March 08, 2016


いわゆる「子宮頸がんワクチン」と呼ばれているHPVワクチンに関する著書は、そのワクチンとの関連が疑われている重篤な副反応関連ものはこれまでもあったが、本著は「そもそも、このワクチンが子宮頸がん予防に必要なのか」という「そもそも論」から問題提起をしているという点で、これまでの関連著書とは異なった斬新さがある。
著者は、前参議院議員で薬剤師のはたともこ氏。氏は、議員在職期間中からこのワクチンの必要性に疑問を抱き、予防接種法改正案に全国会議員中ただ一人で反対票を投じたという。その理由は、『子宮頸がんワクチン有効の可能性は非常に低い』『定期的な併用検診で子宮頸がんは予防できる』『子宮頸がんワクチンの「承認」と「臨床試験」に疑義あり』が主たるものとのことだ。
100ページ程度のブックレットであるが、これらの「理由」について、このワクチンに関する知識を始め、医学薬学的な専門知識を持たない一般読者にも理解できるような平易な記述で示されつつも、その内容はかなり濃厚だ。しかも全ページには、氏が国会質疑で行った際の議事録を始め、論文、審査に関係した文書などが資料として提示され、各々にはQRコードまでつけられており、本著を読みながらタブレット端末を用いて資料を手軽に参照できるという工夫まで施されているので便利だ。
本著は「子宮頸がんワクチンとは何か」から始まり、このワクチンが必要ない理由、重篤な副反応、定期的な併用検診(細胞診とHPV-DNA検査)推進の必要性、国内臨床試験の不透明問題と利益相反・構造癒着問題、接種勧奨中止に至る経緯と接種再開に向けた賛否の動きから、グローバルな医薬品ビジネスの産官学・構造癒着問題に至るまで順序立てて網羅的に解説されており、国会議員として活動した薬剤師という、著者ならではの独特な視点が興味をそそり、最後まで読者を飽きさせない構成となっている。
また著者は「子宮頸がんワクチン」に反対の立場から本著を書いているが、その反対意見を、扇情的ではなく極めて冷静に展開している。一部の「子宮頸がんワクチン」を推進する立場の医療関係者は、「子宮頸がんワクチン」に反対あるいは、その安全性に対して慎重な意見を発する人たちに「ワクチン反対派」とのレッテルを貼り、「噂、思い込み、紛れ込み、仮説を大きく扇情的に言っている」とか「冷静な議論を」と訴えているが、このワクチンを推進する医療関係者のグループであるHPV JAPANは、その声明文 http://medg.jp/mt/?p=3320 において「日本で毎日10人の命を奪っている子宮頸癌。日本の子宮頸癌罹患率および死亡率は、米国、英国などの2倍という悲惨な状況です。HPVワクチン接種世代が成人に達した英国では、子宮頸癌初期および前駆病変の発生が50%以上も減少しました。今でも子宮頸癌の多い日本では、有効策を取らずに死と不幸を生み続けている状況です。日頃、進行癌患者さんと一緒に苦しみ努力しても、治療の甲斐なく命が失われる悲劇は、一刻も早く止めたいと祈るばかりです。」と、あたかも一刻も早く子宮頸がんワクチンを打たないと子宮頸がんで命を落としてしまうかのような、まさに扇情的な文章で、このワクチンの有用性を主張している。
しかしこのワクチンの効果や有効性については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるサーバリックスの審査報告書 http://www.pmda.go.jp/drugs/2009/P200900052/34027800_22100AMX02268_A100_1.pdf#page=2&r=s&q にさえ、「子宮頸癌とその前駆病変の進行過程を踏まえると、本剤のHPV-16又はHPV-18に起因する子宮頸癌及びその前駆病変である子宮頸部異型上皮に対する予防効果即ち有効性は認められるものと考える。しかしながら、現時点で本剤の有効性を評価した期間は、例えば、HPV-001 試験開始から HPV-007 試験の Visit3 までの平均追跡期間が約 4 年であるなど限られており、HPV 感染から子宮頸癌及びその前駆病変への罹患までの期間を考慮すると、本剤の予防効果が永続的であるかについては明確でないことは留意すべきであり、今後、引き続き長期的な情報収集等を行う必要があると考える。」「20~25 歳の女性における HPV-16 又は HPV-18 に起因する CIN2+に対する予防効果、また、 子宮頸癌及びその前駆病変である子宮頸部異型上皮に対する予防効果が期待できるものと考える。しかしながら、持続感染については、申請者も病変発生に先行するのか、病変発生と相関関係にあるのかについて現時点では結論が得られていないことを説明しており、 真のエンドポイントに対する代理的な指標に過ぎず、その臨床的意義については、製造販売後臨床試験の結果等、今後得られる知見と併せて解釈する必要があると考える。」と書かれており、欧米に比べて著しく低い我が国の子宮頸がん検診率には一切言及せずに、ワクチン接種のみが子宮頸がん予防の唯一の手段であるかのように謳うHPV JAPANの声明文が、いかに冷静さを欠いた極端な議論であり、「子宮頸がんワクチン」と「子宮頸がん予防対策」に対する国民の意識と知識をミスリードしかねない危険を孕んだものであるかが、このことからも理解できる。
本著は、「子宮頸がんワクチン問題」に関する情報と知識の整理に役立つことはもちろん、これらの「子宮頸がんワクチン」接種推進を感情的に主張している人たちにも「冷静な議論」を呼びかけるキッカケともなり得る良著と言えよう。

















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December 08, 2015

東北地方太平洋沖地震により発生した東電原発事故から、12月で4年9ヶ月。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるが、事故収束のメドも全くついていないばかりか、増え続ける汚染水にも何ら解決手段が見当たらない状態、さらに福島県内での小児甲状腺がんが3.11以前の発生率に比べてケタ違いに増加してきているなど、今後われわれ国民が受け得る影響、被害という「熱さ」は「喉元」を過ぎるどころか、いまだその全貌は誰にも想像すらつかないままである。
このような未曾有の危機が悪化の一途に向っているもかかわらず、安倍政権は「原発に依存しない経済を目指す」とした選挙公約をアッサリと反故、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、事故の原因究明も反省も無きまま九電川内原発を再稼働、さらに四国電伊方原発の再稼働まで目論んでおり、「原発に依存しない」どころか「原発回帰」を加速し続けている。
そんな政府が原発事故以降、懸命に行ってきたことが、原発事故収束作業でもなければ原発事故被害者の救済・補償でもなく、「いかに原発事故の現状、影響、被害から国民の目を逸らすか」であり「いかに何事もなかったかのように核汚染地域に人を住まわせ続けるか」であったことを、私たちは今一度確認しておく必要がある。これは、3.11直後の民主党政権から現安倍政権に至るまで一貫していることだ。
だが、いかに政権がメディアを駆使して国民の目を真実から逸らせようとも「事実」を消すことは不可能だ。福島県では、事故当時18歳以下の子どもたちを対象に甲状腺検査を行っているが、平成27年11月30日現在、平成23年度から25年度にかけて行われた1巡目の「先行検査」では114人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」と診断(うち、手術によりがん確定100人、良性結節1人)され、平成26年度からの2巡目の「本格検査」では、新たに39人が「甲状腺がんと確定あるいは疑い」があると診断(うち、手術によりがん確定15人)されたのである。
日本では数少ない疫学専門家の岡山大学大学院の津田敏秀教授は、「Epidemiology」という権威ある疫学専門の医学誌に、これら甲状腺検査で得られた結果を疫学的手法により分析した論文を発表した。
それによると、潜伏期間を4年としてほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの甲状腺がん発症率(100万人あたり3人程度)と比較した場合、福島県中通りの中部で約50倍、東電原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍と、スクリーニング効果や過剰診断では説明不可能な甲状腺がんの多発が明らかになったという。
津田教授は「これらの分析結果について海外では、関心は大いに持たれたものの、高すぎるという反応以外には、違和感なく受け入れられてきた。スクリーニング効果や過剰診療での説明がなされている日本国内と大きなギャップを感じている」と述べ、いまだに「原発事故の影響とは考えにくい」としている検討委員会による「公式見解」と、それに基づく行政の不作為を批判し、早急な対応の必要性を訴えている。
一方、事故発生直後から「住民の被ばく量は少ないので、被ばくによる健康被害は起こらない」と言い続けている人たちがいる。例えば南相馬市などで活動をしている東京大学の医師や科学者たちだ。
彼らは発災数カ月後より南相馬市を中心にホールボディカウンターを用いて住民の内部被ばく調査を継続、そのデータを次々に論文として発表しているが、いずれも「住民の内部被ばくは測定機の検出限界以下であり著しく低い」とするもので、さらに避難住民の健康調査などから、避難生活に起因する疾病の方が被ばくによる健康影響より懸念すべきなどとして、住民の被ばくに対する不安を払拭することこそが被災地の復興に重要である、との意見発信をメルマガなどを用いて精力的に行っている。
しかし、そもそもこの装置は体内に取り込まれた放射性物質が発するγ線を検知するものであり、内部被ばくの影響として本来重要であるα線やβ線を発する核種による内部被ばくは評価できない。また尿検査など生体試料を用いた検査に比べ著しく感度が悪いことなどから、放射線被ばくの専門家は、「ホールボディカウンターを用いた住民の内部被ばく検査を行うことの本質は、まさに『内部被ばく隠し』に他ならない」と批判している。
原発事故により放出された膨大な量の放射性物質に、福島県民のみならず東日本一帯の国民が「曝露」されたという明確なファクトがあるにもかかわらず、「不検出」という調査結果こそがファクトであるとして、住民を集めてはリスコミ(リスクコミュニケーション)と称して勉強会を開き、「不検出=被ばく無し」とのスリコミをし続けている医師たちの活動は、一見、不安を抱く住民に寄り添う篤志ある支援と見紛うが、その本質は、核事故被害者、被ばく者の「切り捨て」という国策と、電力会社の企図を補強する活動であることに他ならない。
今後次々に再稼働される原発は、いずれ遠くない将来に核事故を起こすだろうが、このような「福島だって大した被ばくじゃなかった」「万一事故が起きても被ばくを心配して避難する方が体に悪い」といったリスコミ対策がすでに産官学一体となり着々と準備されている。これが「次の核事故被害地」にて「粛々と援用」されていくのだ。原発事故による「熱さ」などそもそも無い、そんな作られた空気に非常に強い不気味さを感じる。

