白百合姉妹

まぁ、ごゆるりと(完全ネタバレのサッカー・映画・読書ブログ)

2010年04月

雑草と云う名の植物はない。

d6b692aa.jpg昭和天皇の御言葉なり。

「男たちの挽歌」

男たちの挽歌<デジタル・リマスター版> [DVD]
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面白かった。

その時代、その年齢でのその監督でしか作りえなかった作品というものがあるとしたら、「男たちの挽歌」はまさにそれだと思う。

「男たちの挽歌」は、1980年の香港で、40歳になろうかというジョン・ウーが不遇を囲っていたその時だからこそ生まれた作品じゃないかな。

なんつーか。濃い。特濃。つゆだくってかんじ。
つゆの中にご飯と牛肉がうかんでいるくらいつゆだく。

ハリウッドに渡って、ハリウッドメソッドに染まる前のジョン・ウーの原液を堪能できる。
無駄に派手な爆発、2丁拳銃、スローモーションを多用した銃撃戦、はさみこまれる脱力系のユーモア・・・「作家は処女作に向かって完成する」というが、処女作ではないけど、ウー節の聖典、香港ノワール映画の旧約聖書といった趣すらある。

いい年した男ふたりがじゃれあって、兄弟ももう近親相姦寸前の情愛をたたきつけあう。
「男同士の誇りと絆の前には命なんてなんの価値もない」ってかんぢの男戦呼ぶりがなんともいえない。

「おまえのためなら死ねる」って言葉は陳腐だけど、香港ノワールでこれをやるとかくも美しい。

この路線をとことんまで突き詰め、洗練されたかたちで極北に辿りついたのが「エグザイル/絆」といえるのかもしれない。
そうした香港ノワールの伝統の全ての要素はすでにジョン・ウーが用意していたことがよくわかる作品。

こんなの今作れないし、つくっても嘘やパロディにしかならない。
硝煙と不遇の監督の血と汗の匂いがパッキングされた稀有な作品。
必見。

【アビスパ福岡】海鳴り

春の椿事では終わらせてほしくないなぁ。
つーか、頼むから勝ってくれ。もたん。

冒頭からかなり積極的。
前2節で課題になっていた前線とDFが間延びしているだとか、選手間の距離が遠すぎてパスがつながらないとか、判断やプレーのスピードが遅いってのは少しは解消されていた。

今年のいいときのアビスパに戻ってきた感じ。
縦に細かいパスを交換して、相手の陣形が崩れたところでスペースに放り込んでチャンスを作るとかって形ができていた。

ただ、やっぱりサイドバックがあまり機能していないのが気にはなった。とりわけ山形の方ね。
あと、ミドルシュートが少ない。
クサビもあまりおさまらなかったし。

そうはいっても前半から攻めっぱなし。
シュート数も圧倒していた。

けどね、もうしょぼいくらい決まらない。
圧巻は、ジャンボのスルーパスに永里が抜け出してGKをかわして無人のゴールへ・・・
ってシーンがあったのに、枠に入らない。

今日はこんなんばっかりだった。

で、結局、相手のフリーキックがゴール前に入ってきて、ろくたんがパンチングしようとするも届かなくて、相手のヘッドが無人のゴールに決まって先制点献上。

げんなり。

交代選手も入ってきて反撃するも、退場して10人になった水戸を攻めきれず。
逆にサザビーが退場になり福岡も10人に。

ちょっと審判はナーバス過ぎたね。

あまり悲観的になる必要もないけど、残り時間が少なくなってからの闘いぶりはちょっと稚拙だった。
もう一工夫しないと。
今の福岡の攻撃は何人かのキープレイヤーを抑えればだいたいそれで済んでしまう。
みんな足元でパス受けたがるし、後半運動量おちて、棒立ちじゃ点なんか入らない。

何よりこれだけ決定的なシーンではずし続けていたら勝てる試合も勝てない。
集中力の問題というか、ゴール前の落ち着きの問題のような気もするなぁ。

失点シーンも集中が足りないよ。



都市高速から見える海が懐かしい。
福岡いきたいなぁ。

出張で天神まではよくいくんだけどさ。

家族3人でこの価格

2830c234.jpg日本始まったな。

「ソラニン」

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先日、なんか「にえにえ」になっていて、映画でも見て気分転換しないとやばい感じでございました。
で、勤務先そばのシネコンに行くことにした。普通に考えたら「ハートロッカー」だろうなぁという感じのラインナップだったけど、そういう気分のときに重たい戦争映画見てさらに悪いほうにスイッチが入ってもなんなので、「はずれ臭」がプンプンしてたけど「ソラニン」を見た。

予想外れました。
いや、よかったね。
ひとり泣いたね。

多くの「青春映画」がそうであるように、「ソラニン」もまた「成熟」の物語である。
登場人物たちが、「青春の<あるある系>イベント」をこなす中で、モラトリアムと決別し、ぼんやりとした不安の中で日常を生きていく覚悟を決めるまでが書かれる。

