けいちゃんのガシブロ!@北海道

現在はコンサルティングファーム勤務、大学時代は民俗学を学んでいたけいちゃん☆のブログへ、お越し頂きありがとうございます。 主に新書、漫画、文芸書、ビジネス書、妖怪書など読書した感想を徒然と書き連ねています。 最近は、東京で働くことに疲れて北海道で就職したものの、北海道と東京を行き来する生活に慣れてきています。

北海道札幌市(主に大通公園周辺)のおススメカフェ一覧です。(2015年11月時点)

■Cafe la BASTILLE(カフェ・ラ・バスティーユ)
星:☆☆☆☆
コスト:ブレンドコーヒー520円
テレビ塔の近くにあるカフェバー。
お店の外装からしておしゃれな雰囲気。
中はゆったりしていてよい。カウンターもテーブル席も多く、一人でも複数人でも来られる。
喫煙可なのが残念だが、お酒メニューやデザートメニューも豊富なのがよい。


■WORLD BOOK CAFE(ワールドブックカフェ)
星:☆☆☆☆
テレビ塔の近くの雑居ビルの中にあるが、そんな場所とは思えない良い空間。
席が広々のびのびしていてよい。
ドリンクメニュー、セットメニューも豊富。
店名のとおり、店内には海外の書籍(主に旅の写真集)がたくさん。
完全禁煙なのがよい。

■D×M(ディーバイエム)
星:☆☆☆☆
サッポロファクトリーから徒歩圏内にある。
閑静な住宅街の中にあり、店内も広いため、ゆったりと時間を過ごせる。
ドーナツを売りにしているだけあって、美味しい。
駅から遠いのが難点だが、その分、混雑もなく使いやすい。


■LINER NOTES
星:☆☆☆☆
新しくできた商業ビル、Le trois(ル・トロワ)の中にあるブックス&カフェ。
店内は広くゆったりとしていて、置いてある本も多い。
雑貨も置いてあり、おもしろい。
カフェ自体にはWi-Fiはないようだが、席の場所によっては下階のainz&tulpeの無料Wi-Fiにつなげられるので便利。
ルトロワ内には、サンマルクなどいくつかカフェが入っていて、どこかしらのカフェは入れるので、使い勝手がよい。


■FAbULOUS(ファビュラス)
星:☆☆☆☆
バスセンター前にあるカフェレストラン。
一人で来るにはあまり向いてないが、ランチが美味しい。
店の奥に、雑貨や洋服、文房具を打っているスペースもあり、おもしろい。
場所がバスセンター前と少し微妙だが、店内は広くゆったりしているので、落ち着ける。
夜のメニューも豊富なのがよい。


■ローチロースター
星:☆☆☆☆
ミンガスコーヒーやワールドブックカフェと同じビルの中にある。
全席禁煙だが、店内は暗い。
コーヒーは美味しいが、仕事や読書で長居するのには向いてないかも。


■MINGUS COFFEE(ミンガスコーヒー)
星:☆☆☆
全席喫煙可で、店内は暗い。
カフェというより、バーに近いかも。
コーヒーの美味しいバーという感じ。


■Cafe de Junku
星:☆☆☆
丸井今井のジュンク堂書店の中にあるカフェ。
カフェとしては普通だし、カフェ内の閲覧可能な本もいまいちだが、本屋の中にあるので、使い勝手が良い。ジュンク堂の立地自体、ブックオフやアニメイトの近くという好立地のため、使い勝手が良い。
また、無料Wi-Fiがあるのも嬉しい。
クロワッサンが意外と美味しい。


■丸美珈琲店
星:☆☆☆
大通りの近くにあるカフェ。
安くて美味しいコーヒーが飲める。店内は明るくて、ゆったりできる。
ただし、いつも混んでいる。午前中に行けば何とか座れるか。


■カフェモロゾフ
星:☆☆☆
ステラプレイスの地下にあるカフェ。
ステラプレイスにはカフェがほぼ各階にあるが、どこも混んでいる。その中では、けっこう穴場的なカフェ。
すごくよいわけではないが、悪くはない。
一人でも数人でも入れて、使い勝手が良い。
ステラプレイスには、30分/回、4回/日の制限があるものの、フリーWi-Fiが使えるのもよい。


