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 ローマ教皇、フランスの司祭が修道女を性奴隷にしていたと認める AP通信 2019年02月6日
 
 https://www.bbc.com/japanese/47140076
 https://www.bbc.com/news/world-europe-47134033
 https://www.cbsnews.com/news/pope-francis-priests-nuns-sexual-slavery-abuse-saint-jean-order-france/

 教皇としてアラブ諸国を初めて公式訪問したフランシスコ1世。100万人以上のキリスト教徒がいるアラブでの歴史的な外交が報じられるが、笑顔で祝賀ムードという状況ではない。教皇はカトリック神父による性暴力をこの歴史的な中東訪問中に公式に認めて説明している。

 教皇自らの説明では、カトリックの男性聖職者がカトリックの修道女を性的に暴行する問題が継続しており、中には性奴隷扱いしていたケースもある。カトリックの性的スキャンダルは主に男の子に対する児童性愛(ペドフィリア)として露呈することが多かったが、司祭による成人修道女の性的暴行をバチカンや教皇が公に認めるのはこれが初めて。被害に遭っていたシスターが所属していたのは、フランスを拠点にしていた聖ヨハネ修道女会(the Community of St Jean)。神父・司祭たちが修道女たちを「性奴隷」扱いしていた事案まで出てきて、前教皇のベネディクト16世はこの女子修道会を解散・閉鎖させている。

 https://en.wikipedia.org/wiki/Community_of_St._John

 前の教皇、ベネディクト16世(ヨゼフ・ラッツィンガー首席枢機卿)が、カトリック教皇として950年ぶりに生前勇退しフランシスコ1世に立場を引き継いだ理由は、保守派の教皇が選出されたことで世界中で一挙に噴き上がったカトリックの性的スキャンダルに対応できず、全く手に負えない状況になって教皇を続けられなくなったことに起因している。形式上の理由は高齢による健康上の理由とされたが、実際はそうではない。ベネディクト16世自身がアメリカやアイルランド、ドイツ司教区などで発生した性的スキャンダルの隠蔽に荷担した当事者の一人でもあった上、実兄のゲオルグ・ラッツィンガー枢機卿もまた修道院所属の少年聖歌隊員に対するスパルタ教育・暴行事件を引き起こした当事者であり、到底、改革や問題解決の主軸として指導性を発揮できる状況ではなかったためである。ベネディクト16世がフランシスコ1世にこれらの問題について託したい、頼むと話して引き継いだとバチカンの側近たちは伝えている。

 引き継いで即位したフランシスコ教皇は、5日、専用機内で同行した記者団に対しての会見で

 「教皇ベネディクトは勇気をもって、女性修道会を解散した。というのもこの修道会の女性たちは、修道会を創設した神父たちによって性的奴隷と言える状態に置かれていたので」

 と述べている。その上で、カトリック教会として継続してこの問題に取り組み続けているものの、司祭による修道女の暴行は「今も続いている」と話して強く批判している。教皇の説明によれば、修道女への性的虐待は「特定の、主に新しい修道会」で行われているというが、ここまで教皇自身が対外的に説明して非難することは前代未聞。また、被害を受けた女子修道会だけがベネディクト16世によって閉鎖させられ、加害者の司祭たちが野放しになっている現状を丸ごと引き継がれたフランシスコ1世は全てが難しい舵取りとなっている。
 
 2017年秋からアメリカで始まった「#MeToo」運動によって爆発的に火がつき、以前よりも多くの女性シスターが性的虐待の経験を明かすようになり、2018年11月、カトリックの修道女が集まる国際組織が、自分たちの発言を食い止める「沈黙と秘密の風習」を非難し、バチカンが出版している雑誌は2月号で、司祭に暴行された修道女が人工中絶を余儀なくされるケースもあると告発記事を掲載した。こうしたことは極めて異例。

 バチカン教皇庁のプレス(Vatican press)、アレッサンドロ・ジソッティ報道官(Alessandro Gisotti)が明らかにした修道会は聖ヨハネ修道女会だけであるが、他にもこうした被害を受けた修道女会が世界各地に存在するという話はいくらでもあり、公式に次々、事件として認定されていく可能性が高い。

 教皇フランシスコは自身の年齢と健康状態を考えれば自分に残された時間はそう長くないと考えており、不退転の決意でこの問題に取り組む決意を示して、守旧派、保守的な枢機卿・大司教たちと全面対決する状況になっている。
 
 日本ではこのニュースがほとんど報じられず、また、報じられても修道会の名などが匿名のままになっていて非常にわかりにくい。この問題に限らず、日本のマスコミは実名報道が非常に弱いが、国際的に比較して、報道機関として用いている尺度、基準が甘すぎておかしい。

 なお、バチカンでは教皇の指示によって21日から性的虐待防止会議が開始される。