娠したケイト・ブランシェット、ジェシカ・アルバに加え、ニコール・キッドマンも加えて「オスカーベイビー」とパロったコントを展開(受賞は未ノミネートのアンジェリーナ・ジョリー)。

■音響効果賞:「ボーン・アルティメイタム」カレン・ベイカー・ランダース パー・ホールバーグ
■録音賞:「ボーン・アルティメイタム」スコット・ミラン デビッド・パーカー カーク・フランシス
 ジュディ・デンチとハル・ベリーと思わせてジョナ・ヒルとセス・ローケンがプレゼンター。「ボーン・アルティメイタム」が意外と珍しい同時受賞!

 主演女優賞80年の歴史を映像で振り返る。

■主演女優賞:マリオン・コティヤール「エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜」
 昨年主演女優賞のフォレスト・ウィテカーがプレゼンター。マリオン・コティヤールはセザール賞に続く快挙だが、実は英語以外の台詞映画での主演女優賞は「ふたりの女」のソフィア・ローレン以来46年ぶり!「The Savages」でノミネートされていたローラ・リニーは意外とオスカー逃がし記録を更新中。

 CM明け、Wiiに興じるジョン・スチュワート、アメリカでのヒットぶりが伺える。

 コリン・ファレルがプレゼンターとして故郷繋がりである「ONCE ダブリンの街角で」より歌曲賞ノミネート曲「Falling Slowly」を紹介、グレン・ハザードとマルケタ・イルグロヴァが映画そのままに熱唱。

 ジャック・ニコルソンがプレゼンターとして作品賞79本を映像で振り返る。

■編集賞:「ボーン・アルティメイタム」クリストファー・ラウズ
 レニー・ゼルウィガーがプレゼンター。クリストファー・ラウズは親子2代での受賞。

 授賞式の音楽監督ビル・コンティを紹介。

■名誉賞:ロバート・ボイル
 ニコール・キッドマンがプレゼンター。98歳になる美術監督の大御所、ヒッチコックへの賛辞と恩を忘れず、後進を案じるスピーチが印象的。

■外国語映画賞:「ヒトラーの贋札」(オーストリア)ステファン・ルッオヴィッキー
 ペネロペ・クルスがプレゼンター。アンジェイ・ワイダやニキータ・ミハルコフなど巨匠揃いのノミネートの中「ヒトラーの贋札」が受賞。惜しくも浅野忠信主演作「モンゴル」は逃した。

 パトリック・デンプシーがプレゼンターとして出演作である「魔法にかけられて」より3曲目の歌曲賞ノミネート曲「So Close」を紹介、ジョン・マクラフリンが熱唱。

■歌曲賞:「ONCE ダブリンの街角で」より「Falling Slowly」グレン・ハザード マルケタ・イルグロヴァ
 ジョン・トラボルタが「So Close」のダンス陣からそのままプレゼンターとして登場。「ONCE ダブリンの街角で」のノミネート紹介での会場の大きな歓声が印象的で受賞は当然、この成功は映画同様の感動!マルケタ・イルグロヴァが時間制限でスピーチできなかったのが残念だったが・・・CM後、呼び戻されてスピーチ!多くの人のこの作品への愛と人気振りが伺える。

「オスカーアイコン」でスティーブン・スピルバーグが登場。

■撮影賞:「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」ロバート・エルスウィット
 キャメロン・ディアズがプレゼンター。ロバート・エルスウィットは初の受賞だが、2作品でノミネートされていたロジャー・ディーキンズは票が割れたと思われ惜しまれる(特に「ジェシー・ジェームズの暗殺」が素晴らしい!)がスピルバーグと関係しない作品でのノミネートとなった「潜水服は蝶の夢を見る」のヤヌス・カミンスキーも忘れてはならない。

 ヒラリー・スワンクがプレゼンターとしてこの1年で亡くなった映画人への追悼映像、ヒース・レジャーが映像の最後を飾る。

■作曲賞:「つぐない」ダリオ・マリアネッリ
 エイミー・アダムスがプレゼンター。

■短編ドキュメンタリー賞:「Freeheld」シンシア・ウェイド バネッサ・ロス
■長編ドキュメンタリー賞:「『闇』へ」アレックス・ギブニー エヴァ・オーナー
 トム・ハンクスがプレゼンター、短編賞はバクダットにいるアメリカ兵がノミネートを紹介という趣向。結局「『闇』へ」は論議を呼んだポスター画像が放送で採用されず、マイケル・ムーアの「シッコ」は逃した。

「オスカーアイコン」としてエルトン・ジョンが登場。

■脚本賞:「JUNO/ジュノ」ディアブロ・コディ
ハリソン・フォードがプレゼンター。新しき才能としてディアブロ・コディは注目すべき逸材、感極まって立ち去る姿が印象的な上、右腕のタトゥーが強烈だった。

 主演男優賞80年の歴史を映像で振り返る。

■主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
 昨年主演女優賞のヘレン・ミレンがプレゼンター。最近はアルバイト俳優と化しているダニエル・デイ=ルイスは2度目の主演男優賞で、間違いなく歴史的名優の仲間入り。ジョニー・デップに期待したファンも多いと思うが、彼はもっと他の演技で獲るべきで、再度ノミネートは確実にて無問題。

 ジャック・レモンとウォルター・マッソーの名コンビ映像を冒頭に監督賞80年の歴史を映像で振り返る。

■監督賞:ジョエル&イーサン・コーエン兄弟「ノーカントリー」
 昨年の監督賞マーティン・スコセッシがプレゼンター。

■作品賞:「ノーカントリー」
 デンゼル・ワシントンがプレゼンター。コーエン兄弟は兄弟監督での初受賞。今回のアカデミー賞は「ノーカントリー」が主要部門を制した形となり、本当の主役といえる。


 記:2008年2月25日(月)13:47

※後日当記事に総評を追記いたします故、ご了承あそばせ。


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肝心の作品賞は予想外したけど、監督と演技部門とオリジナル脚本は当てたぞ。全24部門中14部門で予想的中。ほとんど観てないのに
第80回アカデミー賞・・・の結果【自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ】at 2008年03月04日 23:58