メビー・ラック BLOG~今も明日もLucky Life~

あなた様とあなた様の大切な存在が 今も明日もLucky Lifeを送れますように

ペットホテル (REST・STAY) ペットシッター シニアペットヘルパー デイケア保育 シニアペット様ホーム 手作り食&おやつ・プレミアムフード&おやつ オーダーメイドペットグッズ 謝恩グルーミング 迷子ペット様捜索

2017年03月

捕獲器はどこにあるのだろう……。

極力、無駄な動きを抑えながら周辺に目を配りました。
くまなく探していると、木々の間に隠すように設置してある捕獲器の角の部分が視界に入りました。

私は早急に捕獲器の中を確認したい気持ちを、一先ず封じ込めました。
念のため、もう一度、周囲の様子を伺いたかったからです。

幸いにも、やせ細った男の気配はありません。
ついでに、動体カメラの有無の確認もしました。
こちらについても、心配はなさそうでした。

……よおし、これなら大丈夫だろう。
捕獲器へと徐々に距離を縮めていくにつれ、中に入っているかもしれない動物様を怯えさせないように細心の注意を払う私の鼓動は、確実にスピードが上がっています。

落ち着け……。
落ち着け……。
落ち着け……。

呪文のように唱えながら進み、私は捕獲器の全体が見える位置までやって来ると、中に何かがいるのを目視できました。

……あっ!

心の中でそう発した私の目に映ったのは、捕獲器の中でうずくまる一匹の猫様でした。
間違いなく、先ほどのキジトラ猫様です。
かわいそうに、恐怖で動けないようでした。

「大丈夫だよ、今、出してあげるからね!」

小声でそう語り掛け、男たちが猫様を捕獲している証拠写真を撮ってから、私は捕獲器のフラップを開けました。
それでもキジトラ猫様は動かず、私をじっと見上げています。

「ほら、もう出れるよ。行きな」

そう伝えても、身じろぎ一つしないキジトラ猫様を憐れに思って、私はフラップが閉まらないようにしてから、一旦、捕獲器の傍を離れることにしました。
そうして距離を保った位置から、今一度、キジトラ猫様に話しかけます。

「もう二度と、捕獲器には近づいちゃダメだよ。ほかの猫様にも伝えてあげて」

ですが依然として、キジトラ猫様はこちらを見続けています。
ひょっとしたら、私が発した言葉というよりは、私の目の奥から意味を感じ取ろうとしているのかもしれない、と考えました。

だからといって。
いつまでも目を合わせていると、キジトラ猫様のストレスになってしまうかもしれないので、私から目を背け、反対向きになって座り込んであげました。
しばらくそうした後に振り返ると、キジトラ猫様の姿はそこにありませんでした。

胸をなでおろしたのも束の間、私は捕獲器のチェックに向かいました。
仕掛けられた捕獲器は、いわゆる踏み板式と呼ばれるものでした。
あちこちに錆びらしきものが生じているところを見ると、随分と使い込んでいる捕獲器のようです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉

諸々の状況を鑑みて、このまま5分間待って様子見することを私は選択しました。
その間、大柄な男が車内に入ったこと以外特筆すべき物音や気配はせず、時間だけがただ流れて行きました。

やせ細った男は、一体どこでなにをしているのだろうか……。
5分が経っても尚、その姿を確認できませんでした。

もしかしたら……。
神経を研ぎ澄ませていたとはいえ、私が気づかぬ内に、フラップが閉まったであろう捕獲器の確認を済ませたのかもしれない……。

そんなふうに、幾ばくかの不安と後悔が沸き上がった矢先のことでした。
再び、カシャンという金属音が聞こえてきたのです。

今度は左前方の位置からではなく、私の真正面の方向で、もっと距離が遠い位置からでした。
ちょっとした広場を挟んだそこもまた、草木が生い茂っている場所です。

やはり男たちはまだ捕獲器を仕掛けていて、しかも、複数箇所にまたがっている模様です。

たった今フラップが閉まったと推測できる捕獲器の中に入ったのは、先ほどのキジトラ猫様なのか……。
あるいは、ほかの猫様なのか……。
ハクビシンやネズミなどの野生動物様なのか……。
何かのはずみでフラップが閉まっただけなのか……。

このまま待機している限りは、それらのどれにも確証の印を押せません。
であるからして、とりあえず、先にフラップが閉まったとおぼしき捕獲器の確認に動くことに決めました。

