4022512040荒神
宮部みゆき
朝日新聞出版 2014-08-20

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【内容情報】
元禄太平の世の半ば、東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅状態となる。
隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など様々な事情の交錯するこの土地に、その"化け物"は現れた。
藩主側近・弾正と妹・朱、朱音を慕う村人と用心棒・宗栄、山里の少年・蓑吉、小姓・直弥、謎の絵師・圓秀……
山のふもとに生きる北の人びとは、突如訪れた"災い"に何を思い、いかに立ち向かうのか。
そして化け物の正体とは一体何なのか――!?
その豊潤な物語世界は現代日本を生きる私達に大きな勇気と希望をもたらす。
著者渾身の冒険群像活劇。

宮部さんの長編、歴史物とあって最初はちょっと尻込みしていたのですが、やはり巧い!
ドンドンと引きこまれていきました。
化け物の描き方がホントに巧い。
「おそろし」シリーズを書く宮部さんらしい。
最初は訳がわからない、突然降りかかってきた恐怖という状況を描き、徐々に姿を表していくという手法も見事としか言えない。
突然現れた化け物に翻弄される村人たちと同じ恐怖を読者に感じさせる。
登場人物がとても多いのに、混同すること無く読ませるというのもやっぱり凄い。
普段、コレ誰だっけ〜と直ぐに見返しの人物紹介をめくりがちな私だが、本作ではそんなことは一度もなく、すんなりと読むことが出来た。
朱音の美しさ、優しさ、兄・弾正の歪み、少年・蓑吉、やじ、絵師・圓秀・・・と、ひとりひとりのキャラがしっかりと描きこまれていた点も素晴らしかった。
化け物退治のスペクタクルシーンも圧巻!
しっかりと堪能させていただきました。
化け物の正体についても、宮部さんらしいものをしっかりと感じさせてくれました。
ただ、登場人物が多かったせいか、化け物退治の後のエピローグが冗長になってしまった感じが少しだけ残念。
しかしこれだけのページを一気に読ませる宮部さん、やっぱり凄いです。