f7651d8d.jpg空爆は、着弾の破壊で一瞬にして轟音と朦々たる粉塵に。視界もゼロに。ISやアルカイダメンバー以外に一人も犠牲を出さない、ピンポイントの正確な爆撃など、ゴルゴ13でも不可能である。

ロシアの航空機撃墜とパリの同時多発テロ以降、ムキになってロシア、フランスやアメリカが空爆を激化させはじめた。これまで標的にしていなかった石油関連施設やトラック、タンクローリーなどを含めて大規模に。特にロシアは日50回前後と仏、米の10倍以上の回数、物量で爆撃している。戦闘機だけでなくミサイルも使っている。

しかし、「空爆」は誤爆を多発させる。地上部隊と連携しない、単独の空爆が、夥しい誤爆を発生させてしまうことは軍事戦術的には周知の事実。本来は地上戦と平行で地上部隊が集めた詳細な地形や相手の陣形の情報を基礎にして、これらを空軍に伝え空爆が行われる。事実、11月13日に要衝のシンジャルを奪還できたのも、アメリカが50人限定で最強の海兵隊員をクルド人部隊と共同して地上戦に投入して緻密な空爆に繋げ、本来の作戦を実行したからできたことであった。

つまり、地上戦なしの空爆だけに依存した攻撃は、学校、病院、一般市民の住居、バスなどを間違えて誤爆する事に繋がることが避けられない。先月も国境なき医師団の病院を米軍が誤爆して医師やスタッフ、患者を含めて20人以上が死亡する事件があった。


誤爆を抑制するためには、地上戦を本格的にやらなければならないが、地上戦突入は自軍の戦死者が激増する。地上部隊の犠牲が大きすぎるために、10年以上の戦争で厭戦気分が広がったアメリカがそれをやりたがらないだけのことである。


シリアとイラクで誤爆で殺された人の数だけで25万人(国連推計)。1日あたり150人以上になる。誤爆してしまいました、すいませんでした、で済むはずがない。


親、兄弟、妻子、友人らを次々に「誤爆」で殺され、何の謝罪も補償も受けられない一般のシリア人、イラク人は、ロシアや欧米がISを殲滅させるために行った空爆によって絶望的な怒りをかき立てられ、元々はISメンバーではなかった人たちを新しくISのメンバーに仕立ててしまう逆効果を生む。


いったい、真に無責任な政治家たち、国家はだれであろうか。イラク戦争は世界中の猛反対を押し切って、ブッシュとブレア、英、米、豪が自分たちで始めた戦争である。絶対に始めてはならなかった戦争である。こうなってしまった以上、最後まで責任をもって地上戦に踏み切り、自国の兵士に大規模な犠牲が出ようとイラク、シリアの建て直しをやり遂げる義務がこれらの国々にはある。