(「脱原発東電株主運動ニュース No.252」2015.12.6発行 に掲載)










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August 08, 2015

 「子ども被災者支援法基本方針改定案(概要)」の「改定の趣旨」は、その冒頭より「集中復興期間が終了し、復興・創生期間が始まるに当たり」との文章から始まっている。しかしそもそも「子ども被災者支援法」の立法趣旨は、今回の東電福島原発事故による核汚染地域における、子どもを始めとした被災者の被ばく及びこれらによる健康被害を最小化することであって、核汚染地域の「復興・創生」に資するためのものではない。つまり、今回の「改定案」は、その冒頭から本法律の立法趣旨を意図的に無視したものであると言わざるを得ない。まず、この点を厳重に指摘し批判しておきたい。
 次いで、「発災から4年が経過し、避難指示区域以外の線量が大幅に低減していること」を根拠に、現在の支援対象地域が「避難する状況にない」と一方的に決めつけているが、その根拠にしている「空間線量率」には反映されない、いわゆるホットスポット等の土壌汚染について一切考慮に入れていないことは、被災者、特に地面に近いところで「泥んこまみれ」になって遊ぶ子どもたちの生活環境についてまったく配慮する意思がないという点で、極めて無責任であると言える。
 さらに住民の外部被ばく線量推計には、個人線量計(ガラスバッジ)を利用しているようだが、これは山本太郎参議院議員が平成25年12月2日に提出した「放射線被ばく環境下における居住に関する質問主意書」にて指摘している通り、「そもそも個人線量計は、放射線源や核種が特定されている環境で放射線作業従事者が、適切な指導の下、装着使用することが前提とされている測定器であって、今回の原発事故により放出された放射性物質による環境汚染のように、どこに放射線源があるのか、どのような核種があるのかといった点も特定できないような状況下において、一般住民が使用することは前提とされていない」。また、我が国では外部被ばくによる線量測定は放射線障害防止法施行規則等できめ細かく規定されているため、今回の一般住民の被ばく線量測定に関しては、これらの法規との法的整合性が問われるところであるが、この点については、同質問主意書の答弁書において、「住民の被ばく線量の評価は、放射性同位元素の使用等を規制する放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の適用外」とされ、なんら「法的根拠」もなく、またなんら法律によって担保されない「測定」によって、核汚染地域住民の外部被ばく評価が行われていることが明らかになった。今回さらに、その「なんら法的根拠も担保もない測定結果」によって住民の支援方針が改悪されるのであれば、これは国の施策として非常に乱暴かつ無責任であると言わざるを得ない。
 今回の「改定案」は、このような非常に乱暴かつ無責任な手法によって、未曾有の核汚染によってかけがえのない安定した生活を奪われた核汚染地域住民の唯一の「法的よりどころ」である、「子ども被災者支援法」の立法趣旨を完全に無視、さらには著しく踏みにじるものであり、断じて看過出来るものではない。ここに強く抗議し、本改定案の撤回を強く求める。

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April 03, 2015

現行規定「第2 原子力災害事前対策」の「(3)原子力災害対策重点区域」の「原子力災害対策重点区域の範囲」の「(i)実用発電用原子炉の場合」の「(ハ)プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA:Plume Protection Planning Area)の検討」が、本改定原案にて完全に削除されている。この(ハ)に関しては、原子力規制委員会において国際的議論の経過を踏まえつつ検討し、今後「本指針に記載する」と本項目文末に記されているにもかかわらず、本改定原案には、これに関して検討を踏まえた指針も一切記載されていない。これは以下に示すごとく、平成二十六年十一月二十五日の閣議決定に反するものであるため、本改定原案は見直されなければならない。
平成二十六年十一月十七日に山本太郎参議院議員が提出した『九電川内原発を始めとした我が国の運転停止中の原発再稼働に係る「安全」及び原発事故発生後における政府の「責任」に関する質問主意書』(第百八十七回国会質問第八三号)の十八では、PPAおよび緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等に関して、その政府見解を問うているが、その答弁書(内閣参質一八七第八三号)において政府は、「政府としては、原子力災害対策指針に基づき、国際放射線防護委員会等の勧告や国際原子力機関の原則にのっとり、原子力災害が発生した場合には、住民等の被ばく線量を最小限に抑えると同時に、被ばくを直接の原因としない健康等への影響も抑えることを、放射性被ばくの防護措置の基本的考え方としている。」(以下「本閣議決定文書」という。)と回答した。この答弁書が閣議決定された平成二十六年十一月二十五日当時の原子力災害対策指針には、本改定原案で削除された「UPZ外においても、プルーム通過時には放射性ヨウ素の吸入に よる甲状腺被ばく等の影響もあることが想定される。つまり、UPZの目安である30Kmの範囲外であっても、その周辺を中心に防 護措置が必要となる場合がある。プルーム通過時の防護措置としては、放射性物質の吸引等を避け るための屋内退避や安定ヨウ素剤の服用など、状況に応じた追加の 防護措置を講じる必要が生じる場合もある。また、プルームについ ては、空間放射線量率の測定だけでは通過時しか把握できず、その 到達以前に防護措置を講じることは困難である。このため、放射性物質が放出される前に原子力施設の状況に応じて、UPZ外においても防護措置の実施の準備が必要となる場合がある。以上を踏まえて、PPAの具体的な範囲及び必要とされる防護措置の実施の判断の考え方については、今後、原子力規制委員会において、国際的議論の経過を踏まえつつ検討し、本指針に記載する。」(以下「現行指針」という。)との記載が存在しているため、本閣議決定文書において「基づく」とした「原子力災害対策指針」は、この現行指針を踏まえたものであると解される。すなわち、「PPAの具体的な範囲及び必要とされる防護措置の実施の判断の考え方について」は検討ののち指針が改定される場合には、改めて「指針に記載」されることを本閣議決定文書は前提としていると解釈されるため、「PPAの具体的な範囲及び必要とされる防護措置の実施の判断の考え方について」の指針が一切記載されず現行指針を完全に削除した本改定原案は、本閣議決定文書を全く無視したものであると言わざるを得ない。従って、平成二十六年十一月二十五日の閣議決定に反する本改定原案は、上記の理由から見直されるべきである。

加えて「第3 緊急事態応急対策」の「(5)防護措置」の「0堕螢茱α悩泙陵祝鰭用」にある、「なお、プルーム通過時の防護措置としての安定ヨウ素剤の投与の判断基準、屋内退避等の防護措置との併用の在り方等については、原子力規制委員会において検討し、本指針に記載する。」の文言も本改定原案において完全に削除されており、これに関しても検討後の指針が新たに本改定原案には記載されておらず、上記と同様の理由から本改定原案は閣議決定に反するものであると言わざるを得ない。

そもそも「住民等の被ばく線量を最小限に抑える」というのであれば、あらゆる手段を講ずるべきであるが、その手段のひとつであるSPEEDIの活用を、今回なぜ取り止めることにしたのか、納得し得る理由が一切明らかにされない。予測値が公表されることで、風下住民のパニックが懸念されるため、なるべく予測段階での数値や地域は公表したくない、というのがもしその本当の理由であるなら、それは全く適切な判断ではない。予測が一切公表されない状況では、パニックは事故現場を中心として同心円状にUPZ外にまで波及し、本来なら緊急避難の必要がない地域の住民まで一斉に行動を起こすことも考えられ、その混乱は、予測値が公表された状況よりも、むしろより一層深刻な事態を引き起こすことが懸念される。
以上、住民被曝防護に際しては、SPEEDIによる予測値も活用されるべきとの意見も付して、本改定原案の見直しを要求する。

