夢想幻園 離れ


本館をSS保管庫に特化した結果生まれた、微妙な不思議空間。
気が向いたときにつらつらと駄文を積み上げていく予感。 最近はおおむねシンデレラガールズを話題にしてます。
二次創作作品をお探しの方は、本館もどうぞ。
本館取扱作品: 「とらいあんぐるハート3」、「機動戦艦ナデシコ」、「Fate/stay night」、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS」
管理人:高原ユウ

─LIGHT COLORS─ ■シーン1:優しい食卓

※ゲーム本編の軽いネタバレを含みます。
 基本的な舞台設定は後続作品と合わせて「ギアス編」ですが、ifルート的な位置づけであり原作と設定・物語の展開は一致していません。
 他ルートの要素も混じっているため、原作中盤から分岐したオリジナルルートとお考え下さい






   ─LIGHT COLORS─





■シーン1:優しい食卓

 



 暖かいミルク、新鮮な卵を使ったベーコンエッグと香ばしく焼きあがったトースト、咲世子特製のドレッシングがかかったトマトサラダ。  
 朝食としてはボリュームたっぷりの、フルブレックファスト。
 ナナリーには多すぎるほどの量が無理なくお腹に収まってしまうのは、食卓の空気がいつもより暖かいからだと思う。
 数日ぶりに囲む、三人での食卓。
 食事は美味しく、会話は弾み、身体も心も満たされる。
 昨日のこと、今日のこと、明日のこと。とりとめのないおしゃべりに、穏やかな相槌。給仕をする咲世子の楽しげな足音。
 ライが現れるまで、ルルーシュか咲世子と二人きりでの食事が増えていたナナリーにとって、この上なく贅沢な時間だ。
 宝石みたいに貴重なひとときだから、ついつい口数が増える。はしたないとは思いつつ、自分の話に笑ってくれる声が聞きたくて、お行儀悪く言葉を重ねてしまう。

「──それで、ライさんにお願いして本を……あっ」

 だから、こんな子供みたいな失敗をしてしまうのだ。
 口元から、飲み込み損ねた紅茶が流れ落ちようとしていた。
 慌ててナプキンを手探りするうちに、左右で空気が動く。
 一瞬早く、左手から腕が伸びる気配がして、口元にそっと柔らかい布が押し当てられた。優しく動く感触が、紅茶の残滓を拭い取り、離れていく。
 羞恥に縮こまりながら、ナナリーはお礼を言った。続きを読む

─LIGHT COLORS─ ■プロローグ:向日葵

※ゲーム本編の軽いネタバレを含みます。
 基本的な舞台設定は後続作品と合わせて「ギアス編」ですが、ifルート的な位置づけであり原作と設定・物語の展開は一致していません。
 他ルートの要素も混じっているため、原作中盤から分岐したオリジナルルートとお考え下さい






   ─LIGHT COLORS─





■プロローグ:向日葵





 ナナリーの朝に光はない。
 それでも、ナナリーには朝の色が感じられる。
 頬に触れる陽の暖かさ。動き出した空気の匂い。鳥の囀り。
 夜の薄い静寂を吹き払うように、営みの躍動がひとつひとつと湧き上がる。
 朝の足音を楽しみつつ、贅沢なまどろみに漂うナナリーを覚醒させるのは、いつも決まった一言だった。

「おはようございます、ナナリー様。──今日は良いお天気ですよ」

 洗濯物が良く乾きそうで助かります、と柔らかく声を弾ませる咲世子に、ナナリーも変わらぬ微笑みを返すのだ。

「おはようございます。最近、曇りがちでしたものね」

 返事をするうちにも、手際良く起床の準備が整えられていく。さわさわと肌を撫でる空気の揺らぎが心地良い。
 咲世子は、まるで大気のような、そよぐ風のような人。身を包み、安らぎまでも与えてくれる大事な存在だ。
 朝の風に抱かれて身支度を整える。
 自宅の中だからといって手抜きはできない。絶対駄目だ。だらしのない格好などもってのほか。
 もちろん、優秀なメイドに任せておけば不安などない。
 そのはずなのに、最近のナナリーは最後にこう確認したくなるのだった。