■森の間カフェ
星:☆☆☆
コスト:
イケウチという商業ビルの中に入っており、完全禁煙。
カウンター席には、札幌のカフェにしては珍しく電源が付いている。
しかし、なぜか電波の入りが悪い。
ドリンクやスイーツはおしゃれで美味しい。
同じビルに入っているマムートやコロンビアなど、アウトドアグッズが気になる。


■cafe et craft yue(カフェ エ クラフト ユエ)
星:☆☆☆
すすきの北側にあるカフェ。
雰囲気よいし、ドリンクも美味しい。
ただ、テーブル席が多く、カウンターも2名連れなどが多く、一人客が少ない印象。
全席喫煙可なのも微妙。
カウンターで、コーヒーを淹れたりお菓子を焼くのを見るのは楽しい。
飲み会帰りにはいいかも。


■Starbucks Coffee(スターバックス)南一条店
星:☆☆☆
電源もWi-Fiもある、定番のカフェ。
しかし、いつも混んでる。電源席を使えるとは限らない。
夏はテラス席もよいが、店外にはWi-Fiが届かないようで、非常に電波が悪い。
そもそも店内でも、そんなに電波状況がよくない。
どうしても電源とWi-Fiを使いたいとき以外は、行く価値はないかもしれない。


■Cafe CROISSANT(カフェクロワッサン)南一条店
星:☆☆☆
スタバの隣にあるので、スタバに入れない時に利用することが多い。
悪くはないし、クロワッサンは外サクサク、中もちもちで美味しいけど、良くも悪くもチェーンのカフェという感じ。
食べログの評価が高いのが謎。
ランチがお得なのかな?

定期的に更新していきます!

『亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな』
三橋貴明、飛鳥新社、2015年9月8日

星:☆

私は北海道で農業に関する仕事に従事しており、農協改革に興味があって本書を手に取った。

結論から言うと、戦後の農協設立の歴史については勉強になったが、内容としては現在の農協改革の問題の指摘にとどまり、対策が書かれていないために、それ以上に得られるものはなかった。

また、全編を通して、細かいウソや、ウソまではいかないにしても、誤解を招く表現が多くあり、信用できない印象が残った。

例えば、JAピンネのAコープについての話。

新十津川町と浦臼町をエリアとするJAピンネについて、「街には他のコンビニエンスストアも、商店街もない」と書かれているが、石狩川を渡った隣町である滝川市には、コンビニもガソリンスタンドも揃っている。JAピンネから、車で10分もかからない場所である。
さらに、車で1時間も行けば、北海道第2位の都市である旭川市がある。

JAけねべつについても、周りにコンビニやガソリンスタンドがないように書かれているが、車で20分もかからない中標津町内に、東武サウスヒルズという巨大スーパーがあり、生活に必要なものはほとんど揃う。

確かに、車で移動しなければならない距離に買い物に行くのは、高齢者には困難なこともある。だからこそ、コンパクトシティ化の議論がでてきているのが現状である。

JAの担当エリアだけを見れば、コンビニやガソリンスタンドがないかもしれないが、隣近所の市町村には、衣類や書籍も売っている民間のスーパーや、24時間やっているコンビニがあることが多いのではないか。
本書では、ものごとの一面だけを見て、JAの必要性を論じている。視点が狭いのである。悪く言えば、議論を誘導しているようにしか見えない。

生産性や、六次産業化についても、誤解を招く表現が多い。

生産性について、日本とアメリカでは土地面積が違うのだから、比較するなと著者は言う。
確かに、単純な生産コストの比較では負けるが、付加価値生産性ではどうか。
大規模化でコストを削減するだけではなく、アウトプットに付加価値を付けることでも生産性は向上する。
コメの生産性についてなどは、本間正義氏の『農業問題: TPP後、農政はこう変わる』に詳しい。

