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 地球温暖化、温室効果、気候変動。こうした言葉が一般に知られるようになったのは今から40年近く前のことになる。NHKが当時、NHK特集という名でドキュメンタリー番組を制作、放映していた時代に、まだ小学生だった私はこれを見た時の新鮮な驚きを記憶している。

 今年は日本を含む世界全体が気候変動問題を意識した年になった。毎年のように豪雨被害が列島を襲っていた日本も、今年はついに首都東京を含む関東が直撃の被害を受けて衝撃が大きかった。欧州もパリが連日40度超になって高校生のテスト日が延期になった。国連ではスウェーデン人の高校生、グレタさんの歴史的演説があり、世界中で若者のデモに繋がった。

 現在の人類が生まれたのは17万年前から20万年前。その中で何度も気温の上下を経験したが、この1万年ほどは幸運にも安定した気候が続いて人類の増加、発展を支えることになった。その安定していた1万年間の気候、気温が変わり始めたのは産業革命以降。ゆっくりと上昇し始め、地球規模で目に見えて気候が変わり始めたのが1990年頃から。今世紀に入ってからは異常気象、災害として頻発するようになった。

 気候変動が地球温暖化が原因になっていることは、気候科学の科学者の間では97%以上の合意がある。それにも関わらず、なお気候変動を否定したい人たちが少なからずいる。

 https://skepticalscience.com/translation.php?a=17&l=11

 「温暖化が気候変動の原因であるとは言い切れない。」
 「人間活動だけが気候変動の原因になっているとは言い切れない。」
 「温暖化原因のコンセンサスはまだ確立されていない。」
 
 聞き飽きたセリフがいくつも並ぶ。しかし、仮に温暖化の原因がまだ断定はできないとして、このまま無策で現代社会が膨張した場合、温暖化が一定の線を超えてそれ以降は何をやっても気候変動を止めることができないサイクルに入ってしまう可能性がある。そうなってから「科学的に完全な証明」がなされ「コンセンサス」が成立したとしても時期が手遅れ。気候変動が破滅的な災害をもたらしてからでは選択肢がすでにない。そうなってから責任の擦り付け合戦になったところで何の役にも立たないことになる。そうしたシナリオが見えているからこそ、グレタさんら今世紀生まれの世代が激しく怒り、不信をぶつけている現状になった。

 アメリカの福音主義派キリスト教徒は、経済界、産業界からの影響も受けつつ、特殊で変形した宗教観から、徹底的な温暖化否定論に立ち、トランプ政権を熱烈に支持する政治行動を併せ持つに至る。彼らに「科学」は関係がない。

 日本人でこうした説を真顔で主張する著名人は少数派であるが、今夜、WBSのコメンテーターに梅澤高明が出ており、そうした主張をしていたことに驚いた。彼はコンセンサスを見直す必要があるというが、しかし、その先に明瞭な科学に立脚した提言がなければ意味がない。したり顔でレフィリー議論をしたところで無益である。

 人類に時間はもう残されていない。昨年、逝去したホーキング博士が、このままの状態で進めば今の「人類に残された期間は長くとも100年」と分析し、その解決の活路の一つとして宇宙空間への進出を主張したことがある。温暖化、気候変動、人口爆発、食料・水・資源不足、宗教対立、兵器の進化と拡散。ブッシュ・チェイニーのイラク戦争以降に一挙に始まった世界の分断と対立は、その後、オバマとプーチンのシリア内戦、大量の難民発生とISの猛威を経て、世界のあちこちにデマゴーグのポピュリストリーダー、独裁者がぞろぞろ出てくる異常な事態になった。今やドイツでさえ右傾化がかなり進み危機的な水域に。国際法も、基本的人権原理も、平和主義も、民主主義も、国際協調も何もかもかなぐり捨ててあられもないエゴと利害のぶつかり合いになっている。

 アメリカと中国が圧倒的に世界を引っ掻き回している現在、その間に挟まれている日本は、気候変動対策に積極的であるとはいえない。今世紀生まれの世代は、今世紀中に滅亡するか、その危機を経験することになる現実的な危険に瀕している。できることは全てやりきっていかない限り、もはや次の可能性に繋げることさえできない時期に入っている。