テクノポップとは、人間的な抑揚を作り手側が意図的に排除したものだが、一方では、再生能力、データ容量の制約といった理由から、必然的にテクノポップが出来上がったとも言える。その代表とも言うべきものが、ゲーム・ミュージックである。テクノポップは陳腐化の速度が異常に速い音楽で、言い方を変えれば、時代との整合性と常に乖離し続ける音楽でもある。サンプリングが当たり前になれば、テクノポップは死ぬ。だから、80年代も終わりに近づくと、制約の無くなったこれらの音楽は、もはやテクノポップですらなかった。ダンスミュージックが"テクノ"と呼び名を変えると、テクノポップはその行き場所に窮し、ゲームミュージックはゲームミュージックで在り続ける事を自ら放棄した。後に、自らの成立に縛りを加える形で再構築された"チップチューン"なるものが、テクノポップの場を確保するまでに成長するが、その根本はノスタルジー以外の何物でもなかった。時代的な制約から再びテクノポップの本質に立ち返る事が出来るようになるには、本格的なPC時代の到来を待たなければならなかったのだ。
このアルバムは、アルファ・レコードのゲーム音楽部門である"G.M.O.RECORD"からのリリースである。にも拘らず、その実態はゲーム音楽ではない。PSG音源を前面に押し出したチップチューン的な曲が多いが、基本的には高品位なサンプリング音がメインである。当時としては(オーディオ的な意味での)音質が極めて高かった。シーケンサーや、PCの処理落ちを再現したような不規則な曲も多く、リズムやチューニングが一定ではない事が、機械的でもあり、また、逆に人間的でもあるという、二律背反性を打ち出した。
この辺りのアプローチは、後に平沢進が解凍後のP-MODELででっち上げたコンセプト、「Error」に通じるところがある。機械が出来損ないで在るが故に、テクノポップがテクノポップで在り続ける事が出来たのだ。このアルバムは、テクノポップの存在を模索した時代の、混沌とした音楽の記録かもしれない。

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メンバーは、現在、ゲームミュージックの作曲者として名高い山口優と、YMOの評論などで一気に名を馳せた松前公高だが、松前は、現在では「おしりかじり虫」の作曲者としての方が有名である。

「エキスポの万国大戦略 / EXPO」 (1987 ALFA G.M.O.)
1.天国のハワイ (1:07)
2.赤ちゃんコンクール (2:30)
3.赤ちゃんコンクール (Cm) (1:04)
4.老人よ 異常はないか (2:54)
5.来賓楽団 (2:58)
6.エキスポ博士の逆ロココ大作戦 (オープニングス) (0:55)
7.人工芝 (2:40)
8.エキスポ博士の逆ロココ大作戦 (シーン5・ボス戦闘機Bgm) (1:20)
9.企業の王様 (0:51)
10.赤ちゃんコンクール(PSG) (1:18)
11.続・企業の王様 (1:03)
12.恋のホットライン (3:26)
13.偉人の悪企み (2:43)
14.報道楽団 (2:57)

※13.14.はCDのみ収録。また、このアルバムはLP、CD、カセットの3形態で発売されたが、すべてに於いてミックスが異なる。
また、一度も再発されていないせいで、プレミアム価値が極めて高く、オークションなどでも、10,000円からのスタートとなる事もしばしば。