六次産業化について、農家や農協が、二次産業や三次産業に進出することに限定して書かれていたが、既に多くの農家がその方法で失敗している。
今は、農業側がマーケットに進出するのではなく、既にマーケットを持っている二次産業や三次産業の企業と連携して、マーケットインで商品開発を行う方法が主流になってきている。
また、六次産業化の定義は、単に一次産業から三次産業を組み合わせたものではなく、そこに「地域資源」を利活用することで付加価値を生み出すものを指すように変わってきている。
全体的に、三橋氏の農業に関する知識が一回り遅れていると言わざるを得ない。

単位農協がビジネスに進出することについて、確かに、JA全中が制限していることはないが、農協は半分公務員のようなものであるから、いわば「上部団体」である中央会の「お上の意向」をお伺いするまではなくても、気にすることは避けられない。(いわゆる「空気を読む」ということ。)
また、成功した時よりも失敗した時のことを考えるから、他の単位農協と横並びでないことはやりたがらないのが実情である。
(もちろん、中には精力的にマーケットを広げようとしている単位農協も増えてきてはいる。)

著者の三橋氏は、地方の農協や農業の現場を見てないのだろう。
書かれていることが、現場の感覚とズレすぎている。

安全保障の面から、東京への一極集中を避けるべきというのはその通りだが、何を今更という感がぬぐえない。
その、一極集中を避けるために、中規模都市のコンパクトシティ化などの議論が盛り上がっているのが時流である。

農協やAコープが、地域を維持するために不可欠だというのはそのとおりだが、何も変わらずに今のままでいいかというと、そんなことはないだろう。
著者の三橋氏の意見は、偏りすぎている上に対案がないから、思考停止に陥ってしまう。中庸の折衷案があってもいいだろう。

各地域に人口を分散したままの状態が、果たして日本国を守るための安全保障の状態としてベストの状態なのか。
今後、農協の理事に経営者を招いたり、いくつかの単位農協を合併するような流れは避けられないだろう。
それが行き過ぎると、鈴木宣弘教授が指摘するように、日本の農協が海外企業に買収されるという可能性もでてくるかもしれない。
ちなみに、カーギルなどの穀物メジャーが日本のJAを買収しようとしているという話は、ほとんど鈴木教授の受け売り、というか、パクリではなかろうか。
守りすぎも問題だし、攻めすぎも問題である。攻めと守りのバランス、経済活動と伝統を守る活動の両立ができるような仕組みが必要なのかもしれない。

本書の中で、ルサンチマンについて語られている箇所があったが、著者の三橋氏自身が、ルサンチマンにとらわれているように感じられた。
同じ農業へのルサンチマンだったら、神門善久氏の『日本農業への正しい絶望法』のほうが、よっぽど得られるものがあった。

ろくに事実を調べもせずに、議論が飛躍しすぎており、非常に観念的すぎる。
全体的に得られるものの少ない一冊。

批判したくて読んだわけではないのに、批判せざるを得ないひどい内容だった。

公益資本主義を語るのもおこがましい。

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『島耕作の農業論』
弘兼 憲史、光文社(光文社新書)、2015年7月16日

星:☆☆☆☆☆

「島耕作」シリーズの作者、弘兼憲史氏による、現在の日本の農業に関する現状と提言。
漫画の中で、島耕作は今や会長となり、財界活動の一環として農業問題に取り組んでいる。それを描くにあたって、弘兼氏がローソン元社長の新浪剛史氏に聞いた内容や、農業界の中でも先進的な取り組みについて調べた内容がまとえられた一冊。

弘兼氏と新浪氏の対談の中で印象的だったのが、農地面積が日本の24分の1しかないオランダが農産物輸出額で世界2位のため、日本もそれにならえという人がいるが、それは表面的でしかなく、違うだろうという話である。
オランダは、世界最初の株式会社である東インド会社を設立した、商業の強い国である。農産物を、純粋に食品ではなく、製品として見ている。
他方で、日本は今でこそ経済大国だが、商売上手な国民性はない。日本は、日本に合った形で、例えばものづくりの伝統を生かした農業をしていくべきという話であり、まさにその通りだと思った。

ものづくりの伝統を生かしていくためには、現在は職人作業となっている「勘」の部分を見える化していく必要がある。
そのために、農業のIT化の需要が高まっている。
本書には、稲作に関して、「勘」に当たる気温、湿度、土壌温度、土壌水分などのデータを管理する富士通の「Akisai」が紹介されている。
こうしてデータ管理されて作られた山田錦が、今や世界的なブームとなっている日本酒である獺祭を作るために使われている。

