私の話に、男性は目を輝かせた。

「それは、縁起が良さそうなエサですね!」
「Kちゃんの飼い主様方も、それを期待して、この手作り食を私に持たせてくれました」
「ありがたいことです」
「早速、捕獲器を仕掛けましょう」
「お願いします!」
「いや。仕掛ける役は私ではありませんよ」
「え!?」

一般人である私が、立ち入り禁止エリアに入ることはできない。
そのことを再確認すると、男性はモヤモヤした表情を作って、下を向いた。

「ああ……そうでした……」
「そんなに難しく考えないでください。大丈夫ですよ。仕掛け方をお教えしますので」

捕獲器の構造を私が説明し終えると、男性は弱音を吐いた。

「でも、捕獲器に入ってくれますかね……」

過去ブログ『サービスエリアの空の下 7』で書いたが、男性は以前に、捕獲器の使用経験がある。
地域猫様の保護活動をなさっている知人に相談し、今から保護しようとしている白猫様を捕獲器を使って捕まえようとしたそうだ。
だが、その試みは狙い通りにいかず、白猫様は捕獲器の中に仕掛けたエサに見向きもしなかったという。

男性から聞いたその話を基に、白猫様が捕獲器に入らなかった原因を推測するしかないが、

・白猫様にとって、段ボール箱に無理やり詰め込まれた過去がトラウマになったのかもしれない
・そもそも外で暮らしていて、捕獲器使用によって捕まった過去が白猫様にはあったのかもしれない
・捕獲器を設置する場所や方向が不適当だった
・捕獲器の入り口となるフラップの向きが良くなかった
・捕獲器を設置する時間帯が悪かった
・捕獲器を設置する期間が不適当だった
・白猫様にとって、捕獲器の中に仕掛けられているエサが魅力的ではなかった

などが考えられる。
いずれにせよ、だ。
私自身がその現場に立ち会っていたわけではない。
故に、『でも、捕獲器に入ってくれますかね……』という男性の弱音に賛同して諦めるつもりはなかった。

「とにかく、やってみましょう。仕掛ける前から無理だと決めつけてしまっても仕方がありませんし」
「そうですよね……。やってみないと分からないですよね」
「では、私が推測した原因を考慮して決めた場所に、捕獲器を設置しに行ってもらえますか?」
「分かりました」

ヤカンを置き、代わりに捕獲器を抱えた男性は、私が指示した場所を目指して草むらの中に入って行った。

私が指示した設置場所は、白猫様のいるねぐらから少し離れた所だ。
捕獲器の入り口となるフラップの向きは、草むらの奥に建つフェンス側にした。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