この小説は
コミックマーケット84 月曜日(3日目) 東地区“オ”ブロック-35bにて
販売される「鈍場本」に収録される小説の前半部分になります。続きはコミケで
【告知】今年の夏コミで薄い本出します!「三日目東オ-35b」本の内容紹介!
「二次元に行く方法見つけたったったwwwww」
小学生の頃から俺は病的なまでに二次元の世界に取り付かれていた。家に帰れば一人で「おジャ魔女どれみ」や「セーラームーン」を延々と見続け、過ごしてきた。その結果、俺は二次元の世界は当然そこにあるものだと思い込むようになっていた。中学生になったあたりから、友達と会話が噛み合わなくなることがあり、結果俺は変な子扱いされて、友だちも減っていった。その頃から徐々にまともになっていったと思う。もちろん、大学生になった今となっては現実と二次元の区別がつくようにはなった。でも過去の影響か、やはり二次元の憧れは捨てきれずにいた。
その結果、今一人で便所飯ってるのが俺、小鳥遊 菊臣。読みは「たかなし きくおみ」なんだけど、この苗字は最近のアニメの影響で特に説明する必要もなくなりつつある、本当になんなの最近の小鳥遊ブームは・・・。俺の小学生の頃の自己紹介の苦労を返してほしい。まあ最近になっては、自己紹介をする機会も少なくなった。まさか自分から紹介しないと友達ができなくなるなんて思いもしなかったからな。
普段もこうしてトイレでスマホでアニメ見たり2chを覗いたりしてひたすら時間がすぎるのを待っている。もはや現実から孤立しているかのようなこの個室空間はある意味二次元にもっとも近い場所だと言っても過言ではない。とか考えながらいつもこのトイレに入るのが好きだ。うんマジで。
その日はいつもと何も変わらず、なんとなく2chを見ていた。クソみたいなスレタイが並ぶVIP板をぼーっと眺めてて、たまに面白いスレがあると笑いをこらえてニヤニヤしていた。だがその中に俺の目を止まらせる異様なスレがあった。スレのタイトルは「二次元に行く方法見つけたったったwwwww」よくあるくだらないスレだが、俺にはそういうのに過敏に反応してしまう体質だ。開いてみると1には怪しすぎるURLと「お前らの高校の屋上でここにアクセスしてみろwwww」とどう見てもスパムか釣りかのくだらないスレだ。だが異様なのは、そのスレに一つもレスがつかなかったこと。気になった俺は誰かが人柱になるのを待ってROMっていたのだが、結局誰もレスすること無く、そのスレは落ちてしまった。普通この手のスレなら、ちょっとぐらいはレスがつくはずだ・・・。しかし誰もレスをしなかった。俺はそれが気になって気になって仕方がなかった。俺はビビりながら、そのURLを開いてみたのだが、出てきたのは404だった。
俺も少しどうにかしている。そんなので二次元に行けるはずがない。しかし可能性があるのならば試してみたくなる。それが俺の体質だ。固執するあまり、そういう幻想だって抱きたくなる。つまりは今、俺は母校である高校の屋上に来ている。俺はそのスレを開いたまま、スマホを片手に、昼間っから高校に忍び込んだ。見つかれば異様なのが一目でわかるが、意外と生徒たちはあまり気にしない。ていうか誰も覚えていない。俺一応先輩なんすけど。結果あっさり屋上までたどり着いた。ここの高校の屋上は閉鎖されていて、普段誰も入らない。ていうかめちゃくちゃ汚いから入ろうとしない。それを無理やりこじ開けて屋上に出た。うーん、空は綺麗なのだが、如何せん屋上が汚すぎて微妙な気分だ。それはどうでもいい、わざわざここまでの苦労をしたのだ、早く目的を果たすとしよう。俺は、スマホに目を落とし、そのスレを見た。馬鹿だってわかってるけど、とにかく俺は「この方法では二次元に行けない」という情報すら欲しいのだ。それさえ確認すれば、俺はこのもやもやを解消することができる。行けるかもしれないと思ってしまった以上、もう突き放すしか安堵は得られない。だから俺はそのリンクを押した。
その瞬間目の前が真っ白になった。たぶん光っていたんだと思う。しばらく目が見えなくなって意識が遠のいていった。んで戻ったら二次元にいた。
何を言っているのかわからないと思うが俺も何を言っているのかわからない。ただここが二次元だということはわかる。俺は二次元のアニメでよくある高校生が憧れる鮮やかな屋上に居た。景色がイラストで彩られ、目を疑い、次に自分の体を見た。そこにはイラストで書かれた自分の体があり、しばし混乱したものの、自分が二次元に居ることがわかった。しかしわかったところで混乱が収まるわけでもなしに、俺はただ喜びや恐怖すら表せず、ただただあたふたしていた。そんな時にふと、声をかけられた。
