うつの症状にもいろいろある。うつ病とうつ状態は異なるとも言う。私の場合、双極性感情障害Ⅰ型との診断だが、うつでも食欲は無くならないし、睡眠はむしろ増える。典型的なうつではなく、私が経験したうつにもいくつかあるので整理してまとめておきたい。

1.感情はなくなるが、仕事は出来る
こういう状態の時もあった。仕事は淡々といつも以上にこなせるが、達成感も喜びもない。自己評価も低くなる。やらなければいけない、と思ったこと以外には、服装など無頓着になる。気分は落ち込んでいるが、それなりに安定している。

2.ただ寝ているだけ
何も考えられなくなり、引きこもり、ただ寝ている。着替えもせず、風呂にも入らない。ネットで良くいう、寝逃げが続く状態だ。

3.虚無
一切の感情が湧かなくなる。私見だが、これは薬の副作用か離脱症状だと思う。着替えること、歩くこともしんどい。もちろん何も手につかない。生きている意味がないと思う。一日に価値が見いだせない。生きていても仕方がないと思うようになる。

入院中に何人ものうつの患者を見てきた。拒食になって、やせ細って行く人もいる。病院でブラジャーで首つり自殺をし、未遂になった人もいる。ODで運び込まれた人もいた。

昔、女友達が電話で、不眠と休日の外出恐怖になり、精神科を受診するかどうか私に聞いてきたことがあった。私はその時すでに通院しており、精神科を知っていたので、行かない方が良いと言った。彼女はしばらくして立ち直ったようだ。

本当のうつ状態になってしまうと、聞く力も無くなってしまう。だから、カウンセリングや精神療法をいくらやっても効果がないように思う。リスクを伴うが、薬の力を借りるしかない時もあるだろう。もっとも、「本当のうつ状態」でもないのに薬を処方することには反対だ。すぐにパキシルを処方するような医者もいるから恐ろしい。せめて、デパスかソラナックスにして欲しい。ましてや、リタリンなどという覚せい剤を処方する医者もいるのだ。怖い怖い。

うつの治療の基本は抵抗しないことだ。休めというサインだと受け止めてそれに従う。うつを治して頑張ろうとすると、逆に深みにはまって抜け出せなくなる。病院に行くなら、信頼できる医者をまず探さなくてはいけない。風邪薬をもらいに行くのとはわけが違う。良い精神科医を見つけるのはなかなか難しいし、近所にはいないかもしれない。

うつ病に用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬、デプロメール、ルボックス、パキシル等)は、脳の「腹内側前頭前皮質」という場所に作用する。ここは、個人の根本的な価値観、心、人格を司る部位であると言われている。薬は、この部位に直接働きかけて人格を変えようとするものだという医者もいる。薬を簡単に考えないで欲しい。