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2015年10月

ジョーッ!

勢いのある音と共にボクのズボンに生温かいものが染みこんだ。

「あらっ!」

ヒアリング時には聞くことのなかった大きな声でO様の声が放たれたと同時に、岡村が吹き出した。
横向きで寝そべるひなちゃんがしたオシッコがボクのズボンに直撃したからだ。

「すみません。もう、ひなちゃんったら!」

O様は申し訳なさそうにボクに頭を下げる。

「O様、ひなちゃんを叱らないであげて下さい。それに、謝らないで下さい」
「でも……」
「排泄を我慢したり、したくても出来ない方が心配ですし、こんなこともあろうかと着替えを持ってきていますので」
「すみません」
「いえいえ。それよりもほら、見てください。ひなちゃん、ボクに触れられることを受け入れてくれました」

充分にオシッコを済ませたひなちゃんはボクの手に撫でられながら、握られていたおやつをぺろりん、キラキラしていた。

「この様子なら、ひなちゃんに必要以上のストレスはなさそうです。良かった」

吹き出したとはいえ、岡村もほっとしている。
ボク同様、数頭に及ぶシニア犬の介護経験を有するが故、ひなちゃんが自力でオシッコができたことには安心が先に立つからだ。
その後もひなちゃんとのコミュニケーションを続けた後、ボクはズボンをはきかえに洗面所を拝借した。
その間、岡村もひなちゃんとのコミュニケーションを図ったようで、ボクが戻った頃には互いに仲良しモードであった。

「じゃあひなちゃん、身体のサイズを測らせてね」

ボクと岡村で手分けして採寸をしている最中も、ひなちゃんは終始ご機嫌でいてくれた。

「O様、ついでにひなちゃんの身体についたオシッコをきれいにしてあげてもいいですか?」
「そんな、申し訳ないです。私がやりますから」
「なにを仰いますか。これも一つのコミュニケーションになりますし。それにO様の腰痛がこれ以上悪化してしまったら、ひなちゃんが心配しますよ。ね?」

岡村の意見にボクは頷いた。

「岡村の言う通りですよ。今日からボク達はひなちゃんはもちろんのこと、O様ともパートナーなんですから。みんなで一緒に頑張りましょう。ひなちゃんのストレスを少しでも軽くしてあげる為に」
「本当に……ありがとうございます」

ちいさく震えた声で仰ったO様の瞳は潤んでいた。
最愛のひなちゃんが突然自力で立ち上がれなくなってしまっただけでも動揺は必至なのに、
先行きが鮮明でない介護生活に言いようのない不安を抱え込んでいたのは想像に難くない。
おそらくは随分と御一人で悩まれたのであろうし、無理もなさったであろうと容易に理解できる。

誰だって一人で生きていけはしない。
人生の狭間で不安やかなしみや辛いことに襲われたら、程度の差はあれどネガティブに纏わりつかれてしまう。
そんな時にすら一人で我慢して抱え込んでしまったら、その先にポジティブな要素は見つけづらい。
誰かを頼ること、誰かに弱音を吐くこと、誰かに寄り添ってもらうことに身をゆだねるのは決して弱さではないし、心をさらけだせる誰かがいるならば、差し出されたその手を握ることに躊躇いはいらないのだ。
ボクはいつかの日、そう気づかせてもらったことがある。
そう気づかせてくれた人が在る。
そうして、今のボクが在る。
だから――

「O様、ひなちゃんの為にも無理は禁物です。今はしっかりと腰痛を治して下さい。そうしてまた行きましょうよ。ひなちゃんとのお散歩に」

≪ね、ひなちゃん≫

「ウオンッ!」

〈続く〉

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富山桃吉




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ボクはひなちゃんからあえて視線をずらした。
じっと目を見つめ続けて、ひなちゃんが警戒してしまうのを防ぐ為だ。

