ここ吉祥寺在住の漫画家、西原理恵子。「さいばらりえこ」と読む。以前にも簡単にご紹介したことがあるが、彼女には男の子どもがおり現在小学生。父親が出ていってしまったのでただ今、1人で子育てに奮闘中である。彼女はこれまでにも旅行記や自伝的エピソードなどを含めて漫画にすることが多かった。「ぼくんち」「恨ミシュラン」などが有名なヒット作。私も無類の大ファンである。
そして今、そうした子育て生活からとった話の素材を非常に喜劇的な漫画に仕立てて執筆している。それが文化庁メディア芸術祭賞や手塚治虫文化賞も受賞した漫画、「毎日かあさん」。これに限らず西原作品は腹を抱えて笑えるものばかりであるが、たいへん庶民的な感覚が溢れており、私はファンである。現在放映中のNHKの朝・連続テレビ小説「ファイト」のタイトル画でご存じの方も多かろう。
さて、この「毎日かあさん」の執筆に、武蔵野市が問題があると指摘して西原さんとかなり本気の論争になってしまっている。西原さんの長男は8歳。ただ今、市立小学校に通っているのであるが、「毎日かあさん」がその学校を実際に作品の舞台にして描かれているので、あれこれプライバシーの問題も含めて持ち上がりかねないとしているため。
「毎日かあさん」は、ほぼ3年前から毎日新聞で週1回連載しているもので、すでに連載をまとめた単行本も出ている。特に問題とされたのが、授業参観の場面だったらしい。主人公の母親=西原理恵子が、落ち着きのない自分の子を含む児童5人を「クラスの五大ばか」と表現して描いたもの。侮辱したものではなく彼女一流のやや毒を含んだユーモアを交え、子どもの成長を見守っている内容のもの。
ところが、この連載直後、昨年11月、この長男の担任の女性教諭が西原を学校にわざわざ呼び出し、迷惑していること、もうこれ以上この学校のことを描かないでほしいことなどいくつかの注文をつけたのだった。
どういう言い方をしたのかは不明だが、西原もこの女性教諭も同じ40歳。感情的にも相当ぶつかってしまったらしく、西原は怒ってしまった。西原さんは普段の様子はその様に全く見えないのであるが、たいへんに観察眼が鋭く、下手に妥協してあれこれ抑制的に描いたりすることとは無縁の直球タイプ。
名誉毀損で訴訟提起されたならばともかくとして、たかが一人の学校教師がいちいち自分の仕事の内容にまで無遠慮に入り込んで干渉してきたことに切れてしまったらしい。おそらくその女性教諭の言い方に相当問題があったのだろうと推測される。
西原さんは翌月、毎日新聞社の編集担当者と小学校に出かけて校長、教諭らと面談。いくら子どもの保護者であることを勘案しても、編集者を通さず作者を直接呼びつけて干渉するのは非常識だと抗議したが、逆に校長らは「学校に落ち度はない」と跳ね返した。
もともと西原さんへあれこれ言い出したのは同じ学校に通っているPTAのメンバー。一部の父母から、学校とトラブルを起こすならPTA活動に参加しないでほしいと告げられたことがきっかけ。
ざっと両者の言い分をまとめると以下のような具合。
●西原理恵子さん・毎日新聞社側
「作品はあくまでフィクション」
「公権力による表現の自由の侵害にもなりかねない」
「フィクション作品の内容に介入するのは納得できない。子どもを学校に預けている立場上、作品を描くこと自体を辞めろと言われたに等しい」
「毎日かあさんは西原さんの経験に基づいたフィクションで、内容については人権やプライバシーに十分配慮して掲載している」
●武蔵野市教育委員会側 (教育部長・南條和行)
「他の児童や保護者への配慮をお願いした」
「作品中に『武蔵野市』の固有名詞もあり、児童の人権に教育的配慮を求めることは当然」
「保護者を学校に呼ぶことは珍しくない。表現の自由を侵害してはいない。学校には不特定多数の児童がおり、配慮するのは当然だと思う」
さて。「表現の自由への圧力」と「正当な教育的配慮」。どちらも譲らないのであるが、総論としてはどちらの言い分にも理はある。それを双方が文書で主張を繰り返す異常な事態は非常に望ましくない。
だが、「毎日かあさん」の内容を鑑みる限り、目くじらを立てるような内容は含まれていないと思う。逆に子どもへの温かい愛情に溢れていると言っても良い。だからこそ、その内容が評価されて文化庁からも賞を受章したりしているわけだろう。
この上もし、武蔵野市がムキになってもっと強い法的な対応をとったとすると、かなりややこしいことになる。具体的にこの様な内容のものは書くなとか、事前に内容を見せて欲しいとか言い出したら火に油を注ぐ事態になろう。言うことが聞けないならばお子さんをお預かりできませんというような事でもいいだし始めれば間違いなく泥仕合の訴訟合戦である。しかも相当に武蔵野市にとって旗色が悪い。
ただ今、23年の長きに渡って武蔵野市長に君臨してきた土屋正忠が市長を辞して国政選挙へ出たばかり。菅直人と激突中である。次の市長がだれになるかによってかなり対応が変わってくるのではなかろうか。この問題は、明日開催される9月2日の武蔵野市議会でも取り上げられる予定。
西原さんは心労がたたったのか、現在、体調不良で3ヶ月の休養中。執筆も止まっている。一方の毎日新聞社は、「学校側には納得してもらったと認識している」と説明しているが、このあたりの煮え切らない曖昧な態度の取り方がいかにも今のマスコミ企業らしいだらしなさである。
そして今、そうした子育て生活からとった話の素材を非常に喜劇的な漫画に仕立てて執筆している。それが文化庁メディア芸術祭賞や手塚治虫文化賞も受賞した漫画、「毎日かあさん」。これに限らず西原作品は腹を抱えて笑えるものばかりであるが、たいへん庶民的な感覚が溢れており、私はファンである。現在放映中のNHKの朝・連続テレビ小説「ファイト」のタイトル画でご存じの方も多かろう。