冒頭の宮崎あおい扮する主人公が「日常に倦んでいる様子」の演出があまりに陳腐だったので、さっそく「ハズレ」かと思ったけど、あとは安心してみていられた。
ネットでの批評を見ると「登場人物たちの青臭さ」が我慢ならないとか、共感できないっていう手厳しい意見が多いけど、ああいう「未熟さ」って誰もが通る道だと思う。

「夢と現実の折り合いがつかない」とか、「平凡な日常への嫌悪・恐怖」とか、若いころ誰しも経験することだと思う。
そこから、どういう成熟への道をだどって、どういう結論を見出すかというのが、「青春映画」の評価を決める。

「ソラニン」では、<主人公の恋人の死>という「痛み」を契機にして、それぞれの登場人物が「生きている意味は、生きている日々だ」とでもいうような成熟の回答を見つけ出す。
それはそれでとても正しいと思うし、家族でも、性愛でも、自己啓発的な自己実現人生みたいな回路ではなく、バンドという中間共同体をして、侵食してくる不安と共存していくというのもとても現代的な回答だと思う。

ただ、そこにたどりつくのに、<主人公の恋人の死>を必要としたのはちょっと安易だ。
人はそんなに簡単に死なないし、死んじゃいけない。
「それでも日常を生きていく」というのは<主人公の恋人>こそが体現しないといけないポジションにいたのに、それを全部宮崎あおいにおしつけたのはいただけない。

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そうでもしないと話がもりあがらないっていうのはわかるんだけどさ。
あの死があってこそ最後のライブのシーンは感動的だったわけだし。

ほんと、死ぬほどさらったであろう宮崎あおいのギターと唄は胸を打った。下手くそとかいってるやつはわかっていない。なにかに打ち込んだことのないかわいそうな人でつね。

めちゃくちゃ普段着で汗だくになって熱唱するあおい。
マニアにはたまらない。
あおいかわいいよあおい。

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流れて、溶けてゆく。

0978e54c.jpg美しゅうございました。

あたし女優よ!

6d90fd2f.jpgというておられます。

「クォンタム・ファミリーズ」 東 浩紀

クォンタム・ファミリーズ
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もういろんな人がいろんなことをいいつくしていて、もういまさらぼくが底の浅い読書感想文を書いたってしょうがない。
だからポエムを書きます。

小説としてフツーに、そして本当に面白いし、ゼロ年代を総括して、向こう10年の批評を照射する、まさに「思想地図第四号」のノベライズみたいな作品。
こめられたエッセンスはまさに東の子どものようなもんなんじゃないだろうか。
東の批評家としてのキャリア全てが物語にこめられている。

大きなテーマは「村上春樹の35歳問題と、仮定法の亡霊」

35歳ってのが、澱のようにたまってきたものの中で身動きがとれなくなり、仮定法の亡霊に殺されるような年齢だってのはわかんなくもない。
そんななかで主人公の最後の慟哭は胸を打つ。
「結局、いまの人生は、いくつもの『こうであったかもしれないほかの人生』の犠牲の上にたっているのだ(うろ覚え)」

「そんなの当たり前じゃん」って言う人もいるんだろうけど、そういえるまでに迂回しないといけなくなるのが35歳を超えたにんげんのしんどさだと思う。

無数の選択可能性と、再選択の不可能性という矛盾の中、空虚な「別の人生への追慕」を振り切り、今の自分を肯定することのなんとむつかしいことか。


でも、「こうであったかもしれないほかの人生」を抱えながら、今の人生を全肯定するしかないし、そうできたとき、どんな平凡で、つまらなくても日常は輝きだす。

きっかけは何かの事件かもしれないし、ただの加齢による諦念かもしれない。いや一生「仮定法の亡霊」にとらわれたままの人もいるかもしれない。

すくなくともわたしは35歳にして幸いにその感覚をつかむことができた。
そりゃいろいろ不満もあるけど、おおむねこの人生をいとしいと思うことができている。

もちろん、中学一年の春の楽器選択をオーボエにしてたらとか、ワグネルのオーディションに受かっていたらとか、就職が希望職種だったらと思うこともあるけど・・・(注)

で、なに?
その人生楽しい?
・・・って思えるようになった。

なにより、仕事と自分の関係もとらえなすことができて、仕事に対して迷わなくなったは大きかった。


きっかけは緑色した鍵でございました。えへ。



(注)
・もともとオーボエ志望だった。枠が埋まってて第二希望のフルートになった。オーボエ吹いてたら、ワグネルには入れてた。
・ワグネルに入ってたら、あのばよりんの娘とそのまま付き合って、4年生の時にはムジークフェラインで幻想のピッコロを吹いていたことでしょう。
・マスコミ志望でした。

