「もちろん、触りたいなんていいません!」

F様は、私のお願いに誓った。
A様も激しく頷く。

「では、どうぞ。二匹は後部座席にいます」

二人はそろりと私の車に近づき、車内を覗き込んだ。
そうしてから、無言で互いの顔を見合わせ、再びそろりと私の元へ戻ってきた。
一連の動作が、まるで、こそ泥のようだったので、私は笑みをこぼしてしまった。
だが、二人は気分を悪くすることはなかった。
むしろ、自分たちでもその動作が可笑しかったようで、表情が緩んでいる。
A様は白猫様の悪化している皮膚状態に嫌悪する素振りはまったく見せず、二匹の猫様を見た感想を述べた。

「白猫ちゃんの方が母親ですよね? もう一匹のキジ白猫ちゃんにしっかりと寄り添っている姿に母性を感じました」
「そうなんですよ。だからこそ、もう一匹を早く保護してあげたいんです」
「分かります。もう一匹の子も、キジ白猫ちゃんなんですか?」
「そうです」
「今、どの辺りにいるんでしょうね」
「おそらくは、あの草むらの中だと思います」

私が指さした方を見て、今度はF様がぽつりと口を開いた。

「けっこう広いですね……」
「ええ。しかも、一般人の立ち入りが禁止されています」
「それは厄介ですね……」
「ええ。こちらの動きがかなり制限されてしまいますので、確かに、やりにくさはあります」
「二匹を保護した際は、どうなさったんですか?」
「草むらの外で保護したのです」

私は、二匹の保護に至った経緯を、F様とA様に告げた。
ついでに、捕獲器を草むらの中に設置していることや茶色猫様の存在にも触れて話す。
それらを聞いて、二人が一番に反応したのは、茶色猫様の存在であった。

「その茶色猫ちゃんとの出来事は、やっぱり、良きタイミング同士が引き合わせたご縁ですね!」

A様が力強くいうと、F様も同意を示した後、質問をしてきた。

「その茶色猫は、今どの辺りにいるのでしょうね?」
「もしかしたら、もうサービスエリアの外に移動しているかもしれません」
「外……ですか?」
「はい。草むらの奥にはフェンスが広がっているのですが、その向こうには、密集とまでいかなくても住宅街があるので。おそらく、そちら側のどこかをねぐらにしているのだと思われます」
「そうなんですね……。しかし、草むらの中に自由に入れないとなると、そっちの住宅街に行くには高速道路を降りなければならないわけですか」
「はい」
「一人ですべての範囲をカバーするのは、大変そうだ……」
「というより、実際問題、一人では無理です。なので、とりあえずは、このサービスエリア内に絞って捜索を行っている次第です」

〈続く〉

あなた様とあなた様の大切な存在が
今も明日もLucky Lifeを送れますように

富山桃吉