bdbfa0d7.JPG 日本肝臓学会の理事など要職を務めた国立病院長崎医療センター名誉院長、矢野右人。今は故郷、長崎県の県立病院事業が県の一般行政組織から独立したことにより、新設された「病院局」の病院事業管理者に就いている。67歳。彼が今、国民的に大問題になっている薬害肝炎訴訟で、厚生労働省の意向をそのまま反映した出鱈目証言ばかりを繰り返し、強烈な非難を浴びている。
 
 元厚生省肝炎対策チームのメンバーで、現在は、吉祥寺からもほど近い肝臓疾患治療の名医といわれる清川病院の院長、飯野四郎氏も、矢野の証言は彼自身の論文、著作、発言などと著しく相違し、肝臓関連の疾患医学の常識だったことと全く逆のことばかり、厚生労働省の意向を汲んで証言しているとしか思えないという。

 福岡に古賀克重弁護士が活躍して、被害者の訴訟を手がけているが、国立九州ガンセンターはかつての患者、18万人分カルテを全て保管していたこともあり、被害者原告の小林邦丘さんらとともに、ぜひ遡って調査をしてほしいと嘆願していた。だが、最新の厚生労働省開示資料には、カルテの保管について「不明」と記載している。ここは、18万人分のカルテを保存しているということで有名だった病院であるのに、こうした虚偽の情報開示をしているのである。厚生労働省の開示資料が全然信頼できないとされている理由の一つでもある。

 あまりこういうことはいいたくないのであるが、日本の医学は731部隊の悪霊、亡霊とともに戦後、走り出した。全国の蒼々たる超一流大学の医局や拠点病院の要職に731部隊の残党は散らばっていった。アメリカCBSテレビが、「Unit 731」として秀逸なドキュメンタリーをまとめて放映したこともある。部隊のトップだった石井四郎医学博士も、人体実験の細菌感染資料を全てアメリカ側GHQに引き渡した「功績」を買われて、戦後、戦犯訴追を逃れ、ずっと不問に付されたまま人生を終えている。アメリカはどうしてもこの潤沢で、再度実験することが不可能な貴重な人体実験の医学データをライバルだったソ連やドイツに渡したくなかった。

 日本の医療は本当にぞっとするほど恐ろしい実状を引きずっている。続出する「白い巨塔」の話題や医療過誤ニュースには驚かなくなっている。私は常々思う。強烈なヒットラー的政治家でも出てきて完膚無きまでに厚生労働省と医療界を破壊し、再生し直さなければ日本の医療はいつまでも国民に対しておそろしい刃になり続けると。まずはじめにデストロイヤーが徹底的に既存の医療秩序そのものを壊す必要があるわけであり、「民主主義的な改革」は不可能ではないかとさえ思われる。

 薬害エイズ事件の帝京大医学部副学長、安部英もひどいマッドサイエンティストだったが、矢野も同罪。「医は仁術」、のはずが、いつの間にか医者としての本分を完全に忘れ、犠牲者の涙を忘れている。矢野は長崎大医学部卒。趣味のヨットは学生時代、国体に出場した腕前だそうだが、 

 「人生もヨットも無風状態が一番怖い。」
 
 という。改革という風に挑戦心をわき立たせて県立病院改革をしたいといっている。しかし、彼がやらなければならないことはヨットに乗ることでもなければ県立病院改革をすることでもない。一にも二にも薬害肝炎の実体解明とその最善のリカバリー政策のために尽力することであり、そのための「風」を起こすことをしなければならない。