沈黙のナノニート

近未来、ニートを小型化し社会における消費エネルギーを削減する技術が実現した。 身長10センチ程度にされたニートは少年ジャンプ2冊分の面積の部屋に篭ったまま一生を過ごす運命にあるが、そんなニート達に特殊な能力を持つ者達が現れた。 ニート達の戦いを描いた超能力×ロボット×アイドル小説です。

オレこと谷川つばめはこの身長11センチの体で荒地を走り続けていた。ニートESPは自分の身体には使用できないのだ。この場は自力で走るしかない。オレはニートアマテラスを脱出し、地面に叩きつけられた直後から全速力で走り続けた。走るのが苦手だった自分がウソのようだ。早く走らなければ桃天が死ぬ。桃天が時間稼ぎをしている間にオレが先程破壊した戦車まで走り、その戦車の装備で森住ドールを狙撃するという作戦だ。しかし桃天が森住ドールと、かなりうまく話をしたとしても、オレがこの距離を、すごい速度で走り切ったとしても、間に合うとは限らない。むしろ無謀な策に見えた。つまりデフォルトで全然時間が足りない状態だ。その時の戦車までの距離300メートルを15分で走り抜けた。昔の体のサイズに換算すると4500メートル程か。道もでこぼこしている。息を切らせて戦車のボディを登り切り、ハッチを開けた。先ほど倒した兵士を操り砲塔を操作させる。焦っているので操作が難しい。森住ドールに向けて追尾型のロケット砲を撃つのだ。準備を整える。幸い武器系統に不具合はないようだ。しかもここから見る桃天は奇跡的にまだ殺されていない。ここまでの経過時間トータルで20分。
「間に合ったのか⁉」
発準備は整った。桃天の指定した通りに森住ドールの機体のみに照準を定めて引き金を引く。
ロケット弾が発射した。オレは桃天の指示を忠実に実行した。直後、追尾型のロケット弾は森住ドールのニートスサノオを捉えた。
不意打ちは成功した。オレの意識もここで途切れた。






この物語の結論を述べる。森住ドールはゲリラライブ中に死亡した。つまりはオレが殺してしまったのだ。誰よりもアイドルであることに固執した真面目過ぎる短い人生であった。そして桃天は、今回の戦いで死亡した森住ドールの意思を継ぐ形で、イーストアイズのリーダーとしてグループに復帰した。このような経緯なのでメンバーとの確執もあるようだが桃天は頑張っている。
一方、今回の件の世間一般に知られたアングルとしてはこのようになっている。「突然現れたS原R乃に似た謎のサイボーグがゲリラライブ中の森住ドールを殺害した。そして大学生になっていた桃天は森住ドールの仇を討つためイーストアイズに復帰した。S原R乃に似たサイボーグはゲリラに対してちょっと強すぎるイーストアイズに適度なバランスを取るために現れたライバルキャラだと」
そもそもF欄の大学が9割を占める現代においても桃天が入れる大学などはもちろんないし、完全な嘘っぱちだ。
しかし、このストーリー展開と桃天が復帰したことにより、超武装アーマードアイドル、イーストアイズの人気は日増しに上がる一方だ。ほとんど世界的な人気になっている。だから桃天に対するメンバーの不満も抑えられているのだと思う。あと現在は富田小町がイーストアイズの専属トレーナーとなっていて、メンバーは日々ニートESPの特訓に明け暮れている。

そしてオレの方はというと実際に森住ドールを殺害した張本人として逮捕されたが、戦争地帯での殺害であるとが、自己防衛のためであるとか、不幸な境遇がそうさせたとか、ニートは人間でないとか、ニートなんて元々刑務所に居るようなものだとか、そのような様々な理由から情状酌量された面もあり、元の少年ジャンプ2冊分の面積の部屋に戻された。確かに人を殺した感覚はあり、罪の意識はある。しかしあれは戦争であり、また任務だったと考えている。現在では日々イーストアイズの作詞をして過ごしている。今月も一曲オレの曲が採用された。そしてたまにイーストアイズのゲリラライブでイベント的にテコ入れが必要な時は敵側特別ゲストとしてゲリラライブに参加している。桃天の最大のライバル、前リーダー森住ドール殺害の張本人、S原R乃の姿をした謎のサイボーグが務まるのはオレしかいない。だからあの喜多川ブタ麻呂作のマスクを装備したニートアマテラスは現在オレが引き継いで一人で動かしている。敵役であるゆえ、オレが森住ドールにそうしたように、オレもいずれはイーストアイズに殺される立場だと考えている。
標準的な人間のサイズで換算すると、あの日1キロを3分ほどで走行したオレの足、自分でもなんでそんな速度を出せたのか全然分からない。しかしながら、その後は走る機会も失われ、また訓練を怠ったことにより1キロ8分程のスピードまで落ち込んでいる。

