896f5bb6.JPG かつてインドのマハトマ・ガンジーは、植民地だったインドが宗主国たる英国から真の自立を遂げるために、どれほどささやかな営みであっても経済的に独立した立場を確立しなければならないと考えた。そして、そのためにインドの家庭的な小規模伝統産業、糸車を使った糸紡ぎをしましょうと訴え、自らそれをくるくる回しながら行脚したことがあった。英国の機械化された産業織物に経済依存することを辞めなければ、いつまでも英国と袂を分かつことができないとしたのであった。粗末な白木綿の衣服を身に纏い、地面にへたり込んで女性と共に糸車を回していたガンジー。かつてNHKの「映像で見る20世紀」で見た。私は今もあのガンジーの姿を忘れられない。

 この四半世紀、何につけ、日本の生活は便利になった。大量生産、消費、廃棄という産業循環は、国土が狭く、資源に乏しい日本の国土、国民性にまるで合っていないと私は思うのだが、戦後の日本が選択した舵取りはそれであった。今の小中学生は、たらい、洗濯板など昭和初期の道具については何のことやらさっぱりという状態であろう。昔、私は泥だらけになった自分のサッカー用ソックスを風呂場でせっせと洗濯石けんをつけて洗ったので随分たくさん使った。
 
 この度、ひょんなきっかけから珍しいものを手に入れた。毛糸を巻き取ってきれいに毛糸玉を作り上げることができる手動式の器械。かつてブラザー工業が作ったものである。ちなみにブラザー工業はミシンメーカーとして高い技術力を持っており、私は仕事で使うファクス機なども多くブラザーのそれを使っている。キャノン、パナソニックのような華やかさがないが、しっかりとした技術的裏付けを持つメーカーだと思っている。

 この毛糸巻き器、美しく菱形模様を作りながらの外取り、中取りも楽々。さらにこれには「ゆのし器」というものが添付されており、この湯のし器の上にアイロンを乗せるとすでに散々着用した帽子やセーターなどの毛糸をほどいたものまで皺をきれいに伸ばして新しく毛玉にすることができるのである。デザインが気に入らなくなった、サイズが小さくなったけれども使っている毛糸はとても良いもの、という場合、ほどいてそれを毛玉にすることができる。今は市販されていないらしい。
65b868a6.JPG 私は小学生時代の家庭科と、母親に教わったことから針と糸でボタン付けくらいは楽々できる。自分たちのサッカーユニフォームの背番号がはがれかけると、全てせっせと補修している。チームメートがその事を知ると驚く。

 私は不器用であるが、手先が器用であることは幸いである。ハイテクに依存せず、ローテクで、デジタルばかりでなくアナログで、全自動ではなく手動式のやりかたで。いざ、大震災でも起こって全ての都市機能が止まるということはおそらくこの先3,40年内に発生することであろうから、そういう時のためにも自力で、電池、ICチップなどに頼らない「技」を持っていたほうが良い。7608f6ef.JPG