「おかしなところはありませんか?」
「はい、今日もお綺麗ですよ」

 穏やかな返事をもらい、一安心する。
 自分が本当に見栄えの良い娘なのか、ナナリーには確かめようもない。
 ただ、これから会うふたりに綺麗な姿を見せられるかどうか、それはとても重要なことだった。それだけが、大事だった。
 ──よし。
 今日も笑って頑張ろう。
 一呼吸おいてから、ナナリーはにっこりと微笑んだ。

「それでは、行きましょうか」続きを読む

願いは人の


※ゲーム本編の軽いネタバレを含みます。
 基本的な舞台設定は「黒の騎士団」編ですが、細部の整合性は緩く捉えています。
 ルルーシュルートとカレンルートを良いとこ取りしてかき混ぜた何か、ぐらいにお考え下さい。






■願いは人の





 放課後、ライが黒の騎士団格納庫に到着すると、なぜか植物が自生していた。

「……竹?」

 竹であった。
 さてこの謎をいかに解明すべきかと、腕組みをして考える。
 もちろん、良く見れば床から生えているわけもなく、壁に立てかけられた葉竹には色とりどりの紙片が飾られているのだった。

「ライ! 遅かったわね」

 弾むような声に肩を叩かれ、謎を一旦横に置く。
 軽く手を振るライのもとへと、紅月カレンが軽やかな身のこなしで小走りに近寄ってきた。
 学園では猫をフル装備している彼女だが、この場では鬱憤を晴らすように活発で、今は飼い主に呼ばれて走ってくる子犬のような印象だった。
 的確すぎて口には出せない感想である。

「君とルルーシュが揃って欠席してるから、生徒会の仕事が3倍に膨れ上がったんだよ……まあそれはいいんだが。これはなんだ?」
「なにって、七夕よ、七夕。7月7日。知らないの?」

 横に並んだカレンが、意外そうに目をぱちくりとさせた。

「知らないな……そういえば、ミレイさんが何か騒いでいたような気はする」

 このエリアに伝わる風習がどうとか演説していたミレイの姿を思い出す。
 時間がなかったので、あまり詳しい話も聞けずに飛び出してきてしまったのだ。

「七夕。七夕か……」

 相変わらず判然としない記憶を掘り起こしてみる。僅かに引っかかるものがあって、ライはポンと手を叩いた。

「思い出した。供物と葉竹を用意して、星に祈りを捧げる呪術的な祭儀だろう」
「いや、間違ってはないんだけど……もうちょっとロマンが感じられる言い方、ない?」

 不満げな様子のカレンに、ライは小首を傾げる。

「僕の認識に何か間違いが?」
「……一年に一度しか会えない織姫と彦星が〜とか、色々あるじゃない」
「季節の景色に情緒を感じるのは、日本人らしいな。ん、なるほど。もっと風流に表現しろということか」
「そうじゃなくて……ああもうっ、似合わないこと言って悪かったわね!」

 カレンが急に怒り出す。
 これだから年頃の女の子は難しい。
 とりあえず肩を叩いて宥めつつ、ライは笹を見上げた。

「となると、この紙はあれか、短冊か。……にしては、書いてあることに統一性がなさそうだな。歌を書いて飾り付けるものだったような」
「昔はそうだったかもしれないけど、願い事を書くのが今では一般的。玉城の発案でね、皆で書いて吊るしてるのよ。夜になったら外に出すんだって」

 拗ねた顔でそっぽを向きつつも、カレンは律儀に答えてくれた。
 玉城は宴会をする理由が欲しいだけのような気もするが、悪くない思いつきだ。
 ほうほうと頷いて、ライは主だった願い事に目を通してみる。


