数瞬をいくつも重ねて待ったが、F様から再びの着信はなかった。
仕方がない。
私は車のドアロックを閉め直し、張り込み場所に向かうべく、顔を上げた。

すると私は、駐車スペースの向こうに、二つの人影を認めた。
それらは、小走りでこちらに向かってくる。

あっ……。

人影の正体を私が認識すると同時に、人影の一方が私に向かって手を振ってきた。
続いて、もう一方の人影が笑みを浮かべながら、会釈を投げてくる。
懐かしいというほど時間が経過しているわけではないが、見知った顔のF様とA様だ。
想像していなかった展開に、高揚気味の私から声をかける。

「どうも! どうも! お二人とも、どうしてここにいらっしゃるのですか!?」

笑顔を弾ませている二人のうち、先に口を開いたのはA様だった。

「これを届けに来たんです!」

差し出されたのは保冷バックだった。

「もしかして、これは……」
「Kの手作り食です!」

F様が割って入り、得意げに付け加える。

「さっきの電話で、Kの手作り食が底をついてしまいそうだと仰っていましたよね? そうなることを見越して、サプライズでお届けにあがりました!」

なんとうれしいことか。
親切心で手作り食を届けに来てくれたらしい。

それにしても、だ。
どうやら二人は、先ほどの電話の時点で、すでにサービスエリアに到着していたようである。
電話が切れる間際の、F様とA様の意味深な笑い声の意味はこれだったのかと理解した私は、謝辞を述べた。

「ありがとうございます。助かります!」
「よかった。よかった。届けに来た甲斐があります」

そういいながら、Kちゃんの手作り食が入った保冷バックを、A様は私に渡してきた。

「すぐに使える分用が半分で、残り半分は凍らせてあります」

どこまでも気が利く。
おかげで、今日一日、残りの量を気にせずにすむ。

「大切に使わせて頂きます」
「どうぞ、役立ててください」

私とA様が話す傍らで、F様はべつのなにかに興味を引かれている。
さりげなくその視線を辿ると、私の車に向けられていた。
A様もそれに気づき、F様に代わって、その興味の理由を私に説明した。

「この人、保護した猫ちゃんを見たいんですよ」
「ボクだけじゃないだろう? 自分だって、見たいっていってたじゃん!」

仲裁に入りながら、私はいった。

「親子二匹は、車内にいますよ」
「見てもいいですか!?」

いかにも待ち遠しいといった感じで聞いてきたF様に、私は頷いた。

「構いませんよ。ただ、二匹は今さっきは眠っていましたし、お二人とは初対面になりますので、驚かせないようにそっと覗くだけにしてあげてください」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