以上

あたしはタブレット端末を見ていた。有名動画サイトによるとイーストアイズのゲリラライブがもうすぐ開始するとの表示が出ている。アクセス数もとんでもない数字だ。ゲリラキャンプが慌ただしく動き出す。こちらは敵に地雷原を突破されたら完全におしまいといったシステムだ。元々ゲリラだけでは戦力的にかなり難しい。無理ゲーなのだ。しかし今回はあたし達がいる。桃天&つばめ君チームの作戦としてはとにかく敵の動きを止め、イーストアイズが搭乗している多脚戦車に近づき、内部に侵入しニートEPS(サイコキネシス)により搭乗員の一人、つまりイーストアイズの森住ドールの殺害を行うというものだ。他のメンバーに関しては彼女達の出方次第だ。
いよいよ森住ドールに復讐する時が来たのかと思うと居ても立ってもいられない。はやる心を押さえつけ、冷静に行動できるよう頭の中で何度もシュミレーションを行った。
谷川つばめ君。はっきり言って初めは生粋のニートの彼がここまで活躍するとは思ってもみなかった。人間能力や立場が変わるだけでこんなに人が変わるのかと思う。
はるか彼方に砂煙をあげて多脚戦車一台と戦車2両が現れた。タブレット端末をみるとゲリラライブが開始したらしい。イーストアイズの新曲「イゴール・ロマンス」がタブレット端末のスピーカーから聞こえてきた。まだ距離があるのと風向きの為、スピーカーからの歌は実際に聞こえてこない。それではあたし達も配信開始だ。ライブにはライブで対抗するのだ。ニートアマテラスの頭部に取り付けたカメラからの画像がタブレット端末に映し出された。
いよいよ戦いの開始だ。
多脚戦車は地雷を無効化できる機能がある。一定範囲の地雷を誤作動させるのだ。多脚戦車が歩いて進むにつれ、電波により起爆を行う地雷、熱や荷重により起爆を行う地雷が次々と対象物を捉えないまま爆発を始めた。イーストアイズの歌も段々と聞こえる距離に達している。
ゲリラのリーダーがあたしの横にきて呟いた。
「ダメだなこりゃ」
「いや、大丈夫」
あたしは自信を持って答えた。
ニートアマテラスの背中に背負ったスピーカーの電源を入れ、あたしも曲に合わせて歌い始めた。あたしの持ち歌は3曲。この間にケリをつける。最初は「私の彼はナノニート」作詞作曲はつばめ君だ。つばめ君はアイドル歌謡を作るのが趣味なのだ。
ニートアマテラスがつばめくんのオペレーションで動き出した。爆音が20回連続で響き、戦車2台が走行不能になり、多脚戦車の脚の6本のうち2本が動きを止めた。イーストアイズはすでに2曲目の「半分不死身?」になっていた。
現在ニートアマテラスの武器はIEDを使い切り、もはやハンドガンのみで後はニートESP頼りだ。多脚戦車の動きが鈍くなったところで脚にしがみついた。本体に取り付いてしまえば後はあたしがハッチを開けて中に侵入すればいい。少しづつ登り始めたが、ここで意外にも多脚戦車は自ら本体部分を地上に下ろし始めた。
「何をするつもりだ?」
つばめ君が言った。多脚戦車から離れ、とりあえずアーママグナムを構える。多脚戦車の本体下のから3体のパワードスーツのような機体が放出された。
「あれはニートスサノオ!」
依然ニートESP訓練期間に富田小町に見せてもらったニートスサノオだった。しかも3体も!各々手には専用の銃をもっている。
3体は各々青、黄、白にカラーリングされている。これはイーストアイズの担当カラーに各々該当しているのだろう。
青は『佐々度ルミ』
黄は『よっきゅん』
白は『森住ドール』だ。
「これからいろいろしゃべるからあたしの音声は配信なしで、お願い」
森住ドールの声だ。
「さっきから何よ。アンタ!あたしたちのライブ中なのに、アンタも歌うとはどうゆうことよ。それにアンタ!その声は桃天じやないの?」白のニートスサノオ、森住ドールの声だ。やはり白のニートスサノオは森住ドールが動かしているようだ。しかしニートスサノオは文字通りナノニートしか操縦できないはず。
「そうよ。あたしがイーストアイズ、リーダー、桃天華子よ!」
あたしもインターネット配信を一旦ストップして言った。
「アンタ。ナノニートの身でよくここまで来れたわね」
「森住ドール、あなたを倒すためあたしはここまでやってきた」
「アンタあたしに勝てると思ってるの?」
あたしたちが言い合いを始めた影でつばめくんはかなり動揺している。
「桃天!どうする?ニートスサノオには対ニートESPシールドがある。接近戦でニートESPにより本体部分を攻撃することができない。だから相手があの装備だと勝ち目がない」
つばめ君が小さな声で言った。
「・・・」
あたしには答えることができなかった。あたしたちはまさか相手が対ナノニートESP兵器を持っていることは想定していなかった。
「久々に会ったけど、アンタになんて付き合ってられないのよ」
3体のニートスサノオはローラーダッシュで走り出した。ニートアマテラスはアーママグナムで応戦したが、やはりハンドガンではニートスサノオの装甲を貫くことはできない。ニートスサノオが目前に迫る。スサノオの攻撃を回避するためこちらもダッシュした。同じナノニート用の機体とはいえあまりににも装備に差があり、平地での戦いは分が悪い。ニートスサノオは完全に戦闘用の機体なのだ。一旦ゲリラのキャンプの方に戻り体制を立て直す。しかしニートスサノオの動きは早い。すぐに追いつかれて引きずり倒された。バックパックのスピーカーや配信機材が吹っ飛んだ。

