12年前、2002年に東京慈恵会医科大(青戸病院)において、高度な技術と経験が要求される腹腔鏡手術で患者を手術の実験台扱いにして死亡させ、大きなニュースになった事件があった。病院は厚労省から指定も取り消され、健康保険が使えない事態に。慈恵会医大は窮地に陥って学内でも大きな問題になった。数年経ってから慈恵会医大の内部にドキュメンタリーのテレビが入った時、医師同士がほとんど喧嘩するような勢いで論争していた様子驚いたことがある。


 これと同じ腹腔鏡手術を手がけた群馬大医学部付属病院。この腹腔鏡事件で執刀を担当した須納瀬 豊 助教 は、合計8例の死亡事故を全て執刀していたが、その後に学会で成功報告までしてキャリアをPRしていた。彼や群馬大の同僚や上司が慈恵会医大事件のことを知らなかったはずはない。いったい、どういうつもりだったのだろうと強烈な不信を禁じ得ない。


 市民社会に普通に暮らしている一般市民には全く理解しがたい感覚。これはもう医者ではない。mad scientist 以外の何者でもない。不思議なことは、これだけの事故を起こし、これだけの学会活動などを堂々と行っている本人の名がマスコミで伏せられたままになっていること。海外の報道ではあり得ないことである。日本のマスコミは報道機関として国際基準に達する実際で機能しているのかどうか、多くの匿名報道事件を見るにつけいつも疑問に思わされる。 


 日本医師会は、建設、農協、遺族会、郵便局と並び、日本5大政治圧力団体として強い力を持つ。1974年、琉球大に最後の医学部新設が認められて以来、未だに新しい医学部新設は一つもない。医師の職場に競争原理が入り込むことを嫌って、医学部が猛烈に反対しているからである。同じ医療に関わる看護師、保健師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、介護福祉士などは規制緩和でどっと定員が増え続けているが、医師だけが対象外。戦後には、大学ではなく専門学校で医師が養成された時代さえあり、その時代に医師免許を取った人たちは、少なからず今なお現役で働いている状況にある。今のように偏差値エリートで高い学費負担に耐えられる人たち以外が進路として選択できない制度は明らかに異常であり、医学がこれほど特権的な規制で保護されている国家は、今世紀の先進国においては珍しい。

 
 白い巨塔、黒い医療。「守秘義務」を謳って密室が確保され巨大な利権化した産業は、仁術でも何でもなく腐敗と堕落の一途を辿る。戦後、70年間、続いてきたことでもある。




須納瀬 豊 助教  群馬大医学部付属病院
一般演題
OP-054-1 腹腔鏡下手術における系統的肝切除の工夫
http://www.jssoc.or.jp/jss114/program.html
http://www.myschedule.jp/jss114/detail.php…
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