7月に発生した佐世保市の高1同級生殺害事件で、殺人容疑で逮捕された少女(16)の父親が自殺した。この父親という人物は、早稲田大学(政治経済)を卒業し、佐世保で法律事務所を開いていた弁護士。何人かの弁護士を雇用して多くの顧問企業を抱えた事務所を運用していた地元の名士に近い人だった。


 私はこの父親を直接知るわけではないし、事件の裏側や細かい詳細まではわからないが、この事件を巡ってインターネット空間がやりたい放題になったことに強い怒りを感じずにいられない。日本中の馬鹿どもが何の根拠もなくこの父親を事件の責任者として勝手に認定。親子での実名から顔写真から経歴から、果ては再婚相手の名や仕事、経営している会社名、法人登記のコピーに至るまで何から何までインターネットに公開。親子で国体の選手として参加した時の写真や成績、父親がアマチュアピアノ発表会を行った時のプログラムパンフレットまで公開し、少年法の制約も何もあったものではない。


 この父親は一度、金属バットで娘から殴られて頭蓋骨陥没の重傷を負って殺されかかっている。娘を児童相談所や精神科医に連れて行って相談、診察も受けさせていた。保護者としてかなりやるべき事はやっていて、自身も殺されかかって重傷を負った父親もまた被害者の一人でもあった。娘をマンションで一人暮らしさせて距離を取ったのはしかたがないことで、そのままであれば再度、娘から襲撃されて自分が殺されたかもしれない。仮に実名報道が表現の自由の一環で許容されるべきだったとして、何の事実の裏付けもないでたらめ・虚偽をおもしろがって書き殴って良い理由など何ら存在しない。



 彼が前妻の死後、結婚相談所に登録して比較的早くに再婚したことを「悪行」のように騒ぎ立ててつつき回り、まるで集団リンチのように父親を責め続けたマスコミ(週刊文春や新潮、ポストなど)や、アフィリエイト収入で小銭を稼ぐためだけにネット上に実名や写真を垂れ流した連中は、全く言い逃れのできない名誉毀損の犯罪者たちである。父親が浮気した、DVを奮っていた、傲慢な性格だったといったこともなく、それらの証拠も何一つない。おもしろがって野次馬根性丸出しでたかってくるハエのような醜悪な人間たちではないか。

 この父親を自殺に追い込んでしまったことで事件の真相解明は大きく遠のいてしまった。また、短期の間に母と父を失った犯人の女子高生に対する人格矯正、病気治療、社会復帰などの支援も極端に可能性が失われ、たいへんな制約を課されることになった。被害者の女子高生の遺族に対する損害賠償や慰謝料の支払いにも大きな障害になる。その責任をマスコミはネットごきぶりたちは些かも負担するわけではない。


 父親を責めていた一人が、自称、経済評論家の森永卓郎。私はこの人物を少しだけ間接的に知っている。箸にも棒にもかからないどうにもならない男だった。しかも15年前と今とでは言っていることがまるで違う人物。就職先によって自身のカラーを調子よく変化させて生き残っていく処世術は大したものかもしれないが、フジTV御用達の小倉智昭、ミヤネ屋の宮根、朝ズバ・みのもんた、朝ナマ・田原総一郎など、大声で偉そうな台詞ばかり並べる電波人間にろくなものはない。

 日本の大手テレビマスコミはクズである。心底、そう思う。


インターネットはなぜ人権侵害の温床になるのか: ネットパトロールがとらえたSNSの危険性インターネットはなぜ人権侵害の温床になるのか: ネットパトロールがとらえたSNSの危険性
著者:吉冨 康成
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