(2015.4.3 上記を元に字数調整行い、パブリックコメントとして提出)



【参考】山本太郎参議院議員『九電川内原発を始めとした我が国の運転停止中の原発再稼働に係る「安全」及び原発事故発生後における政府の「責任」に関する質問主意書』











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January 20, 2015

この「当面の施策の方向性(案)」では、その(1)に「事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進」において、「データの不確かさや限界が存在することを踏まえ、今後も線量推計の基礎となるデータの収集と信頼性の評価を継続することが重要」として事故初期の被ばく線量については、評価どころか把握さえも出来ていないことを認めながらも、その(2)では、「放射線被ばく線量に鑑みて、福島県及び福島近隣県においてがんの罹患率に統計的有意差をもって変化が検出できる可能性は低い」「遺伝性影響の増加が識別されるとは予想されないと判断する」「不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、 白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない」などと断言している。初期被ばくの評価さえも出来ていないばかりか、福島県および近隣県を始めとした関東東北地方の各都県においては、今もまだら状に放射能汚染が広範囲に拡散したままとなっており、ICRPのいうところの「現存被ばく状況」が続いている現状である。初期被ばくにこれら将来にわたって累積し続ける外部被ばく・内部被ばくがさらに上乗せされることについて、何ら評価しようとの姿勢もないままに「健康影響が予想されない」という、子どもさえも騙せぬようなこの矛盾を放置して施策を立案すること自体が、甚だ無責任と言わざるを得ない。

全国がん登録等で様々ながんの動向を地域毎に把握、分析する際に専門的な知見を要すとして、新たに研究組織を構築するとあるが、その組織に属するメンバーが如何にして選ばれるのかが不透明である。上記のような「健康影響が予想されない」という「方針」に反対意見を持つ者がその組織のメンバーに加わることなくして、科学的分析および分析結果の情報発信が正確に行われるとは到底考えられない。

「福島県及び福島近隣県の各地域の状況や自治体としての方向性を尊重し、地域のニーズに合ったリスクコミュニケーション事業の推進に取り組」むとしているが、そもそも放射能汚染自体が県境や自治体の境界と無関係に拡がっているにも関わらず、福島県内とその近隣県など、県境や自治体単位で施策を個別に決めることからしてナンセンスである。実際、茨城県に在住している10歳児に多発肺転移を伴う甲状腺癌急速進行例が認められており、もはや原発事故との関連を否定できない健康被害が福島県外にも及んでいる。甲状腺癌以外の腫瘍性疾患および非腫瘍性疾患についてもチェルノブイリ原発事故後のこれらの健康被害影響の報告を謙虚に踏まえ、これまでの健康調査を抜本的に見直し、より「予防原則」に立った新たな対策を早急に立案すべきである。




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January 15, 2015

【質問前文】新聞報道によれば、安倍首相は第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった報道各社の社長等の経営幹部や解説委員、論説委員あるいは政治関連担当記者らとの「会食」を頻回に行っていることが明らかにされており、この二年間で安倍首相とこのような報道関係者らとの会食は、実に四十回以上にも及び、歴代首相の中でも突出した頻度であると指摘されている。メディア戦略を重要視しているとされる安倍首相であるが、政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない。また、報道関係者以外にも、安倍政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と安倍首相との「会食」が行われている事実も報じられており、これら一般常識から逸脱した安倍首相の行いについて、安倍政権は国民に対して真撃かつ誠実な説明をすべきであると考える。以上を踏まえて、安倍首相が行っているこれらの報道関係者さらには利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部らとの「会食」に関して、政府としてはいかなる現状認識を持っているのか、その見解を明らかにされたく、以下質問する。

ーーーー
質問一から五までおよび九は、以下のとおり安倍首相の行ってきた「会食」を具体的に列挙し、政府の見解と現状認識を求める質問です。なお、質問原文には「首相動静」において公表されている以下参加者氏名については明記されていません。


特定秘密保護法が成立した平成二十五年十二月六日の十日後の平成二十五年十二月十六日。
7時6分、東京・永田町の山王パークタワー。中国料理店「溜池山王聘珍樓」。時事通信の田崎史郎解説委員、毎日新聞の山田孝男専門編集委員、朝日新聞の曽我豪政治部長らと食事。9時12分、東京・富ケ谷の自宅。

安倍晋三氏が首相に就任して初めて靖国神社を参拝した平成二十五年十二月二十六日。
6時41分、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京。日本料理店「雲海」で報道各社の政治部長らと懇談。9時18分、東京・富ケ谷の自宅。

消費税増税が施行された平成二十六年四月一日。
7時38分、東京・四谷の居酒屋「鉄板酒場 アケボノヤ 四谷店」。報道各社の記者と懇談。8時57分、公邸。
翌平成二十六年四月二日。
7時1分、東京・赤坂の日本料理店「こうしんほう」。報道各社政治部長経験者と食事。9時26分、公邸。

安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が集団的自衛権行使を容認するよう求めた報告書を提出したのを受けて、安倍首相自ら臨時記者会見において集団的自衛権に関する検討を公式に表明した平成二十六年五月十五日。
8時6分、東京・西新橋のすし店「しまだ鮨」。時事通信の田崎史郎解説委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、朝日新聞の曽我豪編集委員らと食事。10時15分、東京・富ケ谷の自宅。

平成二十六年十二月十四日に行われた衆議院議員総選挙の二日後に当たる十二月十六日。
6時59分、東京・西新橋のすし店「しまだ鮨」。時事通信の田崎史郎解説委員、朝日新聞の曽我豪編集委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、読売新聞の小田尚論説主幹、日本経済新聞の石川一郎常務、NHKの島田敏男解説委員、日本テレビの粕谷賢之解説委員長と食事。9時37分、東京・富ケ谷の自宅。

原子力規制委員会の安全対策がいわゆる「新規制基準」を満たすとする審査書案を公表した平成二十六年七月十六日の翌々日に当たる平成二十六年七月十八日。
6時28分、福岡市博多区の料亭「嵯峨野」。麻生泰九州経済連合会会長、貫正義九州電力会長ら九州の財界人と食事。9時51分、山口県下関市の自宅。

これらを一見してわかるように、政治的な重要決定、重要事案があるたびに、安倍首相はメディア関係者あるいは安倍首相の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と会食を行っています。まず政府に対してこれらの会食が事実であるかを問い、これが事実であるならば、,海譴蕕硫饋を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示すること、加えてその費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにすること、F辰飽打楴鸛蠎身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにすること、い泙燭海譴蕕亮遡笋紡个靴禿弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにすること、として、これら首相である安倍晋三氏が行っていた会食に関する、政府の現状認識を求める質問が出されました。
これらの質問に対して、一括して以下のような答弁が出されました。
ーー
一から五までおよび九について
御指摘の「会食」については、政府として企画等を行っておらず、その費用も支出していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

ーー
これらの会食について事実であるかどうか、それさえも明言しませんでしたが、「御指摘の「会食」については、政府として企画等を行っておらず、その費用も支出していない」との答弁から、会食が行われた事実は否定しなかったことになります。
また、「政府として企画等を行っておらず」という答弁しかされず、安倍首相が個人として会食を呼び掛けたのか、メディア関係者あるいは財界人が企画したのか、そのいずれかであるのかは明らかにされませんでした。
そして、「その費用も支出していない」との答弁からは、内閣官房報償費から費用支出した事実はないとの意味であるとの解釈はできますが、安倍首相がポケットマネーですべて同席者に奢ったのか、それともキッチリ割り勘でご自身の飲食分はポケットマネーで支払ったのか、はたまた安倍首相がすべて奢ってもらったのか、その場合、安倍首相以外の同席者が均等に割り勘したのかは、まったく明らかにされませんでした。
仮に安倍首相がポケットマネーを用いたとしても、それは総理大臣の俸給から出すわけですから、その「原資」は、いずれにせよ私たちの税金であることには違いありません。
そもそも、この答弁書は「内閣総理大臣 安倍晋三」の名を冠して出された「閣議決定文書」ですから、その答弁者である安倍首相ご自身が行った会食について「お答えすることは困難である」との答弁は非常に「不可解」極まりないものでありますし、「これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにすること」とわざわざ質問に書いてあるにも拘らず、国民に対して極めて不誠実なものであると言わざるを得ません。