『誰も欠けることなく一年を過ごせますように』
『日本が幸せな国になりますように』
『独立達成!』
『武運長久』
『無頼の撃墜率が減りますように』『ゼロ自重』
『安全第一』
『健康第一』
『俺らにも月下が欲しいです』
 『←無理だろ、あれ高いんだぞ』
 『←会話するな 彼女ができますように』
『騎士団に女っ気が増えますように』
『騎士団に良い男が増えますように』
『我ら黒の騎士団がより一層の活『家主がもっと甲斐性を見せてピザを奢ってくれますように』
『生きの良いデータ希望』
『給料上げてください』
『体脂肪率が減りますように』
『皇帝が禿げますように』


「願い……ごと……?」

 首を捻る。
 見るからに趣旨を勘違いしているもの、不純なものや不穏当なものばかりである。
 とはいえ、おおむね微笑ましい内容ばかりではあった。願い事と願望とを混同している、という些事を除けばだが。

「随分と自由な儀式なんだな」
「ここまで統一性がないのは、日本でもここだけだと思うけどね。愚痴書く行事じゃないっての」

 カレンは既に諦め顔だ。

「一応、最初は真っ当な内容ばかりだったのよ? でも、途中から暴走しちゃって。はい、これライの分」

 側に置かれたテーブルから、短冊を渡してくれる。筆ペンも用意されていた。

「僕も書いていいのか?」
「もちろん。今日出てきてる人は全員書いてるはずよ」
「君はまだ書いてないみたいだけど?」
「わ、私は最後に付けるからいいの」
「? そうか」

 一番最後の方が願いが叶いやすいとか、そういう験担ぎでもあるのだろう。
 納得して、さて自分はどうしたものかと悩む。
 一向に筆を取らないライに、カレンがちょっとつまらなそうな顔で、

「ライのお願いは、記憶が戻りますように、じゃないの?」
「それはカレンに協力してもらってるから十分だ。天の助けは必要ない」
「──そ、そう? そんな、大して力になれてないと思うけど……そうかな」

 今度は急に上機嫌になって、はにかんでうつむくカレンの心の動きはちょっと謎だ。
 普段から感謝しているつもりだったが、正確に伝わっていなかったのかもしれない。今度、食事にでも誘って改めてお礼をしよう。
 我ながら、最近は異性の心を読むのにも長けてきたものだとライは感心した。
 ──お礼、お礼か。
 つらつらと考えるうちに願い事が決まって、ライは筆を取った。
 思いのほか達筆な筆跡に自分で驚きながら、願いを書きつける。
 手元を覗き込んでいるカレンが、呆れた声で言った。

「はあ……ライらしい。こんなときぐらい、もっと我がままになればいいのに」
「そうかな? 利己的かつ合理的な願いのつもりだけど」
「そこで理屈が出てくるのもライらしい」

 甘えるように軽く身体を押し付けながら、カレンが小さく笑った。
 短冊を笹に吊るして、しばらく眺める。
 どうということもない行事だが、妙に楽しくなってくるものだ。玉城は良い仕事をした。
 雰囲気に浸る間もなく、肩を並べて通路に入る。こんな日でも、やるべき任務は尽きないふたりだった。
 カレンが名残を惜しむように、ちらりと背後を振り返った。
 顔を仄かに赤らめながら、じゃれあうようにライの瞳を見上げてくる。

「私に関する願いごとじゃないのね。優先度、大して高くなかったりする?」
「カレンのことをお願いしても意味がないだろ」
「──なにそれ。どういう意味?」

 すっと切れ長の目が細められる。他の部分が笑顔を保っているので、落差でなにこれ怖い。今日のカレンはどうにも情緒不安定だ。
 困惑はしたが、悩むようなことは何もないので、ライは素直に答えた。

