当社の近くには、横浜中華街があり、本来が食いしん坊の私はひまを見つけては、社員や職人たちと食べに行くのが楽しみになっている。徒歩圏内であるのがうれしく、いつもついつい食べ過ぎてしまう。先日、「中華懐石」という珍しい看板を見つけ、値段も手頃であったので、店内に入ることにした。
 
 この際、「懐石料理」の語源についての解説がテーブルに書いてあったので、ぜひ紹介したくなった。

 懐石料理は、日本では、もとは茶の湯の席で濃い茶を楽しむために、空腹を満たすよう供される軽食だった。濃い茶の刺激を和らげるためのもので、千利休が活躍した16世紀後半に誕生したという。

 だが、中国では、「修行中の禅僧が空腹と寒さをしのぐため、温めた石を懐に抱いた」といわれ、その禅寺に客人が訪ねてくると、何ももてなす食事もないときは、禅僧が抱いて温めていた石を客人に渡して、寒さと飢えをしのいでもらったいう。こうした人間の奥深いもてなしの心が「懐石料理」の語源だ。

 
 懐石料理は、「吸い物」に向付、煮物、焼き物の「一汁三菜」が基本。さらに客をもてなしたいとの気持ちから「強肴(しいざかな)」や、酒のさかなとして「八寸」が並べられる。
 茶事の一環だったので、亭主がすべてを取り仕切り、客の好みや体調まで考えて出していました。もともとは不特定多数のお客に出す料理ではなかったのですが、心を尽す姿勢に人を感動させるものがあったためか、いつしか料理屋で供されるようになったとのこと。

 お客様に「心を尽くす」ことは、どんな商売でも基本は同じ。建築工事やリフォーム工事で、どのように心を尽くすことができるかは、まさに永遠のテーマ。中華懐石をおいしくいただきながら、今、仕事をいただいているお客様にどのように心を尽くすか、改めて考えさせれた。