続く質問六では、
原子力規制委員会が九電川内原発の安全対策が「新規制基準」を満たすとする審査書案を公表した二日後の平成二十六年七月十八日夜、福岡市博多区の料亭で、安倍首相が貫正義九電会長、麻生泰九州経済連合会会長、石原進JR九州相談役といった九州の財界人と会食した際、出席者から九電川内原発の早期再稼働を要請され、「川内はなんとかしますよ」と安倍首相が応じたとの新聞報道について、その発言事実について質問が出されました。そしてその発言が事実であるならば、発言の真意について政府としての認識を具体的に示すようにも問われました。 もし発言事実がなければ、その発言があったと記者に述べた石原氏への対応も、併せて質問されました。この質問に対する答弁が以下です。
ーー
六について
お尋ねについては、政治家個人の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
なお、原子力発電所の再稼働については、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」こととしている。

ーー
この質問六から八までに対する答弁は、実は墓穴を掘っています。丁寧に読んでいきましょう。
まず「六について」の一行目では、「政治家個人の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない」と言い切ってしまっていますが、おそらくこれは続く質問七および八があるため、このように答えざるを得なかったものと推察されます。
順番が前後しますが、先に質問八とその答弁をご覧ください。

質問八では、
九電川内原発再稼働を進める政権の総理大臣を務めている安倍晋三氏と、その運転に係る原子力事業者の経営トップである九電会長とは利益相反関係にはないと言えるか、として政府の認識を求める質問が出されました。その答弁が以下です。
ーー
八について
お尋ねの「利益相反関係にはないと言えるか」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。

ーー

質問八の原文では「九電川内原発再稼働を進める政権の総理大臣を務めている安倍晋三氏と、その当該原子炉の運転等に係る原子力事業者の経営トップである九州電力株式会社代表取締役会長とは利益相反関係にはないと言えるか」と少々周りくどい文章で質問されていますが、これは「利益相反関係にあたるのではないのか」と問うと「お尋ねの「利益相反関係」の意味するところが明らかでないため…」との答弁が予測されたためだろうと思われます。
何もやましい関係などではなく、「利益相反関係にない」と自信を持って言える状況であるならば、「利益相反関係にないと言えるか」と問われても、その「利益相反関係」がどういう関係のことを指すのか、その関係についての具体的な意味、内容がどうであれ、「利益相反関係にはない」とハッキリ答弁すれば良いだけの話です。つまり、この質問八に対して「お答えすることは困難である」としたのは、安倍首相とこれらの九州の財界人たちが「利益相反関係にはない」と、政府公式見解として明言することが出来ない関係であるからに他なりません。苦しい「逃げ答弁」と言えます。

次いで質問七に対する答弁、これはさらなる問題を孕んでいます。
質問七では、
国会議員等と利益相反関係にある企業経営者等とが、政治資金パーテイとは異なる個別の会食等を行うことの是非について、一般論としての政府見解を示すよう質問されました。答弁は以下です。
ーー
七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国会議員等が政治家個人として行う活動については、政府としてお答えする立場にない。

ーー

「国会議員等と利益相反関係にある企業経営者等とが、政治資金パーテイとは異なる個別の会食等を行うこと」について、政府の一般論としての認識が問われただけなのですが、何を警戒したのかこれに対しても「政府としてお答えする立場にない」との「逃げ答弁」を行いました。しかしこれは完全に墓穴を掘りました。この答弁によれば、「国会議員等が政治家個人として行う活動」ならば「利益相反関係にある企業経営者等とが、政治資金パーテイとは異なる個別の会食等を行うこと」については「政府として答える立場にない」としているわけです。つまり、安倍内閣は、閣議決定した公式見解として、国会議員が利益相反関係にある業者からの饗応を受けることに関しては「黙認する」としたわけです。国会議員の贈収賄を看過するかのようなこの政府見解は、前代未聞の重大な「問題答弁」と言えるでしょう。この政府答弁は今後も厳しい追及を受けるべきものだと思われます。
ここで質問六に戻ります。前述のように答弁書では、安倍首相の九州の財界人との会食を「政治家個人の活動」であるから「政府としてお答えする立場にない」としています。しかし続く安倍首相の早期原発再稼働要請に対する「川内はなんとかしますよ発言」についての問いに対するものと思われる答弁、「なお、…」以降では、「エネルギー基本計画」まで持ち出して「再稼働に対する政府公式見解」をわざわざ書いてしまっています。
これは完全に墓穴です。
会食は安倍晋三衆議院議員という「政治家個人の活動」と答弁しながら、その席上での再稼働要請に対する安倍晋三氏の発言については、政府公式見解、つまり安倍「首相」の見解として説明。余計なことまで書いたばっかりに、まったくの「チグハグ答弁」となってしまいました。
つまり、この「会食」が、安倍晋三氏が内閣総理大臣として九州財界人らと行ったものであることを、頼みもしないのにわざわざ認めてしまった「墓穴答弁」と言えます。この答弁作成者は、安倍政権幹部から、その責任を強く問われることになるのではないでしょうか。

最後に質問十では、
首相と報道関係者、あるいは政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部が懇談、会食した際に要した費用を内閣官房報償費(いわゆる機密費)から支出することが適切であると言えるのかどうか、一般論としての政府見解を示すよう質問が出されました。
そして、内閣官房報償費の会食等に関わる使途、明細等については特定秘密保護法における特定秘密に該当するのかどうか、政府の認識を明確に示すよう質問されました。その答弁が以下です。
ーー
十について
内閣官房報償費については、その取扱責任者である内閣官房長官が、責任を持って、真にその経費の性格に適したものに限定して、適正に執行しているところである。また、お尋ねの「内閣官房報償費の会食等に関わる使途、明細等」の意味するところが必ずしも明らかでなく、特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第三条第一項に規定する特定秘密に該当するか否かについてお答えすることは困難である。

ーー
政府答弁の表現を真似させてもらえば、この「真にその経費の性格に適したものに限定して、適正に執行しているところ」の意味するところが明らかでないため、内閣官房報償費の使途、明細等については今後も追及していかざるを得ない、となりますね。

このように、今回の『安倍首相の「会食」に関する質問主意書』に対する答弁書は、ほとんど「ゼロ回答」とも言うべき酷いものでしたが、この「酷い答弁書」によって、不都合なことは決して「国民の納得できる形で明らかにしない」という安倍政権の「国民に対する姿勢」が、奇しくも改めて浮き彫りになったと言えるのではないでしょうか。


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January 09, 2015

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新聞報道によれば、安倍首相は第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった報道各社の社長等の経営幹部や解説委員、論説委員あるいは政治関連担当記者らとの「会食」を頻回に行っていることが明らかにされており、この二年間で安倍首相とこのような報道関係者らとの会食は、実に四十回以上にも及び、歴代首相の中でも突出した頻度であると指摘されている。メディア戦略を重要視しているとされる安倍首相であるが、政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない。また、報道関係者以外にも、安倍政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と安倍首相との「会食」が行われている事実も報じられており、これら一般常識から逸脱した安倍首相の行いについて、安倍政権は国民に対して真撃かつ誠実な説明をすべきであると考える。以上を踏まえて、安倍首相が行っているこれらの報道関係者さらには利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部らとの「会食」に関して、政府としてはいかなる現状認識を持っているのか、その見解を明らかにされたく、以下質問する。

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特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が成立した平成二十五年十二月六日の十日後に当たる平成二十五年十二月十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の中国料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できな い場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。


安倍晋三氏が首相に就任して初めて靖国神社を参拝した平成二十五年十二月二十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の日本料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。


消費税増税が施行された平成二十六年四月一日及び翌四月二日、安倍首相は報道関係者らと東京で二日続けて会食を行ったとの報道があるが、これらは事実か。事実であるならば、これらの会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自信が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。


安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が集団的自衛権行使を容認するよう求めた報告書を提出したのを受けて、安倍首相自ら臨時記者会見において集団的自衛権に関する検討を公式に表明した平成二十六年五月十五日、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。


平成二十六年十二月十四日に行われた衆議院議員総選挙の二日後に当たる十二月十六日にも、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属のを全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。

一から五までについて
御指摘の「会食」については、政府として企画等を行っておらず、その費用も支出していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

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新聞報道によると、安倍首相は、原子力規制委員会が九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「九電川内原発」という。)の安全対策がいわゆる「新規制基準」を満たすとする審査書案を公表した平成二十六年七月十六日の翌々日に当たる七月十八日夜、福岡市博多区の料亭で、貫正義九州電力代表取締役会長始め麻生太郎副総理兼財務大臣の弟である麻生泰九州経済連合会会長、石原進九州旅客鉄道株式会社相談役といった九州の財界人と会食し、その席上で出席者から九電川内原発の早期再稼働を要請された際、 「川内はなんとかしますよ」と応じた(以下「安倍首相発言」という。)とのことであるが、安倍首相とこの会食出席者のやり取り及び安倍首相発言を記者団に明らかにした石原進氏の発言内容は事実か。事実であるならば、安倍首相発言の真意について政府としての認識を具体的に示されたい。加えて、この石原進氏の発言内容が事実ではないとの認識であれば、政府としてこのような発言を行った石原進氏に対していかなる対応を取るのか示されたい。

