季節の切り抜き帳 〜 Clipping of Season 〜

移り変わる季節と日々の暮らしの記録

カテゴリ: 仙川 環

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4758439672記者はつらいよ―中央新聞坂巻班
仙川 環
角川春樹事務所 2015-12-18

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
真面目だけが取り柄の平均点記者・上原千穂が、一面連載記事の企画班に抜擢された。
一面連載といえば、その新聞社の顔ともいえる重要なもので、社内各部から優秀な記者を集めた企画班が、取材執筆を担当する。
けれども、千穂は思うような取材ができず、他部署の記者から責められることに。
記者として自分の殻を破りたいと、自分が何を強みに、どんな仕事をすべきか、諦めず模索していく。
仕事はつらいけれど、踏ん張ればきっと新しい自分に会えるー大好評お仕事エンターテインメントシリーズ第三作!

政治部、社会部、経済部という新聞のトップ部門とタッグを組んで一面記事の企画に抜擢された生活情報部の上原千穂。
たかが生活情報部・・・と下に見られる新聞社内ヒエラルキー、はちゃめちゃな上司・坂巻と若手の千穂。
企画のテーマは家族、定型な「絆」で進めたがる企画長の久保田と、「一億総孤独死」という切り口を提案する坂巻とはガッツリ対立。
取り上げた様々な家族の形、興味深かったです。
子連れ再婚のファミリーを「家族」にしたかった親の想いとは反対に「チーム」と考える長女のしゃっきりした姿勢がとても良く、「しなやかな絆」というワードも良かったです。
ジェンダーの問題にも取り組み、モチーフはそれぞれ良かったのですが、もう少し踏み込んで描いて欲しかった点も・・・
記者のお仕事成長もの本シリーズ、仙川さんは医療ミステリーと思っている方には違うこの切り口も是非読んでもらいたいと思います。

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456976357X時限発症 (PHP文芸文庫)
仙川 環
PHP研究所 2015-05-11

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
発症まで、あとわずか!
検疫官・西條亜矢は、新感染症の蔓延を阻止できるか!?
アフリカに取材へ出かけた老ジャーナリスト・葛木が、帰国直後に姿を消した。
西條は、エボラに感染して隔離されたのではと疑う葛木の娘とともに捜索するも、足取りはつかめない。
そんな中、アフリカで新感染症が発生していたという情報が入り…。
女性検疫官・西條亜矢が感染症の脅威と闘う、震撼の医療サスペンスシリーズ第二弾。

アフリカ取材から帰国したはずの老ジャーナリスト・葛木が失踪。
葛木の娘は「エボラに感染して隔離されたのでは?」と父の行方を探す。
娘の心理描写が巧く、別れた夫や、一人で切り盛りする定食屋のシーンなどとても良い。
ただ、彼女の描き方が良いだけに女性検疫官・西條が生きてこない。
西條の活躍を楽しみにしたいたのでその点が非常にもったいない。
メディアの対応や、ネットでの噂など、新感染症への人々の恐れと誤解という前作からの西條の抱えているテーマを貫いた点は良かった。
ただ、ジャーナリストを拉致した一味の目的が・・・
あまりにも風呂敷を広げすぎてしまったために荒唐無稽な話になってしまった点が非常に残念。
成田空港にいる西條の情報源の人々など面白い点はたくさんあったので、このシリーズ、是非、続けてくださいませ。

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4101268312隔離島: フェーズ0
仙川 環
新潮社 2015-02-28

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
若き医師・一ノ瀬希世は、伊豆諸島の小さな島の診療所に赴任してきた。
人口四百人弱の同地には、健康増進運動が浸透して住民たちは皆いきいきと暮らしており、長患いする者もいないという。
だが、その運動に関心を抱いていた旧友の女性新聞記者が突然失踪。
希世は不審な死や陰鬱な事件に次第に包囲されてゆく。
この島で、一体何が起きているのかー。戦慄の医療サスペンス。

