みこ
4048740326南の子供が夜いくところ
恒川 光太郎
角川書店 2010-02-27

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【内容情報】
呪術的な南洋諸島の時空間を自由自在に語る、恒川版マジックリアリズム!
島に一本しかない紫焔樹。
森の奥の聖域に入ることを許されたユナは、かつて〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった…。
呪術的な南洋の島の世界を、どこまでも自由かつ高らかに飛翔する、新たなる神話的物語。
【目次】
南の子供が夜いくところ/紫焔樹の島/十字路のピンクの廟/雲の眠る海/蛸漁師/まどろみのティユルさん/夜の果樹園

恒川さんが南の島を舞台に…、いったいどんな世界を繰り広げるのだろうと、とても楽しみにしていた一冊。
一家心中をしようとしていた家族のもとに現れた謎の女性・ユナと彼女が島に連れ去った少年・タカシ。
序盤は恒川さんらしさを感じ取れず、やや戸惑いました。
タカシ一家が生きていた現代のリアルな街、タカシが連れてこられたトロンバス島、過去の南の島の神話…と時空を跨ぎ話がリンクしていく。
『紫焔樹の島』で島の不思議に引き込まれ、『まどろみのティユルさん』で恒川ワールドの物悲しさを味わい、『夜の果樹園』で恒川さんのダークな一面を…と様々な恒川ワールドが展開。
『夜の果樹園』の野菜・くだもの頭のイメージ、私は、ル・カインの『キャベツ姫』がピッタリ。
是非、この絵本をチェックしていただきたい。
ただ、雑誌連載という形で時間をあけて…というのは『夜市』の時にも感じたのですが、恒川さんは少し苦手なのでしょうか?
ややまとまりがないように感じたのが残念です。
ガッツリ恒川ワールドに引っ張り込んでくれるような長編を是非ひとつ、お願い致します。