六について
お尋ねについては、政治家個人の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
なお、原子力発電所の再稼働については、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」こととしている。

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国会議員等と利益相反関係にある企業経営者等とが、政治資金パーテイとは異なる個別の会食等を行うことの是非について、一般論としての政府見解を示されたい。

七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国会議員等が政治家個人として行う活動については、政府としてお答えする立場にない。

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前記七に関して、九電川内原発再稼働を進める政権の総理大臣を務めている安倍晋三氏と、その当該原子炉の運転等に係る原子力事業者の経営トップである九州電力株式会社代表取締役会長とは利益相反関係にはないと言えるか、政府の認識を明確に示されたい。

八について
お尋ねの「利益相反関係にはないと言えるか」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。

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前記六に関して、平成二十六年七月十八日夜に、福岡市博多区の料亭にて行われた会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。

九について
御指摘の「会食」については、政府として企画等を行っておらず、その費用も支出していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

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首相と報道関係者、あるいは報道関係者以外であっても政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部が懇談、会食した際に要した費用を内閣官房報償費から支出することは適切であると言えるか、一般論としての政府見解を示されたい。加えて、内閣官房報償費の会食等に関わる使途、明細等については特定秘密保護法における特定秘密に該当するか、政府の認識を明確に示されたい。

十について
内閣官房報償費については、その取扱責任者である内閣官房長官が、責任を持って、真にその経費の性格に適したものに限定して、適正に執行しているところである。また、お尋ねの「内閣官房報償費の会食等に関わる使途、明細等」の意味するところが必ずしも明らかでなく、特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第三条第一項に規定する特定秘密に該当するか否かについてお答えすることは困難である。



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January 06, 2015

質問第八三号
九電川内原発を始めとした我が国の運転停止中の原発再稼働に係る「安全」及び原発事故発生後における政府の「責任」に関する質問主意書
平成二十六年十一月十七日
山本 太郎   
および
内閣参質一八七第八三号
参議院議員山本太郎君提出九電川内原発を始めとした我が国の運転停止中の原発再稼働に係る「安全」及び原発事故発生後における政府の「責任」に関する質問に対する答弁書
平成二十六年十一月二十五日
安倍 晋三

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 九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「九電川内原発」という。)一号機及び二号機については、原子力規制委員会(以下「規制委」という。)による実用発電用原子炉及びその付属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年六月二十八日原子力規制委員会規則第五号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査によって、平成二十六年九月十日、新規制基準に適合すると認められ原子炉設置変更許可が行われたが、規制委の田中俊一委員長は、平成二十六年七月十六日の記者会見等で述べているように、九電川内原発一、二号機が再稼働の前提となる審査について「安全審査ではなくて、基準の適合性を審査したということです。基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは私は申し上げませんということをいつも、国会でも何回も答えてきたところです。」(以下「委員長発言」という。)などと、適合性審査は必ずしも原子力発電所(以下「原発」という。)の安全性を担保するものではないとの認識を再三明言している。
 一方、安倍政権は平成二十六年四月十一日に閣議決定した「エネルギー基本計画」において、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」とし、さらに規制委が九電川内原発の安全対策が新規制基準を満たすとする審査書案を公表した平成二十六年七月十六日、菅義偉官房長官は記者会見において、「規制委が原発の安全性については責任を持ってチェックするわけであるから、その専門的判断に委ねている。個々の再稼働についてはこの新規制基準に適合すると認められた場合、原子炉等規制法に基づいて事業者の判断で決めることだ。規制委は政府の独立した組織であり、そこで安全であることの判断を下すわけであるから、きわめて重い責任がある。政府としては安全に責任を持つということだ。」(以下「官房長官記者会見発言」という。)などと述べた。
 さらに、小渕優子経済産業大臣(当時)は平成二十六年九月十二日、伊藤祐一郎鹿児島県知事に宛てた「九州電力株式会社川内原子力発電所の再稼働へ向けた政府の方針について」(以下「小渕大臣通達」という。)で、「万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処いたします。」、「実際の再稼働は、今後、原子力規制委員会によって、工事計画認可など所要の法令上の手続きが進められた上で行われる。さらに、再稼働後についても、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処する。」と記している。
 また、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)(以下「原賠法」という。)第三条第一項においては、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない。」とされている。
 これらの事実及び法律等を踏まえて、九電川内原発を始めとした我が国の運転停止中の原発再稼働に係る「安全」及び原発事故発生時における政府の「責任」について政府の認識を明確に示されたく、以下質問する。
 なお以下の質問は、現在運転停止中の原発が再稼働した後の事故を想定した、あくまで仮定に基づいた質問も含まれているが、それを理由に、政府として答弁することは困難であるなどとして明確な答弁を回避することは、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「東電福島原発」という。)事故を経験し、世論調査においても国民の過半数が原発再稼働に反対している現状でありながら、原発を国策として再稼働させようとしている政府の対応として、甚だ責任感を欠くものと判断せざるを得ない。国民への政府の説明責任を全うする意味においても、この点を十分に留意し、各質問項目ごと個別に、誠実な答弁を求めたい。

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一 第一次安倍内閣は、全電源喪失による炉心溶融を始めとした原発過酷事故発生の可能性とその対策について問うた、吉井英勝衆議院議員の平成十八年十二月十三日提出「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」(第百六十五回国会質問第二五六号)(以下「同質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣衆質一六五第二五六号)(以下「同答弁書」という。)の一の3についてで「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない。」とし、続くスウェーデンのフォルスマルク発電所一号炉における発電機トラブルに関する質問に対しては、同答弁書一の5についてで「我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない。」、次いで大規模地震によって原発が停止した場合の電源喪失による機器冷却系停止、崩壊熱が除去出来ないことによる核燃料棒焼損(バーン・アウト)の可能性、その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているかとの質問に対しては、同答弁書一の7についてで「経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」などとしている。
 同質問主意書によって、このように原発過酷事故を予見した指摘がなされていたにもかかわらず、東電福島原発においては、これらの指摘に対する具体的対策が取られなかった後に、東日本大震災により全電源喪失による炉心溶融という過酷事故が実際に発生してしまったわけであるが、東電福島原発事故に関して、同答弁書を閣議決定した当時の第一次安倍内閣に負うべき責任はあるか、その責任の有無について、当時と首相を同じくしている第二次安倍内閣の現在の見解を明確に示されたい。

一について
 お尋ねの「負うべき責任」について、具体的に意味するところが必ずしも明らかでなく、一概にお答えすることは困難である。なお、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を踏まえ、専門的な知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する組織として、原子力規制委員会を設置し、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査等の業務を行っている。

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二 九電川内原発については、九州電力株式会社川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(一号及び二号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書案(原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(技術的能力に係るもの)、第三号及び第四号関連)に対する科学的・技術的意見(以下「パブリック・コメント」という。)あるいは規制委員以外の専門家等から地震や火山噴火等により引き起こされる深刻な事態や過酷事故の可能性、事故発生時における住民避難対策の不備や非現実性等が指摘されているが、政府としてこれらの指摘があることを十分に把握しているか。政府の認識を明確に示されたい。
 加えて、新規制基準に適合した原発に関して、パブリック・コメントや規制委員以外の専門家等によって、地震、津波や火山噴火等の天災地変あるいはテロ等の社会的動乱による当該原発の過酷事故発生の危険性が指摘され、かつ政府がその指摘を把握していた場合において、そのパブリック・コメントや専門家等の指摘どおりの深刻な事態や過酷事故が実際に発生した際に、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」とした政府が、当該原発の過酷事故に対して負うべき責任の有無について、政府の認識を明確に示されたい。

二について
 九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原子力発電所」という。)について、様々な意見があることは承知している。
 なお、川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(一号及び二号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書案(原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(技術的能力に係るもの)、第三号及び第四号関連)に対する科学的・技術的意見の募集を行ったところ、自然災害への対応を含め様々な意見が寄せられており、原子力規制委員会においてこれらに対する回答等を公表している。
 万が一事故が起きた場合、原子力災害の拡大の防止等に必要な措置の実施や原子力損害の賠償等について、その一義的な責任は事業者が負うこととなる。さらに、政府としても、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)等の関係法令に基づき、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずる等の責務を有するものと認識している。