「願いが叶うのは、一年に一度だけの奇跡なんだろう? 僕らは毎日会ってるんだ。カレンに願いごとがあるなら、僕が直接、力になるよ」
「…………」

 言葉は返ってこなかったが、腕をぎゅっと掴まれた。
 カレンとは思えない控えめな力加減が、どうにもくすぐったい。
 彼女の口から、くすくすと笑みが漏れる。

「あー……なんだかもう、自分でも単純すぎて馬鹿馬鹿しくなってくるわ。私、熱狂的なレジスタンスのはずだったのにね」

 頬を緩ませながらぼやく、という器用なことをしてみせると、カレンは一転して不敵な笑顔を浮かべた。
 躍動的な足運びでライの前に回り込み、挑戦的に言い放つ。

「じゃ、さしあたって今すぐ、ひとつだけお願いを叶えてもらおうかしら」

 もちろん、ライは恭しく一礼する。

「喜んで」 

 唇が柔らかい感触に包まれた。



   ■



 しばらくして。
 礼儀正しく距離を取って待機していた仮面の男が、何事もなかったかのように格納庫へと足を踏み入れた。
 通りがかりに笹を見上げた彼は、何かに気が付いて憤懣の声を漏らすと、腕を突っ込んで短冊と枝の位置を勝手に修正。
 ぶつぶつと不満らしきことを呟きながら立ち去りかけ、一枚の短冊に引き止められる。

「…………」

 カシャと小さな動作音。仮面の隙間からじっと見つめ続ける瞳。再び動作音。
 彼はおもむろに無記入の短冊へと手を伸ばし、さらさらと筆を滑らす。
 やや危なっかしい動きで爪先立ちになり、一枚の短冊をむしり取ると、代わりに記入したばかりの短冊を取り付けた。
 満足げに頷くと、無意味にマントを翻す。
 そしてまた、彼は何事もなかったかのような足取りで立ち去った。



   ■



 星明りの下、笹が緩やかに揺れている。
 立ち並ぶ廃墟のひとつに、そっと立てかけられた笹の葉。
 その上で、五色の短冊が宙を踏む。
 星に願いを届けようと、天へ向かって腕を振る。
 並んで吊り下げられた、三枚の短冊も窮屈そうに揺れている。



 ──『ライが笑顔でいられますように』
 ──『我が友に幸福があらんことを』
 ──『みんなの願いが叶いますように』







─────────


あとがき


二作目。
私にはSSと言いつつ長めの短編〜中編ぐらいの長さにしてしまう悪癖があるのですが、本作は例外的に短くまとまった短編。
一作目と同じく、私にしてはまとまりが良いお話で気に入っています。

今回は黒の騎士団編の一幕、ライとカレンの絡みが中心ですが、テーマ的にはゼロも合わせた3人の関係性を描きたいなと考えていた記憶があります(ディートハルトはまあ、うん)。
ゲーム本編はルート分岐制なので、カレンとゼロの関係性はあまり描かれませんが、こんな具合でゼロなりにライとカレンには気を使っているのではないかな、と思っています。
カレンのゼロリスペクトも原作より落ち着いていますし、騎士団編のこの3人はかなりバランスが良いトリオなのではないかな、と。

しかし、こと恋愛カップリングにおいてのカレンはまさに王道を行くといった趣で、書いていてくすぐったいですね。
さすがは複数ルートで恋人におさまる唯一のヒロインです。
機会があれば、恋人モードとは違う騎士団の双璧としてのライとカレンも描いてみたいなとは思っています(未定)。


さて、まだ当時の投稿作品は残っていますが、残りはボリュームがある内容なので、更新までしばらく間が開きます、ご了承ください。




wicked smile



 ※ゲーム本編の軽いネタバレを含みます。
 基本的な舞台設定は「学園編」寄りですが、かなり緩く捉えており、厳密な物ではありません。
 全ルートからの良いとこ取りとお考え下さい。
 また、あとがきに「復活のルルーシュ」のごくごく些細なネタバレを含みます。





■wicked smile



 