「もしかして、あなたも二次元の世界に来た人ですか?」
その声の主はまるで、というかどう見ても二次元の小学生の女の子だった。
「私も、現実世界からさっき飛んできたんです!マクセルって言います」
俺は彼女と軽い挨拶を交わし、現状について話し合った。どうやら彼女も俺とまったく同じ方法でついさっき、ここへ飛んできたらしい。ていうか女子と話すの久しぶりすぎてきつい!しかも小学生って。
「ていうか聞き流したけど、あんたマクセルってなんだ?本名は?ていうか小学生・・・だよな?ここ高校なんですけど・・・」
ほら、なんか口調がおかしくなっちゃったし。難易度たけーよ。
「それは・・・まあせっかく二次元にこれたんだし、三次元の事はお互い干渉しないで行きましょう!それよりこっちの世界ですよ。ポケット見てください。自分の設定が書かれた生徒手帳がありますから」
言われて俺はポケットに入っていた生徒手帳を見た。そこには不自然なぐらい俺の設定が書かれていた。名前は本名そのまま、だけど年齢は高校生になっている。ていうかいつの間にかよくわからない高校の制服着てたからな。んで重要なのが、このマクセルちゃん。どうやら俺の幼馴染らしい。すげえ幼馴染っていつの間にか出来るのかよ。さすが二次元だぜ。
「ほら、私とクラス一緒みたい!もうすぐ授業みたいだし、行ってみようよじゃあこれから幼馴染としてよろしくね!きーくん!」
なにそれめっちゃかわいいんですけどすげえびっくりした。え、たしか俺の性癖にロリコン属性は特になかったはずなんですけど、あれ?俺の性癖も二次元になって変えられた?マジでちょっと困るってば。
俺は言われて、二人で教室へ向かった。そういうのも全部生徒手帳に書いてあった。ていうかこれ生徒手帳じゃなくて設定資料集かなにかだろ。周りの生徒たちは全員二次元の高校生で、来る途中までは全員明らかなモブ顔だったのがちょっと笑えた。教室に着くと派手な生徒が目立っていた。明らかにメインキャラだわっていう髪型や色の奴らがいた。とりあえず、俺はこの世界にも慣れてきて、もうすでにこの作品の主人公として演じようとしていた。まあつまりこの高校生活でどの女の子を落として、ハッピーエンドを迎えてやろうかなとか女生徒を見ながら考えてたわけですよ。
「ぐへへ・・・どの娘もかわいいなぁ・・・やっぱり二次元は最高だぜ」
と小声で言ったのは俺ではなく隣に居たマクセルだった。こいつ見た目は小学生女子なのに中身は完全に俺と一緒じゃねーか。そりゃ二次元に憧れてこんな所まで来ちゃった奴だから、思考も似たり寄ったりになるのかな。
そんなこんなで先生がやってきて、授業が始まった。その授業がまた普通ではなく、いきなり「超能力とは」などと先生が言い始めた。生徒も真面目に聞いている。それを見て俺は理解した。なるほど、ここは超能力学校かなにかで、これは一話の説明回だろ。その辺生徒手帳をしっかり読み込んでいなかったが、書いてあった気もする。それを聞きながら、俺も超能力が使えるのかも、とニヤニヤしながら今後の展開について考えていた。しかし、途中で先生が急に異様な単語を言ったので、俺は背筋が凍った。
「じゃあ、今日の“実験体“は12日だから出席番号12番!」
実験体?実験体ってなんだ?出席番号12番ってことは生徒のことを指しているのか?そしてその出席番号12番と思われる生徒は立ち上がり、っちゃーまじかよーなんで俺なんだよーとボソボソ言っている。なんだ何をされるんだ?あの口ぶりからして損な役回りなのは間違いないようだ。
出席番号12番の生徒は先生の前に経ち、しょげた顔で佇んだ。
「じゃあこれから超能力がどんなものなのか見せるからなー。ちゃんとよく見ておくんだぞ!一回しかできないからなー。いくぞー」
そう先生が言うと、次の瞬間、出席番号12番と呼ばれた彼は、頭から破裂し、肉片となって教室中に飛び散った。俺の服は彼の血で染まり、欠けた骨が俺の頬をかすめて傷をつけた。
続きはコミケで
コミックマーケット84 月曜日(3日目) 東地区“オ”ブロック-35bにて
販売される「鈍場本」に収録される小説の前半部分になります。続きはコミケで
【告知】今年の夏コミで薄い本出します!「三日目東オ-35b」本の内容紹介!