医療モノをずっと手がけてこられた仙川さん、ずっと読み続けてきました。
最近のライトな作品も面白かったのですが、今回はガッツリ取り組んだシリアスな作品、とても面白かったです。
400人弱が暮らす小さな孤島の隔離性、閉鎖性が産んだ古くからの因習。
ピンピンコロリ運動で寝込むものが居ない小さな島に赴任した医者が感じる疑問。
事を荒立てること無く、流していたがある日、「島の真実を暴く」と乗り込んできた知人の新聞記者が行方不明になったことから島の真実を探りだす・・・
島の閉鎖性に苦しみながらも若い世代の中に味方が増え始め、闘うことを決心した医師。
さて、どんな形に終結させるのか・・・と思ったのですが、このラストもなかなか面白かった。
仙川さんお初という方にもオススメ出来る読み応えある一冊でした。

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4758438692スクープを狙え! 中央新聞坂巻班
仙川 環
角川春樹事務所 2015-01-15

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
入社五年目の新聞記者・上原千穂。彼氏なし。
でもいつか、結婚や子育てもしてみたい。
そう思って生活情報部に異動してきたのに、配属は新設のニュース出稿班。
理不尽なキャップに怒鳴られ、他部署と衝突しながらスクープを探す毎日だ。
周りには、鉄の女と呼ばれる筆頭デスク、八方美人のやり手上司、入院中も楽しそうに原稿のことばかり考える先輩記者…ツワモノばかり。
自分はどんな道を進むべきかもがく千穂は!?
明日も頑張る元気が湧いてくる、お仕事小説シリーズ第二作目!

仙川さんにしては珍しいお仕事成長譚。
前作では、まだこなれていない感じもあったのですが、2作目、とても良かったです。
千穂が成長しつつあること、キャップの坂巻がただの『とんでもキャップ』ではないことも徐々に見えてきました。
記者として何をどう書き、どう伝えるか、そしてその先にあるものまで見届ける、こういった記者としての姿勢を千穂が学び、成長していく過程がとても良かったです。
女性記者の様々な形、激務の中、出産育児をどうこなすか、というテーマも面白かったです。
憧れの先輩女性記者、そしてああはなりたくないと思っていた女性記者、職場での位置関係などとてもよく描かれていたと思います。
チームの中の力関係や、各々のキャラクターも見えてきて、堀君の成長を含め、これからがとても楽しみなシリーズとなりました。

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4569762573侵入
仙川 環
PHP研究所 2014-11-10

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
野鳥の死骸が発見され、鳥インフルエンザが疑われるも結果は陰性。
それにもかかわらず、公園は突然、封鎖されてしまったー感染症と戦い、国内への侵入を水際で食い止める「検疫官」。
手段を選ばず任務を遂行する破天荒な女性検疫官・西條亜矢が、次々と日本に襲いくるマラリア、狂犬病、新型インフルエンザ等、感染症の脅威に立ち向かう。
国・自治体の危機管理システムや医療業界に警鐘を鳴らす、医療サスペンス小説。

マラリア、炭疽菌、マラリア、狂犬病、鳥インフルエンザ・・・、海外からやって来る感染症と闘う女性検疫官。
デング熱について書かれたり・・・と、相変わらずアンテナの高さを感じさせてくれる仙川さん。
興味を持ったことを調べ、直ぐに小説に活かす、仙川さんの魅力の一つだと思います。
インフルエンザの隠蔽や、日本では絶滅した狂犬病が意外なところから伝染する可能性があるということなど、気づかないながらも恐怖がギリギリまで迫っていることに警鐘を鳴らしてくれる作品でした。
ひとつひとつの事件そのものの描き方はとても面白かったのですが、人についての描き方にはやや不満も。
亜矢の過去についてはやや薄味に感じるし、周囲の人達のキャラはいいのに活かしきれていないのも勿体無い。
東出くんとはコンビを組ましたらかなり面白くなると思うのだけど・・・
という訳で、東野くんとのコンビで続編をお願いしたいと思います。