森住ドールはニートアマテラスの顔にアサルトライフルの銃口を突きつけた。
「何それ?アンタ、顔が昔と全然違うじゃない。って言うか、S原R乃じゃないの」
「そうよ。S原R乃よ。文句ある?」
「意味分からないんだけど、なんでアンタがS原R乃なのよ。前よりブスになってどうするのよ」
「かつてのトップアイドルよ!あんたに言われたくないわ。ブス!」
「うるさいブス!アンタは負けたのよ」森住ドールが引き金に指をかけた。
「ブス勝負で負けたのはあんたよ。ブスだから1年前に里子が死んだ時、リーダーになれなかったのよ」
「じゃああんたはどうなのよ!」
「あんたより幾らかマシだったからリーダーになったんじゃないの」
「大して変わんねーだろ。このブスが」
「あんたにだったら今の、このS原R乃の顔でも簡単に勝てるわよ」
「なんでアンタみたいな4半世紀も前の顔に負けなきゃいけないのよ。それにそもそも歌はあたしの方がうまいわよ」
「どこがうまいのよ、『二〜トちゃんねる』でも散々、ひどいって書かれていたわよ」
「嘘つくんじゃないよ。『二ちゃん』でそんな記事見たことないわよ。『二ちゃん』に載ってるのは握手会で相手を骨折させたデマの記事位なもんよ!」
「その記事はあたしが載せたのよ」
「アンタまたくだらないマネを」
森住ドールは悔しそうな表情を見せた。
「そんなことはどうでもいいわ!あんた何で『二ちゃん』を知っているのよ?」
「・・・」
森住ドールは一旦口を閉ざした後にゆっくりと話し始めた。
「そんなの・・あたしもナノニートだからに決まってるじゃない。だからこの機体、ニートスサノオ白を操ることもできるのよ」
「森住ドール!何であんた、ナノニートになんかになったのよ!」
「アンタ本当にバカね・・自分の置かれている状況を全く理解していないようね」
「なんのことよ?」
「ナノニートになったのはアイドルを続け為よ」
「アイドルを続ける為?」
「アンタはおめでたいリーダーだったから知らないかもしれないけど、あたし達イーストアイズはもう事務所に解散させられる運命だったのよ。実際、神名里子が死んだ後はどんどん人気が落ちていたでしょ。この世界で生き残るにはナノニートアイドルになるしかなかったの」
「なによ⁉そんなにしてまでアイドル続ける意味あるの?っていうかナノニートアイドルって需要あるの?」
「そんなこと分からないわ。ただ事務所からのアイドルを続ける条件がナノニートになることだったのよ。アタシは絶対、アイドルを続けたい。でもアンタはそんな状況の最中に一人で外国へ逃げ出そうとした。リーダーのくせに」
「何よ、そんな話全然知らないわ」
「知らなくても事実よ。外国に逃げ出そうとしたアンタに制裁を加えるために、アタシがアンタにナノニート手術を行うよう仕向けたと思っているかもしれないけど、アンタがナノニートになるのは、すでに規定路線だったの。アンタの親だって事務所に多少の金をもらって同意していたはずよ」
「そんな・・・」
頭の中が真っ白になった。
「あんたがイーストアイズから外れたのはナノニート手術を受けた後目覚めるのが、あたし達より数週間遅かったのと、その間に方向性の変更があったからよ。ナノニートアイドルならまだしも、アンタみたいな腰抜けが超武装アーマードアイドルなんか務まると誰も思わなかったからよ」
「・・・」
「あたしたちがナノニートになった後、アンタも同様だけどアタシ達にもニートESPがあることが分かったの。ナノニートが軍事に利用できることが分かると、事務所は方針を変えてアタシ達をナノニートアイドルとして売ることをやめ、超武装アーマードアイドルとしてデビューさせた。等身大の普通の人間だった頃の人形、自分の顔のニートアマテラスを着させられてね。そして各地で戦争して勝ち続けた。今あたしたちはナノニートESPがあったからアイドルとしても人間としても辛うじて生きてる。普通のアイドルだったら、戦争なんてさせられてとっくに死んでるっつーの」
あたしにはすでに返す言葉がなかった。森住ドールは更に続けた。
「アンタはアイドルからも逃げ、そしてまたナノニートの境遇からも逃げようとしている。アタシはアンタに顔も歌も踊りもアイドルとしての存在感も負けていたかもしれない。だけどアタシは一度も逃げていない」
あたしは言い返すことができなかった。沈黙するしかなかった。

