夜の国のクーパー/伊坂幸太郎職業としての小説家/村上春樹

2018年05月31日

サカサマのパテマ/吉浦康裕

これは面白い!
タイトルとパッケージからおおよその内容は予想できるが、真逆の重力が作用する男の子と女の子が出会って(女の子が地下から空へ落下するところを男の子が助けて)、悪者に追っかけられて、心を通わせて・・・っていうような話である。全体的にもラピュタ感あるが、とくにこのシーンを本歌取りして作られたものなんじゃないかと。

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これたとえばカルヴィーノの短編とかにあったみたく二つの重力圏の合間というのではなく、おそらく現代物理学では説明がつかない現象だろうと思うが、とある科学実験の結果として一群の地球上の人間というか物質もろともがまるまる反重力性とでもいうものを帯びてしまうという設定で、なかなかに頭がこんがらかる。最初のほうは、その体勢維持できるってどんな腕力なんだよ、とか、反重力カレーパンを消化できるのかよ、とか半ばつっこみ入れながら見てたのだけど、だんだんとそういうむずむずも前向きに感じられてくる。認識の土台がぐらぐら揺さぶられて、気色悪さが気持ちよい。上昇と落下を同時に体感する、というようなありえないことが、感覚的に体感できてしまう。One man's ceiling is another man's floorなんて歌もあったが、実際にそれを見せられてしまうと「認識の相違」なんて寓意に還元できない映像の作用があって、もはやある種の錯覚実験のようですらある。見終わって、テーブルの上にあるスプーンを見て、そこにスプーンがあるということ、つまり浮き上がったりしないで動かないでおそらくは下方からの重力に引かれて、あるということ、そのことが妙に不思議に感じられた。ニュートンがリンゴの落下を見て感覚したのもそんなだったかもしれないというような。
こまかいところはやや杜撰でB級感あって、悪役の動機とかぜんぜん説得力なかったりするし、もっと良くなりえた映画だと思うけど、とりあえずはこの大きな設定のもたらす効果という点だけでも、見る価値は十分にあるかと。

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KADOKAWA / 角川書店 2014-04-25





mdioibm at 23:05│Comments(0) 観画録 

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