今、トヨタ自動車など、ものづくりのプロである製造業の大手も農業に進出している。
大企業だけではなくベンチャー企業でも、ハウス栽培向けの養液土耕システムや、酪農・畜産向けのクラウド牛群管理システムなど、様々なシステムが台頭してきている。
最近話題になっているIoT(モノのインターネット)も、農業に影響を与えるかもしれない。

「勘」に当たるものが何なのか、細かく作業やデータを見ていくことで、生産効率は格段に上がるはずである。

現在、畜産・酪農業では放牧などエコの流れが強くなってきている。
IT化は決して、エコと対峙するような人工的なものではない。むしろ、高栄養の飼料を無理やり食わせて育てるような方法から脱却して、ITで給餌のタイミングを管理するような方法の方がエコであろう。
ちなみに、畜産でいうと、「ステーキレボリューション」という映画の予告で、スウェーデンで和牛を育成している様子が紹介されていた。
近年の畜産酪農業では、放牧というエコな方法と、搾乳ロボットを導入したり、TMRセンターなどの高栄養価に設計された飼料を食べさせたりする合理的な方法に2分化してきている。
ある程度の規模化、合理化という面では、TMRセンターやコントラクター組織を増やしていくことが重要だろう。一方では、大規模化による放牧という手段もある。個人の放牧も、生産量こそ上がらないが、コストをかけずに生産性を上げるという意味では非常に有効だろう。
また、売り先も農協だけではなく、MMJなどのアウトサイダーが増えてきた。農業生産法人と飲料メーカーが一体となった、製販一体型の組織体なども増えてくるだろう。
組織体が大きくなっていく手法として、今以上にM&Aのニーズも高まるだろう。
どちらにしろ、個人事業主は厳しい時代になってくるのかもしれない。

閑話休題。本書に戻ると、これからの農業には、獺祭を作る旭酒造のように、マーケティングの視点も必ず必要になってくる。
6次産業化が盛り上がって久しいが、成功している農家は多くはない。ほとんどの農家が、プロダクトアウトで商品を作り、マーケットインの思想がないことが大きな要因の一つとしてある。

弘兼氏と、久松農園の久松達央氏との対談の中で、日本の農業界がガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の頃から30年間、一歩も自己改革できていないという話があった。
私は現在、個人の農家の方々や、農協など農業関連組織の方々と関わることが多いが、本当に、危機感が低く、変わろうという意識のない人が多すぎる。

久松氏は「小さくて強い農業」を提唱されており、小規模、小資本でお客様との繋がりを重視する農業を実践している。
しかしながら久松農園は、トヨタや富士通のような大手企業や、大規模農業法人に比べれば小さいが、日本の農業界の中で見れば、中堅かそれ以上の存在ではないだろうか。
日本の多くの農家は、個人事業主であり、特に本州の農家のほとんどは兼業農家である。
その多くの個人事業主の農家の扱いをどうするかで、日本の農業の方向性が決まるのではないだろうか。
個人的には、久松農園のような小回りの利く規模の農業法人を増やすべきと思う。
農林水産省の政策の中でも、農業法人を増やす目標が掲げられている。しかし、具体的な施策は提示されていないのが現状である。

AI農業を進める農業情報創成・流通促進戦略の中で、農作業の名称等の個別ガイドラインが設定され、標準化が進められている。ITのみならず、勘定科目等の会計分野においても標準化が進められることが待ち望まれる。
本書にもあるように、大学で農業経営等を学んだ、プロの農業経営コンサルタントの育成も必要だろう。今の日本には、農業の現場と経営の現場の両方を分かっている人が本当に少ないように感じられる。