na2オレこと谷川つばめは延々と続く暗い地下道を走り続けていた。今はもう使われていない本国と経済破綻した某国とを繋ぐ地下トンネルである。結局一度も利用されることがなかった地下トンネル。瓦礫の山でただでさえ進むのはかなり難しく、ガスが充満しておりそれなりの装備なしでは人間は通行ができない場所だ。所々バリケード的なものもあり、かなりの危険地帯だ。ニートアマテラスのコクピットは完全に密閉されており、ガスが入ることはないが一応不安なのでニートアマテラスの顔にはガスマスクも装着している。そしてこのガスマスクの下の顔は喜多川ブタ麻呂、会心の作、S原R乃2046バージョンだ。オレがみてもかなりの出来だと思う。完璧なるブスアイドルだ。オレ達のいるコクピット内の酸素は5時間はもつ計算だ。この瓦礫の中を時速30キロ程度の速度で走行しセーブポイントのガスの薄い地点を探し、酸素を補給しなければならない。重たい装備もあるのでかなりの重労働だ。本国の領海辺りを過ぎて某国に近づくにつれ白骨化した死体が目に付く。恐らく某国から我が国に亡命しようとした人達だ。やはり生身の人間ではこの悪路を制覇するのは不可能だろう。
スタートから24時間経過し、ようやく縦穴に辿り着いた。130メートル程をニートESPを駆使して登りきり、やっとのことで地上に出た。この時点でイーストアイズのゲリラライブの開始まであと20時間しかない。今回のライブ会場であるイーストアイズによる攻撃ポイントまで距離にしてここから200キロ位だ。それをなるべく一般の交通機関を使って移動する予定だ。このまま近くの街まで走って移動して、タクシーに乗って駅まで行って、列車に乗る。この国に関しては桃天がよく知っていたのでオレの操作はここまでだ。後は桃天を起こして交代する段取りとなっている。
「おつかれ〜」
桃天が目を覚ました。
「じゃあ、オレは寝るよ」
「どうもありがとう。つばめ君、ホントつばめ君に会えて良かったと思ってるよ」
「いやあ、そんな・・」こんなことを言われたのはギャルゲー以来の経験だ。
「明日はマジ死ぬかもしれない戦いだから、よく休んで。後はあたしが会場までたどり着くから」
真っ暗な悪路を650キロ以上走破したのでオレのニートESPもかなり消耗している。もう20時間以上同じシートに座り続けているが、家で同じ体制で50時間ゲームを続けた経験もあるので、こんなのは大したことはない。オレは戦いに備えて眠りにつくことにした。