私は出来るだけ音を出さないようにしながら、左前方に向かって足を進めました。
そうはいっても、一歩足を踏み出す度に立ち止まっては、周囲の変化に気を配りながらなので、なかなか進みません。
焦ってはダメだ、と自分にいい聞かせながらの動きはぎこちなく、傍から見れば滑稽なそれと映るでしょう。
だけれども、今はそんなことはどうでもいいと開き直り、私は可能な限り先を急ぎました。

そうこうしながら、捕獲器が仕掛けてあるだろう目当ての位置まで、あと半分くらいの距離に来た時、私は大柄な男が乗り込んでいるバンの方向に目をやりました。
草木が邪魔してよく見えない状況ではありましたが、おそらくは変化なしであるように思われます。

やせ細った男の行方は、相変わらず不明のままでした。
現在私がいる場所の近くにも、まったくといっていいほど気配を感じません。

私はもう一度、自分が目指す進行方向に目を戻しました。
何かを踏んで音が出ないように足元をいちいち確認し、足の上げ下げを繰り返していきます。

そのまま進むこと数分後。
ようやく、目星を付けた場所まで辿り着きました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉

現時点では、バンの中に積み込まれた捕獲器の中に、捜索対象の迷子猫様が絶対に入っいるとはいい切れません。
ですが、もしいなかったとしても、私の行動いかんでは、男たちに捕らわれてしまった猫様たちを解放してあげることに繋がります。

それからしばらく、私は静かに深く息を吐き、事態の推移を注視しました。

真夜中の公園内は、時々吹く風に葉が揺れる音や虫の類が落ち葉を這う音以外、概ね静かなものでした。
この状況なら、私さえ微動だせずにいれば、足音なり気配なりで、やせ細った男の動向を容易に掴めるでしょう。

であるからして。
意識を身体の深くに沈ませ、耳を研ぎ澄まし、視野を広く保つことだけに私は集中し続けました。

そのように待機しながら少し経つと、左前方の位置から、カシャンという金属音が聞こえました。
私が今潜んでいる場所と同じく、音がしたその辺りも草木が生い茂っているので、遠目からは目視できません。
だとしても、です。
経験上、この金属音は、捕獲器のフラップが閉まった音に違いないという確信を持ちました。

先ほどのキジトラ猫様が捕獲器の中に入ってしまったのかもしれませんし、ほかの猫様かもしれません。
もしくは、ハクビシンやネズミなどの野生動物様が捕獲器の中に入った可能性も否定できない現況です。

また、捕獲器の中に何も入っていないことだって考えられます。
なにがしかの動物様かは分かりませんが、捕獲器の中に仕掛けられたエサが気になってはいるものの、中に入らず、捕獲器の上などに乗ってしまえば、はずみでフラップが閉まってしまう場合もあるからです。

いずれにしても、近づかなければ確認のしようがないので、直ちに動くべきか、今は動かざるべきか、私は迷いました。

この近くにやせ細った男もいるのだとしたら、捕獲器のフラップが閉まった先ほどの金属音が聞こえているはずです。
ならば、捕獲器の状態がどうなっているのか確認に向かうのは当然なのですが……。
今のところ姿を現す気配はおろか、足音すら聞こえませんし、大柄な男の様子にも特段の変化が見られません。

この状況を踏まえると、捕獲器の中に何らかの動物様が入ったことに、男たちはまだ気づいていない可能性があります。

ならば確認に動くかと思いましたが、私は逸る気持ちを切り捨て、一度、深呼吸をしました。
男たちが捕獲器に動体カメラなどを仕掛けていれば、遠隔での確認も可能なので、私が周囲の状況に頓着しないで捕獲器に近づけば、あっさりとバレてしまうからです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉

 

にほんブログ村 その他ペットブログ ペットホテルへ 

にほんブログ村 

この周辺は、迷子猫様の捜索中に歩き回っているおかげで、立地は頭に叩き込まれています。

そのアドバンテージを活かし、男たちから姿を見られない位置まで来たことを確認してから、私は走り出しました。
一つ目の十字路を左折した先にある駐車場前に自動販売機があるので、そこを目指したのです。

その自動販売機でお茶を二つ購入し、すかさず、来た道を戻りました。

ですが今度は、十字路を右折せずに直進しました。
そして、そこから三つめの十字路を右折し直進すると、やがてクランクとなるので、道なりに進みます。
その道の先は公園の一角になっているのですが、そこからは車両の侵入ができない作りで、階段伝いの遊歩道となっています。

