b6f6c177.bmp * ディック・チェイニー 2002年11月の写真。

 現、アメリカ合衆国副大統領にして「悪魔の化身」、ディック・チェイニーが余暇娯楽のハンティングに同行していた知人を散弾銃で誤射し、しかもその発表が遅れ、弁明せずその事を開き直った事件がアメリカを賑わしているが、今回は彼らが使った「散弾銃」について。非常に問題のある環境破壊要因の一つである。

 散弾銃というのは、その名の通り「散弾」を用いた狩猟用のライフルである。「散弾」とは、カメラ用のフィルムケースの様な形状の装填用カートリッジの中に、直径が非常に小さい鉛の弾丸がぎっしり詰め込まれたタイプのもの。これが発砲されて獲物にやや近づいたところで中身の小さい鉛弾丸が爆発するようにして四方八方に一挙に散らばる。だから、大雑把に獲物の近くに発射できれば獲物がしとめられるというライフル。ちなみに、これとそっくりの仕掛けで動く軍事用の兵器は、例えば、ナパーム弾だったり、無数の地雷が周囲に飛び散る飛散型対人地雷。どちらも極めて非人道的な兵器であり、強烈な非難を浴びているが、アメリカを含む大国は今もなお堂々と使用している。

 さて、この散弾銃、当然のごとく、獲物を撃つ度に大量の散弾がそのまま廃棄物として狩猟場に散らかってしまい、放置される。拾い集めて片付けるなどということは物理的にも全く不可能に近い。それ自体が問題だが、この鉛が大地や水源に溶け出したり、あるいは鳥類や水生動物などがこれを飲み込んでしまうことで多数、死亡するという負の効果が大きい。
 
 例えば、白鳥やアヒル、鴨などは大きなくちばしで小さい水生動物、植物らを食べていくわけであるが、散弾が大量に飛び散っているとそれがそのまま消化器に取り込んでしまう。鉛中毒を起こして衰弱し、死亡した鳥類の姿はあまりに痛々しい

 思うに、イノシシとか熊とか、日本にもマタギは古くから存在していたし、イヌイットエスキモーチュクチなどハンティングそのものを生きる糧を得る生業にしている民族も多い。狩りをトータルに否定することはおかしいが、散弾銃を用いた猟というのは99%以上、「遊び」、「趣味」、「余暇を楽しむ」行為であり、これに伴う環境破壊道楽が野放しになっているのはどう考えても許し難い。

 英国では、キツネ狩りの是非がいつも論議されるが、あれは散弾銃を使うものではないことと、また、猟犬飼育や狩猟場になる森の利用料など地方の雇用に直結している問題でそう簡単に結論は出ない。それでも私はキツネ狩りは禁止するか、非常に厳しく限定すべきだと思うが・・・。

 アメリカという国は大統領がハンティング好きで有名。ブッシュもブッシュJr.もチェイニーもそうであるが、例えば、前職、ビル・クリントンもそうであった。クリントンがハンティングに出かけ、空を飛ぶ獲物の鳥に向かってライフルを撃った様子がニュースで報じられ、その事を質問されたクリントンは、

 「友人と一緒にハンティングに出かけたことは確かだが、私の撃った弾は当たっていないよ。」

 とおそろしく幼稚な弁解をしていたことを今も良く覚えている。この男、アダルト・チルドレンどころの騒ぎではない虚け者だ、と強烈に思わされた。無責任な開き直りにも限度がある。
 
 物議や反発を呼ばない一定の気分転換、気晴らしはもちろん必要であろうが、大統領職になった以上は、うつつを抜かして散弾銃などぶっ放していないで、ジミー・カーターのようにせっせと勉強し、職務に専念する姿勢があって当然だと私は思う。

 20世紀の隠された最大の悲劇は、ロナルド・レーガンが、アメリカ人人質事件を狡猾に利用し、いんちき出鱈目大統領選挙の陰謀的な演出をことごとく成功させ、カーターを不正に引きずり下ろしたことにある、というのが私の考えである。歴代大統領の中で、ジミー・カーターほどおそろしく不当に低い評価しか与えられていない人物は他に珍しい。もちろん、カーターは散弾銃を使った道楽ハンティングなど一切、しなかった。