目を覚ました時、ニートアマテラスは暗い部屋に閉じ込められていた。揺れているのでどうやらトラックの荷台とかそういったところに載せられているようだ。先程、オレが眠りについてから10時間が経過していた。
「桃天、いる?」
「つばめ君」
「どうしたの?」
「今日のライブ会場の方に向かっていたんだけど、たまたま最初に乗ったタクシーが外国人誘拐組織で、誘拐されたのよ」
「えっ、なんで逃げないの?」
「そうしたらその組織が今日のゲリラライブの攻撃対象の組織らしくて、今その本部に運ばれているのよ」
「なんで本部に向かっているのが分かったの?」
「最近ニートESPで人の簡単な意思や目的は読み解けるようになってきたのよ。まぁあたしも多少眠れたし、とにかくラッキーでしょ」
ばくは自分の頭部のニートESPによるプロテクトを強化した。ニートESPは消耗してしまうが、オレのエロい妄想を感知されてしまうよりはましだ。それにしても桃天のニートESPのスキルアップは凄まじい。
「つばめ君の心は読まないから、安心しなよ。ニートESPを無駄に使わないで」
すでに、桃天にばれていたようだ。っていうか読んでるし。
「すでに一心同体。隠すことは何もないわ」

しばらく走った後、車は停車した。すぐにニートアマテラスは手足を縛られている結束バンドを引きちぎり、ドアを蹴り破った。運転手のところに詰め寄り外に放り投げた。そして自分の荷物を回収し建物の奥に入って行った。荷物はライブに必要な機材等が入っているのだ。
「この地区のゲリラのリーダーに話があるんだけど」
桃天が言った。特に返事はない。
「言うことを聞かないと、全員殺すけど」
ここでこの地区のゲリラと協力してイーストアイズに対抗できるのであれば武器を分けてもらい、決裂したらこの場から逃げて、近辺に潜伏し、ライブの時間まで待てばいいと考えていた。
あたしたちに手を出してきたゲリラを5人ほどぶっ飛ばしたところでゲリラのリーダーとの面会が叶った。やはりこのアイドルの外見が功を奏したのであろう。いかついマサ斎藤みたいな見た目だったら、向こうもムキになって完全に戦争になっていたと思う。ブスとはいえアイドルの外見だったのが大きい。こちらはイーストアイズ討伐に海を渡って来たことを説明し、敵でないことを説明した。10時間後に迫ったイーストアイズのゲリラライブでの協力を約束した。初めは「お前のようなアイドル崩れが戦えるはずはない」と言った対応であったが、最新のサイボーグであることを説明したところでどうにか納得してもらうことができた。それと武器を分けてもらうことを依頼したが、こちらも自動小銃、とIED(即席爆発装置)位しかなく敵に対抗できるめぼしいものはなかった。とりあえずハンドガン(アーママグナム)となるべく強力そうなIEDを20個分けてもらった。IEDは石焼ビビンバの容れ物で作られている。ご飯を入れる部分に起爆剤を入れて、金属で蓋をする。起爆した際この蓋が溶解して巨大な弾丸になって飛び出す仕組みだ。通常起爆のスイッチは携帯電話等で遠隔から操作するが、この部分は桃天のニートESPで操作可能だ。前もって電波による起爆の仕組みを取り外してもらった。この石焼ビビンバの鉄の容器は元々爆弾用に製造されており、品質も高いそうだ。一見チンケな武器に見えるが武器としても優秀、食器としても優秀といった代物らしい。
このゲリラのキャンプの周りは広範囲に渡って地雷原となっている。今回の戦いはイーストアイズの多脚戦車がこの地雷原を突破してくるのをどう防ぐかという攻防になる。イーストアイズの多脚戦車は本体が直径7メートル程の大きさで、各足の長さが伸ばした状態で10メートル程これが8本ある。クモのような形態だ。こちらはハイテクの機器が満載で、あらゆる種類の地雷を暴発及び無効化する機能がある。対地雷用として特化した兵器だ。他に戦車も数台付いてくる。旧型のメルカバであるが、これらの戦車にはIEDを使用してもその複合装甲にダメージを与えることは難しい。しかにニートESPとの連携で同じポイントに複数のIEDを集中して炸裂させればこの単純なゲリラ兵器でも致命傷を与えることができるだろう。他にも方法はある。駆動部分を破壊して、とにかく停止させてしまえば後は近づいてニートESPで乗員の首を締めることもできる。
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