2008年04月30日

〈第23回〉「オールド・タイム・レイディ」(マリア・マルダー/1973年)

8e127777.jpg青年部小谷のこの名盤を聴け〈第23回〉
「オールド・タイム・レイディ」(マリア・マルダー/1973年)

今回の原稿を書くにあたって、今までこの連載で女性シンガーのアルバムを取り上げた事が無かったので、今回はそれで行こうと思い、女性シンガーを思い浮かべてみた。すると、ジャニスやママ・キャス、ジョニ・ミッチェルを抑えて最初に頭に浮かんで離れないのがこのアルバムだった。この作品を名盤とたらしめている要素は、マリア・マルダーの歌声は勿論だが豪華なバック・ミュージシャン達だろう。ライ・クーダー、エイモス・ギャレット、クラレンス・ホワイト等々、名手が集って、アメリカン・ルーツ・ロックの真髄を聴かせてくれている。
この作品最大の聴き所は、名曲「真夜中のオアシス」である。この曲の素晴らしさを文字で伝えるのは難しいのですが、夜、この曲がスピーカーから流れてくると、まるで部屋の空気が変わったような気分になる。グッド・タイム・ミュージックの歌姫マリア・マルダーの妖艶なヴォーカルを堪能してほしい。
  

Posted by me_kike at 18:05Comments(0)TrackBack(0)

2008年01月30日

〈第22回〉「アニマルズ」(アニマルズ/1964年)

8103be6d.jpgこの名盤を聴け〈第22回〉
「アニマルズ」(アニマルズ/1964年)

私がアニマルズの曲を聴いたのは13才の頃で、父の持っていたカセットテープに入っていた「朝日のあたる家」でした。ジャケットも何も無いテープだったので、どんな人物が歌っているかは知らなかったが頭の中では黒人のおじさんが歌っているイメージが有り、後に英国の若い白人だと知った時は少し驚いた。そんな声の持ち主、エリック・バードンと名キーボード奏者アラン・プライスが在籍したアニマルズのファースト・アルバムが本作。収録曲は、同時代の英国のバンドがこぞってカヴァーしたR&Bの名曲ばかりでアニマルズの自信のほどがうかがえる。
「ブーン・ブーン」などは今やオリジナルよりアニマルズのバージョンの方が有名。中でも「ストーリー・オブ・ボ・ディドリー」は私の大好きな曲で、ボ・ディドリーの曲をベースにビートルズやストーンズの曲の一節を織り込み、ボ・ディドリー物語とロックの歴史を歌っていく。英国に来たボ・ディドリーとこの曲を演奏するアニマルズが出会うオチも面白い。個人的な意見ばかりで申し訳ないが、本作の国内盤CDのボーナス・トラックの一曲「トーキン・バウト・ユー(フル・バージョン)」はバードンのシャウトとプライスのオルガンを中心に熱い演奏が7分間も楽しめるアニマルズの最高の一曲。 この翌年にはプライスが脱退、最強メンバーの時代は終わってしまいます。短くとも濃密なオリジナル・アニマルズの腰の入ったR&Bを聴け!
  

Posted by me_kike at 18:18Comments(0)TrackBack(0)

2007年11月30日

第21回「ナイアガラ・カレンダー」(大滝 詠一/1977年)

「ナイアガラ・カレンダー」(大滝 詠一/1977年)
大滝作品の中で一番好きなのは?と訊かれると悩んでしまいますが、私が一番よく聴く大滝作品は間違いなくこのアルバムです、一年、12ヶ月を12曲で表していて、曲によっては同じ人の同じアルバムに入っていると思えないほどバラエティーに富んでいながら、カレンダーの名の下に統一感がある、ロック、ポップスの名フレーズを織り込みながらお正月の情景を歌った「ロックンロールお年玉」、悲しいバレンタイン・ソングの最高峰「ブルー・バレンタインデイ」、ファースト・アルバムの曲のセルフカバー「五月雨」、後のアルバム「ロング・バケイション」に通じる「青空のように」、サーフ・ミュージックのパロディ「泳げカナヅチ君」、演歌とレゲエの合体「名月赤坂マンション」、日本的クリスマスを曲にした傑作「クリスマス音頭」等ノベルティソングからメロディアスな作品まで、70年代ナイアガラ・サウンドの集大成、私はこのアルバムを年末によく聴く、曲を聴> きながら一年を振り返り、アルバムのエンディング、クリスマス音頭〜除夜の鐘〜お正月(滝 廉太郎作)を聴くにつけ、年々失われて行くように思える日本人的年末年始の心情を強く感・犬襦とlt;br clear="all">  

