dcc13a0b.jpg アメリカ大統領選挙には二大政党の他、弱小政党や無所属の個人が立候補する。ブッシュとゴアが競った選挙では、ラルフ・ネーダー(環境訴訟を多く手掛けた著名な弁護士)が立候補し、2%の得票があった。ネーダーの票がゴアの支持者を吸収してしまったこともあって、ブッシュが当選した陰の立役者がネーダーだと言われたことがある。

 今回の選挙は、「最悪と最低」の激突と皮肉られ、魔物のようなトランプと野心的なヒラリーとが、嫌われ者合戦を同時開催しているような異様な風景になっているが、その煽りで二大政党の候補以外に票を入れる有権者も増える予測になった。

 その一人がリバータニアン党から出馬しているゲーリー・ジョンソン。ニューメキシコ州の州知事だった人物であるが、共和党よりもさらに徹底的な規制緩和、自由競争を謳う立場で立候補している。

 彼もまた、この種の南部バイブルベルト地帯の保守層によくあるように、国際情勢や外交にはとんでもなく疎い。シリア情勢を報道番組で質問されても何もわかっていないことを露呈し、唖然とされるシーンが放映された。


 同じようなことはブッシュ親子らこれまでの共和党候補にも当てはまり、父ブッシュ時代に副大統領を務めたダン・クエールは超がつくトンデモ政治家であったし、ブッシュJr.もあまりに諸事に無知を極めたため、「初等教育からやり直しが必要な大統領」とさえ新聞記事で書かれた時代があった。オバマと争った共和党候補、ジョン・マケインは、イラク戦争真っ只中、シーア派とスンニ派の区別がつかずに両者を混同して意味の通らない発言を繰り返し、国際事情オンチを満天下に示した受け答えもあった。

 
 アメリカは自らの手でアフガニスタン戦争、イラク戦争を引き起こし、シリア内戦のきっかけを作り、今はその内戦に空爆や戦闘支援で直接の当事者になっていながら、ほとんどの国民はおろか、政治家自ら事態のイロハがわかっていない。

 戦争とはかくも無責任に引き起こされ、こうも不誠実に継続されていく。現代の戦争を担う資格が最もない国々が、国連で拒否権を持つ5カ国の常任理事国を務めていることこそ、今世紀の人類が抱えた悲劇の元凶になっている。



「アレッポって何?」 米大統領候補の無知に司会者あぜん
AFP=時事 9月9日


 首都ワシントンで開かれた米国記者クラブの昼食会で演説するゲーリー・ジョンソン氏(2016年7月7日撮影)。

 大統領選で、小政党リバタリアン党(Libertarian Party)から立候補しているゲーリー・ジョンソン(Gary Johnson)元ニューメキシコ(New Mexico)州知事が、8日放送の報道番組内で、内戦下のシリアで激戦が続く北部アレッポ(Aleppo)市の状況にどう対処するかとの質問に「アレッポとは何ですか?」と聞き返し、司会者らをあぜんとさせる一幕があった。


 質問を投げかけたジャーナリストのマイク・バーニクル(Mike Barnicle)氏は、シリア問題に関する知識不足を露呈したこのジョンソン氏の返答を受け、信じられないといった様子で「ご冗談でしょう」と応じ、「アレッポはシリアにあります。難民危機の震源地です」と説明した。

 するとジョンソン氏は、「シリアについては、私も確かに大変な状況だと思う」と答えた上で、「シリアに対処する唯一の方法は、ロシアと協力して外交的に事態を終息に導くことだと考えている」と続けた。

 かつてシリアの経済中心地だったアレッポは、2011年3月に始まった内戦で荒廃している。

 ニューメキシコ州知事を2期務めたジョンソン氏は、近く行われる大統領選候補の討論会に参加し、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏と共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏との直接対決に臨みたい考えだが、そのためには世論調査で15%以上の支持率を獲得する必要がある。

 ジョンソン氏の名が世論調査で挙がることはほとんどないが、7日に公表された米紙ワシントンポスト(Washington Post)とオンライン調査会社サーベイモンキー(Survey Monkey)の合同世論調査では、全州平均で13%の支持を得ているとの結果が出ている。

 ジョンソン氏の発言の直後、ツイッター(Twitter)上では「#WhatIsAleppo(アレッポって何)」というハッシュタグがトレンド入りし、皮肉や驚きのコメントが相次いで投稿されている。中には、破壊されたシリアの写真に「これがアレッポだ」というコメントを添えて投稿し、失望をあらわにする人もいた。