 鏡の向こうから冷え冷えとした視線で睨みつけられていた。
 十代後半と見える少年である。
 いくらか年相応の幼さが残ってはいるものの、硬質な顔つきや抑制された表情が、彼をより大人びて見せている。
 ブリタニア風とも東洋風ともつかない形質の淡さが、かえって特徴的だ。
 
 なるほど、端整な顔立ちだと言えるのかもしれない。だが、整ってさえいれば良いのなら、石像でも置いておく方が気が利いている──

 皮肉な思いで口元を歪めると、鏡の男も蔑むような笑みを浮かべることに気がついて、ライは表情を消した。
 ここ数ヶ月で住み慣れた自室、使い慣れた鏡の前で、じっと立ち尽くす。
 沈みかけた夕日の残照が窓から差しこみ、部屋を物憂げに彩る。
 何も起きなければ、ライは視界が闇に閉ざされるまで、鏡と睨み合っていただろう。
 そうはならなかった。
 皮肉っぽい響きの、女の声が背を叩く。

「男が鏡の前で物思いに耽るな、ルルーシュではあるまいし。花にでもなるつもりか?」

 背後の物音には気づいていたが、それがなくとも漂う匂いに注意を引かれていただろう。 食欲を誘う香りのはずが、ここのところ嗅ぐ機会が多すぎて、ライはいさかか食傷気味だった。
 振り向くことはせず、鏡の端に映る影へと指摘した。

「C.C.。人の部屋でピザを食べるのは止めろと言っているだろう」
「お前の都合と私の気分、どちらを優先すべきなのかは明白だ。ルルーシュの奴、グチグチと五月蝿くて話にならん。外出してやる代わりにピザを奢らせた」

 訳すると、ルルーシュにピザをたかった挙句に逃げ出してきたということだ。ライは親友に深く同情した。

「僕もルルーシュと同意見だとは予想しなかったのか?」
「その発想はなかったな」

 皮肉など通用するわけもなく、C.C.はしれっとした顔で部屋を横切る。そのまま、ピザの箱を片手に、指定席となりつつあるベッドに腰掛けた。
 身勝手な魔女ではあるが、嬉しそうに脚を小さく揺らしている姿は、可愛らしいと言えなくもない。
 口に出したら、蔑みの眼差しを向けられるに違いないが。

「ふむ、良い香りだ……今度の新作は当たりだな。
 で、どうした。ずいぶんと深刻な顔をしているな。悩み事なら相談に乗ってやらんこともないぞ」
 
 よほど機嫌が良いのだろう、いそいそと箱を開きながら、C.C.がらしくもない友愛に満ちた台詞を吐いた。
 なんでもない、と答えようとして、ふと思いつく。
 毒舌家で歯に衣着せぬC.C.ならば、率直な意見を聞かせてくれるに違いない。いや、彼女こそが相談相手に相応しいと言えるだろう。

「聞きたいことがある」

 C.C.はピザの香りと盛り付け具合にうっとりと目を細めながら、

「なんだ? 今の私は機嫌が良い。スリーサイズ以外ならば、ルルーシュの恥かしい秘密からゼロの正体まで、何でも答えてやろう」
「C.C.、おそらくは君でないと答えられない質問なんだ」
「……?」

 声に潜む深刻な響きを感じとったのか、ピザを咥えたC.C.が、眉をひそめて視線を寄越す。
 ライは振り向いた。万が一にでも嘘などつかれないように、彼女の瞳を覗き込む。
 C.C.にしては稀有なことに、微かな動揺の色を浮かべて、ついと視線が逸らされる。
 構わずに、口を開いた。

「C.C.」
「──なんだ」

 なぜか少し怒ったような声。
 感情を誤魔化すように、C.C.はもしゃもしゃと食べかけのピザを口に押し込んだ。
 構わずに、少しだけ頬が膨れた彼女と目を合わせた。
 問う。

