ウルトラ・ダラー
昔から、藤原伊織とかの全共闘系ミステリを雑誌に喩えると「アサヒ芸能」がしっくりくるなーなんてくだらないことを思ってたんだけど、この「ウルトラダラー」は、喩えるなら「Goethe」って感じ。
「24時間仕事バカ」「ブランド物大好き」みたいな。
面白いことは面白い。掛け値無しに。
2日(実質5時間)で一気に読みきった。
作者は言わずと知れた米同時多発テロ時のNHKワシントン支局長テッシー。
事件当日から11日間連続連夜のレポートを送り続け、次第に憔悴していく姿に、ファンサイトまで出来たことは記憶に新しい。
ストーリーは、北朝鮮が日本人の職人を拉致しまくって、偽札をすりまくって、とんでもない買い物をしようとするのを、イギリスのイケメンスパイが阻止しようと八面六臂の活躍をするというもの。
記者としての知見をありったけそそぎこんで、非常にリアルで緊張感のある描写になっているし、構成や展開も処女作には思えないくらいこなれていて、一気読みさせられる。
また、「これを小説だと言っているのは著者だけだ!」なんて売り文句がオビについてたけど、拉致問題の核心にふれるような描写もあって、「そうか田中均は売国奴なのかー」と妄想する楽しみもあってサービス満点。
ただ小説としての完成度はもうちょいって気がする。
会話文が混乱してて、誰の発言なのかよくわからなくなったりすることがあったし、完成度の低いセンテンスが散見されたし、表現や比喩がNHK的だったりするんだけど、なにより登場人物が似たようなタイプばかりで面白みにかける。
なんかね、出てくる人がみんな「Goethe」や「ブルータス」を愛読してそうな、小金持ちのビジネスセレブばっかりで、薄っぺらいんだよね。全員漫画の主人公みたいなスーパーマン。
浮世絵だ邦楽だ料理だ和服だ競馬だ外車だとかっていうガジェットもあまりにペダンティックでうざい。
逆に品が無いよ。
まぁ、小説だってことにしないと出版できないような内容だから無理に小説にしたのかもしれないし、本人も小説家になるつもりは無いのかもしれないから、小説としての完成度を云々しても仕方ないのかも。
とりあえず、読んでて「てっしーが楽しそうな人生を送ってること」はつたわってきた。
それは素直にうらやましい。
そして、ちょっと調べたら、てっしーがNHKを辞めた背景には海老沢会長をめぐる政争に敗れたなんてこともあるみたいで、同様に政争に敗れた同局職員が係累にいるこりらっくまとしては遠い目をせざるえないのであった。
昔から、藤原伊織とかの全共闘系ミステリを雑誌に喩えると「アサヒ芸能」がしっくりくるなーなんてくだらないことを思ってたんだけど、この「ウルトラダラー」は、喩えるなら「Goethe」って感じ。
「24時間仕事バカ」「ブランド物大好き」みたいな。
面白いことは面白い。掛け値無しに。
2日(実質5時間)で一気に読みきった。
作者は言わずと知れた米同時多発テロ時のNHKワシントン支局長テッシー。
事件当日から11日間連続連夜のレポートを送り続け、次第に憔悴していく姿に、ファンサイトまで出来たことは記憶に新しい。
ストーリーは、北朝鮮が日本人の職人を拉致しまくって、偽札をすりまくって、とんでもない買い物をしようとするのを、イギリスのイケメンスパイが阻止しようと八面六臂の活躍をするというもの。
記者としての知見をありったけそそぎこんで、非常にリアルで緊張感のある描写になっているし、構成や展開も処女作には思えないくらいこなれていて、一気読みさせられる。
また、「これを小説だと言っているのは著者だけだ!」なんて売り文句がオビについてたけど、拉致問題の核心にふれるような描写もあって、「そうか田中均は売国奴なのかー」と妄想する楽しみもあってサービス満点。
ただ小説としての完成度はもうちょいって気がする。
会話文が混乱してて、誰の発言なのかよくわからなくなったりすることがあったし、完成度の低いセンテンスが散見されたし、表現や比喩がNHK的だったりするんだけど、なにより登場人物が似たようなタイプばかりで面白みにかける。
なんかね、出てくる人がみんな「Goethe」や「ブルータス」を愛読してそうな、小金持ちのビジネスセレブばっかりで、薄っぺらいんだよね。全員漫画の主人公みたいなスーパーマン。
浮世絵だ邦楽だ料理だ和服だ競馬だ外車だとかっていうガジェットもあまりにペダンティックでうざい。
逆に品が無いよ。
まぁ、小説だってことにしないと出版できないような内容だから無理に小説にしたのかもしれないし、本人も小説家になるつもりは無いのかもしれないから、小説としての完成度を云々しても仕方ないのかも。
とりあえず、読んでて「てっしーが楽しそうな人生を送ってること」はつたわってきた。
それは素直にうらやましい。
そして、ちょっと調べたら、てっしーがNHKを辞めた背景には海老沢会長をめぐる政争に敗れたなんてこともあるみたいで、同様に政争に敗れた同局職員が係累にいるこりらっくまとしては遠い目をせざるえないのであった。