(上記のものは私が購入したものとは出版社が異なりますが、同一のものを見つけきれなかったので似たものを張っておきます)

おすすめ度:★★★★★
英語難易度:★★★★

以前から気になっていた本。ハリソン・フォード主演で映画化されたので読んでみました。調べてみると今回で6度目の映画化らしい。広く愛されている小説なんですね。

1903年発行、Jack Londonの処女作。まあまあ古いけどそこまで古くない英語です。でも、現代大衆小説と比較すると読みづらいことは確か。時代背景としてはゴールドラッシュ時のアラスカ、犬が主役の冒険成長小説と言ったところでしょうか。著者の履歴をWikipedia先生で勉強したところ、並々ならぬ苦労人で、波乱万丈の人生を歩んだ人のようです。いわゆる富裕層で大学を出た人間とは、明らかに一線を画す経歴の持ち主。ぬるさは一切ありません。実体験の激しさ、厳しさ、生々しさが本作にも色濃く投影されていて、胸に迫るものがありました。

犬が主役なのであまりセリフはありません。ほぼほぼ地の文です。ゴールドラッシュの波に乗りアラスカに渡った著者の体験をヒントに書かれた本なので、その時代の話しということを念頭に置いて読んでおかないと「動物が可哀そう」という印象だけで終わってしまいかねないです。動物愛護という思想も何もなかった時代の話なので、犬に対する扱いはひどいものがあり動物愛護団体の人が読んだら激高しそうな描写もあります。でも、そういう時代だったんですよね。

当初、飼い犬としてぬるい生活を送ってきた犬が、ひょんなことからアラスカに売り渡され、犬ぞり隊の一員として走ることに喜びや生きがいを見出す。そんなある日、森の奥から聞こえる何者かの呼び声に誘われ森をめぐるようになる。初めて野生のウサギを捕らえ、したたり落ちる血にエクスタシーを感じ次第に野生へ回帰していく。最終的には自然で得られる手応え、みずみずしいまでの「生きてる!」って感覚以上の喜びはない、もはや元には戻れないと確信するに至る。

余談だけど、私は一時期田舎で犬の散歩のアルバイトをしていたことがあります。犬って基本的に土が好きなんですよね。犬が生き生きと森の中を駆け巡るシーンを読んでいると、一日中部屋に閉じ込めらた室内犬が可哀そうに思えてくる瞬間も正直ありました。でも、室内犬のほうが安全だし、それはそれで幸せなんですけどね。飢えることもないですし…どちらか選択する余地があるとして「自分だったらどちらを選ぶかな?本当の生きがいって何なのだろう?」と、しばし考えさせられました。ただ確かなことは、賢く思いやりのある飼い主に当たらないと生きづらいことは確か。これは人間でもそうですね。子は親を選べませんから。

ちなみに、コロナ騒ぎで映画館は敬遠されていますが、どうしても気になって映画も観に行きました。お客さん5人だけ。動物虐待のシーンは原作よりも柔らかめに描かれていたり、アメリカ原住民の残虐行為は設定が変更されていたりもしましたが、原作の雰囲気はうまく描かれていたように思います。

英語レベルは難。特に最初は文体も単語も堅苦しい。文が力み過ぎている印象を抱いてしまった。でも、これは私の英語レベルが至らないせいなのかもしれない。後半は筆の流れも良く、徐々に読みやすくなってきました。

久々に、のめり込んで本を読めた気がしました。短編ながら奥深い。ぜひとも再読したい1冊です。