「僕は、美形なのか?」
「…………は?」

 C.C.の手元からピザが落ちた。



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「ロスカラ」SSを再掲載していきます

「コードギアス」シリーズの最新作、「復活のルルーシュ」が公開されました。
劇場作品そのものについては機会があれば語りますが(おおむね良作です、ファンの方はぜひ)、このブログはどちらかというとPS2/PSPソフト「LOST COLORS」に触れてきた歴史があります。
(古いソフトで遊びにくい部分はありますが、キャラクターゲームとしては出色の出来なので、ファンの方はぜひプレイを)

ゲームの発売から11年、さすがにもう続編という空気ではありませんが、シリーズとしての「コードギアス」は展開が続いていきそうですし、スピンオフ系の作品には「ロスカラ」の要素を取り入れた例もあります。
潜在的な「ロスカラ」ファンは、まだまだ根強く作品を愛していることでしょう。

というわけで、これからぽつぽつと、以前「反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ」に投稿した作品を加筆修正(少しだけですが)してブログに掲載していきます。
はい、当時、これらの作品を投下していたのは私でした。
まだ保管庫wikiは存続しているのですが(https://www36.atwiki.jp/lcss/)、先のことは分かりませんし、多少手直ししたいところもあったので、これを機会に自作をまとめ直すことにした次第です。
「ロスカラ」自体がもう11年前のゲームで、SSを書いたのも10年前、あの震災のさらに前なのだと思うと、本当に感慨深いものがあります。

余裕があれば書きかけのものを完結させたいところですが、まずは出来上がっているものから。
当時のスレ住民の方々はもちろん、その後の10年でギアスやロスカラを知った方々の、ちょっとした潤いになれば幸いです。



私の加蓮が歌う詩


※2018/12/3 誤字・脱字の修正やレイアウトの変更を行いました。
       大意に変更はありません。


ライブでの披露も終わったので、「君への詩」について語ろうと思う。
わざわざこのエントリを訪れてくれている訪問者は、私が過去に書いた分析・解説系のテキストを読んで、それなりの評価をしてくださった方々が中心だろう。
でも、今回はいつものように客観的であろうと努力をした類のテキストではない。
主観で語られる、楽曲と総選挙と、“うちの”北条加蓮のお話だ。
得られる情報はあまりないし、そもそも主観で歪みきっている。
文章の見た目も整えないし、あまり推敲もしていない(多少の誤字・脱字、勘違いはご容赦のほどを)。
全てご了承のうえ、界隈から少し離れたところで潜伏している、引きこもり気味な加蓮Pの独り言に付き合う気のある同僚の皆様だけ、お付き合い頂ければ幸いである。


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燃えよセイバー/騎士王修行編〜王でも出来る絶品料理〜



劇場版「Heaven's feel」公開ということで、今さらながら再掲(?)第三弾。
あとでもうちょっと修正するかもですが、とりあえずUP。

「Fate/stay night」、並びに関連作品の一部ネタバレを含みます。
まだ原作コンプリートしていない方は、最低でも凛ルート、できれば桜ルートを終わらせてからお読みになることをお勧めします。
アニメ版「UBW」でも大筋は理解できますが、アニメ版とは別の結末(「凛グッドエンド」)をベースにしているため、おすすめはしません。

一応、他の「燃えよセイバー」シリーズと同一世界観。
セイバールートほどではありませんが、セイバーがかなり士郎べったりになっています。


また、他の再掲作品同様、原作PC版発売直後に執筆された作品(2004年!)であるため、2017年現在の公式設定・キャラクターのイメージとは必ずしも一致しない内容が含まれています。
ある程度の加筆修正は行いましたが、全ての整合性までは取られていません。
ご了承の上お読みください。
サイトの保管庫には、オリジナルバージョンが掲載(というか放置)されたままになっています。