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4093863873極卵
仙川 環
小学館 2014-08-28

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
有名自然食品店で売り出された卵は、極上の味がキャッチフレーズの高級商品『極卵』。
安全、安心だったはずなのに、猛毒による食中毒事件が発生する。
時間が経つうちに感染者が急増し、次々に死亡。
過激化した消費者団体は業者を糾弾し、大手マスメディアは過熱報道を増していく。
しかし取材を始めた元新聞記者の瀬島桐子の前に、隠蔽された驚くべき真実が浮かび上がってきた…。
医療ミステリーの第一人者が現実の先を描ききった渾身の書き下ろし小説。

仙川さん、今回は食の安全。
自然食、有機野菜などなど、我が家では買えないわ〜と、いつも横目で眺めていたモノ。
一個250円の卵、安全がお金で買えるなら・・・と買ったはずの卵で、まさかの中毒事件。
ライター・桐子の取り組み方も、なかなか面白かったです。
あおるマスコミ、過激な消費者団体・・・と、事件は思わぬ方向に広がっていく。
卵がボツリヌス菌に侵された原因がラスト間近になっても明らかにされない。
何だかモヤモヤ気分が残ったまま、終わってしまうの?とおもっていたのですが、ラストにビックリ。
仙川さんの作品、いつもは何となく尻しぼみ感を感じていたのですが、今回はビックリ。
中盤、やや物足りない感じもあったのですが、このサプライズが隠されていた為のようですね。
いつもと違う仙川さんの作品、今回はまんまとやられました。

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4103359110流転の細胞
仙川 環
新潮社 2014-06-20

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【内容情報】
若手新聞記者の長谷部友美は、地方支局に飛ばされて腐っていた。
本社異動のためのネタを掴もうと、市内の病院の赤ちゃんポストを張り込み続け、とうとう赤ん坊連れの女を発見する。
しかしそれは、子どもなどいないはずの知人の姿だったーー
消えそうな命と、明日生まれる命。どちらを選ぶのか?

「吠えろ!坂巻記者」に続いて、本作も主人公は新聞記者。
地方支局に飛ばされ、何とか本社に異動しようとやっきになっているヒロイン。
最初は、彼女のガリガリした感じが鼻についたのだけれど、筋立てとして面白かった。
知人の女性が何故・・・の部分は、タイトルと表紙から予測がついてしまうので、読者はヒロインより先に謎解き出来ちゃうのはどうなんだろうと思うけれど。
国際部で異動になり、更に希望のニューヨークに行くことになった彼氏との今後は、未定だけれど、彼とは価値観がちょっと違う気がして彼の望む未来とは少し違うんじゃないかな、と思ってしまった。
彼がプレゼントしてくれたワインを電車の中でなくしてしまった友美。
実は、その中にサプライズで指輪が入っていたとか、別れの手紙が入っていて、それを気付かずに・・・なんてフラッグかと思ったんだけど、そこは意外にスルーでしたね。
絶対にフラッグだと思ったのに。
仙川さんの医療と新聞記者を絡めた作品、これからも色々とバリエーションを広げていきそうで楽しみです。

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4758438234吠えろ!坂巻記者
仙川 環
角川春樹事務所 2014-05-13

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【内容紹介】
中央新聞入社五年目の上原千穂は、社会部から子育て問題や高齢者問題などの企画記事を主に扱う、生活情報部に異動となった。
文化的な仕事ができる――そんな期待をよそに、配属されたのは、部内に新設されたばかりのニュース出稿班。
しかも、直属の上司は、自分を曲げず、上層部にも煙たがられているというトンデモキャップの坂巻武士だった。
「いつも理不尽な命令ばかり! 」と不満たらたらな千穂だったが、次第に坂巻のペースに巻き込まれて・・・・・・! ?
新・お仕事エンターテイメント、始動!

