アトラスが2016年に世に放ったペルソナ5。
実際にプレイしてみると、そこまでの神ゲーではなかった。
88点ぐらいの作品。もう一歩で神ゲーの良ゲーといった感じ。
しかしこのゲームには独特のユニークさがあって、オンリーワンともいえる作品になっている。
それが脚本のもつ社会性である。
このペルソナ5、現代社会を風刺しまくる。
体罰教師、成金、政治家。
どこかで見たようなキャラが登場しまくり、現実を戯画化する。
主人公ら怪盗団がそういった悪者を懲らしめる、というのが基本ストーリー。
それだけでもけっこうユニークなのだが、凄いのはそこから。
物語の中盤以降、風刺の矛先が大衆に向けられるのである。
悪者を懲らしめる主人公チーム。それに熱狂する大衆。
大衆は熱狂のあまり暴走し、醜悪な姿をさらしはじめる。
画面右下に表示されるネット掲示板の書き込みは、すさまじく毒のある戯画である。
大衆を風刺し、批判する。
今の世でこういう作品を作ったことは、素晴らしいセンスだと思われる。
それに日本からこういう作品が出てくること自体レアだ。
日本のサブカルやポップカルチャーは、社会性の欠如が特徴だから。
例えばほとんど全方位に優れていた全盛期スクウェアのRPGにも、このような社会性だけは見当たらない。
この点でペルソナ5という作品はゲーム史に残る傑作といえそうだ。
未来の日本人がプレイしても、2010年代の日本社会を知るという興味深い楽しみが得られると思う。
ただ繰り返しておくと、ゲームとしてはそこまで凄くない。
中盤以降の展開が雑すぎるし、ダンジョン攻略のテンポの悪さは異常なレベル。
ゲームとしてみれば、神ゲーペルソナ4や、現在のペルソナのフォーマットを創造したペルソナ3のほうが上に君臨するだろう。