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北条加蓮の隠れた名台詞 〜   なら〜

■北条加蓮の隠れた名台詞 〜   なら〜


※当エントリではモバゲー版のぷちデレラ関連の台詞、「スターライトステージ」の一部台詞について言及しておりません。
 現状では全体の傾向について紹介している、という形でご理解下さい。


※2019/4/26 【ポリッシュトラスト】に関する情報を加筆し、改題・加筆しました。







「北条加蓮の台詞と言えば?」と問われれば、大抵のプロデューサーがあげるであろう名台詞があります。
それはもちろん、

大丈夫。貴方が育てたアイドルだよ

です。
これはもともと、モバゲー版(以下、「モバマス」)2枚目のカードである【制服コレクション】で表示される台詞でしたが、後のカード・シチュエーションでも形を変えながら使われ続け、ついにはアニメ版「シンデレラガールズ劇場」PVにも(これまたアレンジされつつ)登場しました。
今や、加蓮ひとりの名台詞にとどまらず、作品を代表する名台詞のひとつにまで成長した、と言って良いでしょう。



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ですが、加蓮にはもうひとつ、繰り返し使われている象徴的な台詞が存在しています。
今回は、一部の加蓮P以外にはあまり知られていない、とある台詞について紹介していきます。

その台詞は、原典があまりにも古すぎるため、特に「スターライトステージ」専業のPだと、加蓮Pですら詳細を知る機会がなくなってしまった「古典」とも呼べるものです。

「モバマス」の最初期、「大丈夫。貴方が育てたアイドルだよ」よりも前から続く、隠れた名台詞。
このテキストが、ちょっとした温故知新の手助けになれば幸いです。




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北条加蓮と母子の聖夜〜876コラボを振り返る〜

■北条加蓮と母子の聖夜〜876コラボを振り返る〜


※2017/4/25
  テキストの一部を修正しました。
 大意に変更はありません。 

※2017/4/27
 画像の一部を修正しました。


モバゲー版「シンデレラガールズ」にて実施された876プロとのコラボ企画、全3弾が完結しました。
今回はその第一弾、クリスマスを舞台に母子の絆が描かれた「ディアリ―スターナイト」に関連して、北条加蓮とその母の隠れた物語について紹介していきます。

本エントリは、「薄荷」CDドラマパート・「スターライトステージ」ストーリーコミュなどの軽いネタバレを含みます。
あらかじめご了承ください。



■母子の食卓

「ディアリースターナイト」のエンディングでは、イベントに参加したアイドルのうち数名が、クリスマスを母と触れ合いながら過ごす光景が描かれました。
そのうちのひとりが、北条加蓮です。


加蓮コラボED1加蓮コラボED2加蓮コラボED3


一見すると「思春期の娘が照れ臭そうに母へプレゼントを渡している微笑ましい光景」に感じられます。
印象そのものは決して間違っていませんが、母と子がこの光景へ至るまでには、ちょっとした(そして当人たちにとっては長く険しかった)ドラマが存在しているのです。



ストコミュ画像2


これは、「スターライトステージ」ストーリーコミュ第31話「Monochrome Memory」 での一幕です。
厳密に言えば、モバゲー版のイベントである「ディアリ―スターナイト」と同じ世界での話ではありませんが、闘病中の加蓮がどのように感じていたのかが、赤裸々に描かれています。

また、個人曲である「薄荷」と同時収録のドラマパートにおいて、加蓮は退院後の自分を振り返り「何も続かなくてやる気もなくしてたし、親にも酷い態度だった」と口にしています。

つまり、加蓮の主観においては、長い間(プロデューサーに見い出されてデビューするまで)母との関係はあまり上手くいっていなかったのです。
こうなると、どこか照れ臭そうな「い、いつも、ありがと。……それだけ!」という台詞に込められたニュアンスに、さらなる深みが出てきます。





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凍った世界の魔法〜「Frozen Tears」から読み解く北条加蓮の成長〜

