2c245782.png バングラデシュ系のイスラム、ロヒンギャが、国際的に苦しい立場にあることを利用してISの戦闘員として勧誘され、イスラム原理主義武装組織の人材として活用され始めている。もし、こうした現状を放置すれば、シリア、イラク、リビアなどアフリカや中東だけでなく、インドネシア、タイ、バングラデシュ、マレーシアなどASEANの新興国の中でゲリラ、テロが激増することになる。

 
 アメリカは長く続くイラク戦争にうんざりして厭戦気分が国内を覆い尽くしているが、現状アメリカ軍の地上部隊がシリア、イラクに集中的に入っていかなければISを倒すことはできない。もはや上からの空爆だけではISを制圧できない。ISはアメリカがモスルに残した最新鋭の兵器を全て保有している状況にある。ランドクルーザーや装甲車、マシンガン、ランチャー砲など単なるライフルや豆鉄砲を持っただけのゲリラとは次元が違う。地上戦になれば、米軍、英軍の兵士の犠牲はまた増えることになるが、そもそもイラク戦争を引き起こしたのはブッシュのアメリカとブレアのイギリス。一度イラク戦争を始めれば泥沼の内戦、破滅的な宗派対立になることは戦前に嫌と言うほど指摘されていた。

 
 スンニ派とシーア派の区別もつかない、その違いの理解さえなかったホワイトハウスのネオコン閣僚が、パウエルら軍人の強い反対を押し切ってまで始めてしまったイラク戦争。簡単にイラクに民主政府を樹立して新しい国家として再スタートさせられると子どものように思いこんで戦争を始めてしまった。「十分な訓練」と「最新鋭の設備・物資」を残して米軍がイラクを立ち去った後、ISがモスルに軽く進撃しただけで「十分な訓練」を積んだはずのイラク政府軍兵士、イラク警察官らは脱兎のごとく逃げ出してしまい、やすやすと「最新鋭の兵器」をISに手渡してしまう醜態を晒すことになった。


 昨年、ISがモスルの刑務所を襲撃した時にイラク政府軍・警察があっさりとモスルから逃げ出す様子。ISが公開した映像。

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 戦争を始めたのはブッシュとブレア。アメリカ合衆国と大英帝国である。彼等に最後まで責任を持ってこの破滅的な大混乱を収拾してもらわなければ、世界全体が脅威にさらされることになる。天文学的な戦費がかかろうが、それは彼等の責任、使命であるはずで投げ出されてはたまったものではない。


 また、タイ系などの人身売買マフィアによって虐殺、略奪、強姦などの人権侵害が報じられているロヒンギャであるが、理由はどうであれISに参加という事実には同情の余地がなく、国際的な支援が受けられなくなる理由を自ら積み重ねていることになる。



 


ニューズウィーク日本版 6月12日(金)
[2015.6.16号掲載]


 アジアでの勢力拡大を狙うテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)が、迫害を受けてミャンマー(ビルマ)を脱出しているイスラム系少数民族ロヒンギャ族を戦闘員に勧誘し、訓練しているという。

 この数年でミャンマーを脱出したロヒンギャ族は最大10万人に上り、兵力増強をもくろむISISの格好の標的になっているとの懸念が高まっている。彼らの目指す地が、ISISが人員募集を活発に行っているマレーシアやインドネシアであればなおさらだ。

 現在、シリアとイラクでISISメンバーとして戦闘に加わっているインドネシア人は約700人、マレーシア人は約200人だ。シンガポールのリー首相は先週、「東南アジアはISISにとって重要な人材勧誘の場になっている。インドネシア人とマレーシア人のISIS戦闘員は多く、彼らだけで一部隊をつくっている」と語った。伝えられるところでは、この部隊はカティバ・ヌサンタラと呼ばれている。

受け入れ国もなく家族ぐるみでISISに入る例も

 135以上の民族が暮らすミャンマーでは民族同士の軋轢が多い。特にロヒンギャ族はミャンマー西部のラカイン州で仏教徒と長年にわたって衝突を繰り返し、数万人が国外脱出を試みる事態に発展している。

 しかし、多くの国はロヒンギャ族の受け入れに消極的だ。家族を養うお金もない彼らの間で、ISIS参加が魅力的な選択肢として急速に広まるかもしれない、と専門家は警告する。イスラム過激派やISIS支持者がロヒンギャ族に対し、シリアでの戦闘に加わるよう唆すメッセージをインターネットに投稿していたとの指摘もある。

 政治暴力・テロリズム研究国際センター(シンガポール)のグナラトナ所長は、ISISは弱い立場にあるムスリムを勧誘するのが巧みになってきていると指摘する。「以前は個人だったが、今は家族でISIS入りする例が増えている」