Posted by me_kike at 12:25Comments(0)TrackBack(0)

2007年04月30日

第18回「クルージン・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェッツ」フランク・ザッパ/1968年

036d8df3.jpg「クルージン・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェッツ」フランク・ザッパ/1968年

私がフランク・ザッパを聴き始めたのはそれほど昔の事ではない。
十年以上前の19才の頃、一度聴こうと思ったが、レコード屋に並ぶあまりに大量のCDを見て、どれから聴けばいいのか?と思い、さらに気持ち悪いタイトルやジャケットに女・子供は近寄るな!的な威圧感があり、聴くのを断念した事があった。
その後十年余り、難解、変態、マニアックなイメージのザッパを敬遠していたが、ある日、30になったことだしザッパでも聴いてみるかと思い、買ったのがこのアルバム。聴いてみると今までのザッパのイメージと全く違う。それもそのはず、ザッパの作品の中でも異色作で、50年代風ドゥーワップで統一されたアルバムだ。デビュー前からドゥーワップのレコード制作に関わってきただけあって全編ドゥーワップへの愛と造詣の深さが感じられ、実に良く出来たドゥーワップ・アルバムだ。
しかし、そこはあのフランク・ザッパの事、単なるドゥーワップ、R&Bのアルバムであるはずが無い。
例えるなら、見た目は人間だけど中身は別の何かのような、微妙な違和感がある。歌詞もベタなラヴソングに見せかけて所々に毒があり、ティーン・エイジャーに対する皮肉が含まれている。パロディ的要素と本格的ドゥーワップが同時に楽しめ、さらにこのアルバム自体が68年当時の音楽業界への皮肉とも思えるユニークな作品だ。
ザッパのアルバムの中でも特殊なこの作品は、ザッパを初めて聴く人にはあまりオススメ出来ないかもしれないが、私にとっては広大なザッパの世界への入口となった。ロック、現代音楽、ジャズ、クラシック等様々なザッパの活動の中でも私はこの作品に愛着がある。
  

Posted by me_kike at 21:01Comments(0)TrackBack(0)

2007年01月31日

第17回「アルバム第2集」ザ・ゴールデン・カップス/1968年

c3443768.jpg「アルバム第2集」ザ・ゴールデン・カップス/1968年
今から40年前、グループ・サウンズ(GS)ブームがあった。その後日本に興る多くのブーム同様、約2年のブームは急速に衰退、終焉を迎え、忘れ去られていった。
そして長い間、懐かしのGS云々とヒット曲のみで語られる状態が続いた。しかし80年代末頃からレコード愛好家の間でGS再評価の気運が高まる。そのキッカケの一つが海外で発売されたGSの作品集で、それまでの日本で出たヒット曲中心の選曲と違い、GSをガレージ・サイケ、ガレージ・パンクと捉えた選曲で、それまで見過ごされてきたアルバム収録曲やマイナーなバンドが注目され、日本でカルトGSのCD復刻が相次いだ。
本作はGS界切っての実力派、ゴールデン・カップスのアルバムで、「ショットガン」「ホールド・オン」「スプーキー」等彼ら得意の洋楽カバーが中心で、これが文句なしにカッコいい。68年の日本にこれほどのバンドがいた事に驚かされる。カップスに限らずGSにはヒット曲(シングル曲)に対してアルバム収録曲やライブでの演奏とのギャップが大きいバンドが多い。これはバンドの意向(オリジナル志向や洋楽志向)に対してヒット曲を出したいレコード会社側が職業作家の作った歌謡曲風の歌のレコーディングを要求、当然嫌がるバンドが多いがレコードを出したいので、シングル=歌謡曲、アルバム=ロック、といった所に落ち着く。そこでバンド側も歌謡曲風な曲を自分達のスタイルで演奏しようと試みる。そこに絶妙な化学反応が起こり、日本が世界に誇る?GS歌謡の誕生となる。
本作の「クールな恋」はGS歌謡の傑作、ヒット曲「長い髪の少女」、サイケなオリジナル曲「午前3時のハプニング」等聴きどころが多い。そして随所で時代を感じさせるファズ全開のシビレるようなギターが鳴り響いている。
  

