51915c60.pngフジテレビ元記者書類送検 経緯と問題点

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170322-00000177-fnn-soci


フジテレビ系(FNN) 3/22(水) 18:25配信
フジテレビ報道局の元記者が、取材対象者の車の購入のために名義を貸していた事件で、警視庁は、虚偽の自動車登録をした疑いで、元記者(32)と、暴力団と付き合いのある元金融業者(59)の2人を書類送検しました。
フジテレビ報道局では、元記者が書類送検されたことを重く受け止めています。
この経緯と問題点について、調査の結果を視聴者の皆さまにお伝えします。

調査は、問題が発覚した2016年11月から、元記者本人、および元記者の同僚記者、管理職ら20人以上から聞き取りをしたもの。
弁護士も加え、元記者の証言や、関係資料などの客観的な検証も行った。
まずは、問題の全体像と何があったのかについて、時間を追って説明する。
元記者は当時、社会部の記者として、警視庁記者クラブで、詐欺などの知能犯や暴力団に関わる事件を取材。
暴力団関連の情報を得るため、取材対象者として、暴力団やその関係者に接触をすることもある立場だった。
そして、元金融業者は、暴力団組員ではないが、山口組系暴力団幹部らと付き合いがある、いわゆる「暴力団関係者」。
なお、今回の調査にあたり、捜査への影響を考えて、この元金融業者の直接の調査は控えた。
経緯については、元記者が、元金融業者と知り合ったきっかけは、元金融業者からフジテレビへの情報提供の投書だった。
当初、元記者は、この時期を2014年と説明していたが、その後、2013年4月だったことがわかった。
元記者は連絡を取り、飲食店で面会。
その後、取材の一環として、月1回程度、会食の形式で、暴力団関係の情報についての話を聞いた。
会食の費用は、1次会は、元記者がほぼ支払ったが、2次会として、高級飲食店などでは、20回以上にわたって元金融業者が支払い、その額は、平均して1回15万円程度だったという。
2015年初めごろ、元金融業者から、「仕事で使っていた車が壊れたので、元記者の名義でローンを組み、自動車を買ってほしい」との依頼を受けた。
その理由は、自らが金融関係の仕事をしているため、仕事柄、車のローンを組むことができないということだった。
すぐにローンを返済して、名義を戻すとも説明されたことなどから、依頼に応じた。
2015年2月、元記者は、元金融業者が連れてきた中古車販売業者と契約を交わし、ローンで車両を購入。
金額は、およそ400万円だった。
車は、3月10日に車両登録された。
使用者が実際と違う名義での使用者登録は、刑法の電磁的公正証書原本不実記録罪と同強要罪にあたる。
元記者は、元金融業者に代わって車を買い、ローンを組んで、現在に至るまで返済をしている一方、元金融業者から元記者への返済は、2015年秋以降、滞るようになり、2016年に入ると、「車は知人に貸している」と聞かされた。
2016年11月に、フジテレビ局内で、暴力団関係者に車の名義貸しをしたのではないかという問題が発覚した後、元記者が車の所在を確認するため、元金融業者に電話をした際、元記者は、警察に暴力団への名義貸しを疑われているようである旨、話をした。
その時、元金融業者から、「車は一時期、暴力団の人間が使っていた」と告げられた。
整理をすると、元記者が名義を貸して購入、登録された車は、数カ月間は元金融業者が、実際に使っていたが、その後、元金融業者が借金の担保として、車を第3者である知人に譲り渡し、現在は、この知人が車を使用している。
しかし、この知人を通じて、一時期、車が暴力団組員に使われた可能性がある。
また、元記者は、車のローンの肩代わりとは別に、元金融業者に「仕事の金が必要だ」などと言われ、知り合った直後から1回数万円から数十万円の金を、たびたび貸していた。
その額は、およそ230万円にのぼり、このうち、およそ170万円が、現在も返済されていない。
以上がこれまでの経緯となる。
問題点と、元記者の説明を整理する。
名義貸しは、違法行為となる。
元記者は、この認識がありながら名義を貸してしまったことについて、「何度もしつこく依頼され、情報提供者との関係を壊したくなかった」、「高級飲食店で何度もおごられた」ことなどを挙げている。
そして、そのほかにも、記者活動の倫理に反する行為があった。
取材相手である暴力団と付き合いのある人物に金を貸したことについては、「情報提供者としての関係をつなぎとめたかった」、また「ローンの返済が滞り、早く名義貸しを解消したい」、「関係を絶つとローン代も戻ってこないと考えた」と説明している。
また、警察に暴力団への名義貸しを疑われているようである旨、元金融業者に話したことについては、相手方に捜査が進んでいることを知らせることにもなりかねない行為。
元記者は、「警察の存在を出せば、また貸ししている知人から車を取り戻してくれるのではないかと思い、焦って話した」と説明している。
さらに、高級飲食店で過剰におごられたことについては、「いけないと思いつつも、考えが甘くなってしまった」と話している。
元記者は、一連の自らの行為について、「記者の倫理に照らし、取材対象者、情報提供者との関係で踏み越えてはいけない一線を越えてしまい、自分が甘かった」、「名義貸しは断るべきで、違法行為に対する認識が甘すぎた」と深く反省している。
ここまで、今回の問題の全体像と経緯の調査結果となる。
調査では、さらに、なぜこうした事態を未然に防げなかったのか、当時の社会部同僚記者や管理職から、元記者の様子、勤務の状況や職場環境についても、くわしく聞き取りした。
その結果、この記者は、スクープなど取材成果を上げようとして、そのプレッシャーから暴力団周辺の情報を取り、そこに記者としての活路を見いだそうとしていたとの証言が、複数あった。
当時、元記者は「自分はスクープが取れない」と周辺に話していたという。
一方、当時警視庁記者クラブでは、成果が求められる中、上司に相談しにくい環境で、コミュニケーションがとれなかったことも、こうした事態を招いた一因だった。
暴力団関係の情報を得て報道につなげることは、社会の安心・安全に関わる重要な取材活動だが、必然的に、暴力団に近い関係者に接触することを余儀なくされる職場でもある。
こうした特殊な取材対象との距離の取り方、付き合い方のルールは、その都度、先輩記者から教えていくとの手法がとられてきたが、この記者には、こうした取材を指導する先輩が身近におらず、記者教育の体制も不十分だった。
こうして元記者は、プレッシャーの中、誰にも相談せず、こうした不適切な行動に至った。

この事件は、基本的に元記者本人の認識の甘さが根底にあることは、言うまでもありませんが、このような事態の再発を防ぐためには、職場環境の改善、制度としての記者教育の構築が必要であると考えています。
なお、元記者と管理職は、2016年12月付で社内処分を受けました。
当社の元記者が、取材対象者との関係をめぐり書類送検されたこと、重く受け止めています。
再発防止に向け、記者の管理と教育の徹底を図り、信頼回復に努めてまいります。
視聴者の皆さま、ならびに関係者の皆さま、心より深くおわび申し上げます。
最終更新:3/23(木) 4:56Fuji News Network