ボトムアップで、個人農家を変えていくことも重要だが、30年間、一歩も自己改革できていない日本の農業界である。変化のスピードは遅いだろう。5年10年という期間が必要かもしれない。TPPなど外部環境が大きく様変わりしている中で、5年10年というスピード感では、世界の変化に追い付いていけない。
また、補助金・助成金や農協(JA)など、功罪があり評価が難しく、ボトムアップでは如何ともしがたい壁も多い。
日本の農業を変えるためには、ボトムアップではなく、トップダウンで変革を進めていかざるをえないのではないだろうか。JA全中の解体は決まったが、そのスピード感も遅いように感じる。もっと大ナタを振るうことが必要ではないだろうか。
そのためには、大企業や公的機関に、農業に興味・関心を持たせることがまず必要だろう。

本書にあるとおり、「農業こそが日本の次の産業になる」と、私も思う。
そのためには、多くの人が農業に関心を持ち、現在の日本の農業界を変えていかなければならない。
本書は、日本の農業界を変えるためのヒントが詰まった、重要な一冊だろう。

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島耕作の農業論 (光文社新書)
弘兼 憲史
光文社
2015-07-16

『儲かる農業―「ど素人集団」の農業革命』
嶋崎秀樹、竹書房新書、2012年11月7日

星:☆☆☆☆

「儲かる農業」というタイトルのとおり、農業で実際にがっちり儲けている農業法人トップリバーの社長が語る、農業で儲けるための方法論。

本書に書かれているビジネスの方法は勉強になるし、本書の大筋には合意するが、それだけではないのではないだろうかという感想を抱いた。

稼ぐことは、悪いことではない。独立することも悪いことではない。
しかし、逆に言うと、独立して儲けることが唯一無二の大正義かというと、そんなこともない。
独立することは、あくまでも手段であって、それが目的になるべきではないと思う。

私は、独立しないで、楽しい田園生活の中で行う農業も悪くないと思う。
職を失ったから、とりあえず農業でもやってみるかという人や、他人とかかわるのが嫌だから、田舎で農業でもやってみようという人が、農業に参入できるような仕組みを作りたいと思っている。

本書にあるように、「人それぞれに目標があり、気持ちいいと感じるものがあり、モチベーションを高めるものがある。それがみな同じである必要はないし、合わせる必要もない」というのは、まさにそのとおりである。

独立して経営者になりたい人、農業でがっぽり儲けたい人、のんびりまったりと働きたい人、仕事よりも家族やプライベートを優先させたい人、色々な価値観の人が、農業界で働けるような環境を作りたいと、個人的には考えている。

そのためには、農業経営を大規模化させて、作業分担することは必須である。大規模化のためには、まとまった農地、資本とクライアントが必要になる。
農地、資本は何とかなるとして、売り先となるクライアントを開拓することは、難しい。
その際に、まさに本書に書かれているような、「一〇〇点+二〇〇点」理論の営業方法のように、営業に力を入れることが必要になってくる。

「儲ける」ことは大事だが、それはあくまでも手段である。「儲ける」ことが目的になってしまったら、その会社や事業は、つまらないものになってしまうだろう。
「儲ける」ことによって、何を実現したいか。そのビジョンが大事だと、改めて思った。


また、「農業大学校の生徒が研修にやってくるが、いつも思うのは彼らは大学校で本当に役に立つことを学んでいるのだろうか」という記述で、冨山和彦氏のG(グローバル)型大学とL(ローカル)型大学の話を思い出した。

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回)」の配付資料(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/10/23/1352719_4.pdf)の中で、経営共創基盤の冨山氏は、「極一部のTop Tier校・学部以外はL型大学と位置づけ、職業訓練校化する議論も射程に」することを提言している。

この提言や資料内の文言だけを見ると、極論であり、学問の軽視にも見えるため、ネットでは大きな反発があった。
しかし、本書にあるような現場の経営者の立場からすると、大学で農学を学んだ人が、即戦力として農場でバリバリ働ける人材となることが必要とされていることも分かる。

現在の大学教育は、GとLの棲み分けができていないというか、学ぶ学生自身が、Gに行きたいのかLに行きたいのか、自覚できないような構造になってしまっているのだろう。

「農学」を学んだからといって、農場経営ができるようになるわけではないし、農場経営の道に進まなければならない訳でもない。
逆に言えば、大学で民俗学や文化人類学を学んだ人間が、農業経営コンサルタントの道に進むこともあり得る。
本書の著者の嶋崎氏も、日本大学で農業を学んだわけではないだろう。
しかし一方では、農場経営ができる人材も必要とされているので、そのためのスペシャリストを大学で育成することには需要がある。