Posted by me_kike at 16:30Comments(0)TrackBack(0)

2006年11月30日

第16回「サンフラワー」ザ・ビーチ・ボーイズ/1970年

「サンフラワー」ザ・ビーチ・ボーイズ/1970年

私は「一番好きなビーチ・ボーイズのアルバムは?」と聞かれたら「サンフラワー」と答える。世紀の名盤「ペット・サウンズ」はブライアン・ウィルソンのソロ的要素が強いので、ロックバンド、ビーチ・ボーイズとしての最高傑作は本作だと思う。今でこそ評価は高いが発表当時はバンドの人気低迷期と重なってアメリカでは商業的に失敗作となってしまった。
ビーチ・ボーイズはどんなにクリエイティブな傑作を作ろうと、拭い去れないデビュー当初のサーフィン・バンドのイメージが付きまとっている。バンド名からしてビーチ・ボーイズだし、聴く側の人間はどうしても海や車や明るい歌詞を求めてしまうのだろうが、幸い私は60〜70年代のビーチ・ボーイズをリアルタイムで聴けなかった代わりに変な先入観無しに初期〜後期まで聴きまくったものでした。逆に最近の若いリスナーは66年頃のブライアン・ウィルソン伝説が大きく扱われすぎて、初期の曲を蔑ろにしてるのでは?ってビーチ・ボーイズの事になるとつい熱が入ってしまいますね。
本作の話に戻ります。中心人物のブライアンがほとんど隠遁生活に入り、グループも様々なトラブルに見舞われる中でこの傑作は生まれた。一線を退いたブライアンに代わり他のメンバーが活躍、特に弟のデニスが歌に作曲にその才能を開花させている。他のメンバーの曲も良い曲揃いだ。ブライアンがリタイア中と書きましたが、70年前後の他のアルバムに比べると本作にはかなり係わっている様子だ。中でも彼の新作「ディス・ホール・ワールド」は名曲である。病んでいてもこんな作品を作れるのが天才たる所以か。そしてビーチ・ボーイズと言えばコーラスが有名ですが、本作でも円熟したコーラスワークが堪能できる。
激動の60年代を生き延び、メンバーが団結して作り出したこの名盤を聴けば、ビーチ・ボーイズがブライアンだけのバンド、ましてサーフィン・オールディーズバンドでは無い事が解るだろう。
  

Posted by me_kike at 16:27Comments(1)TrackBack(0)

2006年11月09日

第15回「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」ザ・キンクス/1969年

9b5063a8.jpg「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」ザ・キンクス/1969年

このアルバムの12曲は、個々の曲として楽しめる上に全曲を通して一つの物語になっているロック・オペラです。アーサーという一人の男の人生と英国社会が描かれています。曲ごとにあらすじを紹介しますと、1「ヴィクトリア」アーサー誕生、声高らかに国と女王を讃えるパワフルなロックナンバー、2「イエス・サー・ノー・サー」軍国主義の歌、3「サム・マザーズ・サン」反戦歌、4「ドライヴィン」仕事や戦争は忘れてドライブに行こうと歌う現実逃避の歌、5「ブレインウォッシュド」国による洗脳の歌、6「オーストラリア」アーサーの息子夫婦が豪州へ移民してしまう、7「シャングリ・ラ」ついに手に入れたマイ・ホーム、ここが人生の終着点なのか?8「ミスター・チャーチル・セッズ」国を守れと演説する首相と戦争に耐える市民、9「マリーナ王女の帽子のような」庶民の生活、10「若くて純真な時代」老いたアーサー昔を思う、11「ナッシング・トゥ・セイ」親子関係の歌、12「アーサー」フィナーレ。曲の良さとストーリーのバランスという点でキンクスのロック・オペラは完成度が高い、たまには歌詞を読みながらじっくり音楽を楽しもう。
  