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三 新規制基準については「世界で最も厳しい水準の規制基準」との解釈がエネルギー基本計画において示され、安倍首相始め菅官房長官からも度々この解釈で説明されているが、この「世界で最も厳しい水準の規制基準」との表現は極めて抽象的で理解しにくい。平成二十六年十月二十一日の参議院内閣委員会(以下「内閣委員会」という。)において、私の「世界の規制基準にはなくて日本の新規制基準にあるもの」、「これぞ世界最高だと言える部分」について説明を求めた質問に対して、竹内大二原子力規制庁原子力安全技術総括官より「世界的に原子力の規制はIAEA等で基準等を作られてございますが、日本の新規制基準におきましては、例えば非常用電源について申し上げますと、一定期間の外部電源喪失や全交流電源喪失に耐えられる備えをしているという点では、米国やフランスの三日程度ということに対しまして、日本では七日間としているなど、具体的な要求が強いものがございます。」、「そのほかにつきましても、例えばバックフィットの基準について、日本ではバックフィットを既設炉に対しても適用するというようなところも同等以上の水準であるというふうに考えております。また、地震や津波に対しましても、想定の方法というものが同等以上であるというふうに考えております。」との答弁があったが、この答弁では我が国の新規制基準が「世界で最も厳しい水準の規制基準」であるとの説明がなされたとは言えない。「世界で最も厳しい水準」とはいかなる定義によるものであるのか、政府の認識を改めて具体的根拠とともに示されたい。加えて、「世界の規制基準にはなくて日本の新規制基準にある」装備や対策に関する具体的要求が、前記答弁によって例示されたもの以外にも存在するのであれば、具体的に全て示されたい。

三について
 新規制基準については、原子力規制委員会が、国際原子力機関や諸外国の規制基準を参考にしながら、我が国の自然条件の厳しさ等も勘案し、地震や津波への対策の強化やシビアアクシデント対策の導入を図った上で、世界最高水準の基準となるよう策定したものである。なお、お尋ねのような事項について網羅的にお答えすることは困難である。

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四 前記三に関して、内閣委員会で私の「今回規制委員会が作った新規制基準、世界で最も厳しい基準と言えますか。」との質問に対して、田中委員長より「正確に申し上げますと、世界で最も厳しい基準とは言っていなくて、最も厳しいレベルの基準と言っているんです。ですから、そこのところは間違えないようにしていただきたいと思います。」との答弁があり、新規制基準は「(世界で)最も厳しいレベルの基準」であって、「世界で最も厳しい基準」ではないとの認識が示された。政府においても田中委員長の認識と同じく、新規制基準は世界で最も厳しい基準ではないとの認識か、明確に示されたい。

四について
 新規制基準については、三についてで述べたとおり、世界最高水準の基準となるよう策定したものであるが、必ずしも最も厳しい基準であることを意味するものではないと考えている。

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五 「規制委による新規制基準に基づいた審査に適合した原発」と「世界最高水準の安全が確認された原発」は同義との理解でよいか、政府の認識を明確に示されたい。

六 田中委員長自身が「(新規制基準の適合性審査は行ったが)安全だということは私は申し上げません」と述べているにもかかわらず、安倍首相始め菅官房長官等からは、「世界最高水準の安全」との言葉が度々発信されている。すなわち原発の「安全」については、規制委が「安全」との判断を下したのではなく、安倍政権が「安全」との判断を下したという解釈をせざるを得ないが、その理解でよいか、政府の見解を明確に示されたい。

五及び六について
 御指摘の「世界最高水準の安全が確認された原発」の定義が必ずしも明らかではないが、川内原子力発電所について、原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の規制基準への適合性を確認することにより、法律に基づいて、運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認したものである。

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七 菅官房長官は官房長官記者会見発言と同時に、「とにかく現状においては安全第一の中で審査を終えた原発については再稼働させるという方針については変わりない」とも述べている。つまり「再稼働させる」と政府として方針を明言しているのであるから、再稼働の判断は政府の判断に他ならず、「事業者の判断で決めること」との菅官房長官の発言は、同一の会見の中において明らかに矛盾していると言わざるを得ない。この菅官房長官の発言の矛盾について、政府の見解を明確に示されたい。

七について
 個々の原子力発電所について、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合に、実際に再稼働を行うのは事業者である。また、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」こととしており、政府は、この方針に基づいて、再稼働を進めるものである。お尋ねの菅内閣官房長官の発言は、この考え方に沿ったものであると考えている。

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八 官房長官記者会見発言における「安全」の定義と「責任」の範囲は極めて不明確である。この「安全」とは、「政府が再稼働させるとした原発は過酷事故を百パーセント起こさない安全な原発である」との意味であると理解してよいか。菅官房長官の述べた「安全」の意味と定義を具体的かつ明確に示されたい。また、菅官房長官の述べた「責任」とは具体的に何を指すのか。その政府が持つとする「責任」の内容とその範囲を、法的根拠とともに具体的かつ明確に示されたい。

八について
 原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ねられており、同委員会は、新規制基準を策定し、新規制基準に係る適合性審査を実施している。同委員会は、専門的な知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する組織であり、このような組織が適合性審査を実施することにより、運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認している。お尋ねの菅内閣官房長官の発言は、この考え方に沿ったものであると考えている。

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九 小渕大臣通達には、「万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処いたします。」とあるが、この「関係法令」を全て具体的に示すとともに、万が一事故が起きた場合に政府が持つとする責任の内容とその範囲を、具体的かつ明確に示されたい。

九について
 万が一事故が起きた場合、原子力災害の拡大の防止等に必要な措置の実施や原子力損害の賠償等について、その一義的な責任は、事業者が負うこととなる。さらに、政府としても、原災法等の関係法令に基づき、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずる等の責務を有するものと認識している。なお、どのような法令が適用されるかについては、個別の事案ごとに判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

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十 朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」という。)の「労働新聞」二〇一三年四月十日付けには、「日本には数多くの米軍核基地と原子力関連施設、軍事施設が至る所にあ」り、北朝鮮の攻撃を受ければ「日本は一九四〇年代に被った核の惨禍とは比べものにならない途方もない災難を被ることは避けられない」と書かれている。北朝鮮のミサイル問題については、平成十四年十一月五日の衆議院安全保障委員会において石破茂防衛庁長官(当時)が「通常弾頭でも、例えて言うと、日本海側にはずらっと原発が並んでいるわけです。そこへ落ちたらどうなるのということ、これは現在のところ安全だということになっています。そして、まずそういうことについては私どもはきちんとした責任を持たねばならない、国民に対する当然のことであります。しかし、そのことに対する恐怖感だけでもこれは大きなことがございまして、そこら辺をどうしていくのか、我が方の備えを、本当に政府としてそういうような不安をかりそめにも住民の方々に与えないということも必要でありますが、通常弾頭でも十分に脅威となり得るだろうというふうに思っております。(中略)誤解を招くといけませんが、原発の問題は、私どもとしてはそれが落ちてもきちんとした対応ができるという態勢でおることには変わりはございません。」と述べている。一方、平成十七年三月三十一日の衆議院武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会において、三代真彰資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長は「弾道ミサイルなどに関して、設計面で完全な対策を講じることは不可能でございます。」とし、また、平成二十五年四月十五日衆議院予算委員会第一分科会において、徳地秀士防衛省防衛政策局長はPAC3を「原子力発電所の近傍に配備をするといったような計画は、現在、持ち合わせてはおりません。」と述べている。
 これらの発言を鑑みると、我が国の原発は他国から弾道ミサイル攻撃等を受けた場合を想定して、いかなる対策が講じられているのか、政府によって安全が担保されているのかが、極めて不明確であると言わざるを得ない。安倍首相は常々「我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増している」と述べているが、政府として、原発に対する他国からの弾道ミサイル攻撃等について、前記の石破茂防衛庁長官(当時)の認識のごとく「通常弾頭でも十分に脅威となり得る」、実際に起こり得る脅威としての認識はあるか、安倍内閣の認識を示されたい。また、これらの事態を想定している場合、講じている対策を具体的に全て列挙されたい。加えて、石破茂防衛庁長官(当時)は「きちんとした責任をもたねばならない」と述べているが、安倍内閣としてはいかなる責任を持つべきと認識しているか。その責任の内容と範囲について、法的根拠とともに具体的に全て列挙し示されたい。
 また、他国からの弾道ミサイル攻撃等によって甚大な原子力損害が生じた場合、原賠法によれば、社会的動乱によりもたらされた原子力損害に相当し、その当該原子炉の運転等に係る原子力事業者には、その損害に対する賠償責任は問われないとの見解もある。他国からのミサイル攻撃等による原子力損害が生じた場合、生じた損害の賠償責任については政府が全て負うことになるのか。政府の認識を明確に示されたい。