私は忍ぶようにしてその階段を駆け下り、公園内に入りました。
そのまま男たちが停めているバンが見える位置まで進み、木の陰で息を殺しました。
この場所からは、キジトラ猫様が先ほど入って行った生垣周辺も視界に入ります。

私は早速、男たちの姿を探しました。
バンの近くには、タバコを吸っているらしき大柄な男の姿を確認できました。
バンのエンジンは切られているようです。

やせ細った男の方は、バンの周辺にはいません。
公園内に視線を移しましたが、見える範囲にはいないようです。

ひょっとして、残された捕獲器の回収に向かったのかもしれない……。
もし、それがこの近くだったら……。

そう思った私の緊張感は、否が応でも高まりました。
立ち去ったはずの私が、公園内に潜んでいることがバレた場合、今度こそタダで見逃してくれるとは思えません。

結果、私の身に危険が及ぶことは自業自得とはいえ、迷子猫様捜索の継続が難しくなってしまえば、入院中の飼い主様のことがより心配です。
男たちによって、すでに捕らわれてしまっている猫様たちがどうなってしまうのかも、気がかりです。

こうなると、やせ細った男の姿を確認するまでは、むやみに動き回るのは得策ではなさそうなので、私は一先ず、じっと観察することに決めました。
それと並行して、男たちが設置しているであろう捕獲器に、さっきのキジトラ猫様が入らないように祈りました。

私はつぎに、液晶の明かりが漏れないように注意しながらポケットの中でスマフォの画面をいじり、動画撮影がいつでもできる状態であるか、再確認しました。
やせ細った男が捕獲器を回収している姿を撮影し、いざとなったらその動画を証拠として、男たちを追及しようと思ったからです。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉
    

にほんブログ村 その他ペットブログ ペットホテルへ 

にほんブログ村

やせ細った男は、バッグの中から私が何を取り出すつもりなのかと注視しています。
大柄な男もそれは同じで、鋭い視線が私のバッグに注がれているのを感じます。

「えっと……確か……あっ、あった! あった!」

わざと勿体を付けながら、私がバッグの中から取り出したのは、スマフォの充電器でした。

「今日は充電器を持ち歩いていたのを、すっかり忘れていました。わざわざカーナビで調べてもらって、すみませんでした」

男たちの顔を見ると、苛立ちのようなものが浮かんでいます。
作戦通りとはいえ、刺激の程度を間違えれば、あわや暴力を受けかねない危険もありそうで、正直、決して心地の良い雰囲気とはいえません。
それでも、男たちの苛立ちを誘発してボロを出させるためには、もう少しの辛抱が試されます。

私は、男たちにいいました。

「これでもう、迷子にならずにすみます。では、失礼します」

困惑めいた表情で佇んでいる男たちを横目に、私はスマフォに充電器を差し込み、ゆっくりと歩き出しました。

とはいえ。
男たちから逃げたわけではありません。
つぎに思いついた作戦の実行に動きたかったからです。
捕獲器がまだ仕掛けられているのであれば、私の足が公園に向かうことを男たちは恐れるはずで、それを確かめたかったのです。

私は公園に向かって真っ直ぐに歩き続けながら、再び身を潜めざるを得ない場面に出くわした場合に備え、スマフォをサイレントマナーに設定しました。
そうして、先ほどキジトラ猫様が潜り込んだ生垣辺りに差し掛かると立ち止まり、ちらりとそちらに目を向けました。

パッと見、キジトラ猫様の姿はありませんし、捕獲器も見当たりません。
私は、男たちの方へと向き直りました。

男たちは案の定、私の行き先を確認するべく、こちらをずっと見つめています。
大柄な男は、右手の中指で、自分の左頬を掻いています。
暗くてはっきりとは見えませんが、おそらくは、右眉だけをピクッと上げてもいることでしょう。

細身の男は、大柄な男に気を遣っているに違いありません。
かといって、気の利いたリアクションもとれず、もどかしくて仕方がないといったところでしょうか。

そんな男たちに向かってお辞儀をし、私は再び歩き出しました。
ただし、その行先は公園の入り口ではありません。
そこへの進行方向手前には曲がり角があるので、そこを目指したのです。

その曲がり角を右手に折れる際、私は再度、男たちに向かってお辞儀をしました。
暗い上に遠めの位置でありましたが、男たちがまだこちらの姿を見ているのは分かりました。

私はそのまま進み、男たちの視界から外れました。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉
    

にほんブログ村 その他ペットブログ ペットホテルへ 

にほんブログ村

このページのトップヘ