(2/9 一部テキストの誤字訂正、表現の変更を行いました)
(7/31 テキストと画像の追加、表現の変更を行いました)
(2019/4/13 テキストの校正を行いました。大意に変更はありません)




■凍った世界の魔法〜「Frozen Tears」から読み解く北条加蓮の成長〜



この曲は、北条加蓮の歌声が見せる5分半のドラマである。」


「リスアニ! vol.23.1」レビューにおいて、北条加蓮の個人曲「薄荷」は、上記のように評価されました。
「薄荷」の雰囲気を明瞭にまとめた見事な表現です。
加蓮はただひたすらに、「きみ」と出会ってからの時間を切々と歌い上げ、最後には「ずっと一緒にいたい」という思いをそっと吐露します。

「きみ」への思いの強さを綴り続け、すべてが「きみ」との関係性の中で描かれる歌詞。
幸福感に満ちながら、どこか閉鎖的・消極的にも感じる世界観は、「薄荷」発売当時の北条加蓮像を端的に切り取っています。

「薄荷」がリリースされた2014年4月当時、加蓮の人間関係は非常に限られたものでした。
強い関係性を持ったアイドル仲間は奈緒と凛の二人程度、「スターライトステージ」以降で親しくなるアイドルたちとは、ほぼ無関係。
かろうじて速水奏との「モノクロームリリィ」は存在していますが、後のCasketsやMasque:Radeのメンバーとはほとんど縁がありません。
「シンデレラガールズ劇場」で、その時々のガチャやイベント関連のアイドルと共演するのがせいぜい、という状態でした。
加蓮の人間関係は、作中のプロデューサーかトライアドプリムス、そのどちらかに限られていた、と言ってもさほど大げさではありません。

この人間関係の狭さは加蓮に限った話ではなく、2014年初頭の「シンデレラガールズ」においては多数のアイドルに当てはまる短所でした。
まだモバゲー版(以下、「モバマス」)とその関連商品だけで展開されていた当時、横の広がりを描くほどの余裕はまだなかったからです。

とはいえ、加蓮が知名度・出演率の高さのわりに、Pや奈緒・凛ばかりと絡む傾向があったのは確かです。
「スターライトステージ」以降、急激に広がった人間関係と比べると、「モバマス」当時の加蓮は狭い世界に生きていました。
ことに、Pへの傾倒ぶりはアイドルの中でも屈指と言って良く、Masque:Radeでダブルセンターを勤めることになる片鱗を既に見せていました。

「薄荷」の歌詞は、当時の加蓮の特徴を良くも悪くも忠実に再現しています。
「薄荷」は──少なくとも結果的には──「きみ」(に仮託されているプロデューサー)との関係性に全てが集約される、
北条加蓮の幸福と消極性を描くことになったのです。


それでは、2017年2月に発売された北条加蓮ふたつめの個人曲「Frozen Tears」は、この不器用なアイドルをどのように描いたのでしょうか?

今回は、「Frozen Tears」に詰まっている加蓮のエッセンスを、作中で描かれてきたシチュエーションや、デビュー曲「薄荷」と比較しながら解説していきます。
最終的には、「Frozen Tears」が描いている“現在”の北条加蓮像と、そこに至るまでのキセキに迫ることができれば、と思っています。
同僚の皆さまに、楽曲と加蓮の素晴らしさの一端を伝える一助となれれば、これに勝る喜びはありません。


※注意事項

・本エントリでは「薄荷」と「Frozen Tears」の歌詞を掲載しています。
 ネタバレが発生するので、試聴可能な1番だけでも鑑賞した上でお読みになることをおすすめします。

・筆者に音楽面での素養がないため、歌詞の解釈に特化した内容です。
 また、作詞家の意図とは別に、「結果的にそう受け取ることができる」という解釈についても積極的に取り上げています。
 作詞をしている時点では想定しえない形でリンクしている例についても、偶然そうなったことも作品の一部であるというスタンスで考察しています。

以上、あらかじめご了承の上、お読みください。




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