「二次元に行く方法見つけたったったwwwww」
小学生の頃から俺は病的なまでに二次元の世界に取り付かれていた。家に帰れば一人で「おジャ魔女どれみ」や「セーラームーン」を延々と見続け、過ごしてきた。その結果、俺は二次元の世界は当然そこにあるものだと思い込むようになっていた。中学生になったあたりから、友達と会話が噛み合わなくなることがあり、結果俺は変な子扱いされて、友だちも減っていった。その頃から徐々にまともになっていったと思う。もちろん、大学生になった今となっては現実と二次元の区別がつくようにはなった。でも過去の影響か、やはり二次元の憧れは捨てきれずにいた。
その結果、今一人で便所飯ってるのが俺、小鳥遊 菊臣。読みは「たかなし きくおみ」なんだけど、この苗字は最近のアニメの影響で特に説明する必要もなくなりつつある、本当になんなの最近の小鳥遊ブームは・・・。俺の小学生の頃の自己紹介の苦労を返してほしい。まあ最近になっては、自己紹介をする機会も少なくなった。まさか自分から紹介しないと友達ができなくなるなんて思いもしなかったからな。
普段もこうしてトイレでスマホでアニメ見たり2chを覗いたりしてひたすら時間がすぎるのを待っている。もはや現実から孤立しているかのようなこの個室空間はある意味二次元にもっとも近い場所だと言っても過言ではない。とか考えながらいつもこのトイレに入るのが好きだ。うんマジで。
その日はいつもと何も変わらず、なんとなく2chを見ていた。クソみたいなスレタイが並ぶVIP板をぼーっと眺めてて、たまに面白いスレがあると笑いをこらえてニヤニヤしていた。だがその中に俺の目を止まらせる異様なスレがあった。スレのタイトルは「二次元に行く方法見つけたったったwwwww」よくあるくだらないスレだが、俺にはそういうのに過敏に反応してしまう体質だ。開いてみると1には怪しすぎるURLと「お前らの高校の屋上でここにアクセスしてみろwwww」とどう見てもスパムか釣りかのくだらないスレだ。だが異様なのは、そのスレに一つもレスがつかなかったこと。気になった俺は誰かが人柱になるのを待ってROMっていたのだが、結局誰もレスすること無く、そのスレは落ちてしまった。普通この手のスレなら、ちょっとぐらいはレスがつくはずだ・・・。しかし誰もレスをしなかった。俺はそれが気になって気になって仕方がなかった。俺はビビりながら、そのURLを開いてみたのだが、出てきたのは404だった。
俺も少しどうにかしている。そんなので二次元に行けるはずがない。しかし可能性があるのならば試してみたくなる。それが俺の体質だ。固執するあまり、そういう幻想だって抱きたくなる。つまりは今、俺は母校である高校の屋上に来ている。俺はそのスレを開いたまま、スマホを片手に、昼間っから高校に忍び込んだ。見つかれば異様なのが一目でわかるが、意外と生徒たちはあまり気にしない。ていうか誰も覚えていない。俺一応先輩なんすけど。結果あっさり屋上までたどり着いた。ここの高校の屋上は閉鎖されていて、普段誰も入らない。ていうかめちゃくちゃ汚いから入ろうとしない。それを無理やりこじ開けて屋上に出た。うーん、空は綺麗なのだが、如何せん屋上が汚すぎて微妙な気分だ。それはどうでもいい、わざわざここまでの苦労をしたのだ、早く目的を果たすとしよう。俺は、スマホに目を落とし、そのスレを見た。馬鹿だってわかってるけど、とにかく俺は「この方法では二次元に行けない」という情報すら欲しいのだ。それさえ確認すれば、俺はこのもやもやを解消することができる。行けるかもしれないと思ってしまった以上、もう突き放すしか安堵は得られない。だから俺はそのリンクを押した。
その瞬間目の前が真っ白になった。たぶん光っていたんだと思う。しばらく目が見えなくなって意識が遠のいていった。んで戻ったら二次元にいた。
何を言っているのかわからないと思うが俺も何を言っているのかわからない。ただここが二次元だということはわかる。俺は二次元のアニメでよくある高校生が憧れる鮮やかな屋上に居た。景色がイラストで彩られ、目を疑い、次に自分の体を見た。そこにはイラストで書かれた自分の体があり、しばし混乱したものの、自分が二次元に居ることがわかった。しかしわかったところで混乱が収まるわけでもなしに、俺はただ喜びや恐怖すら表せず、ただただあたふたしていた。そんな時にふと、声をかけられた。