十について
 弾道ミサイル等の移転・拡散・性能向上に係る問題は、我が国や国際社会にとっての大きな脅威となっており、特に、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発は、我が国に対するミサイル攻撃の示唆等の挑発的言動とあいまって、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっていると認識している。政府としては、国民の生命・財産を守るため、平素より、弾道ミサイル発射を含む様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種のシミュレーションや訓練を行っているところである。
 「原発に対する他国からの弾道ミサイル攻撃等」についてのお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルが発射された場合の対応については、国民の生命・財産を守るため、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)等に基づき、弾道ミサイル発射に関する兆候を早期に察知し、多層的な防護態勢により、機動的かつ持続的に対応するとともに、万が一被害が発生するおそれがある場合には、被害を防止、軽減するための必要な措置を講ずる所存である。
 また、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)においては、御指摘の「他国からの弾道ミサイル攻撃等」によって生じた原子力損害が、同法第三条第一項ただし書に規定する「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたもの」に該当する場合、原子力事業者は、その損害を賠償する責めに任じない。この場合、政府は、同法第十七条において、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとされている。

ーーーー

十一 平成二十五年六月十八日の参議院経済産業委員会において、はたともこ参議院議員の「原発に対する弾道ミサイル等の攻撃への対策は炉規法に基づく新規制基準では求められていないことは十分承知をしておりますが、原発には、政府も想定し対策もある弾道ミサイル等の攻撃というリスクがあるという認識が規制委員会にはおありになりますでしょうか」という質問に対して、原子力規制庁は「こういった攻撃につきましては、原子力の規制によって対処すべき性質のものではないということが我々の考え方だということで御理解いただければと思います」と答弁した。弾道ミサイル等の攻撃は、新規制基準の対象外である、ということについて、改めて政府の見解を明らかにされたい。

十二 政府は、原発には弾道ミサイル等による攻撃のリスクがあると規制委が認識していると考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

十一及び十二について
 弾道ミサイル等による攻撃に対しては、原子力の規制によって対処すべき性質のものではないと考えている。

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十三 規制委が策定する「原子力災害対策指針」は原発への弾道ミサイル攻撃等も想定して策定したものか、政府の見解を明らかにされたい。また、原発への弾道ミサイル等の攻撃による原子力災害にも適用することができるものなのか、政府の見解を明らかにされたい。

十四 前記十一に関して、はたともこ参議院議員の「原発に弾道ミサイル攻撃があった場合、原子力規制委員会はどのような行動を取るのかを説明をしてください」との質問に対して、原子力規制庁は「具体的に申し上げますと、原子力規制委員会には、武力攻撃災害が発生し、また発生するおそれがある場合においては、緊急の必要があると認めるときは原子力施設の使用停止を命ずることができるといった権限が与えられているところでありますが、現実の要するにこういった事態の発生の際につきましては、大きな考え方、イメージとしましては、原子力災害発生時とほぼ同様の対応を取られるものと承知しております。つまり、現実の発災の際には、事業者が行います被害局限化のための措置に関して技術的な支援を全面的に行うことが一つ。それからオフサイトにおける住民の防護のための措置、これにつきましても、もう既に原子力災害対策指針で示しておるところでございますが、ほぼ同じ考え方で、規制委員会は各都道府県とも協力しながら所要の措置を講じていくといったようなイメージなのかと思います」と答弁した。改めて、原発に対する弾道ミサイル攻撃による原子力災害発災時における規制委の役割について、政府の見解を明らかにされたい。

十三及び十四について
 原子力災害対策指針(平成二十四年十月三十一日原子力規制委員会決定)は、武力攻撃による原子力災害が発生した場合の対応について定めていないが、武力攻撃による原子力災害が発生した場合には、国民保護法第百六条の規定に基づき、原子力規制委員会は原子炉等に係る武力攻撃災害の発生等を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる旨が規定されている。

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十五 九電川内原発に対する弾道ミサイル攻撃による原子力災害が発生した場合の住民の避難計画・防災計画の策定の責任者は誰か。また、当該計画は策定されているのか、明らかにされたい。

十六 鹿児島県では、九電川内原発への弾道ミサイル攻撃に対する国民保護計画、住民の避難計画及び防災計画は策定されているか。また、国は当該計画策定に関してどのような支援をしたのか、具体的に示されたい。

十五及び十六について
 お尋ねの「九電川内原発に対する弾道ミサイル攻撃による原子力災害が発生した場合の住民の避難計画・防災計画」及び「弾道ミサイル攻撃に対する国民保護計画、住民の避難計画及び防災計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国民保護法においては、都道府県知事及び市町村長は、国民の保護のための措置の実施に関し、国民の保護に関する計画を作成することとされており、鹿児島県及び薩摩川内市においては、当該計画を作成済みであるが、当該計画においては弾道ミサイル攻撃等を含む武力攻撃による原子力災害への対処についても記載があると承知している。また、都道府県及び市町村が当該計画を作成するに当たっては、国において、地方公共団体の当該計画が「国民の保護に関する基本指針」(平成十七年三月二十五日閣議決定)に基づいて適切に作成されるよう、地方公共団体向けの説明会において技術的助言を行う等、作成を支援してきたところである。
 なお、実際の避難に当たっては、国民保護法に基づき、国が都道府県知事に対して避難措置の指示を行い、それを受けた都道府県知事は市町村長を経由して住民に対して避難の指示を行い、避難の指示を受けた市町村長は避難実施要領を定め、避難住民の誘導等を行うこととなる。

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十七 平成二十五年六月二十日の参議院経済産業委員会において、はたともこ参議院議員の「原発に対して弾道ミサイル等による武力攻撃が発生した場合、電気事業者としてどのように対処し、行動するのか」との質問に対して、電気事業連合会会長八木誠参考人は「具体的には、当然のことながら、そういう緊急事態が想定した場合、あるいは実際認定された場合には、対策本部をきちっとつくって体制を確立して対応するというのが基本でございますが、具体的なプラントの処置については、こういう災害、例えば弾道ミサイルの攻撃情報があった段階においては、これは国の例えば原子力規制委員会等々からの御指示等によってプラントを直ちに止める操作に入ると。これ、万が一それが緊急で間に合わないというような場合には、事業者自らがプラントを直ちに停止をするということを定めてございます。そういう意味で、プラントの停止に当たっては、安全の確保、それから関係機関との連携を密にして、また国とも緊密な連携を取りながら実施をするということを定めておりますので、そういう対応になると思います。ただ、万が一着弾してしまった場合には、これは事態の状況を把握して、被害の損壊状況に応じた災害対応措置をとっていくということになろうかと思います。」と述べた。九州電力は、九電川内原発に対する弾道ミサイル攻撃による原子力災害に対する国民保護計画は策定しているのか。また、政府は九州電力に対して支援をしたのか、具体的に示されたい。

十七について
 お尋ねの「九電川内原発に対する弾道ミサイル攻撃による原子力災害に対する国民保護計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国民保護法においては、九州電力株式会社を含む指定公共機関は、国民の保護のための措置の内容及び実施方法に関する事項等を定めた国民の保護に関する業務計画を作成することとされており、同社においては作成済みであるが、当該業務計画においては弾道ミサイル攻撃等を含む武力攻撃による原子力災害への対処についても記載があると承知している。なお、同社が当該業務計画を作成する際、国として具体的な支援は行っていない。

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十八 平成二十五年十二月五日、私が提出した「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウム以外の放射性核種に関する質問主意書」(第百八十五回国会質問第八九号)に対する答弁書(内閣参質一八五第八九号)の二及び四についてで「お尋ねの住民の健康調査の必要性については、放射性物質が降下したかどうかや放射性ヨウ素による初期被ばく防護に関する対策が万全かどうかではなく、被ばくした線量を踏まえた医学的な評価に基づいて決定すべきものと認識している。」とされ、また、平成二十六年度原子力総合防災訓練に用いられる運びの「原子力災害対策マニュアル」においては、「ERCチーム住民安全班は、現地住民安全班及び都道府県の災害対策本部を通じて、PAZ内の地方公共団体に対し、指示内容を緊急時モニタリング情報、予測を含めた気象情報及び大気中放射性物質拡散予測等と併せて伝達する。」との記載が、「ERCチーム住民安全班は、現地住民安全班及び都道府県の災害対策本部を通じて、PAZ内の地方公共団体に対し、指示内容及び緊急時モニタリング情報等を伝達する。」と改められ、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測値等は活用せず、モニタリングポスト等の放射線空間線量率の実測値等をもって住民避難誘導を行う方針に改められることとなった。さらに、内閣委員会で、私の「せめてこのPPA対策、広い距離で、実際に二〇一一年の事故が起こった後、雲が通ったというその距離を担保していただきたいんですよね。距離は決めないとか、それ曖昧にしているだけじゃないですか。おおむね五十キロでもなく、距離を決めないのでもなく、実際に二〇一一年のものを反映してくださいますか。」との放射性プルーム防護策に関する質問に対して、田中委員長から「PPA対策については、あの福島事故のときには十分な対策が取られなかったということは御指摘のとおりです。ですから、それを踏まえまして、いわゆるシミュレーション、SPEEDIのようなシミュレーションではとてもそういうことはできませんので、モニタリング体制をきちっと整えて、そのモニタリングデータに基づいて判断をすることにしております。」との答弁があった。
 これらの政府見解や原子力防災対策に関する方針の改訂及び田中委員長の発言等より、実際発生してしまった東電福島原発事故に関しても、また、将来の原発事故を想定した事故後対策に関しても、政府は、SPEEDI等による放射性物質の拡散予測を用いた被ばく防護策によって住民の被ばくを未然に防ぐ対策を講じる必要はなく、放射性物質が大気中を拡散し地表に降下した後の結果において実測されるモニタリングデータ及び実測された被ばく線量に基づいて、住民の避難対策や健康調査対策を講じることでよいとの認識を持っていることが明らかになった。こうした認識によって空間線量率の上昇を確認後初めて住民の避難誘導が実施されることとなり、住民を被ばくする環境に一定期間留め置くという、まさに後手後手の対策が講じられるおそれがあると言わざるを得ない。また、田中委員長自らも認めている、東電福島原発事故における「十分な対策が取られなかった」ことからの教訓がいかされているとは到底考えられない方針転換である。これらを踏まえると、政府は、原発事故が発生した場合には当該原発近隣住民のある程度の被ばくはやむを得ない、との認識を持っているものと理解せざるを得ないが、その理解でよいか。政府の認識を明確に示されたい。