「やさしくわかる楽典」 青島 広志

やさしくわかる楽典
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面白かったです。
むかしね、N響のオーボエ奏者、茂木大輔がどっかで「音楽史、形式、和声、作曲家の生涯、世界史的背景などの知識を持つことなく、調性も和声も主題も展開も判別できる観賞能力を鍛えることなく、ただただ音楽をたくさん聞いたり演奏家の出身国を暗記したり演奏したり楽器の指使いを覚えるだけで、音楽がわかった、とは、とうてい言えない」といってたのを見ていつか楽典勉強したいなと思ってたですよ。

「おまい楽典も勉強せずにいままで音楽やってたのか」というつっこみはなしにしてほしいのですが、はいしてませんでした。

ほんで、最近思うところあって、本書をアマゾンで注文したです。
評判よかったんで。
ちょうわかりやすかったです。

ほんと、基礎の基礎からそこまでしなくてもというくらいわかりやすく解説されているし、間にはさまれるコラムも非常に興味深いものばかりであっちゅーまによめまんた。
基本的にわたしは計数能力に根本的な欠如があって、やっぱ音程とか和声のあたりの理解については読み終わった今も心もとないのですが、それでもなんとなくはわかったし、今後音楽を聴いたり、演奏したりする上で、こうした音楽の要素知識と、曲の基本構造について体系だった勉強ができたのはとてもよかったと思います。

やっぱり、ほら「ここの和音は協和音にいこうとする性質があるのに、あえていかずにそのまま続くところがポイントだよね」とかいえたらかっこいいじゃん。
え、かっこいくない。基本?すいません。

でも、読み終わった今もぜんぜんわかってないので、いえないのでふ。

あと、いま読んでいるユリイカの最新刊「現代ピアニスト列伝」も強烈に面白い。
わたしは、あまり音楽雑誌とか読まないし、アーチストのインタビューとかみないんだけどピアニストってこんなこと考えてるんだっつーのがわかってえらい面白かった。
アリス・沙良・オットかわいいよ。アリス。
その他のピアニストに関する記述も極めて面白いし、その他の評論も興味ぶかいのがたくさん。
まだ全部読んでないけど、こういうのもっとよんどきゃよかったとほんと思った。

アルゲリッチがソロをやんなくなったのは、寂しがり屋だからってのにぐっときた。
舞台の上の孤独に耐えられないって・・・

ピアノって、楽器の中でもっとも表現力が豊かであるが故に、他の楽器を要せず音楽をつくることができるので、ピアニストって圧倒的な孤独の中で戦ってるのかなとか思った。

【アビスパ福岡】俺はサッカーしか知らないから−三浦和良

あー酔ってるんで適当です。
なんつーかね、わたしが不幸なときは爆勝すべきなんですよ。
なのになに?
この微妙な結果は。

つーか、なんかあったんですか?
今日めちゃくちゃテンション高かったね。うまくいってるの?
よかったね。

今シーズン勝利のないヴェルディ。
しかも相手の監督はJリーグ最低監督、川勝おとこ塾。
叩きのめせよ・・・ってかんぢですが、苦戦。

サイド攻撃もはまらないし、中央のポストプレイもぱっとしない。
芝も悪くて、いつもの小気味よいパスサッカーも発揮できず。
前半、一度だけ左サイドをきわめて美しく崩してクロスを上げるというシーンがあったけど、実を結ばす。

今日は、山形や中島がうまく攻撃にからむシーンがなく、ボランチからの展開も薄くて、前線だけで攻撃してるように感じた。
んでもって、各個に撃破されてますってかんぢ。

どうにもいやな予感ただよう後半。
あげすぎたDFラインの裏を一発でとおされて、GKと1対1のシーンをつくられ、イケメン河野に流し込まれて先制される。

今シーズンは、こういうつまんないピンチ、失点が多い。

反撃するも、どうにも手詰まり。
ユースケも永里も今日はぱっとしない。

で、篠田が動く。
淳と岡本を入れて、これが見事にあたる。

泰がためて、サイドの淳にはたくと、淳が見事なクロス。
岡本がマークをはずしてこれまた綺麗なヘッドで流し込んで同点。

交代選手のモチベーションが試合を動かしたかんぢ。
スタメンのみなさん、うかうかしてられないよ!!

うまくいかないなりに、アウェイで勝ち点1をもぎ取ったのは成果だけど、J1に行こうと思ったら圧倒的に勝っていかないとダメなのよ。



おねがい。終わりが見えてきたので、勝ってよ。
せめて勝って、わたしを強くして。
君たちの勝利が、何万というサポーターの明日の活力になるんだよ。
僕たちは君たちの勝利を祈るから。
心の底から
ずっとずっと。










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maun

笛吹きおやぢです。ついったアカウントは@mau_flute

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