2021年07月25日
クレタ島のラビリンス
前回のブログから、またまた時間が大分経ってしまいました。
リモートワークはことのほか忙しく、なかなか落ち着いてブログに向かう時間が取れません。
4連休のお陰で、ようやくクレタ島にたどり着きました。



詩人ホメロスが詠んだクレタ島に到着しました。
ヨーロッパ最古といわれるミノア文明の発祥地です。
ここに来た目的は、ミノア文明最大の遺跡であるクノッソス宮殿を訪れるためです。
3700年ほど前に建設されたこの宮殿には、敷地内に宮殿や神殿、住居等があり、政治や宗教行事など、様々なことが執り行われてきたそうです。
ギリシア神話では、ミノタウロスという怪物を閉じ込めていた迷宮とも言い伝えられています。
そして現在も、その一部が、当時を彷彿とさせるような素晴らしい状態で残っているのです。
当時最も優れた文明であったといわれるミノア文明を後世に伝える貴重な遺跡です。
ホテルは海の近くだったので、窓からはイラクリオン港が見えました。

ロビーもお部屋もモダンデザインで統一されていました。


1泊だけの滞在だったので、ホテル到着後、荷物を置いてすぐに遺跡に向かおうとしました。
ただその日はメーデーの翌日だったため、ホテルの受付で「今日はクノッソス宮殿は開いているでしょうか」と念のために聞いてみました。
返ってきた答えは、
「私達は分かりません。でも多分休みかも。遺跡事務所に電話しても誰もいないようです」と言われてしまいました。
クノッソス宮殿が目的で来たのに、もし休みだったら、はるばるここまで来た意味が無くなってしまいます。
世界的遺跡のある街の、一応5つ星ホテルの受付にしてはいい加減な対応にちょっと憤慨しましたが、とにかく現地に向かうことにしました。
こういう時は自分で確かめるのが一番です!
クノッソス宮殿は比較的市街から近いところにあり、広場からバスで30分ほどです。
港の近くにあるバスターミナルで、クノッソス行きのバスの運転手さんに、
「今日は遺跡は開いていますか?」と、恐る恐る聞いてみると、
「開いてるよ」と、あっさり答えてくれました。
ダメ元で来てよかった!
バスの乗客は私たちの他に数名しかいなくて、ほぼ貸切のような状態でクノッソス宮殿に向かいました。
車窓から初めて見るクレタ島の景色を眺めながら、しばらくバスに揺られていきます。

30分ほどで到着。
遺跡はとても広いので、入る前にちょっとコーヒーブレイク。
入り口の向かい側に、お馴染みのセガフレードの看板を見つけたのです。

ギリシャのアイスコーヒーは「フラッペ」と呼ばれています。
ふわふわの泡がアイスシェケラートのようで、とても美味しかった。
ここがクノッソス宮殿の入り口です。
ギリシャ国旗が無ければ、ここが世界一有名なラビリンスの入り口とは分からないような素朴なエントランスです。

いよいよラビリンスの中に足を踏み入れます。

遺跡は丘の斜面に造営されていたので、結構階段での上り下りがあり、複雑な構造になっています。
そんな分かりにくさからも、ラビリンス・迷宮と呼ばれているのでしょう。


宮殿は周りを丘に囲まれた広大な敷地に広がっています。
遺跡の中の様々なところに、聖なる牛の角と呼ばれるの形状の建造物が見られます。
ミノア文明では牛が神を象徴していたのでしょうか。

ゼウスが牡牛に変身してフェニキアの王女エウロペをクレタ島に連れ去ったというギリシャ神話を思い出しました。
クノッソス宮殿は、鮮やかな色使いが特徴的です。
現存する建物の立派な大きい柱に使われている赤や黒の色も特徴的です。
クノッソスの柱の形状は、下から上に行くにしたがって太くなっています。
アテネのアクロポリスは、エンタシスといって、上部が下部より細くなる形状なので、
その逆の形です。



今でもこれだけインパクトがあるのですから、当時はかなり華やかで迫力のある宮殿だったのだろうと想像します。
また1200もあったと言われる部屋の壁面に描かれている見事なフレスコ画はレプリカですが、
当時の華やかな生活を想像させます。
(本物は全てイラクリオン考古学博物館に収容されています。)
これから、残っている貴重な部屋を見て行きましょう。

こちらは王座の間。
王座の右横に、グリフィンという想像上の動物が描かれています。


玉座の前に置かれた水盤は何のために使われたのでしょうか。
身を清めるためなのでしょうか。
想像が膨らみます。
奥の木の扉の中は宝物庫だったところと言われています。
王座の間の隣にある、こちらのお部屋は王妃の間ということです。
イルカの描写がなんとも可愛いですね。

そしてこちらが、「青の貴婦人たち」と呼ばれる3人の美女の壁画です。
女神や、神殿に使える巫女を描いているとも考えられています。
豊かなウェーヴした黒髪や、大きなアーモンドアイが魅力的ですね。
こちらもレプリカで、本物はイラクリオンの考古学博物館の中にあります。
今回は博物館を訪ねる時間がなかったのですが、是非いつか、本物も見てみたいと思います。

次の壁画は、「百合の王子」と呼ばれています。
言われてみると、丸い形にデフォルメして描かれたお花は、確かに百合のように見えます。
フィレンツェのシンボルである百合のマークにもちょっと似ていますね。
長く伸ばした髪に孔雀の羽根の飾りがついた帽子をかぶり、
黄金のネックレスとブレスレットを身に着けた、かなりお洒落な王子様です。

宮殿というよりは、ひとつの町のように広いクノッソス宮殿を隈なく見ていると、
あっというまに時間が過ぎて行きます。

だんだん日も暮れて、夕陽が差してきました。

すると、前方にふっと、長い尾の動物が現れました。

目を凝らしてみると、目の覚めるような鮮やかなエーゲ海ブルーの首に、グリーンとブルーの長い尾を持つ、見事な孔雀だったのです。
まさか、こんな場所に??と一瞬目を疑いました。
遺跡を歩く姿は堂々として威厳すらあり、大変優雅でした。
まるで宮殿の主のようです。


私には、この孔雀が百合の王子の化身のように思えて、
「遠くからよく来たね」と歓迎してくれているように感じました。
クノッソス宮殿訪問に加えて、思いがけない素敵な孔雀からの歓迎を受け、
とても満たされた気持ちでホテルへの帰路につきました。
今回クレタ島に1泊しかしなかったのは本当に残念でした。
博物館で本物を見れなかったことも、またクレタ島に来る理由が見つかったと思うことにしました。
翌朝にはイラクリオンの港からフェリーでサントリーニに向かいました。

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