さて、この「毎日かあさん」の執筆に、武蔵野市が問題があると指摘して西原さんとかなり本気の論争になってしまっている。西原さんの長男は8歳。ただ今、市立小学校に通っているのであるが、「毎日かあさん」がその学校を実際に作品の舞台にして描かれているので、あれこれプライバシーの問題も含めて持ち上がりかねないとしているため。
「毎日かあさん」は、ほぼ3年前から毎日新聞で週1回連載しているもので、すでに連載をまとめた単行本も出ている。特に問題とされたのが、授業参観の場面だったらしい。主人公の母親=西原理恵子が、落ち着きのない自分の子を含む児童5人を「クラスの五大ばか」と表現して描いたもの。侮辱したものではなく彼女一流のやや毒を含んだユーモアを交え、子どもの成長を見守っている内容のもの。
ところが、この連載直後、昨年11月、この長男の担任の女性教諭が西原を学校にわざわざ呼び出し、迷惑していること、もうこれ以上この学校のことを描かないでほしいことなどいくつかの注文をつけたのだった。
どういう言い方をしたのかは不明だが、西原もこの女性教諭も同じ40歳。感情的にも相当ぶつかってしまったらしく、西原は怒ってしまった。西原さんは普段の様子はその様に全く見えないのであるが、たいへんに観察眼が鋭く、下手に妥協してあれこれ抑制的に描いたりすることとは無縁の直球タイプ。
名誉毀損で訴訟提起されたならばともかくとして、たかが一人の学校教師がいちいち自分の仕事の内容にまで無遠慮に入り込んで干渉してきたことに切れてしまったらしい。おそらくその女性教諭の言い方に相当問題があったのだろうと推測される。
西原さんは翌月、毎日新聞社の編集担当者と小学校に出かけて校長、教諭らと面談。いくら子どもの保護者であることを勘案しても、編集者を通さず作者を直接呼びつけて干渉するのは非常識だと抗議したが、逆に校長らは「学校に落ち度はない」と跳ね返した。
もともと西原さんへあれこれ言い出したのは同じ学校に通っているPTAのメンバー。一部の父母から、学校とトラブルを起こすならPTA活動に参加しないでほしいと告げられたことがきっかけ。
ざっと両者の言い分をまとめると以下のような具合。
●西原理恵子さん・毎日新聞社側
「作品はあくまでフィクション」
「公権力による表現の自由の侵害にもなりかねない」
「フィクション作品の内容に介入するのは納得できない。子どもを学校に預けている立場上、作品を描くこと自体を辞めろと言われたに等しい」
「毎日かあさんは西原さんの経験に基づいたフィクションで、内容については人権やプライバシーに十分配慮して掲載している」
●武蔵野市教育委員会側 (教育部長・南條和行)
「他の児童や保護者への配慮をお願いした」
「作品中に『武蔵野市』の固有名詞もあり、児童の人権に教育的配慮を求めることは当然」
「保護者を学校に呼ぶことは珍しくない。表現の自由を侵害してはいない。学校には不特定多数の児童がおり、配慮するのは当然だと思う」
さて。「表現の自由への圧力」と「正当な教育的配慮」。どちらも譲らないのであるが、総論としてはどちらの言い分にも理はある。それを双方が文書で主張を繰り返す異常な事態は非常に望ましくない。
だが、「毎日かあさん」の内容を鑑みる限り、目くじらを立てるような内容は含まれていないと思う。逆に子どもへの温かい愛情に溢れていると言っても良い。だからこそ、その内容が評価されて文化庁からも賞を受章したりしているわけだろう。
この上もし、武蔵野市がムキになってもっと強い法的な対応をとったとすると、かなりややこしいことになる。具体的にこの様な内容のものは書くなとか、事前に内容を見せて欲しいとか言い出したら火に油を注ぐ事態になろう。言うことが聞けないならばお子さんをお預かりできませんというような事でもいいだし始めれば間違いなく泥仕合の訴訟合戦である。しかも相当に武蔵野市にとって旗色が悪い。
ただ今、23年の長きに渡って武蔵野市長に君臨してきた土屋正忠が市長を辞して国政選挙へ出たばかり。菅直人と激突中である。次の市長がだれになるかによってかなり対応が変わってくるのではなかろうか。この問題は、明日開催される9月2日の武蔵野市議会でも取り上げられる予定。
西原さんは心労がたたったのか、現在、体調不良で3ヶ月の休養中。執筆も止まっている。一方の毎日新聞社は、「学校側には納得してもらったと認識している」と説明しているが、このあたりの煮え切らない曖昧な態度の取り方がいかにも今のマスコミ企業らしいだらしなさである。
西原さんを検索していて偶然杉本さんのBlogを発見しました。
9/2の市議会の様子を少し書きましたので参考にして頂けたら幸いです。
http://www.miyakeeiko.com/diary2005/diary200509.htm
また西原理恵子さんについて大変分かり易く紹介されている部分をリンクさせて
いただきました。
吉祥寺のお店のことなどよく御存知で感心しました。
前市長に対しての評価(8/23)も、私が議会で接していていつも感じていたこと
と一致します(ただし酔っぱらったときのことは知りません)。
ブッシュについては私も時々書いています。
http://www.miyakeeiko.com/diary200404-12/diary200411.htm など。
内容の濃い文章を連日のように発信されていて感心しました。
bookmarkに入れましたので、これから毎日拝見します。