「もしかして、あなたも二次元の世界に来た人ですか?」
その声の主はまるで、というかどう見ても二次元の小学生の女の子だった。
「私も、現実世界からさっき飛んできたんです!マクセルって言います」
俺は彼女と軽い挨拶を交わし、現状について話し合った。どうやら彼女も俺とまったく同じ方法でついさっき、ここへ飛んできたらしい。ていうか女子と話すの久しぶりすぎてきつい!しかも小学生って。
「ていうか聞き流したけど、あんたマクセルってなんだ?本名は?ていうか小学生・・・だよな?ここ高校なんですけど・・・」
ほら、なんか口調がおかしくなっちゃったし。難易度たけーよ。
「それは・・・まあせっかく二次元にこれたんだし、三次元の事はお互い干渉しないで行きましょう!それよりこっちの世界ですよ。ポケット見てください。自分の設定が書かれた生徒手帳がありますから」
言われて俺はポケットに入っていた生徒手帳を見た。そこには不自然なぐらい俺の設定が書かれていた。名前は本名そのまま、だけど年齢は高校生になっている。ていうかいつの間にかよくわからない高校の制服着てたからな。んで重要なのが、このマクセルちゃん。どうやら俺の幼馴染らしい。すげえ幼馴染っていつの間にか出来るのかよ。さすが二次元だぜ。
「ほら、私とクラス一緒みたい!もうすぐ授業みたいだし、行ってみようよじゃあこれから幼馴染としてよろしくね!きーくん!」
なにそれめっちゃかわいいんですけどすげえびっくりした。え、たしか俺の性癖にロリコン属性は特になかったはずなんですけど、あれ?俺の性癖も二次元になって変えられた?マジでちょっと困るってば。
俺は言われて、二人で教室へ向かった。そういうのも全部生徒手帳に書いてあった。ていうかこれ生徒手帳じゃなくて設定資料集かなにかだろ。周りの生徒たちは全員二次元の高校生で、来る途中までは全員明らかなモブ顔だったのがちょっと笑えた。教室に着くと派手な生徒が目立っていた。明らかにメインキャラだわっていう髪型や色の奴らがいた。とりあえず、俺はこの世界にも慣れてきて、もうすでにこの作品の主人公として演じようとしていた。まあつまりこの高校生活でどの女の子を落として、ハッピーエンドを迎えてやろうかなとか女生徒を見ながら考えてたわけですよ。
「ぐへへ・・・どの娘もかわいいなぁ・・・やっぱり二次元は最高だぜ」
と小声で言ったのは俺ではなく隣に居たマクセルだった。こいつ見た目は小学生女子なのに中身は完全に俺と一緒じゃねーか。そりゃ二次元に憧れてこんな所まで来ちゃった奴だから、思考も似たり寄ったりになるのかな。
そんなこんなで先生がやってきて、授業が始まった。その授業がまた普通ではなく、いきなり「超能力とは」などと先生が言い始めた。生徒も真面目に聞いている。それを見て俺は理解した。なるほど、ここは超能力学校かなにかで、これは一話の説明回だろ。その辺生徒手帳をしっかり読み込んでいなかったが、書いてあった気もする。それを聞きながら、俺も超能力が使えるのかも、とニヤニヤしながら今後の展開について考えていた。しかし、途中で先生が急に異様な単語を言ったので、俺は背筋が凍った。
「じゃあ、今日の“実験体“は12日だから出席番号12番!」
実験体?実験体ってなんだ?出席番号12番ってことは生徒のことを指しているのか?そしてその出席番号12番と思われる生徒は立ち上がり、っちゃーまじかよーなんで俺なんだよーとボソボソ言っている。なんだ何をされるんだ?あの口ぶりからして損な役回りなのは間違いないようだ。
出席番号12番の生徒は先生の前に経ち、しょげた顔で佇んだ。
「じゃあこれから超能力がどんなものなのか見せるからなー。ちゃんとよく見ておくんだぞ!一回しかできないからなー。いくぞー」
そう先生が言うと、次の瞬間、出席番号12番と呼ばれた彼は、頭から破裂し、肉片となって教室中に飛び散った。俺の服は彼の血で染まり、欠けた骨が俺の頬をかすめて傷をつけた。
続きはコミケで