車から降りてきた五人のドライバーは皆、一様に若い。
なにがたのしいのか、大声で喋っては、ケタケタと笑い合っている。

このまま騒がしくされたら、保護しようとしているキジ白猫様が嫌がりそうだなあ……。
喫煙所にやってきたら、尚更、支障が出るかもしれない……。

そんな懸念を私は抱いたが、現実はそうならなかった。
五人のドライバーはフードコート内へ向かったので、ホッとする。

そうはいっても、だ。
食後に喫煙所にやってくる可能性がなくはない。

邪魔にならなければいいなあ……。

そう思いながら、草むらの中に視線を戻そうとした時、私の耳は例の鈴音を捉えた。

どこだ!?

聞こえた鈴音は小さなものだったので、近くではない。

では、草むらの中から聞こえたのか……。

否、そうではない気がする。
というのは、鈴音を捉えたのが、私の右耳だったからだ。
鈴音が聞こえた瞬間、私は五人のドライバーが入って行ったフードコート方面に正対していた。
その向きから左方面が、捕獲器を設置している草むらだ。

右方面はというと。
五人のドライバーが、それぞれの車を駐車した位置である。
いつのまにか、茶色猫様がそちら方面に移動したのかもしれない。
あるいは、幽霊の状態の”シロ”くんが鳴らした鈴音ならば、どこから聞こえてきても不思議ではないだろう。

ただ、幽霊の状態の”シロ”くんが鈴音を鳴らした可能性については、脇に置いた。
繰り返すが、幽霊や心霊現象に関する知識に、私は明るくはないからだ。
よって、茶色猫様が鈴音を”聞かせてくれた”との前提に、私は立っている。

しかしながら、どうしても気になることがあった。
それは、鈴音の音量のことだ。

上記に書いた通り、聞こえた鈴音は小さなものだった。
それから推定するに、私が今いる位置から近くはないと考えたわけだが……それにしたって、だ。
五台の車が駐車している場所と私が今いる位置との間には、ほかの車が停まってはいない。
つまり、私の視界を遮るものはないのだ。

しかも、である。
五台の車との距離は、優に100メートルはある。
鈴音は確かに同方面から聞こえたわけだが……どう頑張っても茶色猫様の姿は確認できない。

仮に、五台の車の陰に茶色猫様が隠れていたとしよう。
だからといって、100メートル以上も距離が離れていては、いくらなんでも鈴音が聞こえるはずがない。

となると。
一体全体、鈴音はどこから聞こえてきたのだろうか。
物理的に無理があるとすれば、やはり、ほかの存在が鈴音を”聞かせてくれた”のではないだろうかと、私は思った。

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