「O様、ひなちゃんと良好なコミュニケーションを図りたいので、好物のおやつを少し分けて頂けますか」
「はい。少々お待ちを」

言いながら用意してくれたのは、サツマイモにチーズが巻かれたおやつが入ったパウチ袋だった。

「ひなちゃん、これが大好物なんです」

0様は意図せずパウチ袋を振った。
その音を聞いた瞬間、ひなちゃんがくるりとO様を見上げた。
続けざま、おやつを受け取ったボクにくるり。
効果抜群の予感通り、キラキラさせた瞳でボクを……いや、おやつを見つめている。

「ほら、ひなちゃん。大好物のおやつだよ。はい、どうぞ」

ボクはひなちゃんと同じ目の高さに身をかがめ、パウチ袋から取り出したおやつを一つ、ひなちゃんの顔の傍へピタリと転がした。
我ながらナイス、アプローチ!

すかさず、ひなちゃんは転がってきたおやつをぺろりんとたいらげた。
ナイス、ぺろりん!

間髪入れず、催促するようにキラキラ瞳でボクを見る。
ナイス、キラキラ!

「おいしい?」

ボクの問いかけに、ひなちゃんは嬉しそうに舌を出して答えてくれた。

「そっか。じゃあ、もう一つね。はい、どうぞ」

ぺろりん、キラキラ。

「はい、もう一つ。どうぞ」

ぺろりん、キラキラ。

「はい、どうぞ」

それを数回繰り返し、ひなちゃんの尻尾の方から徐々に距離を縮めていく。
イモムシみたいにモゾモゾ近寄っていくボクを見て、O様はぽかーんとなさっている。
それをちらりと見た岡村はくすり。
ボクはただただ真剣にモゾモゾ、モゾモゾ。
ひなちゃんは引き続きキラキラ、キラキラ。

ぽかーん、くすり、モゾモゾ、キラキラ。
ぽかーん、くすり、モゾモゾ、キラキラ……。
……ぽか、くす、モゾ、キラ……。
ぽ、く、モ、キ。
ぽ、く、モ、キ……。

省略したオノマトペを呪文のように頭の中で繰り返しながら、少しずつ少しずつひなちゃんに近寄っていくボク。
とうとうお腹の横まできた。
今度は手から直接おやつをあげてみる。
視線をずらしたまま、先ずはおやつを握った手の甲をひなちゃんにゆっくりと差し出す。

クンクンクン。
クンクンクン。

よし!
興味を示してくれている。
スローモーションで手のひら側に向きを返して、握った指を慎重にほどいていく。

クンクンクン。
クンクンクン。

おやつの匂いにつられたひなちゃんは鼻先でボクの指をこじ開けて……ぺろりん、キラキラ。
いい感じだ!
それでも慎重を重ね、同じことを数回繰り返した後にもう一つおやつを握ったボクは、いよいよひなちゃんの身体に触れてみようと決断した。

――その時!

〈続く〉

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富山桃吉




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十月三日 十五時三十三分。
推定十七歳二ヶ月を生きたライクは安らかに永眠致しました。

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そして十月五日 十三時。
火葬を無事に終え、ライクの御骨は私と共にメビー・ラックのお店に帰って参りました。

心臓マッサージと人工呼吸を施した手に残る温もりは今も消えずにいます。
以前の当ブログ『「はじめまして」が繋ぐもの』シリーズに記させて頂いた通り、私と迷子シニア犬ライクが出逢ったのは昨年の八月三日のことでした。
それから一年と二ヶ月を過ごした日々は、先日の十月三日でサヨナラを迎えました。
とうの昔に余命宣告を受け、いつお亡くなりになってもおかしくない状況の中で、晩年は介護に追われる毎日でした。
それでも、最後は穏やかに息を引き取ったライクでした。

ごめんね、ライク。
私は結局、ライクが大好きだった飼い主様を見つけてあげることができなかった。
再会を約束したのに、無力で非力でふがいない。
ごめんね、ライク。

飼い主様。
どんな事情があって離れ離れを選択なされたのかはわかりませんが、ライクはあなた様と過ごした楽しかった時間だけを信じて疑わず、感謝を抱きながら目を閉じました。