農業からは少し離れるが、これからの地方創生や地域活性化には、教育が必要不可欠であることを考えると、農業と教育の関わりを緊密にすることにも需要があるかもしれない。


TPP問題や全中の解体など、農業を取り巻く環境は今、大きな節目を迎えている。
これからは、農業は変わらなければならない。
そのための一つの方向性として、「儲ける」ことを目標に掲げるという選択肢は大いに有効だと思う。
農業が変わる方向性のひとつの可能性として、参考になる一冊。

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『グローバルに通用する異能を開花する (大前研一通信特別保存版 Part.VIII)』
大前研一、ビジネス・ブレークスルー出版、2015年2月13日

星:☆☆☆

レビュープラスさんに献本いただきました。ありがとうございます。

本書は、「グローバルに通用する異能を開花する」という題名で、「教育」をテーマに取り扱っている。
画一的な能力を育むための、旧来の昭和的な偏差値絶対主義の詰め込み教育ではなく、自身が考えて、生きる力を身につけないと、日本人は生き残っていけない。
「生きる力」は、人それぞれの生き方によって異なる。各自が異なる能力、すなわち異能を身に付けることで、日本は生き残れるようになるだろう。

特に、「国際バカロレア」(IB)はこれから「グローバルに通用する異能を開花」させるという意味では、導入が必須になってくるだろう。
しかし、本格的に「国際バカロレア」(IB)を日本で普及させるなら、今の教育制度を大幅に見直さないと実現は難しいだろう。国の制度に比較的依存しなくてよい、私立の学校は優先的に対応していくべきだし、対応していない学校は生き残って行けないだろう。

また、幼児期を学習準備期間ではなく、一人の市民として今を生きる期間として扱う考え方は、そのとおりだと思った。
「我々が身近にできること」として、子供との接し方を書いているのも、具体的で良かった。

これから、様々な教育の形がでてくるだろう。
島根県隠岐郡海士町では、放課後や土日に、小学校から高校までの生徒が集まり、ICTやサテライト授業など最先端の遠隔地教育も活用しながら学習できる町立の学習センター(公立塾)を立ち上げ、東京や大阪、海外からも生徒が集まっているという。
また、北海道十勝郡浦幌町では、町に高校がなく、若者がみんな町外へ出ていってしまう状態が続いていたが、農業体験や自然体験を通じて、地域への愛着や地域へ貢献しようと思う意識を育むことで、若者のUターン・Iターンを推進している。

経済や金融も大事だが、日本という国が今後も発展して生き残っていくためには、教育が必要であると、改めて考えさせられた。

本書の中で他に気になった箇所は、「日本のことが好きな国」の筆頭として、ロシアが挙げられていたこと。本文に「ロシア人の八十五%は日本が好きだという調査が出ている。一方、日本人は九十%がロシアが好きではないというのだが、こんなにもったいない話はない。」とある。まさにそのとおりだと思う。エネルギー問題の話もあるし、これから日本は官も民もロシアと友好を深めるべきだと思う。
それにあたっては、日本とロシアの関係の歴史を学んでおいた方がよいかもしれない。古くは、江戸時代に漂流してロシアに助けられ、日本に帰国した大黒屋光太夫を始めとして、日露関係の歴史を見ると意外な発見があり面白い。

本書は、大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT)の宣伝色が強い。実に四分の一以上のページを割いてBBTの説明をしている。
また、DVDの内容も、本書と重複する内容が多く、あまり得られるものがない。(大前氏の生の声を聴けるのはよいが)
それらを考慮すると、書籍+DVDで1,500円以上、電子書籍でも1,000円というのは、ちょっと高く感じる。

第3章「0歳から18歳まで、異能を開花するための人材育成」の内容や、他にも役に立つ情報は多く記載されているので、濃い部分を凝縮して、その分安く売ってくれないかと思う。

得られるものは多いが、あまりコストパフォーマンスは高くない一冊。

※Amazonレビュー↓
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