Posted by me_kike at 20:04Comments(0)TrackBack(0)

2006年08月21日

第14回 「風街ろまん」 はっぴいえんど/1971年

5e0465f0.jpg「風街ろまん」 はっぴいえんど/1971年

 今更説明するまでもない日本の音楽史に残る大名盤。大滝詠一・細野晴臣・松本隆・鈴木茂の4人による伝説のバンド、はっぴいえんどの最高傑作。70年のデビュー当時、日本語のロックは内田裕也を代表とする英語ロック派と論争を起こしたが、今となってはこの作品こそが日本語ロックの最高峰であり、日本語でロックが歌えるのか?という問いへの明確な答えに思える。
このアルバムのコンセプトは、東京オリンピックによって失われた街、記憶の中の東京でアメリカンロックと谷川俊太郎、宮沢賢治、江戸川乱歩等文学世界との融合が見事だ。私は以前60年代〜70年代の日本のロックはダサいと聴きもしないで思っていたけど、このアルバムを聴いて、まさに目から鱗が落ちる思いだった。私にとってのこの作品は、URCを中心とした日本のフォーク、ニューロック、そしてGSへと音楽の扉を開いてくれた重要なアルバムだ。
  

Posted by me_kike at 00:57Comments(0)TrackBack(0)

2006年04月30日

「ランディ・ニューマンを歌う」 ニルソン

099cc91c.jpg第13回 「ランディ・ニューマンを歌う」 ニルソン/1970年

 ニルソンは「ウィザウト・ユー」や映画「真夜中のカウボーイ」
主題歌「うわさの男」等のヒットで知られる抜群の歌唱センスを持
った、シンガー・ソングライター。
ランディ・ニューマンは皮肉に満ちた歌詞を美しくポップなメロデ
ィで歌い、数多くのミュージシャンに楽曲を提供しているシンガー
ソングライター。
 このアルバムは全曲ランディ・ニューマン作の曲をニルソンが歌
う、夢の共演盤だ。ニルソンは前作でも「サイモン・スミスと踊る
熊」をカバーしていて、この作品での二人の相性は最高、全編を通
して聞こえてくるのは、ニューマンの演奏するピアノとニルソンの
歌、とてもシンプルでありながら深遠だ。何といってもニルソンの
歌唱力が素晴らしい、その表現力は傑出している。
 このアルバムの曲の多くはニュ―マン本人によるバージョンやハ
ーパース・ビザール、ヴァン・ダイク・パークス等によるカバ―も
あるので聴き比べるのも楽しい。
最高の楽曲を最高の声で歌う、至福の一枚。  

Posted by me_kike at 16:01Comments(1)TrackBack(0)

2006年01月30日

「ラム」 ポール・マッカートニー

8d5ac8a2.jpg第12回 「ラム」 ポール・マッカートニー(1971年)

 日本ではビートルズファンの中でジョン・レノン派が一番多い。なぜポール派の方が
少ないのか?それは諸説あるが、それは置いといて、ポップで時にアバンギャルドな
ポールの魅力が今以上に評価される事を願ってこのアルバムを紹介する。
 ソロ2作目となるポール&リンダ・マッカートニー名義のこの作品を発表したのは、
ビートルズ解散の一年後、自身のバンド、ウイングス結成前夜だ、ビートルズ時代と、
大ヒットを連発するウイングス時代に挟まれて一般的な知名度は低いかもしれないが、
ファンの間では、人気の高い作品だ。バックにニューヨーク・フィルを起用し、作曲・ア
レンジ等随所にポ―ルの得意とする手法が見られ、曲調も多種多様で飽きさせない。
シングル・カットされ全米1位を獲得した「アンクル・アルバート/ハルセイ提督」はグラ
ミー賞のベスト・アレンジ賞、ヴォーカリスト賞を受賞した。
 そして、この作品中一番の聴き所はラスト・ナンバーの「バック・シート」だろう。メロディ
アスでパワフルなヴォーカル、ドラマチックな展開、美しく複雑なアレンジ、どれも最高
だ。私個人的にポールの作品中一番好きな曲だったりする。この曲こそ隠れた名曲だ!  

Posted by me_kike at 23:30Comments(3)TrackBack(0)