医療小説の仙川さん、ルポライターや記者が医療問題に関わって・・・という作品はあったけれど、今回は新聞社の記者を主人公にしてお仕事小説というしつらえに。
ライトタッチで面白かったです。
新聞の真ん中あたりの生活欄、子育てや食がテーマにされることが多く、女性ならではの仕事ができると思っていた入社5年目のヒロイン、千穂。
しかしトンデモキャップの坂巻のおかげで・・・
ニュース出稿班という切り口もなかなか面白い。
「食品偽装」「健康食品」「老人の介護食」というテーマの選び方は、普段の仙川さんらしいが、今回はライトタッチでサクサクと読ませることにも成功しているように感じる。
医療問題ガッツリの仙川作品も好きですが、この新聞社お仕事小説もいい感じ。
「始動!」と裏表紙にあるので、シリーズ化しそうで楽しみです。
ニュース出稿班の謎や、記者たちの成長譚も面白くなりそうだし、次作を楽しみにしています。

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4569760945感染源
仙川環
PHP研究所 2013-11-11

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日本を飛び出し、マレーシアで新薬開発に関わる仕事を始めた直美。
自分が探し出した医薬品の原料のせいで、後輩の研究員が発病して死んだ可能性に思い至った彼女は、その感染源を探ろうとするのだが、仕事のパートナーも行方不明になり…。
生物多様性条約や、女性の生き方・働き方、文明の功罪など、さまざまなテーマが盛り込まれた、医療ミステリー最新作。

新薬の原料探しを生業に選んだ女性。
マレーシアの奥地のまじないや、民間医療から何かを見つけられないか・・・と活躍する女性。
奥地の様子や、突然と消えた村、原因不明で死んだ研究員・・・と、畳み掛けるような物語。
仙川さん、文章力もあり、いつも読ませるのが本当に巧い。
しかし、今回も尻つぼみになってしまったのが本当に残念。
他の方はどう感じてるのかと思って読メの感想を読んだら同意見の方がやはり多かった。
暗闇で突然、一人で置いてけぼりにされたシーンなんてドキドキさせるのは本当に旨い。
なのに、言葉が出来ないことを反省したり、女店主の「軸がぶれている」と言われて反省するものの、彼女にその後の成長が見られないのが理由なのかなぁ。
う〜ん、本当に残念。

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4198634904封鎖
仙川環
徳間書店 2012-10-27

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【内容情報】
関西の山奥で新型と思われる鳥インフルエンザが発生した。
六十人ほどの集落で一人、また一人と犠牲者が出る。
医療チームが派遣されるが、感染経路をつかめないどころか、集落から出る唯一の道が警察の手で封鎖された。
固定、携帯ともに電話はつながらず、テレビでの報道もない。
このまま自分たちは見殺しにされるのか。
発症の有無で家族の絆は裂かれ、子供のため強行突破を試みる住民も。
他人事ではすまない、リアル感に満ちた医療サスペンス。

鳥インフルエンザによるパンデミックもの。
大都市での大流行を描くと、確かに地球滅亡的な空恐ろしさもあるものの、細部にわたっては描き切れないものがあるな・・・と感じていました。
本作は、僅か60人足らずの限界集落で発生した鳥インフルエンザ。
確かに人数を減らした分、事態がどんどんと悪化していく中でひとりひとりの心情について描くことが出来ていた。
殆どが身内のような60人なので、暴動が起きたり、疑心暗鬼で仲間同士を・・・ということがあまり無いのも、小さな集落だからなのだろう。
実際、このように限定した場所で発症したら切り捨てられてしまうことがあるのかもしれない。
残念ながら、私は外で、ああ、そんなこともあったんだ・・・というレベルでしか、この事態を感じられない外側の人間でしか無かった。
体を張った女医の行動、あの場面ではああすることが必要だったのかもしれないが、やや首をひねる展開だった。
原発事故の際の政府の隠蔽、これをテーマに書きたかったのだろうけど、やや物足りなかったかな。

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