2014年08月09日

世界は広い

物心がついて最初に見たワールドカップは、1982年のスペイン大会だった。ジーコがブラジル代表の10番だった頃で、後にも先にも、この時のブラジル代表ほど美しいサッカーを展開するチームは記憶に無い。僕がもっとも尊敬する「空飛ぶオランダ人」ヨハン・クライフの1974年、西ドイツ大会のオランダ代表は、残念ながらまだ日本でテレビ中継されていなかった筈で、「トータルフットボール」は実体験としては記憶に無い。

その1982年のスペイン大会を見て以来、戦国時代やら徳川幕府やらにはさっぱり興味が無かった僕でも、サッカーの盛んなヨーロッパや南米の世界地理だけは、苦もなく定期試験に臨むことが出来た。「世界は広い」と実感する瞬間は、子供心にも胸躍るものがあった。

長じて(残念ながら、サッカーそのものには大した才能も無かったので)、仕事で2010年の南アフリカ大会、そして今回の2014年ブラジル大会に携わる機会を得た。どちらの国にも、プライベートで大枚を叩いて、20時間以上のフライトに耐えて旅行することは想像も出来ないので、間違いなく最初で最後の機会だったものと思う。

そこで目の当たりにしたのは、我らが日本代表が木っ端微塵になる姿だった。少なくとも前回の南アフリカ大会では、ベスト16に残ったことで国内は大いに盛り上がったものと想像するけれど、日本代表が超守備的戦術に切り替えたせいで、その時に招集されながら出場機会を得られず悔しい思いをした筈の、香川や内田といった才能豊かな若者達が、悲痛な面持ちでフィールドを去る様から目を背けられなかったのは、仕事とは言え複雑な心境になったものである。日本代表は、(南アフリカ大会とは違い)少なくとも真っ向勝負を挑み、鮮やかなまでに敗退した。「世界は広い」子供の頃に感じた高揚感はまた、ほろ苦い記憶としても定着することとなった。

リオデジャネイロの国際放送センターは、コパカバーナなどの有名な観光地からは車で1時間位走ったところにあり、日本料理はおろか、中華料理ですら口にすることなく、二ヶ月近く、ほぼブラジル料理のみで過ごした。有名な「シュラスコ」は日本人には完全に値段負け(食べ放題なので)な感じで非常に高価なのに対し、地元の食堂ならば、野菜やマメやお米の盛り合わせで、1,000円もあればお腹いっぱいになる。国際放送センターの周辺はもともと湿地帯で、街中の小川に普通にワニが出没し、「ファベーラ」と呼ばれる貧しい地域では、豚の親子だのヤギだの馬だのが闊歩し、現代の放送で不可欠の光ファイバーケーブルは、木製の電信柱の上に敷設され、交通事故(実際、リオの住民の運転は極めて荒っぽい)で三日に一度位、当たり前ように切れる。

日本は、小さいけれどとても美しい国だ。光ファイバーが木製の電信柱の上に敷設されることもない(と思う)し、衛生的で、あらゆるものに気が利いている。(コンビニとか…)そんな我らが小国を背負った代表チームは、それなりの技術水準を持った現代的なチームだったが、残念ながら、今回は世界に全く歯が立たなかった。ここからまた、「結果を出す」為に超守備的戦術に戻るのか、それとも、この経験を踏まえて新たなスタイルを模索するのか?それは、(たかがサッカーではあるけれど)間違いなく、思想や哲学の領域だ。

もしかしたら、このままでも幸せなのかも知れない。僕が高校生の頃には、「自分の目の黒いウチは、日本が本大会に進むことはないだろう」と信じていたから、5大会連続出場という実績は素晴らしい。それでも、今の地平に満足せず、我らの代表チームがさらなる高みを目指す姿を見てみたいと、やっぱり思ってしまう。広い世界で、日本はどの位、確固たる哲学を示せるのだろうか?と…。

ima-gaga-oohlala


maracanan


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media_pj at 16:48|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2014年07月02日

私のサッカー観

2014ワールドカップ、日本代表が惜しくもグループリーグでの敗退が決まった。
翌朝のスポーツ新聞は、「本田は口だけ」 「日本代表、まずはすべてを議論せよ」
などの厳しい見出しが一面に踊った。

しかし日本代表の選手が帰国したときには、成田空港に約1,000人のファンたちが出迎え、
「負けたけれどもよく頑張った!」 「感動をありがとう!」などの声援をもらい、
温かい出迎えを受けたという。

欧米や近隣のアジア諸国でさえ、予選で敗れた代表チームに対して、こんなに温かいエールは
ありえないという。

マスコミが悪いとか、国民が甘いとか、サッカーにとって大事なものは何かは名言できないが、
今の世界的なサッカー界を制するチームには、必ず備えている要素があると思う。

それは、監督の提唱する戦術を実現する組織力と、ファンタジスタが奏でる個の思想そのものだ。
私は常日頃、サッカーにおける最も重要なものは、その国の思想であると考えている。

その観点から言うと、今回の日本代表も世界的なサッカー界における、勝ち抜くという思想に
至らなかったのだと思う。

汚いサッカーをしてまでも勝ち抜くのを良しとするか、美しさを追及して敗れるのを良しとするか、
その答えを出すのは難しい・・・。

しかし最後に敢えて言うが、ボールに一瞬だけでもタッチして、局面を180度ガラリと変えてしまう、
ファンタジスタの存在が世界を制するには必須だという事を・・・。

あなたは、今のあなたの職場で、ファンタジスタになれる場面がありますか?


by ikimen














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2014年06月25日

背水の陣

いまこの記事を書いているのは、2014年6月25日1:07分。

ワールドカップ2014年リオ大会において、日本代表が窮地に立たされている。
細かい説明はさておき、決勝トーナメントに進むには、まさに背水の陣だ。

しかし私は思う、これは日本にとってむしろチャンスなんだと。
椎名林檎も応援歌「NIPPON」で歌っているように・・・

「さいはて目指して 持ってきたものは唯一つ
この地球上でいちばん 混じり気のない気高い青
何よりも熱く静かな炎さ・・・
勝敗は多分そこで待っているよ そう生命が裸になる場所で」

サムライブルーが気高く、サッカーという競技を通じ、日本のプレゼンスを
世界に示してくれると信じている。

そう6時間後に・・・祝福を!


p.s リオで頑張って素晴らしい中継を出している仲間にもエールを送ります。

選手もメディアもサポーターも、頑張れニッポン!!


by 便覧先生










あと4時間後に 続きを読む
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