あの日、病気を患いながらも飼い主様を捜し続けながら歩いていたライク。
収容施設で殺処分に怯えていたライク。

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初めて私の家にやって来た時の不安と安堵が入り混じった表情のライク。
次第に心をゆるして尻尾を振ってくれたライク。
毎朝お腹を見せて寝転がってくれたライク。
いつも、ぴょこぴょこ耳を揺らしながら歩いていたライク。
 

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波間で海水につかったり、どこかへ思いを馳せていたライク。

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患っていた病が徐々に悪化していくライク。

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様々な治療に耐えてきたライク

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それでも。
徐々に歩けなくなっていったライク。


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やがて寝たきりになったライク。

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それでも。
いつも残さずに手作り食を食べてくれたライク。


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そうやって四季を共に過ごしてくれたライク。
出逢って一年目の記念日を一緒に祝わせてくれたライク。


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夜中に遠吠えするライク。
昼夜を問わず発作やてんかんを起こし、苦しそうだったライク。
そのまにまにも、思わず笑っちゃう瞬間をくれたライク。

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そのどれもが唯一無二のかけがえのないライクでした。

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そのどれもが唯一無二のかけがえのないライクでした。

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そのどれもが唯一無二のかけがえのないライクでした。

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そのすべてがライクと私の一年と二ヶ月の散歩道でした。

メビー・ラックの設立意義を享受してくれたライク。
私が私で在ることをゆるし、成長させてくれたライク。
あるがままに生きることの
今を生きることの大切さと素晴らしさを教えてくれたライク。

ライク。
ラーイク。
ライクー。
ライク!

ありがとうね、ライク。
ライクの導きで設立できたメビー・ラックは、おかげさまでたくさんの飼い主様やペット様のよろこびや感謝に繋がるパートナーになれているよ。
ありがとう、ライク。

飼い主様。
あなた様が愛したライクはたくさんの人から励ましや慈しみのメッセージを頂いております。
同時に、ライクはたくさんの人を励ます存在として愛されております。
ライクはたくさんの人のチカラに支えられて天命を全うしました。
様々な理由で愛する存在に離れ離れを選択された保護シニア犬の『モア』や、茶トラの『ツキ』達にも見送られて旅立ちました。


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ライクは最後の最後まで、一秒たりとも孤独ではありませんでした。

それでも――
私はまだまだ弱いから――
私はまだまだ頼りないから――
私はまだまだ未熟者だから――
かなしみの涙で景色が霞んで見えなくなって、ふさぎこみそうになってしまいます。
うれしいやたのしいを捧げると誓った大切なあの人をも、かなしみに巻き込んでしまいます。

それでも――
私はライクが灯してくれたあたたかなアカリを道しるべに歩いていきます。
殺処分や迷子、飼育放棄や遺棄や虐待などがなくなる世界を信じて。
もう一度、大切なあの人にうれしいやたのしいを捧げられるように。
いつまでもあの人が幸せに祝福されるように。
私は歩き続けます。

だからね、ライク。
ライクと歩んだ一年と二ヶ月の散歩道を微笑みと共に振り返ることはあっても、私は決して後戻りしないよ。
だからね、ライク。
これから歩む散歩道で挫けそうになった時はちゃんと立ち止まって休むから、私の大好きなおとぼけ顔を思い出させてよ。


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それでまた呼ばせてね。

ライク。
ラーイク。
ライクー。
ライク!

って。

最後に、ライクにあたたかい想いを寄せて頂いた皆様に心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
きっとそうです。
皆様がライクの存在を知ってくださった事は偶然ではなく必然です。
だとするならば――
ライクをきっかけに、今、あなた様の瞳や心に映るあなた様の大切な存在へ向けて音にした言葉を伝えてくだされば幸いです。

「LIKE」と。


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はじめましてが繋いだ私とライクの物語は
これからも色褪せずに続いていく。
泣いて笑って紡いだ絆は
決してほどけることなく結ばれ続ける。

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉   メビー・ラック一同

親愛なるパートナー ライク



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