十八について
 政府としては、原子力災害対策指針に基づき、国際放射線防護委員会等の勧告や国際原子力機関の原則にのっとり、原子力災害が発生した場合には、住民等の被ばく線量を最小限に抑えると同時に、被ばくを直接の原因としない健康等への影響も抑えることを、放射性被ばくの防護措置の基本的考え方としている。

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十九 前記十八に関して、今後我が国において原発事故を始めとする原子力災害が再び発生した場合も、これまで政府が東電福島原発事故後に行ってきた対応と同様、原子力災害を起こした当該原子力施設近隣住民の被ばく線量調査や健康調査に関しては、政府主体で行うものではなく、当該原子力施設の立地する自治体又はその近接する各自治体が主体となって行うべきものであって、官房長官記者会見発言及び小渕大臣通達にある「責任」の範囲内には含まれない、との理解でよいか。仮定に基づいた質問ではあるが、再稼働後の原発において、「原発事故は百パーセント起こり得ない」と断言できない以上、国民の安全に責任を持つべき政府として、国民に十分説明すべき最重要事項であると考えるため、政府の認識を誠意をもって明確に示されたい。

十九について
 原子力災害対策マニュアル(平成二十四年十月十九日原子力防災会議幹事会決定)において、現地に設置される原子力災害現地対策本部の事務局の医療班は、「公衆の被ばく線量の推計、原子力被災者等の健康管理及び健康相談を関係機関と連携して実施する。」とされている。

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二十 平成二十五年十月十五日の第百八十五回国会(臨時会)において安倍首相は所信表明演説の際に、東電福島原発の廃炉・汚染水対策に関して、「東京電力任せにすることなく、国が前面に立って責任を果たしてまいります」と発言した。この「国が前面に立って責任を果たす」との言葉は度々政府から発信されているが、東電福島原発事故後、東電福島原発事故現場及び福島県における東電福島原発事故に関連した事業のうち、政府が前面に立って責任を持って行っている事業を、具体的名称とともに、全て列挙されたい。

二十について
 お尋ねの「政府が前面に立って責任を持って行っている事業」について、具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難であるが、国としては、廃炉・汚染水対策について、廃炉・汚染水対策チーム会合の事務局会議の場等も活用し、「東京電力(株)福島第一原子力発電所一〜四号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成二十五年六月二十七日原子力災害対策本部東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議決定)に記載した各種対策が着実に実施されるよう進捗管理を行っている。加えて、廃炉・汚染水対策現地事務所を設置し、現場で日々発生する様々な問題の把握、対応策の検討等も実施しているほか、廃炉・汚染水対策現地調整会議を開催し、現場での工程管理を行っている。
 また、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要があるものについては、財政措置を進めることとしている。具体的には、凍土方式の陸側遮水壁及びより高性能な多核種除去設備の設置並びに原子炉内の溶解した燃料の取り出し等の多くの技術課題の解決に向けた研究開発をその対象とすることとしている。

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August 24, 2014

~特に第三節 特定秘密の保護措置 第十二条第一項第十号について~

特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)附則九条は、「政府は、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置その他の特定秘密の指定及びその解除の適正を確保するために必要な方策について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」と定めており、内閣府におかれる「独立公文書管理監」及び「情報保全監察室」が、特定秘密の「指定・解除の適否等を検証・監察、行政文書の管理・廃棄を検証・監察する」ことになる。このようにそもそも秘密保護法においてでも、特定秘密に関しては、公文書の統一的管理を旨とする公文書管理法に則さない方法、すなわち国民の共有財産である公文書を、とても「第三者」とは言えないむしろ国民から重要な情報を遠ざけたい立ち位置にいる政府側(官僚)の者たちのみの判断で管理するという、国民主権を無視した方法がとられているのに、「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」(以下、「施行令案」という。)第三節特定秘密の保護措置、第十二条第一項第十号によれば、「特定秘密文書等の奪取その他特定秘密の漏えいのおそれがある緊急の事態に際し、その漏えいを防止するために他に適当な手段がないと認められる場合における焼却、破砕、その他の方法による特定秘密文書等の廃棄」が「行政機関の長による特定秘密の保護措置」とされており、当該行政機関の長だけの判断に委ねられて文書の廃棄処分が決定されかねないこととなる。ただでさえ秘密保護法で定めた文書管理・廃棄についての方策は政府の恣意的判断により行われる危険性が高いのに、この施行令案によれば、さらにその恣意的判断の拡充が許されることとなるのである。
国民の財産ともいうべき公文書を、「緊急の事態」との理由だけで「独立公文書管理監」及び「情報保全監察室」といった機関の監察さえも通さず、行政機関の長という一人の主観的判断にて決めることができてしまうという点において、この施行令案が実際に運用されることは極めて危険である。そもそも「漏えいのおそれ」「緊急の事態」「他に適当な手段がない」との「文書廃棄の要件」を、行政機関の長の他に客観的に判断する必要は無いのか、文書が廃棄されてしまったあとに、第三者により廃棄の判断についての妥当性を検証されることが可能なのか。おそらく、この施行令のもとではそのいずれも不可能ではないか。当該行政機関の長の恣意的な判断、独断で重要文書、証拠がいとも容易く、際限なく抹消されていくことは火を見るより明らかである。
歴史の証拠として子々孫々に受け継がれるべき価値のある公文書を管理・保存していくのが国の責務である。仮にその重要な公文書がその当該行政機関の長の拙速で誤った判断によって焼却処理等されてしまうという、取り返しのつかない事態が万が一発生してしまった場合の対策は、何か講じられているのか。この施行令案を見る限り、その責任が担保されているとは到底考えられない。

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August 12, 2014

「4-5 大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応」について、規制委員会は、申請者に対して手順書の整備、体制の整備、設備及び資機材の整備が行われていることを要求し、その審査を行ったということである。
申請者によると、「大規模損壊によって原子炉施設が受ける被害範囲は不確定性が大きく、あらかじめシナリオを設定した対応操作が困難であると考えられる」とし、「環境への放射性物質の放出低減を最優先に考えた対応を行う」としているが、これは即ち、大規模損壊による原子炉からの放射性物質の環境への漏洩は、現在の最新の科学的知見及び技術をもってしても防ぐことは不可能であるということを、申請者自身が認めていることに他ならない。
「放射性物質が環境中に漏洩する」とは、東電福島原発事故を考えれば、「近隣住民が被ばくする」ことと「同義」であることは自明である。
つまり申請者は、「大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズム」については、それが「起こってみないとわからない」とし、近隣住民の被ばくを前提とした対応を予測しているのである。
さらに「1手順書の整備(2)-3」、中央制御室での監視及び操作が行えない場合の想定として、「状況把握が困難な場合には、外からの目視による確認」にて対応するとの記載があるが、まさにこれは「近づけず何も出来ない、お手上げ状態」そのもののことであり、このような手順書を「適切なもの」と判断した規制委員会は、その機能のみならず、その存在自体が「無意味」であると言える。
400頁を超える「審査書」ではあるが、この部分を読むだけでも、今回の規制委員会の「審査結果」は、川内原発再稼働を「前提」とした形ばかりの空論、単なるアリバイであることは誰の目にも明らかであり、川内原発自体の安全性を担保する機能も無ければ、住民の被ばく防護対策についての具体的示唆すらも無い、「原発審査」として全く価値の無いものと言わざるを得ない。

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