戦国時代をテーマにした本や雑誌、ゲームなどが最近、数多く出版され、「戦国ブーム」は今なお続いている。
戦国武将の人気投票なども行われ、毎年、1-2位を争っているのが、真田幸村(本名・真田信繁)だ。
今年の大河ドラマ「真田丸」でも描かれ、幸村人気は不動のようだ。

大阪冬の陣・夏の陣の活躍はめざましく、敗軍の将でありながら、圧倒的少数でありながら
「日本一の兵(つわもの)と言われ、徳川家康の首を取るまであと一歩のところで逃がすほど
の戦いをしたことが後世の語り草となっているようだ。自分も心魅かれる武将の一人だが、
真田幸村への思いの根底にあるものは、彼が関ヶ原の戦いに西軍に属したことから、敗者
として幽閉され、人生の20-40代の15年間という重要な期間を不遇に過ごしてきたという
ことだ。仕事の活躍も場もなく、経済的にも困窮を極めると、精神的にもダメージを受け、
どんなに良い素質も持った人もくさるのが世の常。いつかチャンスの到来する機もあると、
不遇時にも研鑽を深めることは、なかなかできることではない。山の中に幽閉されつつも、
モチベーションを持ち続け努力を重ねたからこそ、大活躍の場があったのだと思う。

どう生きるか、どう死ぬのか、ぎりぎりのところで考え、行動したことが、400年を超えた
現代にも、ストレートに伝わってくるからこそ、「戦国時代」は魅力的なのかもしれいない。
どんな立場の人たちにも、日々努力と研鑽を重ねれば、必ず「活躍」の場は来ると信じている。

先日、大磯町在住の79歳のお客様Iさんからお手紙(封書)をいただいた。
当社で数十年前に工事をしていただいたお客様で、当社のことを覚えていていただいて、お住まいの老朽化がさらに進んだことで、雨漏れが止まらないため、ぜひ相談に乗ってもらいたいとの内容だった。お電話やメールでのお問い合わせがほどんどすべての現代に、封書の手紙でご相談を受けることは稀有に等しい。
早速、大磯町のIさん宅を訪問させていただいた。Iさんのお宅は、増築に増築を重ねているため、屋根の接合部に隙間と割れが出来てしまい、そこから雨漏れがしている模様。居室にも被害が出ていて、廊下や天井、押し入れも水をかぶって
床もぶかぶかな状態。Iさん(おばあちゃん)は「もう老人ホームに行って暮してもいいのだけど、できるならこの家で最期を迎えたい」と自分の思いを語ってくれた。
お話好きのようで、30年前にご主人を亡くし、女で一人で2人の子どもを育てたこと、故郷秋田から駆け落ちのようにご主人と神奈川県に出てきたこと、2人のお子さんのことなどを、とつとつと話してくれた。リフォーム工事のことより多くの時間を
費やして自分の半生を語ってくれた。別れ際には、「お酒好きなんでしょう」と日本酒を手土産にいただいた。そして先月から雨漏れ補修と屋根葺き替え工事が始まっていた。

突然、Iさんのお宅で工事をしていた職人から電話があった。どうも家の様子がおかしいとの連絡だった。本当に悲しい知らせだったが、工事中に急に体調を壊して
入院していたおばあちゃんが急死したとのこと。今までとてもお元気だったのであまりの衝撃に愕然としてしまった。当然、工事は中断し、ご遺族のご意向に従うつもりだったが、息子さんのご意見では「この工事の完成を母はとても楽しみにしていた。遺志を引き継いで工事を進めてほしい」とのことだった。確かにおばあちゃんは、亡きご主人を苦労を重ねながら、増築を繰り返し、少しづつ家を大きくしていった大磯の家に住み続けることを切に願っていた。現在、供養だと思って、完成を急いでいる。業者の立場で僭越かとも思ったが、生花を送り、告別式にも参列させていただいた。雨漏れの心配のない家に、おばあちゃんの魂が戻ってくることを
祈りながら、リフォームの最終局面を迎えている。おばあいちゃんの慰霊でもう一度、手を合せたい。

 当社の近くには、横浜中華街があり、本来が食いしん坊の私はひまを見つけては、社員や職人たちと食べに行くのが楽しみになっている。徒歩圏内であるのがうれしく、いつもついつい食べ過ぎてしまう。先日、「中華懐石」という珍しい看板を見つけ、値段も手頃であったので、店内に入ることにした。
 
 この際、「懐石料理」の語源についての解説がテーブルに書いてあったので、ぜひ紹介したくなった。

 懐石料理は、日本では、もとは茶の湯の席で濃い茶を楽しむために、空腹を満たすよう供される軽食だった。濃い茶の刺激を和らげるためのもので、千利休が活躍した16世紀後半に誕生したという。

 だが、中国では、「修行中の禅僧が空腹と寒さをしのぐため、温めた石を懐に抱いた」といわれ、その禅寺に客人が訪ねてくると、何ももてなす食事もないときは、禅僧が抱いて温めていた石を客人に渡して、寒さと飢えをしのいでもらったいう。こうした人間の奥深いもてなしの心が「懐石料理」の語源だ。

 
 懐石料理は、「吸い物」に向付、煮物、焼き物の「一汁三菜」が基本。さらに客をもてなしたいとの気持ちから「強肴(しいざかな)」や、酒のさかなとして「八寸」が並べられる。
 茶事の一環だったので、亭主がすべてを取り仕切り、客の好みや体調まで考えて出していました。もともとは不特定多数のお客に出す料理ではなかったのですが、心を尽す姿勢に人を感動させるものがあったためか、いつしか料理屋で供されるようになったとのこと。

 お客様に「心を尽くす」ことは、どんな商売でも基本は同じ。建築工事やリフォーム工事で、どのように心を尽くすことができるかは、まさに永遠のテーマ。中華懐石をおいしくいただきながら、今、仕事をいただいているお客様にどのように心を尽くすか、改めて考えさせれた。

↑このページのトップヘ